薬効分類名抗ウイルス化学療法剤
一般的名称ドルテグラビルナトリウム
ジャルカ配合錠
じゃるかはいごうじょう
Juluca Combination Tablets
製造販売元/ヴィーブヘルスケア株式会社、販売元/グラクソ・スミスクライン株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
ピルシカイニド塩酸塩水和物
ピルシカイニドの血中濃度を増加させる可能性がある。併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍、洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがある。
ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある。
制酸剤、多価カチオン含有製剤
- 乾燥水酸化アルミニウムゲル
沈降炭酸カルシウム等
[16.7.2 参照]
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤は制酸剤、多価カチオン含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後に投与すること。
胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。
鉄剤、カルシウム含有製剤(サプリメント等)
[16.7.2 参照]
ドルテグラビルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後の投与が推奨される。
鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。
メトホルミン塩酸塩
[16.7.2 参照]
ドルテグラビルがメトホルミンの血中濃度を上昇させる。注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること。
ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある。
リファブチン
[7.2 参照],[16.7.2 参照]
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。
リファブチンのCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。
H2遮断剤
ファモチジン
シメチジン
ニザチジン
ラニチジン塩酸塩
[16.7.2 参照]
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤はH2遮断剤投与の4時間以上前又は12時間以上後に投与すること。
胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。
クラリスロマイシン
エリスロマイシン
リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性がある。代替としてアジスロマイシン等を考慮すること。
これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
アミオダロン塩酸塩
ソタロール塩酸塩等
[9.1.1 参照],[17.2.1 参照]
QT延長、心室性頻拍(Torsade de Pointesを含む)が発現するおそれがある。
リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 **リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、ホスフェニトインナトリウム水和物、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、アパルタミド、エンザルタミド、デキサメタゾン(全身投与)(単回投与を除く)、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、エソメプラゾールマグネシウム水和物、ボノプラザンフマル酸塩)を投与中の患者[10.1 参照]
4. 効能又は効果
HIV-1感染症
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 本剤は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制(ヒト免疫不全ウイルス[HIV]-1 RNA量が50copies/mL未満)が得られており、本剤の有効成分に対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること。[17.1.1 参照],[17.1.2 参照]
- 5.2 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
- 5.3 本剤はドルテグラビル及びリルピビリンの固定用量を含有する配合剤であるので、リルピビリンの用量調節が必要な患者には個別のリルピビリン製剤(エジュラント錠)を用いること。[7.1 参照],[7.2 参照]
6. 用法及び用量
通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg及びリルピビリンとして25mg)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- 8.2 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
- 8.3 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染症(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
- 8.4 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。[9.1.2 参照],[11.1.2 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 不整脈を起こしやすい患者
低カリウム血症、著しい徐脈、急性心筋虚血、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群等の患者では、QT延長により不整脈が発現するおそれがある。リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている。[10.2 参照],[17.3.1 参照]
-
9.1.2 B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者
肝機能の悪化のおそれがある。
ドルテグラビル及びリルピビリンを併用投与した臨床試験において、C型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝機能検査値上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
ドルテグラビル単剤の臨床試験において、B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、トランスアミナーゼ上昇又は増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
また、リルピビリン単剤の臨床試験において、B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった。[8.4 参照],[11.1.2 参照]
9.5 妊婦
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
海外の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児9460例中10例(0.11%、95%信頼区間0.06-0.19)に報告されており、ドルテグラビルを含まない抗HIV薬を服用していた妊婦から生まれた児23664例中25例(0.11%、95%信頼区間0.07-0.16)、HIV陰性の妊婦から生まれた児170723例中108例(0.07%、95%信頼区間0.05-0.08)に報告されている1)
。
ドルテグラビルはヒト胎盤を通過する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する胎児臍帯血漿中濃度の比(中央値[範囲])は、1.28[1.21-1.28]であることが報告されている2)
(外国人データ)。
妊娠中期及び妊娠後期の妊婦にリルピビリンを投与した時、出産後と比較し、リルピビリンの血中濃度低下が認められている。[16.6.3 参照]
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。一般に、乳児へのHIV感染を防ぐため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳をすべきでない。
ドルテグラビルはヒト乳汁中に移行する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比(中央値[範囲])は、0.033[0.021-0.050]であることが報告されている2)
(外国人データ)。
リルピビリンはヒトの乳汁中に移行するか否かは不明である。リルピビリンは動物試験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い。
10. 相互作用
- ドルテグラビルは主にUGT1A1で代謝され、一部CYP3A4でも代謝される。また、ドルテグラビルは有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びMultidrug and Toxin Extrusion 1(MATE1)を阻害する。リルピビリンは主にCYP3Aにより代謝される。[16.4.1 参照],[16.4.2 参照],[16.7.1 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
リファンピシン
|
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
|
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
|
デキサメタゾン(全身投与)(単回投与を除く)
|
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
ピルシカイニド塩酸塩水和物 |
ピルシカイニドの血中濃度を増加させる可能性がある。併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍、洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがある。 |
ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある。 |
制酸剤、多価カチオン含有製剤
|
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤は制酸剤、多価カチオン含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後に投与すること。 |
胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。 |
鉄剤、カルシウム含有製剤(サプリメント等) |
ドルテグラビルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後の投与が推奨される。 |
鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。 |
メトホルミン塩酸塩 |
ドルテグラビルがメトホルミンの血中濃度を上昇させる。注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること。 |
ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある。 |
リファブチン |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
リファブチンのCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
H2遮断剤 |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤はH2遮断剤投与の4時間以上前又は12時間以上後に投与すること。 |
胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。 |
クラリスロマイシン |
リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性がある。代替としてアジスロマイシン等を考慮すること。 |
これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される。 |
メサドン塩酸塩 |
リルピビリンがメサドンの血中濃度を低下させることがある。 |
機序不明 |
QT延長を起こすことが知られている薬剤 |
QT延長、心室性頻拍(Torsade de Pointesを含む)が発現するおそれがある。 |
リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、好酸球増多等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
-
11.1.2 肝機能障害(1%未満)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[8.4 参照],[9.1.2 参照]
11.2 その他の副作用
2%以上 |
1~2%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
免疫系 |
免疫再構築炎症反応症候群 |
|||
代謝 |
食欲減退、体脂肪の再分布/蓄積 |
|||
精神・神経系 |
頭痛 |
不眠症、異常な夢、浮動性めまい |
うつ病、睡眠障害、自殺念慮/自殺企図、抑うつ気分、傾眠、不安 |
|
消化器 |
下痢 |
悪心、鼓腸 |
腹痛、上腹部痛、腹部不快感 |
嘔吐 |
肝臓 |
肝炎 |
|||
皮膚 |
発疹、そう痒 |
|||
全身症状 |
疲労 |
|||
筋骨格 |
関節痛 |
筋肉痛 |
||
臨床検査 |
体重増加 |
トランスアミナーゼ上昇、血清クレアチニン増加、総ビリルビン増加、CK増加 |
13. 過量投与
-
13.1 処置
ドルテグラビルは血液透析により除去される可能性は低いことが報告されている4) ,5) 。リルピビリンは高い蛋白結合率を有するため、血液透析により除去できる可能性は低い。[16.3.2 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 **リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、ホスフェニトインナトリウム水和物、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、アパルタミド、エンザルタミド、デキサメタゾン(全身投与)(単回投与を除く)、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、エソメプラゾールマグネシウム水和物、ボノプラザンフマル酸塩)を投与中の患者[10.1 参照]
4. 効能又は効果
HIV-1感染症
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 本剤は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制(ヒト免疫不全ウイルス[HIV]-1 RNA量が50copies/mL未満)が得られており、本剤の有効成分に対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること。[17.1.1 参照],[17.1.2 参照]
- 5.2 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
- 5.3 本剤はドルテグラビル及びリルピビリンの固定用量を含有する配合剤であるので、リルピビリンの用量調節が必要な患者には個別のリルピビリン製剤(エジュラント錠)を用いること。[7.1 参照],[7.2 参照]
6. 用法及び用量
通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg及びリルピビリンとして25mg)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- 8.2 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
- 8.3 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染症(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
- 8.4 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。[9.1.2 参照],[11.1.2 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 不整脈を起こしやすい患者
低カリウム血症、著しい徐脈、急性心筋虚血、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群等の患者では、QT延長により不整脈が発現するおそれがある。リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている。[10.2 参照],[17.3.1 参照]
-
9.1.2 B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者
肝機能の悪化のおそれがある。
ドルテグラビル及びリルピビリンを併用投与した臨床試験において、C型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝機能検査値上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
ドルテグラビル単剤の臨床試験において、B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、トランスアミナーゼ上昇又は増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
また、リルピビリン単剤の臨床試験において、B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった。[8.4 参照],[11.1.2 参照]
9.5 妊婦
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
海外の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児9460例中10例(0.11%、95%信頼区間0.06-0.19)に報告されており、ドルテグラビルを含まない抗HIV薬を服用していた妊婦から生まれた児23664例中25例(0.11%、95%信頼区間0.07-0.16)、HIV陰性の妊婦から生まれた児170723例中108例(0.07%、95%信頼区間0.05-0.08)に報告されている1)
。
ドルテグラビルはヒト胎盤を通過する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する胎児臍帯血漿中濃度の比(中央値[範囲])は、1.28[1.21-1.28]であることが報告されている2)
(外国人データ)。
妊娠中期及び妊娠後期の妊婦にリルピビリンを投与した時、出産後と比較し、リルピビリンの血中濃度低下が認められている。[16.6.3 参照]
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。一般に、乳児へのHIV感染を防ぐため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳をすべきでない。
ドルテグラビルはヒト乳汁中に移行する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比(中央値[範囲])は、0.033[0.021-0.050]であることが報告されている2)
(外国人データ)。
リルピビリンはヒトの乳汁中に移行するか否かは不明である。リルピビリンは動物試験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い。
10. 相互作用
- ドルテグラビルは主にUGT1A1で代謝され、一部CYP3A4でも代謝される。また、ドルテグラビルは有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びMultidrug and Toxin Extrusion 1(MATE1)を阻害する。リルピビリンは主にCYP3Aにより代謝される。[16.4.1 参照],[16.4.2 参照],[16.7.1 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
リファンピシン
|
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
|
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進される。また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
|
デキサメタゾン(全身投与)(単回投与を除く)
|
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
ピルシカイニド塩酸塩水和物 |
ピルシカイニドの血中濃度を増加させる可能性がある。併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍、洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがある。 |
ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある。 |
制酸剤、多価カチオン含有製剤
|
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤は制酸剤、多価カチオン含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後に投与すること。 |
胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。 |
鉄剤、カルシウム含有製剤(サプリメント等) |
ドルテグラビルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後の投与が推奨される。 |
鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。 |
メトホルミン塩酸塩 |
ドルテグラビルがメトホルミンの血中濃度を上昇させる。注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること。 |
ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある。 |
リファブチン |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 |
リファブチンのCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される。 |
H2遮断剤 |
リルピビリンの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤はH2遮断剤投与の4時間以上前又は12時間以上後に投与すること。 |
胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する。 |
クラリスロマイシン |
リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性がある。代替としてアジスロマイシン等を考慮すること。 |
これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される。 |
メサドン塩酸塩 |
リルピビリンがメサドンの血中濃度を低下させることがある。 |
機序不明 |
QT延長を起こすことが知られている薬剤 |
QT延長、心室性頻拍(Torsade de Pointesを含む)が発現するおそれがある。 |
リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、好酸球増多等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
-
11.1.2 肝機能障害(1%未満)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[8.4 参照],[9.1.2 参照]
11.2 その他の副作用
2%以上 |
1~2%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
免疫系 |
免疫再構築炎症反応症候群 |
|||
代謝 |
食欲減退、体脂肪の再分布/蓄積 |
|||
精神・神経系 |
頭痛 |
不眠症、異常な夢、浮動性めまい |
うつ病、睡眠障害、自殺念慮/自殺企図、抑うつ気分、傾眠、不安 |
|
消化器 |
下痢 |
悪心、鼓腸 |
腹痛、上腹部痛、腹部不快感 |
嘔吐 |
肝臓 |
肝炎 |
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皮膚 |
発疹、そう痒 |
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全身症状 |
疲労 |
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筋骨格 |
関節痛 |
筋肉痛 |
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臨床検査 |
体重増加 |
トランスアミナーゼ上昇、血清クレアチニン増加、総ビリルビン増加、CK増加 |
13. 過量投与
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13.1 処置
ドルテグラビルは血液透析により除去される可能性は低いことが報告されている4) ,5) 。リルピビリンは高い蛋白結合率を有するため、血液透析により除去できる可能性は低い。[16.3.2 参照]