薬効分類名抗ウイルス化学療法剤
一般的名称ジドブジン
レトロビルカプセル100mg
れとろびるかぷせる100mg
Retrovir Capsules
製造販売元/ヴィーブヘルスケア株式会社、販売元/グラクソ・スミスクライン株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
ペンタミジンイセチオン酸塩、ピリメタミン(国内未発売)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、フルシトシン、ガンシクロビル、インターフェロン、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩
本剤の毒性作用が増強されることがある。
機序は不明であるが、ともに腎毒性又は骨髄毒性を有するためと考えられている。
プロベネシド
本剤の全身クリアランスが約1/3に減少し、半減期が約1.5倍延長したとの報告があるので、投与間隔を適宜あけること。
本剤のグルクロン酸抱合が競合的に阻害される。また、本剤のグルクロン酸抱合体の腎排泄が抑制されることが考えられている。
フルコナゾール、ホスフルコナゾール
本剤の最高血中濃度が84%上昇するとの報告がある。
本剤のグルクロン酸抱合が競合的に阻害されることが考えられている。
リトナビル
本剤の最高血中濃度が27%減少し、AUCが25%減少するとの報告がある。
本剤のグルクロン酸抱合が促進されることが考えられている。
リファンピシン
本剤の全身クリアランスが約2.5倍増加し、AUCが約1/2減少するとの報告がある。
機序は不明である。
フェニトイン
血中フェニトイン濃度が約1/2に減少するとの報告がある。
また、上昇するとも報告されているので、血中フェニトイン濃度を注意深く観察すること。
機序は不明である。
サニルブジン
細胞内におけるサニルブジン三リン酸化体が減少し、サニルブジンの効果が減弱するとの報告があるので、本剤とサニルブジンとの併用療法は避けることが望ましい。
本剤が細胞内におけるサニルブジンのリン酸化を抑制することが考えられている。
リバビリン
In vitroにおいてリバビリンとの併用により本剤の効果が減弱するとの報告があるので、本剤とリバビリンの併用療法は避けることが望ましい。
本剤の細胞内におけるリン酸化が競合的に阻害されることが考えられている。
アトバコン
本剤のAUCが33%上昇し、グルクロン酸抱合体の最高血中濃度が19%低下した。ジドブジン500又は600mg/日を3週間投与した場合では、本剤の血中濃度の上昇により、副作用の発現頻度が上昇する可能性は低いと考えられるが、アトバコンをより長期に投与する場合には、十分注意すること。
本剤のグルクロン酸抱合が阻害されることが考えられている。
1. 警告
本剤の投与により骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.2 参照],[11.1.1 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)[7.1 参照],[9.1.1 参照]
- 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.3 イブプロフェン投与中の患者[10.1 参照]
4. 効能又は効果
HIV感染症
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 無症候性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドライン1) ,2) ,3) を確認すること。
- 5.2 本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無く、かつ、原疾患であるHIV感染症により好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少したと判断される患者に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、本剤の投与を考慮すること。[7.1 参照],[9.1.2 参照]
- 5.3 HIVによる神経機能障害に対する有効性は確認されていない。
- 5.4 投与前CD4リンパ球数500/mm3以上のHIV感染症患者については、有効性及び安全性は確認されていない。
6. 用法及び用量
通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、ジドブジンとして1日量500~600mgを2~6回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜減量する。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 本剤投与中特に著しい好中球減少(750/mm3未満又は投与前値からの50%以上の減少)又は著しい貧血(ヘモグロビン値が7.5g/dL未満又は投与前値からの25%以上の減少)が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬する。これより軽度の貧血(ヘモグロビン値が7.5~9.5g/dL)及び好中球減少(750~1000/mm3)の場合は、減量する。著しい貧血がみられた場合、休薬及び減量を行っても輸血の必要な場合がある。休薬又は減量後、骨髄機能が回復した場合には、血液学的所見及び患者の耐容性に応じて徐々に通常の投与量に増量する。[2.1 参照],[5.2 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[9.1.3 参照]
- 7.2 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
- 7.3 ジドブジンとして1日量が400mg(1回100mg、1日4回投与)による有効性及び安全性が認められたとの報告はあるが4) 、1日量が400mg未満の用量による有効性は確認されていない。
- 7.4 HIVは感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。[18.3 参照]
- 7.5 血液透析又は腹膜透析で病状を維持している重度の腎疾患患者には1回100mgを6~8時間毎に投与することが望ましい。[9.2.1 参照]
8. 重要な基本的注意
- 8.1 *本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
- 8.2 本剤の投与により骨髄抑制があらわれるので、投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間毎に血液学的検査を行い、その後は最低1ヵ月毎の検査を行うこと。[1 参照],[11.1.1 参照]
- 8.3 重篤な血液障害、うっ血性心不全、乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)、てんかん様発作、膵炎があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照],[11.1.5 参照]
- 8.4 本剤の投与により、脂肪組織萎縮症があらわれることがあるので、脂肪組織萎縮症の徴候を判定するための検査を行うなど、脂肪組織萎縮症の徴候に十分注意するとともに、身体状態の変化について定期的に問診すること。
- 8.5 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)
- 9.1.2 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いもの)
-
9.1.3 好中球数750/mm3以上1000/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL以上9.5g/dL未満の患者
好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。[7.1 参照]
-
9.1.4 ビタミンB12欠乏患者
貧血が発現するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1 血液透析又は腹膜透析で病状を維持している重度の腎疾患患者
-
9.2.2 腎機能障害のある患者(血液透析又は腹膜透析で病状を維持している重度の腎疾患患者を除く)
高い血中濃度が持続するおそれがある。[16.6.1 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
本剤はヒト胎盤を通過する。出生児の血漿中ジドブジン濃度は、分娩時の母親の血漿中濃度と同じであることが報告されている5)
(外国人データ)。
本剤が胎児臍帯血白血球のDNAに取り込まれたという報告がある6)
(外国人データ)。
ラットの受胎能及び一般生殖能試験(50、150、450mg/kg/日、1日2回投与)では、中及び高用量群に胎児吸収率の増加、高用量群に胎児平均体重の減少がみられた。
サルを用いた試験で、胎児にミトコンドリア障害(心筋及び骨格筋におけるミトコンドリアミオパシー)が認められたとの報告がある7)
。
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。
非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。
本剤を投与された妊婦より出生した児に貧血があらわれることがある。定期的に検査を行うなど児の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。
経口投与されたジドブジン(200mg、単回投与)は、ヒト乳汁中に排泄され、血清中の濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。
ジドブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.4~3.2であることが報告されている(外国人データ)。
乳児の血清中のジドブジン濃度は24ng/mLであったとの報告がある8)
(外国人データ)。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として肝臓で代謝され腎臓から排泄されるが、肝機能又は腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。
10. 相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
イブプロフェン |
血友病患者において出血傾向が増強することがある。 |
機序は不明である。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
ペンタミジンイセチオン酸塩、ピリメタミン(国内未発売)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、フルシトシン、ガンシクロビル、インターフェロン、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩 |
本剤の毒性作用が増強されることがある。 |
機序は不明であるが、ともに腎毒性又は骨髄毒性を有するためと考えられている。 |
プロベネシド |
本剤の全身クリアランスが約1/3に減少し、半減期が約1.5倍延長したとの報告があるので、投与間隔を適宜あけること。 |
本剤のグルクロン酸抱合が競合的に阻害される。また、本剤のグルクロン酸抱合体の腎排泄が抑制されることが考えられている。 |
フルコナゾール、ホスフルコナゾール |
本剤の最高血中濃度が84%上昇するとの報告がある9) 。 |
本剤のグルクロン酸抱合が競合的に阻害されることが考えられている。 |
リトナビル |
本剤の最高血中濃度が27%減少し、AUCが25%減少するとの報告がある10) 。 |
本剤のグルクロン酸抱合が促進されることが考えられている。 |
リファンピシン |
本剤の全身クリアランスが約2.5倍増加し、AUCが約1/2減少するとの報告がある11) 。 |
機序は不明である。 |
フェニトイン |
血中フェニトイン濃度が約1/2に減少するとの報告がある12)
。 |
機序は不明である。 |
サニルブジン |
細胞内におけるサニルブジン三リン酸化体が減少し、サニルブジンの効果が減弱するとの報告があるので、本剤とサニルブジンとの併用療法は避けることが望ましい。 |
本剤が細胞内におけるサニルブジンのリン酸化を抑制することが考えられている。 |
リバビリン |
In vitroにおいてリバビリンとの併用により本剤の効果が減弱するとの報告があるので、本剤とリバビリンの併用療法は避けることが望ましい。 |
本剤の細胞内におけるリン酸化が競合的に阻害されることが考えられている。 |
アトバコン |
本剤のAUCが33%上昇し、グルクロン酸抱合体の最高血中濃度が19%低下した。ジドブジン500又は600mg/日を3週間投与した場合では、本剤の血中濃度の上昇により、副作用の発現頻度が上昇する可能性は低いと考えられるが、アトバコンをより長期に投与する場合には、十分注意すること。 |
本剤のグルクロン酸抱合が阻害されることが考えられている。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 重篤な血液障害
再生不良性貧血、赤芽球癆、汎血球減少(いずれも頻度不明)、貧血(24.84%)、白血球減少(17.83%)、好中球減少(8.28%)、血小板減少(5.10%)[1 参照],[8.2 参照],[8.3 参照]
- 11.1.2 うっ血性心不全(頻度不明)
-
11.1.3 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(いずれも頻度不明)
乳酸アシドーシス又は肝毒性が疑われる臨床症状や検査値異常が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること。特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含むNRTIの単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス(全身倦怠、食欲不振、急な体重減少、胃腸障害、呼吸困難、頻呼吸等)及び肝毒性(脂肪沈着による重度の肝腫大、脂肪肝を含む)が、女性に多く報告されている。[8.3 参照]
- 11.1.4 てんかん様発作(頻度不明)
- 11.1.5 膵炎(頻度不明)
11.2 その他の副作用
5%以上 |
0.1%~5%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
血液 |
リンパ節腫脹 |
||
消化器 |
食欲不振(6.37%)、腹痛(6.37%)、嘔気(12.10%) |
下痢、嘔吐、便秘、鼓腸 |
消化不良、嚥下困難、口唇浮腫、舌浮腫、噯気、歯肉出血、直腸出血、口内潰瘍、胃炎 |
全身症状 |
頭痛(5.73%) |
発熱、倦怠感 |
無力症、悪寒、感冒症状、背痛、胸痛、疲労感、体脂肪の再分布/蓄積(胸部、体幹部の脂肪増加、末梢部、顔面の脂肪減少、野牛肩、血清脂質増加、血糖増加)、全身痛、インフルエンザ様疾患 |
肝臓 |
肝機能検査値異常(AST、ALT等の上昇) |
||
腎臓 |
頻尿、排尿障害、腎不全 |
無尿、多尿 |
|
筋骨格 |
筋肉痛、ミオパシー、関節痛 |
||
精神神経系 |
眩暈、傾眠 |
不眠症、手足のしびれ感、不安感、錯感覚、錯乱、筋痙攣、振戦、攣縮、痛覚過敏、うつ状態、情緒不安、神経過敏症、失神、健忘症、見当識障害、嗄声、ストレス反応、空間の広がり感 |
|
循環器 |
血管拡張、心筋症 |
||
呼吸器 |
呼吸困難、咳、鼻出血、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎 |
||
過敏症 |
発疹、そう痒感、じん麻疹 |
痤瘡 |
|
皮膚 |
発汗、体臭変化、爪・皮膚・口腔粘膜の色素沈着 |
||
その他 |
羞明 |
味覚倒錯、弱視、難聴、霧視、女性化乳房、高乳酸塩血症 |
15. その他の注意
15.2 非臨床試験に基づく情報
-
15.2.1 がん原性試験で試験末期に雌動物(ラット及びマウス)に膣腫瘍が発生したとの報告がある。
マウス(20、30、40mg/kg/日、1日1回経口投与)及びラット(80、220、300mg/kg/日、1日1回経口投与)におけるがん原性試験で、膣扁平上皮癌(マウス高用量群5/60、ラット高用量群2/60)が認められた13) 。[15.2.2 参照] -
15.2.2 マウスにおける経胎盤曝露によるがん原性試験で次の報告がある。
- 最大耐量(420mg/kg/周産期体重)を妊娠12~18日(妊娠中~末期)に投与された母動物からの出生児において、出生1年後、肺、肝及び雌性生殖器の腫瘍発生率の増加が認められた14) 。
- 母動物に最高40mg/kgを妊娠10日から分娩を経て離乳まで投与した。引き続き離乳後は出生児に同量を生後24ヵ月まで投与したところ、投与期間末期に膣扁平上皮癌が認められた。この成績は上記のがん原性試験で認められた腫瘍の発生率及び発生時期と同様であった15) 。[15.2.1 参照]
-
15.2.3 本剤の変異原性について次の報告がある。
- Ames試験では変異原性は認められなかったが、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験において弱い変異原性を示し、in vitroの細胞形質転換試験において陽性を示した13) 。
- ラットを用いたin vivo染色体異常試験では染色体の損傷は認められなかったが、ヒト培養リンパ球を用いたin vitro染色体異常試験、ラット及びマウスを用いたin vivo小核試験で染色体異常誘発作用が認められた13) 。また、11人のAIDS患者の末梢血リンパ球において、本剤服用患者は非服用患者と比較して染色体異常頻度が高かったとの報告がある16) 。
- 本剤が成人AIDS患者の白血球のDNA及びその胎児臍帯血白血球のDNAに取り込まれたとの報告がある6) 。
1. 警告
本剤の投与により骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.2 参照],[11.1.1 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)[7.1 参照],[9.1.1 参照]
- 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.3 イブプロフェン投与中の患者[10.1 参照]
4. 効能又は効果
HIV感染症
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 無症候性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドライン1) ,2) ,3) を確認すること。
- 5.2 本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無く、かつ、原疾患であるHIV感染症により好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少したと判断される患者に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、本剤の投与を考慮すること。[7.1 参照],[9.1.2 参照]
- 5.3 HIVによる神経機能障害に対する有効性は確認されていない。
- 5.4 投与前CD4リンパ球数500/mm3以上のHIV感染症患者については、有効性及び安全性は確認されていない。
6. 用法及び用量
通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、ジドブジンとして1日量500~600mgを2~6回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜減量する。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 本剤投与中特に著しい好中球減少(750/mm3未満又は投与前値からの50%以上の減少)又は著しい貧血(ヘモグロビン値が7.5g/dL未満又は投与前値からの25%以上の減少)が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬する。これより軽度の貧血(ヘモグロビン値が7.5~9.5g/dL)及び好中球減少(750~1000/mm3)の場合は、減量する。著しい貧血がみられた場合、休薬及び減量を行っても輸血の必要な場合がある。休薬又は減量後、骨髄機能が回復した場合には、血液学的所見及び患者の耐容性に応じて徐々に通常の投与量に増量する。[2.1 参照],[5.2 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[9.1.3 参照]
- 7.2 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
- 7.3 ジドブジンとして1日量が400mg(1回100mg、1日4回投与)による有効性及び安全性が認められたとの報告はあるが4) 、1日量が400mg未満の用量による有効性は確認されていない。
- 7.4 HIVは感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。[18.3 参照]
- 7.5 血液透析又は腹膜透析で病状を維持している重度の腎疾患患者には1回100mgを6~8時間毎に投与することが望ましい。[9.2.1 参照]
8. 重要な基本的注意
- 8.1 *本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
- 8.2 本剤の投与により骨髄抑制があらわれるので、投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間毎に血液学的検査を行い、その後は最低1ヵ月毎の検査を行うこと。[1 参照],[11.1.1 参照]
- 8.3 重篤な血液障害、うっ血性心不全、乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)、てんかん様発作、膵炎があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照],[11.1.5 参照]
- 8.4 本剤の投与により、脂肪組織萎縮症があらわれることがあるので、脂肪組織萎縮症の徴候を判定するための検査を行うなど、脂肪組織萎縮症の徴候に十分注意するとともに、身体状態の変化について定期的に問診すること。
- 8.5 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)
- 9.1.2 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いもの)
-
9.1.3 好中球数750/mm3以上1000/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL以上9.5g/dL未満の患者
好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。[7.1 参照]
-
9.1.4 ビタミンB12欠乏患者
貧血が発現するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1 血液透析又は腹膜透析で病状を維持している重度の腎疾患患者
-
9.2.2 腎機能障害のある患者(血液透析又は腹膜透析で病状を維持している重度の腎疾患患者を除く)
高い血中濃度が持続するおそれがある。[16.6.1 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
本剤はヒト胎盤を通過する。出生児の血漿中ジドブジン濃度は、分娩時の母親の血漿中濃度と同じであることが報告されている5)
(外国人データ)。
本剤が胎児臍帯血白血球のDNAに取り込まれたという報告がある6)
(外国人データ)。
ラットの受胎能及び一般生殖能試験(50、150、450mg/kg/日、1日2回投与)では、中及び高用量群に胎児吸収率の増加、高用量群に胎児平均体重の減少がみられた。
サルを用いた試験で、胎児にミトコンドリア障害(心筋及び骨格筋におけるミトコンドリアミオパシー)が認められたとの報告がある7)
。
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。
非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。
本剤を投与された妊婦より出生した児に貧血があらわれることがある。定期的に検査を行うなど児の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。
経口投与されたジドブジン(200mg、単回投与)は、ヒト乳汁中に排泄され、血清中の濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。
ジドブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.4~3.2であることが報告されている(外国人データ)。
乳児の血清中のジドブジン濃度は24ng/mLであったとの報告がある8)
(外国人データ)。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として肝臓で代謝され腎臓から排泄されるが、肝機能又は腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。
10. 相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
イブプロフェン |
血友病患者において出血傾向が増強することがある。 |
機序は不明である。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
ペンタミジンイセチオン酸塩、ピリメタミン(国内未発売)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、フルシトシン、ガンシクロビル、インターフェロン、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩 |
本剤の毒性作用が増強されることがある。 |
機序は不明であるが、ともに腎毒性又は骨髄毒性を有するためと考えられている。 |
プロベネシド |
本剤の全身クリアランスが約1/3に減少し、半減期が約1.5倍延長したとの報告があるので、投与間隔を適宜あけること。 |
本剤のグルクロン酸抱合が競合的に阻害される。また、本剤のグルクロン酸抱合体の腎排泄が抑制されることが考えられている。 |
フルコナゾール、ホスフルコナゾール |
本剤の最高血中濃度が84%上昇するとの報告がある9) 。 |
本剤のグルクロン酸抱合が競合的に阻害されることが考えられている。 |
リトナビル |
本剤の最高血中濃度が27%減少し、AUCが25%減少するとの報告がある10) 。 |
本剤のグルクロン酸抱合が促進されることが考えられている。 |
リファンピシン |
本剤の全身クリアランスが約2.5倍増加し、AUCが約1/2減少するとの報告がある11) 。 |
機序は不明である。 |
フェニトイン |
血中フェニトイン濃度が約1/2に減少するとの報告がある12)
。 |
機序は不明である。 |
サニルブジン |
細胞内におけるサニルブジン三リン酸化体が減少し、サニルブジンの効果が減弱するとの報告があるので、本剤とサニルブジンとの併用療法は避けることが望ましい。 |
本剤が細胞内におけるサニルブジンのリン酸化を抑制することが考えられている。 |
リバビリン |
In vitroにおいてリバビリンとの併用により本剤の効果が減弱するとの報告があるので、本剤とリバビリンの併用療法は避けることが望ましい。 |
本剤の細胞内におけるリン酸化が競合的に阻害されることが考えられている。 |
アトバコン |
本剤のAUCが33%上昇し、グルクロン酸抱合体の最高血中濃度が19%低下した。ジドブジン500又は600mg/日を3週間投与した場合では、本剤の血中濃度の上昇により、副作用の発現頻度が上昇する可能性は低いと考えられるが、アトバコンをより長期に投与する場合には、十分注意すること。 |
本剤のグルクロン酸抱合が阻害されることが考えられている。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 重篤な血液障害
再生不良性貧血、赤芽球癆、汎血球減少(いずれも頻度不明)、貧血(24.84%)、白血球減少(17.83%)、好中球減少(8.28%)、血小板減少(5.10%)[1 参照],[8.2 参照],[8.3 参照]
- 11.1.2 うっ血性心不全(頻度不明)
-
11.1.3 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(いずれも頻度不明)
乳酸アシドーシス又は肝毒性が疑われる臨床症状や検査値異常が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること。特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含むNRTIの単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス(全身倦怠、食欲不振、急な体重減少、胃腸障害、呼吸困難、頻呼吸等)及び肝毒性(脂肪沈着による重度の肝腫大、脂肪肝を含む)が、女性に多く報告されている。[8.3 参照]
- 11.1.4 てんかん様発作(頻度不明)
- 11.1.5 膵炎(頻度不明)
11.2 その他の副作用
5%以上 |
0.1%~5%未満 |
頻度不明 |
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|---|---|---|---|
血液 |
リンパ節腫脹 |
||
消化器 |
食欲不振(6.37%)、腹痛(6.37%)、嘔気(12.10%) |
下痢、嘔吐、便秘、鼓腸 |
消化不良、嚥下困難、口唇浮腫、舌浮腫、噯気、歯肉出血、直腸出血、口内潰瘍、胃炎 |
全身症状 |
頭痛(5.73%) |
発熱、倦怠感 |
無力症、悪寒、感冒症状、背痛、胸痛、疲労感、体脂肪の再分布/蓄積(胸部、体幹部の脂肪増加、末梢部、顔面の脂肪減少、野牛肩、血清脂質増加、血糖増加)、全身痛、インフルエンザ様疾患 |
肝臓 |
肝機能検査値異常(AST、ALT等の上昇) |
||
腎臓 |
頻尿、排尿障害、腎不全 |
無尿、多尿 |
|
筋骨格 |
筋肉痛、ミオパシー、関節痛 |
||
精神神経系 |
眩暈、傾眠 |
不眠症、手足のしびれ感、不安感、錯感覚、錯乱、筋痙攣、振戦、攣縮、痛覚過敏、うつ状態、情緒不安、神経過敏症、失神、健忘症、見当識障害、嗄声、ストレス反応、空間の広がり感 |
|
循環器 |
血管拡張、心筋症 |
||
呼吸器 |
呼吸困難、咳、鼻出血、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎 |
||
過敏症 |
発疹、そう痒感、じん麻疹 |
痤瘡 |
|
皮膚 |
発汗、体臭変化、爪・皮膚・口腔粘膜の色素沈着 |
||
その他 |
羞明 |
味覚倒錯、弱視、難聴、霧視、女性化乳房、高乳酸塩血症 |
15. その他の注意
15.2 非臨床試験に基づく情報
-
15.2.1 がん原性試験で試験末期に雌動物(ラット及びマウス)に膣腫瘍が発生したとの報告がある。
マウス(20、30、40mg/kg/日、1日1回経口投与)及びラット(80、220、300mg/kg/日、1日1回経口投与)におけるがん原性試験で、膣扁平上皮癌(マウス高用量群5/60、ラット高用量群2/60)が認められた13) 。[15.2.2 参照] -
15.2.2 マウスにおける経胎盤曝露によるがん原性試験で次の報告がある。
- 最大耐量(420mg/kg/周産期体重)を妊娠12~18日(妊娠中~末期)に投与された母動物からの出生児において、出生1年後、肺、肝及び雌性生殖器の腫瘍発生率の増加が認められた14) 。
- 母動物に最高40mg/kgを妊娠10日から分娩を経て離乳まで投与した。引き続き離乳後は出生児に同量を生後24ヵ月まで投与したところ、投与期間末期に膣扁平上皮癌が認められた。この成績は上記のがん原性試験で認められた腫瘍の発生率及び発生時期と同様であった15) 。[15.2.1 参照]
-
15.2.3 本剤の変異原性について次の報告がある。
- Ames試験では変異原性は認められなかったが、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験において弱い変異原性を示し、in vitroの細胞形質転換試験において陽性を示した13) 。
- ラットを用いたin vivo染色体異常試験では染色体の損傷は認められなかったが、ヒト培養リンパ球を用いたin vitro染色体異常試験、ラット及びマウスを用いたin vivo小核試験で染色体異常誘発作用が認められた13) 。また、11人のAIDS患者の末梢血リンパ球において、本剤服用患者は非服用患者と比較して染色体異常頻度が高かったとの報告がある16) 。
- 本剤が成人AIDS患者の白血球のDNA及びその胎児臍帯血白血球のDNAに取り込まれたとの報告がある6) 。