薬効分類名抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体
HER2:Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2(ヒト上皮増殖因子受容体2型、別称:c-erbB-2)
一般的名称トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)
カドサイラ点滴静注用100mg、カドサイラ点滴静注用160mg
かどさいらてんてきじょうちゅうよう100mg、かどさいらてんてきじょうちゅうよう160mg
KADCYLA for Intravenous Infusion, KADCYLA for Intravenous Infusion
製造販売元/中外製薬株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
抗凝固剤
出血があらわれるおそれがある。
出血リスクを増強させるおそれがある。
放射線療法
[11.1.1 参照]
放射線肺臓炎があらわれるおそれがある。放射線肺臓炎が認められた場合には、適切な処置、または中止を検討すること。
放射線肺臓炎等の間質性肺疾患のリスクを増強させるおそれがある。
1. 警告
- 1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 1.2 肺臓炎、間質性肺炎等の間質性肺疾患があらわれ、死亡に至る例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。[9.1.1 参照][11.1.1 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分又はトラスツズマブ(遺伝子組換え)に対し過敏症(過敏症と鑑別困難で死亡につながるおそれのある重篤なInfusion reactionを含む)の既往歴のある患者
- 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
6. 用法及び用量
通常、成人にはトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)として1回3.6mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与回数は14回までとする。
7. 用法及び用量に関連する注意
-
〈効能共通〉
- 7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用療法について、有効性及び安全性は確立していない。
- 7.2 初回投与時は90分かけて投与すること。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
-
7.3 副作用により、本剤を休薬、減量又は中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて以下の基準を考慮すること。減量後に再度増量はしないこと。
減量の目安 減量段階
投与量
通常投与量
3.6mg/kg
1段階減量
3.0mg/kg
2段階減量
2.4mg/kg
3段階減量
投与中止
-
〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉
-
7.3.1 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
有害事象
処置
40%≤LVEF≤45%
ベースラインからの絶対値の変化<10%
継続:3週間以内に再測定を行い、LVEFを確認すること。
ベースラインからの絶対値の変化≥10%
休薬:3週間以内に再測定を行い、LVEFのベースラインからの絶対値の変化<10%に回復しない場合は中止すること。
LVEF<40%
休薬:3週間以内に再測定を行い、再度LVEF<40%が認められた場合は中止すること。
症候性うっ血性心不全
中止
-
7.3.2 AST、ALT増加による休薬、減量及び中止基準
Grade
処置
Grade 2
(>3~5×ULN)減量せず継続
※AST又はALT>3×ULN
かつ総ビリルビン>2×ULNの場合は中止すること。Grade 3
(>5~20×ULN)休薬:Grade 2以下に回復後、1段階減量して再開可能
Grade 4
(>20×ULN)中止
-
7.3.3 高ビリルビン血症による休薬、減量及び中止基準
Grade
処置
Grade 2
(>1.5~3×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、減量せず再開可能
※AST又はALT>3×ULN
かつ総ビリルビン>2×ULNの場合は中止すること。Grade 3
(>3~10×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、1段階減量して再開可能
Grade 4
(>10×ULN)中止
-
7.3.4 血小板減少症による休薬及び減量基準
Grade
処置
Grade 3
(<50,000~25,000/mm3)休薬:Grade 1以下(75,000/mm3以上)に回復後、減量せず再開可能
Grade 4
(<25,000/mm3)休薬:Grade 1以下(75,000/mm3以上)に回復後、1段階減量して再開可能
-
7.3.5 末梢神経障害による休薬基準
Grade
処置
Grade 3又は4
休薬:Grade 2以下に回復後、減量せず再開可能
-
7.3.1 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
-
〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉
-
7.3.6 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
有害事象
処置
LVEF≥50%
継続
45%≤LVEF<50%
ベースラインからの絶対値の変化<10%
継続:3週間以内に再測定を行い、LVEFを確認すること。
ベースラインからの絶対値の変化≥10%
休薬:3週間以内に再測定を行い、LVEF<50%が認められ、かつLVEFのベースラインからの絶対値の変化<10%に回復しない場合は中止すること。
LVEF<45%
休薬:3週間以内に再測定を行い、再度LVEF<45%が認められた場合は中止すること。
中止
-
7.3.7 ALT増加による休薬、減量及び中止基準
Grade
処置
Grade 2又は3
(>3~20×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、1段階減量して再開可能
Grade 4
(>20×ULN)中止
-
7.3.8 AST増加による休薬、減量及び中止基準
Grade
処置
Grade 2
(>3~5×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、減量せず再開可能
Grade 3
(>5~20×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、1段階減量して再開可能
Grade 4
(>20×ULN)中止
-
7.3.9 高ビリルビン血症による休薬、減量及び中止基準
有害事象
処置
総ビリルビン>1.0~2.0×ULN
休薬:総ビリルビン≤1.0×ULNに回復後、1段階減量して再開可能
総ビリルビン>2.0×ULN
中止
-
7.3.10 結節性再生性過形成(NRH)による中止基準
Grade
処置
全てのGrade
中止
-
7.3.11 血小板減少症による休薬及び減量基準
Grade
処置
Grade 2又は3
(<75,000~25,000/mm3)休薬:Grade 1以下(75,000/mm3以上)に回復後、減量せず再開可能。血小板減少症による2回目休薬後の再開においては1段階減量しての再開を考慮すること。
Grade 4
(<25,000/mm3)休薬:Grade 1以下(75,000/mm3以上)に回復後、1段階減量して再開可能
-
7.3.12 末梢神経障害による休薬基準
Grade
処置
Grade 3又は4
休薬:Grade 2以下に回復後、減量せず再開可能
-
7.3.13 間質性肺疾患による中止基準
有害事象
処置
間質性肺疾患又は肺臓炎と診断された場合
中止
-
7.3.14 放射線療法に関連する肺臓炎による中止基準
Grade
処置
Grade 2
標準治療にて回復しない場合は中止すること。
Grade 3又は4
中止
GradeはNCI CTCAE(ver.4.0)に準じる。
ULN:正常値上限
-
7.3.6 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
-
〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉
8. 重要な基本的注意
- 8.1 心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開又は中止を判断すること。[9.1.2 参照][9.1.3 参照][11.1.2 参照]
- 8.2 肝機能障害、肝不全があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査(AST、ALT、総ビリルビン等)を行うこと。また、結節性再生性過形成があらわれることがあるので、門脈圧亢進症の症状等について観察を十分に行い、発現が疑われる場合には肝生検等の実施を考慮すること。[11.1.5 参照]
- 8.3 血小板減少症があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血小板数を測定し、出血に関する症状の有無を確認する等、患者の状態を十分に観察すること。[9.1.4 参照][11.1.6 参照]
- 8.4 本剤の使用にあたっては、本剤と一般名が類似しているトラスツズマブ及びトラスツズマブ デルクステカンとの取り違えに注意すること。[13 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 安静時呼吸困難等の症候性の肺疾患のある患者
肺臓炎があらわれることがある。[1.2 参照][11.1.1 参照]
-
9.1.2 左室駆出率(LVEF)が低下している患者
LVEF低下を悪化させるおそれがある。[8.1 参照][11.1.2 参照]
-
9.1.3 以下のような心機能の低下するおそれのある患者
心不全等の心障害があらわれるおそれがある。[8.1 参照][11.1.2 参照]
-
9.1.4 血小板数減少のある患者
出血のおそれがある。[8.3 参照][11.1.6 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤を構成するトラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告がある。また、羊水過少を発現した症例で、胎児・新生児の腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児の肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている。本剤を構成するDM1の類薬であるメイタンシンを用いた動物実験において、催奇形性及び胎児毒性が報告されている。[2.2 参照],[9.4.1 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、本剤を構成するトラスツズマブを用いた動物実験において、乳汁への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
心機能、肝・腎機能検査、血液検査を行うなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。
10. 相互作用
- ヒト肝ミクロソーム等を用いたin vitro試験において、本剤を構成するメイタンシン誘導体であるDM1は、主としてCYP3A4及び一部CYP3A5で代謝されることが示唆されているため、CYP3Aを強く阻害する薬剤と併用する際には注意すること。[16.4 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
抗凝固剤 |
出血があらわれるおそれがある。 |
出血リスクを増強させるおそれがある。 |
放射線療法 |
放射線肺臓炎があらわれるおそれがある。放射線肺臓炎が認められた場合には、適切な処置、または中止を検討すること。 |
放射線肺臓炎等の間質性肺疾患のリスクを増強させるおそれがある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 間質性肺疾患(1.3%)
呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤、急性呼吸窮迫症候群等の症状を伴う肺臓炎、間質性肺炎又は放射線肺臓炎があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。[1.2 参照][9.1.1 参照][10.2 参照]
-
11.1.2 心障害(2.4%)
左室駆出率(LVEF)低下、うっ血性心不全等の心障害があらわれることがあり、重度の心障害に至った例も報告されている。[8.1 参照][9.1.2 参照][9.1.3 参照]
-
11.1.3 過敏症(1.7%)
アナフィラキシー等の重度の過敏症があらわれることがある。
-
11.1.4 Infusion reaction(5.4%)
呼吸困難、低血圧、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、紅潮、悪寒、発熱等を含むInfusion reactionがあらわれることがあり、本剤投与中又は投与開始後24時間以内に多く報告されている。これらの症状は、主に本剤の初期の投与時にあらわれやすい。異常が認められた場合には投与中止等の適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。また、重度のInfusion reactionがあらわれた場合には直ちに投与を中止すること。
-
11.1.5 肝機能障害(28.2%)、肝不全(頻度不明)
AST増加(23.2%)、ALT増加(18.5%)、血中ビリルビン増加(5.1%)等の肝機能障害があらわれることがある。肝機能検査値異常を伴う重度の肝機能障害、肝不全が認められ、死亡に至った例も報告されている。また、結節性再生性過形成があらわれることがあるので、結節性再生性過形成が診断された場合には、投与を中止すること。[8.2 参照]
-
11.1.6 血小板減少症(28.0%)
血小板減少症があらわれることがあり、頭蓋内出血等の重度の出血(0.2%)により死亡に至った例も報告されている。[8.3 参照][9.1.4 参照]
-
11.1.7 末梢神経障害(13.8%)
しびれ等の末梢神経障害があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
5%以上 |
1%~5%未満 |
1%未満 |
|
|---|---|---|---|
精神神経系 |
頭痛(15.4%)、味覚異常 |
錯感覚、めまい、不眠症、嗜眠 |
うつ病、感覚鈍麻、傾眠、神経毒性、嗅覚錯誤、平衡障害、片頭痛 |
消化器 |
悪心(34.6%)、嘔吐(11.7%)、便秘(11.1%)、口内乾燥(10.7%)、下痢、口内炎、腹痛 |
消化不良、歯肉出血、腹部膨満 |
腹部不快感、歯周病、胃食道逆流性疾患、消化管出血、胃炎、口腔内出血、鼓腸、痔核、消化器痛、口腔内痛、口唇乾燥 |
循環器 |
高血圧、動悸、ほてり |
低血圧、頻脈 |
|
呼吸器 |
鼻出血(16.5%) |
呼吸困難、咳嗽、鼻漏、口腔咽頭痛 |
鼻閉、鼻乾燥 |
皮膚 |
発疹、爪の異常 |
そう痒症、皮膚乾燥、皮膚炎、脱毛症、皮下出血、紅斑 |
紫斑、湿疹、手掌・足底発赤知覚不全症候群、多汗症、蕁麻疹 |
筋・骨格 |
関節痛(10.4%)、筋骨格痛 |
筋痙縮 |
筋力低下、筋骨格硬直 |
耳 |
回転性めまい |
耳鳴 |
|
眼 |
流涙増加、視力障害(霧視、視力低下等)、眼乾燥、結膜炎 |
眼充血、眼そう痒症、眼痛、結膜出血、眼刺激 |
|
代謝 |
食欲減退(10.5%)、血中ALP増加 |
血中カリウム減少 |
脱水、血中アルブミン減少、高血糖、血中クレアチニン増加、血中尿酸増加 |
生殖器 |
腟出血 |
||
血液 |
貧血、好中球数減少、白血球数減少 |
リンパ球数減少 |
|
その他 |
倦怠感(34.4%)、疼痛(背部痛、四肢痛等)、発熱、無力症 |
悪寒、インフルエンザ様疾患、浮腫(全身性浮腫、末梢性浮腫等)、体重減少、鼻咽頭炎、粘膜の炎症、尿路感染、上気道感染、胸痛、鼻炎、挫傷 |
肺炎、注射部位反応、血腫、カンジダ症、熱感、粘膜乾燥、胸部不快感、口渇、インフルエンザ、胃腸炎、体重増加 |
13. 過量投与
海外臨床試験の本剤過量投与例において、死亡例が報告されている。過量投与にみられる主な症状は、血小板減少症であった。[8.4 参照]
15. その他の注意
15.2 非臨床試験に基づく情報
**本剤を構成するメイタンシン誘導体であるDM1のラット骨髄を用いた小核試験で小核誘発性が認められた。[9.4.1 参照],[9.4.2 参照]
1. 警告
- 1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 1.2 肺臓炎、間質性肺炎等の間質性肺疾患があらわれ、死亡に至る例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。[9.1.1 参照][11.1.1 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分又はトラスツズマブ(遺伝子組換え)に対し過敏症(過敏症と鑑別困難で死亡につながるおそれのある重篤なInfusion reactionを含む)の既往歴のある患者
- 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
6. 用法及び用量
通常、成人にはトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)として1回3.6mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与回数は14回までとする。
7. 用法及び用量に関連する注意
-
〈効能共通〉
- 7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用療法について、有効性及び安全性は確立していない。
- 7.2 初回投与時は90分かけて投与すること。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
-
7.3 副作用により、本剤を休薬、減量又は中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて以下の基準を考慮すること。減量後に再度増量はしないこと。
減量の目安 減量段階
投与量
通常投与量
3.6mg/kg
1段階減量
3.0mg/kg
2段階減量
2.4mg/kg
3段階減量
投与中止
-
〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉
-
7.3.1 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
有害事象
処置
40%≤LVEF≤45%
ベースラインからの絶対値の変化<10%
継続:3週間以内に再測定を行い、LVEFを確認すること。
ベースラインからの絶対値の変化≥10%
休薬:3週間以内に再測定を行い、LVEFのベースラインからの絶対値の変化<10%に回復しない場合は中止すること。
LVEF<40%
休薬:3週間以内に再測定を行い、再度LVEF<40%が認められた場合は中止すること。
症候性うっ血性心不全
中止
-
7.3.2 AST、ALT増加による休薬、減量及び中止基準
Grade
処置
Grade 2
(>3~5×ULN)減量せず継続
※AST又はALT>3×ULN
かつ総ビリルビン>2×ULNの場合は中止すること。Grade 3
(>5~20×ULN)休薬:Grade 2以下に回復後、1段階減量して再開可能
Grade 4
(>20×ULN)中止
-
7.3.3 高ビリルビン血症による休薬、減量及び中止基準
Grade
処置
Grade 2
(>1.5~3×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、減量せず再開可能
※AST又はALT>3×ULN
かつ総ビリルビン>2×ULNの場合は中止すること。Grade 3
(>3~10×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、1段階減量して再開可能
Grade 4
(>10×ULN)中止
-
7.3.4 血小板減少症による休薬及び減量基準
Grade
処置
Grade 3
(<50,000~25,000/mm3)休薬:Grade 1以下(75,000/mm3以上)に回復後、減量せず再開可能
Grade 4
(<25,000/mm3)休薬:Grade 1以下(75,000/mm3以上)に回復後、1段階減量して再開可能
-
7.3.5 末梢神経障害による休薬基準
Grade
処置
Grade 3又は4
休薬:Grade 2以下に回復後、減量せず再開可能
-
7.3.1 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
-
〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉
-
7.3.6 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
有害事象
処置
LVEF≥50%
継続
45%≤LVEF<50%
ベースラインからの絶対値の変化<10%
継続:3週間以内に再測定を行い、LVEFを確認すること。
ベースラインからの絶対値の変化≥10%
休薬:3週間以内に再測定を行い、LVEF<50%が認められ、かつLVEFのベースラインからの絶対値の変化<10%に回復しない場合は中止すること。
LVEF<45%
休薬:3週間以内に再測定を行い、再度LVEF<45%が認められた場合は中止すること。
中止
-
7.3.7 ALT増加による休薬、減量及び中止基準
Grade
処置
Grade 2又は3
(>3~20×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、1段階減量して再開可能
Grade 4
(>20×ULN)中止
-
7.3.8 AST増加による休薬、減量及び中止基準
Grade
処置
Grade 2
(>3~5×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、減量せず再開可能
Grade 3
(>5~20×ULN)休薬:Grade 1以下に回復後、1段階減量して再開可能
Grade 4
(>20×ULN)中止
-
7.3.9 高ビリルビン血症による休薬、減量及び中止基準
有害事象
処置
総ビリルビン>1.0~2.0×ULN
休薬:総ビリルビン≤1.0×ULNに回復後、1段階減量して再開可能
総ビリルビン>2.0×ULN
中止
-
7.3.10 結節性再生性過形成(NRH)による中止基準
Grade
処置
全てのGrade
中止
-
7.3.11 血小板減少症による休薬及び減量基準
Grade
処置
Grade 2又は3
(<75,000~25,000/mm3)休薬:Grade 1以下(75,000/mm3以上)に回復後、減量せず再開可能。血小板減少症による2回目休薬後の再開においては1段階減量しての再開を考慮すること。
Grade 4
(<25,000/mm3)休薬:Grade 1以下(75,000/mm3以上)に回復後、1段階減量して再開可能
-
7.3.12 末梢神経障害による休薬基準
Grade
処置
Grade 3又は4
休薬:Grade 2以下に回復後、減量せず再開可能
-
7.3.13 間質性肺疾患による中止基準
有害事象
処置
間質性肺疾患又は肺臓炎と診断された場合
中止
-
7.3.14 放射線療法に関連する肺臓炎による中止基準
Grade
処置
Grade 2
標準治療にて回復しない場合は中止すること。
Grade 3又は4
中止
GradeはNCI CTCAE(ver.4.0)に準じる。
ULN:正常値上限
-
7.3.6 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
-
〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉
8. 重要な基本的注意
- 8.1 心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開又は中止を判断すること。[9.1.2 参照][9.1.3 参照][11.1.2 参照]
- 8.2 肝機能障害、肝不全があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査(AST、ALT、総ビリルビン等)を行うこと。また、結節性再生性過形成があらわれることがあるので、門脈圧亢進症の症状等について観察を十分に行い、発現が疑われる場合には肝生検等の実施を考慮すること。[11.1.5 参照]
- 8.3 血小板減少症があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血小板数を測定し、出血に関する症状の有無を確認する等、患者の状態を十分に観察すること。[9.1.4 参照][11.1.6 参照]
- 8.4 本剤の使用にあたっては、本剤と一般名が類似しているトラスツズマブ及びトラスツズマブ デルクステカンとの取り違えに注意すること。[13 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 安静時呼吸困難等の症候性の肺疾患のある患者
肺臓炎があらわれることがある。[1.2 参照][11.1.1 参照]
-
9.1.2 左室駆出率(LVEF)が低下している患者
LVEF低下を悪化させるおそれがある。[8.1 参照][11.1.2 参照]
-
9.1.3 以下のような心機能の低下するおそれのある患者
心不全等の心障害があらわれるおそれがある。[8.1 参照][11.1.2 参照]
-
9.1.4 血小板数減少のある患者
出血のおそれがある。[8.3 参照][11.1.6 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤を構成するトラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告がある。また、羊水過少を発現した症例で、胎児・新生児の腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児の肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている。本剤を構成するDM1の類薬であるメイタンシンを用いた動物実験において、催奇形性及び胎児毒性が報告されている。[2.2 参照],[9.4.1 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、本剤を構成するトラスツズマブを用いた動物実験において、乳汁への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
心機能、肝・腎機能検査、血液検査を行うなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。
10. 相互作用
- ヒト肝ミクロソーム等を用いたin vitro試験において、本剤を構成するメイタンシン誘導体であるDM1は、主としてCYP3A4及び一部CYP3A5で代謝されることが示唆されているため、CYP3Aを強く阻害する薬剤と併用する際には注意すること。[16.4 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
抗凝固剤 |
出血があらわれるおそれがある。 |
出血リスクを増強させるおそれがある。 |
放射線療法 |
放射線肺臓炎があらわれるおそれがある。放射線肺臓炎が認められた場合には、適切な処置、または中止を検討すること。 |
放射線肺臓炎等の間質性肺疾患のリスクを増強させるおそれがある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 間質性肺疾患(1.3%)
呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤、急性呼吸窮迫症候群等の症状を伴う肺臓炎、間質性肺炎又は放射線肺臓炎があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。[1.2 参照][9.1.1 参照][10.2 参照]
-
11.1.2 心障害(2.4%)
左室駆出率(LVEF)低下、うっ血性心不全等の心障害があらわれることがあり、重度の心障害に至った例も報告されている。[8.1 参照][9.1.2 参照][9.1.3 参照]
-
11.1.3 過敏症(1.7%)
アナフィラキシー等の重度の過敏症があらわれることがある。
-
11.1.4 Infusion reaction(5.4%)
呼吸困難、低血圧、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、紅潮、悪寒、発熱等を含むInfusion reactionがあらわれることがあり、本剤投与中又は投与開始後24時間以内に多く報告されている。これらの症状は、主に本剤の初期の投与時にあらわれやすい。異常が認められた場合には投与中止等の適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。また、重度のInfusion reactionがあらわれた場合には直ちに投与を中止すること。
-
11.1.5 肝機能障害(28.2%)、肝不全(頻度不明)
AST増加(23.2%)、ALT増加(18.5%)、血中ビリルビン増加(5.1%)等の肝機能障害があらわれることがある。肝機能検査値異常を伴う重度の肝機能障害、肝不全が認められ、死亡に至った例も報告されている。また、結節性再生性過形成があらわれることがあるので、結節性再生性過形成が診断された場合には、投与を中止すること。[8.2 参照]
-
11.1.6 血小板減少症(28.0%)
血小板減少症があらわれることがあり、頭蓋内出血等の重度の出血(0.2%)により死亡に至った例も報告されている。[8.3 参照][9.1.4 参照]
-
11.1.7 末梢神経障害(13.8%)
しびれ等の末梢神経障害があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
5%以上 |
1%~5%未満 |
1%未満 |
|
|---|---|---|---|
精神神経系 |
頭痛(15.4%)、味覚異常 |
錯感覚、めまい、不眠症、嗜眠 |
うつ病、感覚鈍麻、傾眠、神経毒性、嗅覚錯誤、平衡障害、片頭痛 |
消化器 |
悪心(34.6%)、嘔吐(11.7%)、便秘(11.1%)、口内乾燥(10.7%)、下痢、口内炎、腹痛 |
消化不良、歯肉出血、腹部膨満 |
腹部不快感、歯周病、胃食道逆流性疾患、消化管出血、胃炎、口腔内出血、鼓腸、痔核、消化器痛、口腔内痛、口唇乾燥 |
循環器 |
高血圧、動悸、ほてり |
低血圧、頻脈 |
|
呼吸器 |
鼻出血(16.5%) |
呼吸困難、咳嗽、鼻漏、口腔咽頭痛 |
鼻閉、鼻乾燥 |
皮膚 |
発疹、爪の異常 |
そう痒症、皮膚乾燥、皮膚炎、脱毛症、皮下出血、紅斑 |
紫斑、湿疹、手掌・足底発赤知覚不全症候群、多汗症、蕁麻疹 |
筋・骨格 |
関節痛(10.4%)、筋骨格痛 |
筋痙縮 |
筋力低下、筋骨格硬直 |
耳 |
回転性めまい |
耳鳴 |
|
眼 |
流涙増加、視力障害(霧視、視力低下等)、眼乾燥、結膜炎 |
眼充血、眼そう痒症、眼痛、結膜出血、眼刺激 |
|
代謝 |
食欲減退(10.5%)、血中ALP増加 |
血中カリウム減少 |
脱水、血中アルブミン減少、高血糖、血中クレアチニン増加、血中尿酸増加 |
生殖器 |
腟出血 |
||
血液 |
貧血、好中球数減少、白血球数減少 |
リンパ球数減少 |
|
その他 |
倦怠感(34.4%)、疼痛(背部痛、四肢痛等)、発熱、無力症 |
悪寒、インフルエンザ様疾患、浮腫(全身性浮腫、末梢性浮腫等)、体重減少、鼻咽頭炎、粘膜の炎症、尿路感染、上気道感染、胸痛、鼻炎、挫傷 |
肺炎、注射部位反応、血腫、カンジダ症、熱感、粘膜乾燥、胸部不快感、口渇、インフルエンザ、胃腸炎、体重増加 |
13. 過量投与
海外臨床試験の本剤過量投与例において、死亡例が報告されている。過量投与にみられる主な症状は、血小板減少症であった。[8.4 参照]
15. その他の注意
15.2 非臨床試験に基づく情報
**本剤を構成するメイタンシン誘導体であるDM1のラット骨髄を用いた小核試験で小核誘発性が認められた。[9.4.1 参照],[9.4.2 参照]