薬効分類名抗悪性腫瘍剤
一般的名称パクリタキセル注射剤(アルブミン懸濁型)
アブラキサン点滴静注用100mg
あぶらきさんてんてきじょうちゅうよう100mg
Abraxane I.V. Infusion
製造販売元/大鵬薬品工業株式会社、提携先/Abraxis BioScience
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
放射線照射
パクリタキセルに胸部への放射線照射を併用した場合に、重篤な食道炎又は肺臓炎が発現したとの報告がある。併用する場合には、患者の状態に注意し、食道炎や肺陰影等が出現した場合には、本剤の投与及び放射線照射を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。
機序は不明であるが、動物試験(マウス)でパクリタキセルによる放射線感受性増加が認められている。
放射線照射
骨髄抑制等を増強することがあるので、併用する場合には、患者の状態を観察しながら、本剤を減量するか又は投与間隔を延長すること。
骨髄抑制等の予想される副作用項目が重複している。
抗悪性腫瘍剤
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。
骨髄抑制等の予想される副作用が重複している。
シスプラチン
パクリタキセルをシスプラチンの後に投与した場合、逆の順序で投与した場合より骨髄抑制が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、本剤をシスプラチンの前に投与すること。
パクリタキセルをシスプラチンの後に投与した場合、パクリタキセルのクリアランスが低下し、パクリタキセルの血中濃度が上昇する。
シスプラチン
末梢神経障害が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。
末梢神経障害が予想される副作用として重複している。
ドキソルビシン塩酸塩
パクリタキセルをドキソルビシンの前に投与した場合、逆の順序で投与した場合より骨髄抑制が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、本剤をドキソルビシンの後に投与すること。
パクリタキセルをドキソルビシンの前に投与した場合、ドキソルビシンのクリアランスが低下し、ドキソルビシンの血中濃度が上昇する。
ドキソルビシン塩酸塩
心毒性が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。
胆汁排泄の競合により、ドキソルビシン及びその代謝物であるドキソルビシノールの血中濃度が上昇する。
ビタミンA、アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール等)、マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン等)、ステロイド系ホルモン剤(エチニルエストラジオール等)、ジヒドロピリジン系カルシウムチャンネルブロッカー(ニフェジピン等)、シクロスポリン、ベラパミル塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、ミダゾラム、ラパチニブトシル酸塩水和物
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。
併用薬剤がCYP2C8、CYP3A4等を阻害し、パクリタキセルの代謝が阻害され、パクリタキセルの血中濃度が上昇する。
1. 警告
- 1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 1.2 骨髄抑制(主に好中球減少)等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[7.1 参照],[8.5 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
- 1.3 本剤の投与方法、適応症、薬物動態等が他のパクリタキセル製剤と異なることを理解して投与すること。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制は用量制限毒性(Dose Limiting Toxicity)であり、感染症を伴い、重篤化する可能性がある。]
- 2.2 感染症を合併している患者[骨髄抑制により、感染症を増悪させるおそれがある。]
- 2.3 本剤又はパクリタキセル、アルブミンに対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
5. 効能又は効果に関連する注意
- 〈効能共通〉
-
〈治癒切除不能な膵癌〉
- 5.2 患者の病期、全身状態等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.8 参照]
6. 用法及び用量
*乳癌にはA法又はE法を、胃癌にはA法又はD法を、非小細胞肺癌にはB法を、治癒切除不能な膵癌にはC法を使用する。
A法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回260mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
B法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
C法:
ゲムシタビンとの併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回125mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
D法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
E法:
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
7. 用法及び用量に関連する注意
-
〈効能共通〉
-
7.1 本剤の投与にあたっては下記に留意し、必要に応じ休薬、減量を実施すること。
- A法、B法又はE法
好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、次コース投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3未満又は血小板数が100,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。また、B法又はE法の同一コース内の投与にあたっては、投与前の臨床検査で好中球数が500/mm3未満又は血小板数が50,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。投与後、好中球数が7日間以上にわたって500/mm3未満となった場合、血小板数が50,000/mm3未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合、更にB法又はE法では次コース投与開始が7日間以上延期となる好中球減少が発現した場合も次コースの投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 1以下)するまで投与を延期し、次回の投与量を減量すること。[1.2 参照],[8.5 参照],[8.6 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照],[11.1.3 参照] - C法
〈第1日目(各コース開始時)〉
好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3未満又は血小板数が100,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
〈第8及び15日目〉第8日目
投与前血液検査(/mm3)
対応
①
好中球数1,000超
かつ
血小板数75,000以上投与量変更なし
②
好中球数500以上1,000以下
又は
血小板数50,000以上75,000未満1段階減量
③
好中球数500未満
又は
血小板数50,000未満休薬
第15日目
投与前血液検査
(/mm3)第8日目での
血液検査の結果対応
好中球数1,000超
かつ
血小板数75,000以上①の場合
投与量変更なし
②の場合
第1日目投与量に増量可
③の場合
1段階減量
好中球数500以上
1,000以下
又は
血小板数50,000以上
75,000未満①の場合
投与量変更なし
②の場合
第8日目投与量に同じ
③の場合
1段階減量
好中球数500未満
又は
血小板数50,000未満①~③の場合
休薬
投与後、好中球数が7日間以上にわたって500/mm3未満となった場合、血小板数が50,000/mm3未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合には、次回の投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 1以下)するまで投与を延期し、次回の投与量を減量すること。[1.2 参照],[8.5 参照],[8.6 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照],[11.1.3 参照] - D法
好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与前の臨床検査で好中球数が1,000/mm3未満又は血小板数が75,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用の場合は、第1日目の投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3未満又は血小板数が100,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
投与後、好中球数が500/mm3未満となった場合、血小板数が25,000/mm3未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合には、次回の投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 2以下)するまで投与を延期し、次回の投与量を減量すること。[1.2 参照],[8.5 参照],[8.6 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照],[11.1.3 参照] - 減量の目安
減量段階
A法
B法又はE法
C法
D法
通常投与量
260mg/m2
100mg/m2
125mg/m2
100mg/m2
1段階減量
220mg/m2
75mg/m2
100mg/m2
80mg/m2
2段階減量
180mg/m2
50mg/m2
75mg/m2
60mg/m2
- A法、B法又はE法
-
7.1 本剤の投与にあたっては下記に留意し、必要に応じ休薬、減量を実施すること。
-
〈非小細胞肺癌及び乳癌〉
- 7.2 *B法及びE法において、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。[17.1.5 参照],[17.1.6 参照],[17.1.7 参照]
-
〈胃癌〉
- 7.3 D法において、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。[17.1.3 参照]
- 7.4 本剤の用法及び用量は「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。特に、A法の実施にあたっては、D法の実施についても検討すること。[17.1.1 参照],[17.1.2 参照],[17.1.3 参照]
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の使用にあたっては、下記を患者に説明し、理解を得るよう努めること。
- 8.2 本剤の添加物である人血清アルブミンの原料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HBV-DNA、HCV-RNA及びHIV-1-RNAについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。人血清アルブミンの製造工程である、Cohn低温エタノール分画法及び60±0.5℃ 10~11時間の液状加熱処理は、HIVをはじめとする各種ウイルスに対し、除去・不活化効果を有することが確認されているが、本剤投与による感染症発生の可能性は否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
- 8.3 添加物に使用している人血清アルブミンの現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19などのウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
- 8.4 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)などが伝播したとの報告はない。しかしながら、本剤の添加物である人血清アルブミンの製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJDなどの伝播のリスクを完全には排除できないので、本剤投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
- 8.5 骨髄抑制などの重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うこと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。なお、白血球減少が軽度であっても著明な好中球減少を発現する症例を認めていることから、血液検査の際には、白血球分画の測定を実施すること。また、本剤の投与にあたってはG-CSF製剤の適切な使用に関しても考慮すること。[1.2 参照],[7.1 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
- 8.6 末梢神経障害が高頻度に起こるので、患者の状態を十分に観察すること。使用が長期間にわたると発現頻度が高くなる傾向にあるので、投与は慎重に行うこと。[7.1 参照],[11.1.3 参照]
- 8.7 重篤な過敏反応が起こることがあるので、観察を十分に行い、重篤な過敏症状(呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、徐脈、潮紅、血管浮腫、発汗等)があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。本剤投与中は頻回にバイタルサイン(血圧、脈拍数)のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.5 参照]
- 8.8 低血圧、高血圧、徐脈等が起こることがあるので、本剤投与中は頻回にバイタルサイン(血圧、脈拍数)のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。重篤な刺激伝導障害があらわれた場合には、適切な処置を行い、その後の本剤投与に際しては継続的に心電図のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
- 8.9 関節痛及び筋肉痛が高頻度に起こるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には鎮痛剤投与等の適切な処置を行うこと。
- 8.10 発熱が起こることがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には感染に対する管理を十分に行い、解熱剤投与等の適切な処置を行うこと。
- 8.11 投与初期又は比較的低用量の投与でも副作用があらわれることがあるので、使用上の注意に十分注意すること。
- 8.12 出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強するおそれがある。[1.2 参照],[7.1 参照],[8.5 参照],[11.1.1 参照]
-
9.1.2 間質性肺疾患のある患者
症状を増悪させるおそれがある。[11.1.6 参照]
9.2 腎機能障害患者
腎機能が低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
代謝機能等が低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)において催奇形性作用、胚・胎児死亡が報告されている。[2.4 参照],[9.4.1 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が他のパクリタキセル製剤にて報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量並びに投与間隔に留意し、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなどして注意すること。一般に生理機能が低下していることが多く骨髄抑制等があらわれやすい。
10. 相互作用
- 本剤は主として薬物代謝酵素CYP2C8及びCYP3A4で代謝される。[16.4 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
放射線照射 |
パクリタキセルに胸部への放射線照射を併用した場合に、重篤な食道炎又は肺臓炎が発現したとの報告がある。併用する場合には、患者の状態に注意し、食道炎や肺陰影等が出現した場合には、本剤の投与及び放射線照射を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。 |
機序は不明であるが、動物試験(マウス)でパクリタキセルによる放射線感受性増加が認められている。 |
放射線照射 |
骨髄抑制等を増強することがあるので、併用する場合には、患者の状態を観察しながら、本剤を減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
骨髄抑制等の予想される副作用項目が重複している。 |
抗悪性腫瘍剤 |
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
骨髄抑制等の予想される副作用が重複している。 |
シスプラチン |
パクリタキセルをシスプラチンの後に投与した場合、逆の順序で投与した場合より骨髄抑制が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、本剤をシスプラチンの前に投与すること。 |
パクリタキセルをシスプラチンの後に投与した場合、パクリタキセルのクリアランスが低下し、パクリタキセルの血中濃度が上昇する。 |
シスプラチン |
末梢神経障害が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
末梢神経障害が予想される副作用として重複している。 |
ドキソルビシン塩酸塩 |
パクリタキセルをドキソルビシンの前に投与した場合、逆の順序で投与した場合より骨髄抑制が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、本剤をドキソルビシンの後に投与すること。 |
パクリタキセルをドキソルビシンの前に投与した場合、ドキソルビシンのクリアランスが低下し、ドキソルビシンの血中濃度が上昇する。 |
ドキソルビシン塩酸塩 |
心毒性が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
胆汁排泄の競合により、ドキソルビシン及びその代謝物であるドキソルビシノールの血中濃度が上昇する。 |
ビタミンA、アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール等)、マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン等)、ステロイド系ホルモン剤(エチニルエストラジオール等)、ジヒドロピリジン系カルシウムチャンネルブロッカー(ニフェジピン等)、シクロスポリン、ベラパミル塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、ミダゾラム、ラパチニブトシル酸塩水和物 |
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
併用薬剤がCYP2C8、CYP3A4等を阻害し、パクリタキセルの代謝が阻害され、パクリタキセルの血中濃度が上昇する。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 *白血球減少などの骨髄抑制
好中球減少(51.9%)、白血球減少(29.6%)、リンパ球減少(6.1%)、貧血[ヘモグロビン減少(31.4%)、ヘマトクリット値減少(1.1%)、赤血球減少(1.1%)等]、血小板減少(17.7%)、汎血球減少(0.3%)等があらわれることがある。また、骨髄抑制の持続により、発熱性好中球減少症(2.9%)等の感染症の併発が報告されている。[1.2 参照],[7.1 参照],[8.5 参照],[9.1.1 参照]
-
11.1.2 *感染症
好中球減少の有無にかかわらず敗血症(0.8%)等の感染症があらわれ、死亡に至る例が報告されている。異常が認められた場合には、抗菌薬の投与等の適切な処置を行うこと。
- 11.1.3 *末梢神経障害(60.8%)、麻痺(頻度不明)
-
11.1.4 脳神経麻痺(0.1%未満)
顔面神経麻痺、声帯麻痺等の脳神経麻痺があらわれることがある。
-
11.1.5 *ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.4%)
呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、徐脈、潮紅、血管浮腫、発汗等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.7 参照]
-
11.1.6 *間質性肺疾患(1.6%)
発熱、咳嗽、呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[9.1.2 参照]
-
11.1.7 急性呼吸窮迫症候群(0.1%未満)
急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.1.8 *心筋梗塞(0.2%)、うっ血性心不全(0.4%)、心伝導障害(0.1%未満)
- 11.1.9 脳卒中(0.1%未満)、肺塞栓(0.2%)、肺水腫(0.1%)、血栓性静脈炎(0.2%)
- 11.1.10 難聴(0.1%未満)、耳鳴(0.3%)
- 11.1.11 消化管壊死(頻度不明)、消化管穿孔(頻度不明)、消化管出血(0.6%)、消化管潰瘍(0.3%)
-
11.1.12 *重篤な腸炎(0.6%)
出血性大腸炎、偽膜性大腸炎、虚血性大腸炎等があらわれることがあるので、激しい腹痛・下痢等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-
11.1.13 腸管閉塞(0.2%)、腸管麻痺(頻度不明)
腸管閉塞、腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管閉塞、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止し、腸管減圧法等の適切な処置を行うこと。
- 11.1.14 *肝機能障害(1.3%)、黄疸(0.1%)
-
11.1.15 膵炎(0.1%未満)
血清アミラーゼ値等に異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
-
11.1.16 *急性腎障害(0.3%)
BUN、血清クレアチニン、クレアチニン・クリアランス値等に異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.1.17 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
-
11.1.18 播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明)
血小板数、血清FDP値、血漿フィブリノゲン濃度等の血液検査に異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
20%以上 |
5~20%未満 |
5%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
*皮膚及び皮下組織障害 |
脱毛(症)(64.8%)、発疹 |
そう痒症、爪の異常 |
顔面腫脹、蕁麻疹、手足症候群、皮膚乾燥、色素沈着、光線過敏症 |
強皮症様変化 |
神経系障害 |
味覚異常 |
嗜眠、めまい、頭痛、運動失調、振戦、反射減弱、注意力障害 |
||
*全身障害及び投与局所様態 |
倦怠感(36.7%) |
無力症、発熱、浮腫 |
疼痛、胸痛、注射部位反応、悪寒 |
|
*胃腸障害 |
悪心(31.9%)、下痢 |
口内炎、嘔吐、便秘 |
腹痛、消化不良、腹部膨満(感)、口内乾燥、嚥下障害、口唇炎、舌痛 |
|
筋骨格系及び結合組織障害 |
関節痛、筋肉痛 |
四肢痛、骨痛、背部痛、胸壁痛、筋力低下、筋痙縮 |
||
代謝及び栄養障害 |
食欲不振 |
脱水(症) |
||
*臨床検査 |
ALT上昇、AST上昇 |
γ-GTP上昇、Al-P上昇、クレアチニン上昇、カリウム上昇、カリウム低下、ビリルビン上昇、アルブミン減少、カルシウム低下、ナトリウム低下、好酸球数増多、総蛋白減少、血糖値上昇、尿糖陽性、尿蛋白陽性、体重減少 |
||
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 |
鼻出血 |
呼吸困難、咽喉頭痛、咳嗽、胸水、鼻炎、喀血、発声障害、しゃっくり |
||
眼障害 |
視力異常、眼痛、眼乾燥、角膜炎、結膜炎、流涙、黄斑浮腫 |
|||
精神障害 |
不眠症、不安、うつ病 |
|||
血管障害 |
高血圧、潮紅、低血圧 |
|||
腎及び尿路障害 |
尿失禁 |
|||
心臓障害 |
頻脈、不整脈、徐脈 |
|||
耳及び迷路障害 |
耳痛 |
|||
生殖系及び乳房障害 |
乳房痛 |
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
- 14.1.1 懸濁液の調製に当たっては、必ず生理食塩液を使用すること。また、本懸濁液は他の薬剤とは混注しないこと。
- 14.1.2 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚に本剤又は懸濁液が付着した場合は、直ちに多量の流水及び石けんでよく洗い流すこと。
- 14.1.3 懸濁液は調製後速やかに使用するか、又は箱に戻し、冷蔵庫(2~8℃)に遮光保存して8時間以内に使用すること。
- 14.1.4 点滴バッグ中に入れた懸濁液は速やかに使用すること。
- 14.1.5 使用前に懸濁液に未懸濁物、沈殿物が認められ、再懸濁させても沈殿物が認められた場合は使用しないこと。
- 14.1.6 調製時に、注射針に塗布されているシリコーン油により不溶物を生じることがある。調製後に懸濁液中に不溶物がないか目視で確認すること。不溶物が認められた場合は使用しないこと。
14.2 懸濁液調製方法
- 14.2.1 無菌的環境下にて、患者の体表面積にあわせ必要なバイアルを準備し、アルコールでゴム栓を拭う。
- 14.2.2 1バイアル当たり生理食塩液20mLをバイアルの内壁伝いに、直接、内容物にかけないよう泡立ちに注意しながらゆっくりと注入する。(この操作は、泡立ちの発生を最小限にするため重要である。)
- 14.2.3 内容物が確実に濡れるよう5分間以上バイアルを静置する。
- 14.2.4 内容物が十分に濡れたら、均一な白色ないし黄色の懸濁液になるまで、静かに円弧を描くように回したり、緩やかに上下に転倒を繰り返して混和する。(泡立ちに注意する。)
- 14.2.5 調製した懸濁液は必要量をバイアルから抜き取り、事前に用意した空の点滴バッグ等にゆっくりと注入する。
注意:懸濁液を生理食塩液に入れて希釈しないこと。
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.2 非臨床試験に基づく情報
**哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及びマウス骨髄細胞を用いた小核試験において、遺伝毒性が報告されている。[9.4.1 参照][9.4.2 参照]
1. 警告
- 1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 1.2 骨髄抑制(主に好中球減少)等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[7.1 参照],[8.5 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
- 1.3 本剤の投与方法、適応症、薬物動態等が他のパクリタキセル製剤と異なることを理解して投与すること。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制は用量制限毒性(Dose Limiting Toxicity)であり、感染症を伴い、重篤化する可能性がある。]
- 2.2 感染症を合併している患者[骨髄抑制により、感染症を増悪させるおそれがある。]
- 2.3 本剤又はパクリタキセル、アルブミンに対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
5. 効能又は効果に関連する注意
- 〈効能共通〉
-
〈治癒切除不能な膵癌〉
- 5.2 患者の病期、全身状態等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.8 参照]
6. 用法及び用量
*乳癌にはA法又はE法を、胃癌にはA法又はD法を、非小細胞肺癌にはB法を、治癒切除不能な膵癌にはC法を使用する。
A法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回260mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
B法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
C法:
ゲムシタビンとの併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回125mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
D法:
通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
E法:
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
7. 用法及び用量に関連する注意
-
〈効能共通〉
-
7.1 本剤の投与にあたっては下記に留意し、必要に応じ休薬、減量を実施すること。
- A法、B法又はE法
好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、次コース投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3未満又は血小板数が100,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。また、B法又はE法の同一コース内の投与にあたっては、投与前の臨床検査で好中球数が500/mm3未満又は血小板数が50,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。投与後、好中球数が7日間以上にわたって500/mm3未満となった場合、血小板数が50,000/mm3未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合、更にB法又はE法では次コース投与開始が7日間以上延期となる好中球減少が発現した場合も次コースの投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 1以下)するまで投与を延期し、次回の投与量を減量すること。[1.2 参照],[8.5 参照],[8.6 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照],[11.1.3 参照] - C法
〈第1日目(各コース開始時)〉
好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3未満又は血小板数が100,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
〈第8及び15日目〉第8日目
投与前血液検査(/mm3)
対応
①
好中球数1,000超
かつ
血小板数75,000以上投与量変更なし
②
好中球数500以上1,000以下
又は
血小板数50,000以上75,000未満1段階減量
③
好中球数500未満
又は
血小板数50,000未満休薬
第15日目
投与前血液検査
(/mm3)第8日目での
血液検査の結果対応
好中球数1,000超
かつ
血小板数75,000以上①の場合
投与量変更なし
②の場合
第1日目投与量に増量可
③の場合
1段階減量
好中球数500以上
1,000以下
又は
血小板数50,000以上
75,000未満①の場合
投与量変更なし
②の場合
第8日目投与量に同じ
③の場合
1段階減量
好中球数500未満
又は
血小板数50,000未満①~③の場合
休薬
投与後、好中球数が7日間以上にわたって500/mm3未満となった場合、血小板数が50,000/mm3未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合には、次回の投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 1以下)するまで投与を延期し、次回の投与量を減量すること。[1.2 参照],[8.5 参照],[8.6 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照],[11.1.3 参照] - D法
好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与前の臨床検査で好中球数が1,000/mm3未満又は血小板数が75,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用の場合は、第1日目の投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3未満又は血小板数が100,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
投与後、好中球数が500/mm3未満となった場合、血小板数が25,000/mm3未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合には、次回の投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 2以下)するまで投与を延期し、次回の投与量を減量すること。[1.2 参照],[8.5 参照],[8.6 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照],[11.1.3 参照] - 減量の目安
減量段階
A法
B法又はE法
C法
D法
通常投与量
260mg/m2
100mg/m2
125mg/m2
100mg/m2
1段階減量
220mg/m2
75mg/m2
100mg/m2
80mg/m2
2段階減量
180mg/m2
50mg/m2
75mg/m2
60mg/m2
- A法、B法又はE法
-
7.1 本剤の投与にあたっては下記に留意し、必要に応じ休薬、減量を実施すること。
-
〈非小細胞肺癌及び乳癌〉
- 7.2 *B法及びE法において、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。[17.1.5 参照],[17.1.6 参照],[17.1.7 参照]
-
〈胃癌〉
- 7.3 D法において、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。[17.1.3 参照]
- 7.4 本剤の用法及び用量は「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。特に、A法の実施にあたっては、D法の実施についても検討すること。[17.1.1 参照],[17.1.2 参照],[17.1.3 参照]
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の使用にあたっては、下記を患者に説明し、理解を得るよう努めること。
- 8.2 本剤の添加物である人血清アルブミンの原料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HBV-DNA、HCV-RNA及びHIV-1-RNAについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。人血清アルブミンの製造工程である、Cohn低温エタノール分画法及び60±0.5℃ 10~11時間の液状加熱処理は、HIVをはじめとする各種ウイルスに対し、除去・不活化効果を有することが確認されているが、本剤投与による感染症発生の可能性は否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
- 8.3 添加物に使用している人血清アルブミンの現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19などのウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
- 8.4 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)などが伝播したとの報告はない。しかしながら、本剤の添加物である人血清アルブミンの製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJDなどの伝播のリスクを完全には排除できないので、本剤投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
- 8.5 骨髄抑制などの重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うこと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。なお、白血球減少が軽度であっても著明な好中球減少を発現する症例を認めていることから、血液検査の際には、白血球分画の測定を実施すること。また、本剤の投与にあたってはG-CSF製剤の適切な使用に関しても考慮すること。[1.2 参照],[7.1 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
- 8.6 末梢神経障害が高頻度に起こるので、患者の状態を十分に観察すること。使用が長期間にわたると発現頻度が高くなる傾向にあるので、投与は慎重に行うこと。[7.1 参照],[11.1.3 参照]
- 8.7 重篤な過敏反応が起こることがあるので、観察を十分に行い、重篤な過敏症状(呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、徐脈、潮紅、血管浮腫、発汗等)があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。本剤投与中は頻回にバイタルサイン(血圧、脈拍数)のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.5 参照]
- 8.8 低血圧、高血圧、徐脈等が起こることがあるので、本剤投与中は頻回にバイタルサイン(血圧、脈拍数)のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。重篤な刺激伝導障害があらわれた場合には、適切な処置を行い、その後の本剤投与に際しては継続的に心電図のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
- 8.9 関節痛及び筋肉痛が高頻度に起こるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には鎮痛剤投与等の適切な処置を行うこと。
- 8.10 発熱が起こることがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には感染に対する管理を十分に行い、解熱剤投与等の適切な処置を行うこと。
- 8.11 投与初期又は比較的低用量の投与でも副作用があらわれることがあるので、使用上の注意に十分注意すること。
- 8.12 出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強するおそれがある。[1.2 参照],[7.1 参照],[8.5 参照],[11.1.1 参照]
-
9.1.2 間質性肺疾患のある患者
症状を増悪させるおそれがある。[11.1.6 参照]
9.2 腎機能障害患者
腎機能が低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
代謝機能等が低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)において催奇形性作用、胚・胎児死亡が報告されている。[2.4 参照],[9.4.1 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が他のパクリタキセル製剤にて報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量並びに投与間隔に留意し、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなどして注意すること。一般に生理機能が低下していることが多く骨髄抑制等があらわれやすい。
10. 相互作用
- 本剤は主として薬物代謝酵素CYP2C8及びCYP3A4で代謝される。[16.4 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
放射線照射 |
パクリタキセルに胸部への放射線照射を併用した場合に、重篤な食道炎又は肺臓炎が発現したとの報告がある。併用する場合には、患者の状態に注意し、食道炎や肺陰影等が出現した場合には、本剤の投与及び放射線照射を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。 |
機序は不明であるが、動物試験(マウス)でパクリタキセルによる放射線感受性増加が認められている。 |
放射線照射 |
骨髄抑制等を増強することがあるので、併用する場合には、患者の状態を観察しながら、本剤を減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
骨髄抑制等の予想される副作用項目が重複している。 |
抗悪性腫瘍剤 |
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
骨髄抑制等の予想される副作用が重複している。 |
シスプラチン |
パクリタキセルをシスプラチンの後に投与した場合、逆の順序で投与した場合より骨髄抑制が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、本剤をシスプラチンの前に投与すること。 |
パクリタキセルをシスプラチンの後に投与した場合、パクリタキセルのクリアランスが低下し、パクリタキセルの血中濃度が上昇する。 |
シスプラチン |
末梢神経障害が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
末梢神経障害が予想される副作用として重複している。 |
ドキソルビシン塩酸塩 |
パクリタキセルをドキソルビシンの前に投与した場合、逆の順序で投与した場合より骨髄抑制が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、本剤をドキソルビシンの後に投与すること。 |
パクリタキセルをドキソルビシンの前に投与した場合、ドキソルビシンのクリアランスが低下し、ドキソルビシンの血中濃度が上昇する。 |
ドキソルビシン塩酸塩 |
心毒性が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
胆汁排泄の競合により、ドキソルビシン及びその代謝物であるドキソルビシノールの血中濃度が上昇する。 |
ビタミンA、アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール等)、マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン等)、ステロイド系ホルモン剤(エチニルエストラジオール等)、ジヒドロピリジン系カルシウムチャンネルブロッカー(ニフェジピン等)、シクロスポリン、ベラパミル塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、ミダゾラム、ラパチニブトシル酸塩水和物 |
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 |
併用薬剤がCYP2C8、CYP3A4等を阻害し、パクリタキセルの代謝が阻害され、パクリタキセルの血中濃度が上昇する。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 *白血球減少などの骨髄抑制
好中球減少(51.9%)、白血球減少(29.6%)、リンパ球減少(6.1%)、貧血[ヘモグロビン減少(31.4%)、ヘマトクリット値減少(1.1%)、赤血球減少(1.1%)等]、血小板減少(17.7%)、汎血球減少(0.3%)等があらわれることがある。また、骨髄抑制の持続により、発熱性好中球減少症(2.9%)等の感染症の併発が報告されている。[1.2 参照],[7.1 参照],[8.5 参照],[9.1.1 参照]
-
11.1.2 *感染症
好中球減少の有無にかかわらず敗血症(0.8%)等の感染症があらわれ、死亡に至る例が報告されている。異常が認められた場合には、抗菌薬の投与等の適切な処置を行うこと。
- 11.1.3 *末梢神経障害(60.8%)、麻痺(頻度不明)
-
11.1.4 脳神経麻痺(0.1%未満)
顔面神経麻痺、声帯麻痺等の脳神経麻痺があらわれることがある。
-
11.1.5 *ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.4%)
呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、徐脈、潮紅、血管浮腫、発汗等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.7 参照]
-
11.1.6 *間質性肺疾患(1.6%)
発熱、咳嗽、呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[9.1.2 参照]
-
11.1.7 急性呼吸窮迫症候群(0.1%未満)
急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.1.8 *心筋梗塞(0.2%)、うっ血性心不全(0.4%)、心伝導障害(0.1%未満)
- 11.1.9 脳卒中(0.1%未満)、肺塞栓(0.2%)、肺水腫(0.1%)、血栓性静脈炎(0.2%)
- 11.1.10 難聴(0.1%未満)、耳鳴(0.3%)
- 11.1.11 消化管壊死(頻度不明)、消化管穿孔(頻度不明)、消化管出血(0.6%)、消化管潰瘍(0.3%)
-
11.1.12 *重篤な腸炎(0.6%)
出血性大腸炎、偽膜性大腸炎、虚血性大腸炎等があらわれることがあるので、激しい腹痛・下痢等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-
11.1.13 腸管閉塞(0.2%)、腸管麻痺(頻度不明)
腸管閉塞、腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管閉塞、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止し、腸管減圧法等の適切な処置を行うこと。
- 11.1.14 *肝機能障害(1.3%)、黄疸(0.1%)
-
11.1.15 膵炎(0.1%未満)
血清アミラーゼ値等に異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
-
11.1.16 *急性腎障害(0.3%)
BUN、血清クレアチニン、クレアチニン・クリアランス値等に異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.1.17 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
-
11.1.18 播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明)
血小板数、血清FDP値、血漿フィブリノゲン濃度等の血液検査に異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
20%以上 |
5~20%未満 |
5%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
*皮膚及び皮下組織障害 |
脱毛(症)(64.8%)、発疹 |
そう痒症、爪の異常 |
顔面腫脹、蕁麻疹、手足症候群、皮膚乾燥、色素沈着、光線過敏症 |
強皮症様変化 |
神経系障害 |
味覚異常 |
嗜眠、めまい、頭痛、運動失調、振戦、反射減弱、注意力障害 |
||
*全身障害及び投与局所様態 |
倦怠感(36.7%) |
無力症、発熱、浮腫 |
疼痛、胸痛、注射部位反応、悪寒 |
|
*胃腸障害 |
悪心(31.9%)、下痢 |
口内炎、嘔吐、便秘 |
腹痛、消化不良、腹部膨満(感)、口内乾燥、嚥下障害、口唇炎、舌痛 |
|
筋骨格系及び結合組織障害 |
関節痛、筋肉痛 |
四肢痛、骨痛、背部痛、胸壁痛、筋力低下、筋痙縮 |
||
代謝及び栄養障害 |
食欲不振 |
脱水(症) |
||
*臨床検査 |
ALT上昇、AST上昇 |
γ-GTP上昇、Al-P上昇、クレアチニン上昇、カリウム上昇、カリウム低下、ビリルビン上昇、アルブミン減少、カルシウム低下、ナトリウム低下、好酸球数増多、総蛋白減少、血糖値上昇、尿糖陽性、尿蛋白陽性、体重減少 |
||
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 |
鼻出血 |
呼吸困難、咽喉頭痛、咳嗽、胸水、鼻炎、喀血、発声障害、しゃっくり |
||
眼障害 |
視力異常、眼痛、眼乾燥、角膜炎、結膜炎、流涙、黄斑浮腫 |
|||
精神障害 |
不眠症、不安、うつ病 |
|||
血管障害 |
高血圧、潮紅、低血圧 |
|||
腎及び尿路障害 |
尿失禁 |
|||
心臓障害 |
頻脈、不整脈、徐脈 |
|||
耳及び迷路障害 |
耳痛 |
|||
生殖系及び乳房障害 |
乳房痛 |
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
- 14.1.1 懸濁液の調製に当たっては、必ず生理食塩液を使用すること。また、本懸濁液は他の薬剤とは混注しないこと。
- 14.1.2 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚に本剤又は懸濁液が付着した場合は、直ちに多量の流水及び石けんでよく洗い流すこと。
- 14.1.3 懸濁液は調製後速やかに使用するか、又は箱に戻し、冷蔵庫(2~8℃)に遮光保存して8時間以内に使用すること。
- 14.1.4 点滴バッグ中に入れた懸濁液は速やかに使用すること。
- 14.1.5 使用前に懸濁液に未懸濁物、沈殿物が認められ、再懸濁させても沈殿物が認められた場合は使用しないこと。
- 14.1.6 調製時に、注射針に塗布されているシリコーン油により不溶物を生じることがある。調製後に懸濁液中に不溶物がないか目視で確認すること。不溶物が認められた場合は使用しないこと。
14.2 懸濁液調製方法
- 14.2.1 無菌的環境下にて、患者の体表面積にあわせ必要なバイアルを準備し、アルコールでゴム栓を拭う。
- 14.2.2 1バイアル当たり生理食塩液20mLをバイアルの内壁伝いに、直接、内容物にかけないよう泡立ちに注意しながらゆっくりと注入する。(この操作は、泡立ちの発生を最小限にするため重要である。)
- 14.2.3 内容物が確実に濡れるよう5分間以上バイアルを静置する。
- 14.2.4 内容物が十分に濡れたら、均一な白色ないし黄色の懸濁液になるまで、静かに円弧を描くように回したり、緩やかに上下に転倒を繰り返して混和する。(泡立ちに注意する。)
- 14.2.5 調製した懸濁液は必要量をバイアルから抜き取り、事前に用意した空の点滴バッグ等にゆっくりと注入する。
注意:懸濁液を生理食塩液に入れて希釈しないこと。
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.2 非臨床試験に基づく情報
**哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及びマウス骨髄細胞を用いた小核試験において、遺伝毒性が報告されている。[9.4.1 参照][9.4.2 参照]