薬効分類名抗悪性腫瘍剤
一般的名称イホスファミド
注射用イホマイド1g
ちゅうしゃよういほまいど1g
Ifomide for Injection 1g
製造販売元/塩野義製薬株式会社、提携/ドイツ バクスター社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
- 他の抗悪性腫瘍剤
- アロプリノール
- 放射線照射
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
共に骨髄抑制作用を有する。
- フェノバルビタール
本剤の作用が増強することがある。
フェノバルビタールの酵素誘導により本剤の活性型への変換が促進され、作用が増強される。
- インスリン
- スルフォニル尿素系製剤
これらの薬剤の血糖降下作用が増強されることがある。
本剤がインスリン抗体の生成を阻害するため、遊離のインスリン量が多くなり、血糖降下作用が増強される。
- メスナ
脳症があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。
機序は不明である。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 ペントスタチンを投与中の患者1) [1.1 参照],[10.1 参照]
- 2.2 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 2.3 腎又は膀胱に重篤な障害のある患者[腎障害又は出血性膀胱炎を増悪する。][9.1.1 参照],[9.2.1 参照],[9.2.2 参照]
6. 用法・用量
-
(1)肺小細胞癌、前立腺癌、子宮頸癌、骨肉腫
通常、成人にはイホスファミドとして1日1.5~3g(30~60mg/kg)を3~5日間連日点滴静注又は静脈内に注射する。これを1コースとし、末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。 -
(2)再発又は難治性の胚細胞腫瘍
確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法を行い、通常、成人にはイホスファミドとして1日1.2g/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注する。これを1コースとし、末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。 -
(3)悪性リンパ腫
1)他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、イホスファミドとして1日0.8~3g/m2(体表面積)を3~5日間連日点滴静注する。これを1コースとし、末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
なお、年齢、併用薬、患者の状態により適宜減量する。2)総投与量はイホスファミドとして1コース10g/m2以下、小児では全治療コース80g/m2以下とする。
-
(4)悪性骨・軟部腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法及び本剤単独投与
1)ドキソルビシン塩酸塩との併用において、成人には、通常1コースは、イホスファミドとして1日1.5~3g/m2(体表面積)を3~5日間連日点滴静注又は静脈内に注射する。末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
総投与量は、イホスファミドとして1コース10g/m2以下とする。
なお、年齢、患者の状態により適宜減量する。2)本剤の単独投与において、成人には、1コースは、イホスファミドとして総投与量14g/m2までを点滴静注又は静脈内に注射する。末梢白血球の回復を待って反復投与する。
-
(5)小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽腫、網膜芽腫、肝芽腫、腎芽腫等)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
1)他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、イホスファミドとして1日1.5~3g/m2(体表面積)を3~5日間連日点滴静注する。これを1コースとし、末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
なお、年齢、併用薬、患者の状態により適宜減量する。2)総投与量はイホスファミドとして1コース10g/m2以下、全治療コース80g/m2以下とする。
7. 用法・用量に関連する注意
-
〈効能共通〉
- 7.1 本剤の投与時には十分な尿量を確保し、出血性膀胱炎等の泌尿器系障害の防止のために下記の処置を行うこと。[8.1 参照],[9.1.1 参照],[9.2.2 参照],[11.1.2 参照]
- 7.2 肥満患者には、投与量が過多にならないように、標準体重から換算した投与量を考慮すること。
-
〈再発又は難治性の胚細胞腫瘍〉
- 7.3 確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〔VeIP療法(ビンブラスチン硫酸塩、イホスファミド、シスプラチン併用療法)〕においては、原則として3週間を1クールとし、各クールの1~5日に本剤を投与する。
- 7.4 他の抗悪性腫瘍剤と併用することが必要である。本剤単独投与での有効性は確立していない。精巣腫瘍に対し本剤を単独投与した場合、奏効率が低く効果持続期間が短いとの報告がある2) 。
- 〈悪性骨・軟部腫瘍〉
8. 重要な基本的注意
-
〈効能共通〉
- 8.1 骨髄抑制、出血性膀胱炎等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、尿検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。本剤の投与にあたってはG-CSF製剤等の適切な使用に関しても考慮すること。[7.1 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[9.2.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照]
- 8.2 感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。[9.1.3 参照]
- 8.3 本剤を他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合には、副作用の発現頻度が高くなり、程度も重くなるおそれがあるため、十分に患者の状態を観察しながら投与すること。
- 8.4 本剤を他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合、特に放射線照射を施行するときには、肝中心静脈閉塞症(hepatic veno-occlusive disease:VOD)の発現に注意すること。
- 〈悪性リンパ腫〉
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 膀胱に障害のある患者(膀胱に重篤な障害のある患者を除く)
腎障害又は出血性膀胱炎が増悪するおそれがある。[2.3 参照],[7.1 参照],[8.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照]
-
9.1.2 骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強するおそれがある。[8.1 参照],[11.1.1 参照]
-
9.1.3 感染症を合併している患者
骨髄抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。[8.2 参照]
-
9.1.4 水痘患者
致命的な全身障害があらわれることがある。
-
9.1.5 併用薬又は前治療薬として白金製剤の投与を受けた患者
ファンコニー症候群等の腎障害があらわれることがある。[11.1.3 参照]
9.2 腎機能障害患者
-
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
投与しないこと。[2.3 参照]
-
9.2.2 腎障害のある患者(重篤な腎障害のある患者を除く)
腎障害又は出血性膀胱炎が増悪するおそれがある。[2.3 参照],[7.1 参照],[8.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照]
-
9.2.3 片腎の患者
ファンコニー症候群等の腎障害があらわれることがある。[11.1.3 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝障害が増悪するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物試験(ラット)で催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。動物試験(ラット)で乳汁中に分泌されることが報告されている。
9.7 小児等
- 9.7.1 副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
- 9.7.2 3歳以下の乳幼児では特に注意すること。高用量投与や累積投与量が高くなった場合、ファンコニー症候群等の腎障害があらわれることがある。[11.1.3 参照]
9.8 高齢者
用量並びに投与間隔に留意すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。
10. 相互作用
- 本剤は、主に肝代謝酵素CYP3A4で代謝され、活性化される。[16.4.1 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
骨髄移植の患者で、類縁薬であるシクロホスファミド投与中にペントスタチンを単回投与したところ、錯乱、呼吸困難、低血圧、肺水腫等が認められ、心毒性により死亡したとの報告がある。また、動物試験(マウス)においてペントスタチン(臨床用量の10倍相当量)とイホスファミド(LD50前後)又はその類縁薬であるシクロホスファミド(LD50前後)を同時期に単回投与したとき、それぞれを単独投与したときに比べて死亡率の増加が認められた1) 。 |
明らかな機序は不明である。本剤は用量依存性の心毒性があり、ペントスタチンは心筋細胞に影響を及ぼすATPの代謝を阻害する。両剤の併用により心毒性が増強すると考えられている1) 。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 |
共に骨髄抑制作用を有する。 |
|
本剤の作用が増強することがある。 |
フェノバルビタールの酵素誘導により本剤の活性型への変換が促進され、作用が増強される。 |
|
これらの薬剤の血糖降下作用が増強されることがある。 |
本剤がインスリン抗体の生成を阻害するため、遊離のインスリン量が多くなり、血糖降下作用が増強される。 |
|
脳症があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。 |
機序は不明である。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 骨髄抑制(5%以上)
汎血球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、また、出血等があらわれる場合があるので、異常が認められた場合には、投与間隔の延長、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。[8.1 参照],[9.1.2 参照]
- 11.1.2 出血性膀胱炎、排尿障害(5%以上)
-
11.1.3 ファンコニー症候群(頻度不明)、急性腎障害(0.1%未満)
[8.1 参照],[9.1.1 参照],[9.1.5 参照],[9.2.2 参照],[9.2.3 参照],[9.7.2 参照]
- 11.1.4 意識障害(0.1%未満)、幻覚、錯乱、錐体外路症状(0.1~5%未満)
-
11.1.5 脳症(0.1%未満)
意識障害を伴う痙攣発作、譫妄(意識障害、幻覚及び錯乱)があらわれることがある。
- 11.1.6 間質性肺炎(0.1~5%未満)、肺水腫(頻度不明)
-
11.1.7 心筋障害、不整脈(いずれも頻度不明)
心不全、心室性期外収縮、心房細動、上室性期外収縮等があらわれることがある。
-
11.1.8 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
-
11.1.9 急性膵炎(頻度不明)
腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
5%以上 |
5%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
肝臓 |
ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇等 |
||
腎臓 |
蛋白尿 |
浮腫、BUN上昇、血清電解質の異常(カリウム、クロール等の一過性の変動) |
クレアチニン上昇、クレアチニンクリアランス低下、多尿 |
消化器 |
悪心・嘔吐、食欲不振 |
口内炎、腹痛、便秘、下痢等 |
口渇 |
過敏症 |
発疹 |
||
皮膚 |
脱毛 |
色素沈着 |
|
精神神経系 |
倦怠感 |
頭痛、頭重感、眩暈、不眠、脱力感、焦燥感、知覚異常、舌の振戦、抑うつ、精神活動低下 |
|
呼吸器 |
胸内苦悶 |
||
循環器 |
頻脈、不整脈、動悸 |
||
性腺 |
月経異常 |
無精子症、卵巣機能不全 |
|
その他 |
発熱、悪寒、血管痛 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、二次性悪性腫瘍(急性白血病、骨髄異形成症候群等)が発生したとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 マウスに腹腔内投与した試験で、肺に腫瘍が発生したとの報告がある。
- 15.2.2 類縁薬シクロホスファミドを投与した雄ラットを、シクロホスファミドを投与しない雌ラットと交配させたところ、胎児の死亡増加及び奇形を認めたとの報告がある9) 。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 ペントスタチンを投与中の患者1) [1.1 参照],[10.1 参照]
- 2.2 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 2.3 腎又は膀胱に重篤な障害のある患者[腎障害又は出血性膀胱炎を増悪する。][9.1.1 参照],[9.2.1 参照],[9.2.2 参照]
6. 用法・用量
-
(1)肺小細胞癌、前立腺癌、子宮頸癌、骨肉腫
通常、成人にはイホスファミドとして1日1.5~3g(30~60mg/kg)を3~5日間連日点滴静注又は静脈内に注射する。これを1コースとし、末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。 -
(2)再発又は難治性の胚細胞腫瘍
確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法を行い、通常、成人にはイホスファミドとして1日1.2g/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注する。これを1コースとし、末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。 -
(3)悪性リンパ腫
1)他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、イホスファミドとして1日0.8~3g/m2(体表面積)を3~5日間連日点滴静注する。これを1コースとし、末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
なお、年齢、併用薬、患者の状態により適宜減量する。2)総投与量はイホスファミドとして1コース10g/m2以下、小児では全治療コース80g/m2以下とする。
-
(4)悪性骨・軟部腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法及び本剤単独投与
1)ドキソルビシン塩酸塩との併用において、成人には、通常1コースは、イホスファミドとして1日1.5~3g/m2(体表面積)を3~5日間連日点滴静注又は静脈内に注射する。末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
総投与量は、イホスファミドとして1コース10g/m2以下とする。
なお、年齢、患者の状態により適宜減量する。2)本剤の単独投与において、成人には、1コースは、イホスファミドとして総投与量14g/m2までを点滴静注又は静脈内に注射する。末梢白血球の回復を待って反復投与する。
-
(5)小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽腫、網膜芽腫、肝芽腫、腎芽腫等)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
1)他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、イホスファミドとして1日1.5~3g/m2(体表面積)を3~5日間連日点滴静注する。これを1コースとし、末梢白血球の回復を待って3~4週間ごとに反復投与する。
なお、年齢、併用薬、患者の状態により適宜減量する。2)総投与量はイホスファミドとして1コース10g/m2以下、全治療コース80g/m2以下とする。
7. 用法・用量に関連する注意
-
〈効能共通〉
- 7.1 本剤の投与時には十分な尿量を確保し、出血性膀胱炎等の泌尿器系障害の防止のために下記の処置を行うこと。[8.1 参照],[9.1.1 参照],[9.2.2 参照],[11.1.2 参照]
- 7.2 肥満患者には、投与量が過多にならないように、標準体重から換算した投与量を考慮すること。
-
〈再発又は難治性の胚細胞腫瘍〉
- 7.3 確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〔VeIP療法(ビンブラスチン硫酸塩、イホスファミド、シスプラチン併用療法)〕においては、原則として3週間を1クールとし、各クールの1~5日に本剤を投与する。
- 7.4 他の抗悪性腫瘍剤と併用することが必要である。本剤単独投与での有効性は確立していない。精巣腫瘍に対し本剤を単独投与した場合、奏効率が低く効果持続期間が短いとの報告がある2) 。
- 〈悪性骨・軟部腫瘍〉
8. 重要な基本的注意
-
〈効能共通〉
- 8.1 骨髄抑制、出血性膀胱炎等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、尿検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。本剤の投与にあたってはG-CSF製剤等の適切な使用に関しても考慮すること。[7.1 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[9.2.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照]
- 8.2 感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。[9.1.3 参照]
- 8.3 本剤を他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合には、副作用の発現頻度が高くなり、程度も重くなるおそれがあるため、十分に患者の状態を観察しながら投与すること。
- 8.4 本剤を他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合、特に放射線照射を施行するときには、肝中心静脈閉塞症(hepatic veno-occlusive disease:VOD)の発現に注意すること。
- 〈悪性リンパ腫〉
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 膀胱に障害のある患者(膀胱に重篤な障害のある患者を除く)
腎障害又は出血性膀胱炎が増悪するおそれがある。[2.3 参照],[7.1 参照],[8.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照]
-
9.1.2 骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強するおそれがある。[8.1 参照],[11.1.1 参照]
-
9.1.3 感染症を合併している患者
骨髄抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。[8.2 参照]
-
9.1.4 水痘患者
致命的な全身障害があらわれることがある。
-
9.1.5 併用薬又は前治療薬として白金製剤の投与を受けた患者
ファンコニー症候群等の腎障害があらわれることがある。[11.1.3 参照]
9.2 腎機能障害患者
-
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
投与しないこと。[2.3 参照]
-
9.2.2 腎障害のある患者(重篤な腎障害のある患者を除く)
腎障害又は出血性膀胱炎が増悪するおそれがある。[2.3 参照],[7.1 参照],[8.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照]
-
9.2.3 片腎の患者
ファンコニー症候群等の腎障害があらわれることがある。[11.1.3 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝障害が増悪するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物試験(ラット)で催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。動物試験(ラット)で乳汁中に分泌されることが報告されている。
9.7 小児等
- 9.7.1 副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
- 9.7.2 3歳以下の乳幼児では特に注意すること。高用量投与や累積投与量が高くなった場合、ファンコニー症候群等の腎障害があらわれることがある。[11.1.3 参照]
9.8 高齢者
用量並びに投与間隔に留意すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。
10. 相互作用
- 本剤は、主に肝代謝酵素CYP3A4で代謝され、活性化される。[16.4.1 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
骨髄移植の患者で、類縁薬であるシクロホスファミド投与中にペントスタチンを単回投与したところ、錯乱、呼吸困難、低血圧、肺水腫等が認められ、心毒性により死亡したとの報告がある。また、動物試験(マウス)においてペントスタチン(臨床用量の10倍相当量)とイホスファミド(LD50前後)又はその類縁薬であるシクロホスファミド(LD50前後)を同時期に単回投与したとき、それぞれを単独投与したときに比べて死亡率の増加が認められた1) 。 |
明らかな機序は不明である。本剤は用量依存性の心毒性があり、ペントスタチンは心筋細胞に影響を及ぼすATPの代謝を阻害する。両剤の併用により心毒性が増強すると考えられている1) 。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 |
共に骨髄抑制作用を有する。 |
|
本剤の作用が増強することがある。 |
フェノバルビタールの酵素誘導により本剤の活性型への変換が促進され、作用が増強される。 |
|
これらの薬剤の血糖降下作用が増強されることがある。 |
本剤がインスリン抗体の生成を阻害するため、遊離のインスリン量が多くなり、血糖降下作用が増強される。 |
|
脳症があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。 |
機序は不明である。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 骨髄抑制(5%以上)
汎血球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、また、出血等があらわれる場合があるので、異常が認められた場合には、投与間隔の延長、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。[8.1 参照],[9.1.2 参照]
- 11.1.2 出血性膀胱炎、排尿障害(5%以上)
-
11.1.3 ファンコニー症候群(頻度不明)、急性腎障害(0.1%未満)
[8.1 参照],[9.1.1 参照],[9.1.5 参照],[9.2.2 参照],[9.2.3 参照],[9.7.2 参照]
- 11.1.4 意識障害(0.1%未満)、幻覚、錯乱、錐体外路症状(0.1~5%未満)
-
11.1.5 脳症(0.1%未満)
意識障害を伴う痙攣発作、譫妄(意識障害、幻覚及び錯乱)があらわれることがある。
- 11.1.6 間質性肺炎(0.1~5%未満)、肺水腫(頻度不明)
-
11.1.7 心筋障害、不整脈(いずれも頻度不明)
心不全、心室性期外収縮、心房細動、上室性期外収縮等があらわれることがある。
-
11.1.8 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
-
11.1.9 急性膵炎(頻度不明)
腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
5%以上 |
5%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
肝臓 |
ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇等 |
||
腎臓 |
蛋白尿 |
浮腫、BUN上昇、血清電解質の異常(カリウム、クロール等の一過性の変動) |
クレアチニン上昇、クレアチニンクリアランス低下、多尿 |
消化器 |
悪心・嘔吐、食欲不振 |
口内炎、腹痛、便秘、下痢等 |
口渇 |
過敏症 |
発疹 |
||
皮膚 |
脱毛 |
色素沈着 |
|
精神神経系 |
倦怠感 |
頭痛、頭重感、眩暈、不眠、脱力感、焦燥感、知覚異常、舌の振戦、抑うつ、精神活動低下 |
|
呼吸器 |
胸内苦悶 |
||
循環器 |
頻脈、不整脈、動悸 |
||
性腺 |
月経異常 |
無精子症、卵巣機能不全 |
|
その他 |
発熱、悪寒、血管痛 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、二次性悪性腫瘍(急性白血病、骨髄異形成症候群等)が発生したとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 マウスに腹腔内投与した試験で、肺に腫瘍が発生したとの報告がある。
- 15.2.2 類縁薬シクロホスファミドを投与した雄ラットを、シクロホスファミドを投与しない雌ラットと交配させたところ、胎児の死亡増加及び奇形を認めたとの報告がある9) 。