薬効分類名免疫抑制剤
(mTOR阻害剤)
一般的名称エベロリムス
サーティカン錠0.25mg、サーティカン錠0.5mg、サーティカン錠0.75mg
さーてぃかんじょう0.25mg、さーてぃかんじょう0.5mg、さーてぃかんじょう0.75mg
Certican tablets, Certican tablets, Certican tablets
製造販売/ノバルティスファーマ株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
リファンピシン
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
抗てんかん剤
- フェノバルビタール
フェニトイン
カルバマゼピン等
抗HIV剤
- エファビレンツ
ネビラピン等
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
アゾール系抗真菌剤
- イトラコナゾール
ボリコナゾール
フルコナゾール等
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
マクロライド系抗生物質
- エリスロマイシン
クラリスロマイシン等
カルシウム拮抗剤
- ベラパミル
ニカルジピン
ジルチアゼム等
HIVプロテアーゼ阻害剤
- ネルフィナビル
インジナビル
ホスアンプレナビル
リトナビル等
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル
本剤のAUCが27倍、Cmaxが4.7倍に上昇したとの報告がある。やむを得ない場合を除き併用は避けること。やむを得ず併用する場合には、本剤の血中濃度をモニタリングするなど患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
リトナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
不活化ワクチン
- 不活化インフルエンザワクチン等
ワクチンの効果が得られないおそれがある。
免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。
セイヨウオトギリソウの代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤との併用により、本剤のバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告がある。シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤との併用に際しては7.2、7.4、7.6-7.8及び8.1、8.2項を参照し投与すること。
代謝酵素(CYP3A4等)の競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン
- サイモグロブリン
過度の免疫抑制が起こることがある。海外で実施された新規心移植患者を対象とした臨床試験において、本剤、シクロスポリン(腎移植よりも高い血中トラフ濃度)及び副腎皮質ホルモン剤を併用し、サイモグロブリン(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン)導入療法を受けた患者集団において、移植後の3ヵ月間に重大な感染症の増加がみられた。特に過剰な免疫抑制状態となりやすい移植前の入院及び心室補助循環装置を必要とする患者においてより高い死亡率との関連が認められた。
共に免疫抑制作用を有するため。
ミダゾラム(経口剤:国内未販売)
ミダゾラムの血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤がCYP3A4の基質となる薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
7. 用法及び用量に関連する注意
-
〈効能共通〉
- 7.1 食事の影響があるため、食後又は空腹時のいずれかの一定の条件下で投与し、本剤の血中トラフ濃度を測定し、投与量を調節すること。[16.2.1 参照]
-
7.2 カルシニューリン阻害薬及び副腎皮質ホルモン剤と併用すること。カルシニューリン阻害薬を併用しない場合、十分な効果が得られないおそれがある。本剤の類薬(シロリムス)の試験において、移植3ヵ月後にシクロスポリンの投与を中止した腎移植患者において、急性拒絶反応の発現率がシクロスポリンの投与を継続した患者に比べて有意に増加したとの報告がある1)
。また、海外臨床試験において、移植5ヵ月目にタクロリムスの投与を中止した肝移植患者において、急性拒絶反応の発現率がタクロリムスの投与を継続した患者に比べて有意に増加した2)
。
- 7.2.1 心移植及び腎移植においては、併用するカルシニューリン阻害薬はシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤又はタクロリムスのいずれか1剤とすること3) 。[17.1.1 参照][17.1.2 参照][17.1.3 参照]
- 7.2.2 肝移植においては、通常、併用するカルシニューリン阻害薬はタクロリムスとすること。併用するカルシニューリン阻害薬としてシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤を用いる場合は、本剤は慎重に投与すること。シクロスポリンとの併用は使用経験が少ない。[17.1.4 参照][17.1.5 参照]
- 7.3 本剤の全血中濃度を定期的に測定すること。[16.1.1 参照][16.1.2 参照][16.1.3 参照][16.1.4 参照][16.8.1 参照]曝露量と有効性、及び曝露量と安全性の関連についての解析から、本剤の血中トラフ濃度(C0)が3.0ng/mL以上の患者では、3.0ng/mL未満の患者に比べて急性拒絶反応の発現率が低いことが認められている。推奨される本剤の治療濃度の上限は8ng/mLである。12ng/mLを超える濃度での有効性及び安全性の検討は実施されていない。
- 7.4 本剤の用量調節は、用量変更から4~5日以上経過してから測定した本剤の血中トラフ濃度(C0)に基づいて行うことが望ましい。シクロスポリンは本剤のバイオアベイラビリティを増加させるため、シクロスポリンの血中濃度が大幅に低下すると(血中トラフ濃度(C0)<50ng/mL)、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。[8.2 参照][16.7.1 参照]
-
7.5 肝機能障害を有する患者では、本剤の血中トラフ濃度(C0)を頻繁に測定すること。
軽度又は中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスA又はB)を有する患者が以下の3項目の内2項目以上に該当する場合には、用量を通常量の約半量に減量すること:ビリルビン>2mg/dL、アルブミン<3.5g/dL、プロトロンビン時間>1.3INR(4秒を超える延長)。
更に、本剤の血中濃度に基づいて用量調節を行うこと。[9.3 参照][16.6.2 参照] - 7.6 本剤は併用するシクロスポリンの腎毒性を増強するおそれがある。また、本剤とシクロスポリン又はタクロリムスの併用により腎障害が発現するおそれがあるため、腎移植患者、肝移植患者及び維持期の心移植患者ではシクロスポリン又はタクロリムスの用量を減量すること。なお、シクロスポリン又はタクロリムスの用量は、シクロスポリン又はタクロリムスの血中トラフ濃度(C0)に基づいて調節する。[[8.5 参照][9.2 参照][11.1.1 参照][17.1.1 参照][17.1.2 参照][17.1.3 参照][17.1.4 参照][17.1.5 参照] 表「シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)の記述統計量(B253試験、A1202試験、A2309試験)」、「タクロリムスの血中トラフ濃度(C0)の記述統計量(H2307試験、H2304試験)」参照]
- 7.7 シクロスポリンとの併用にあたってはシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤と同時投与が望ましい。
- 7.8 本剤と併用するシクロスポリン又はタクロリムスを減量する前に、本剤の定常状態の血中トラフ濃度(C0)が3ng/mL以上であることを確認すること。
-
〈心移植〉
-
7.9 心移植における本剤の用量設定の際には、下記を参照すること。(心移植患者を対象として、標準量のシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤及び副腎皮質ホルモン剤と併用した本剤1.5mg/日及び3mg/日の有効性及び安全性をアザチオプリン1~3mg/kg/日と比較した海外第Ⅲ相試験(B253試験)の結果)
-
7.9.1 本剤(1.5mg/日及び3mg/日)の平均血中トラフ濃度別の有効性及び副作用発現率
本剤の平均血中トラフ濃度
(ng/mL)グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率
副作用発現率
3未満
44.1%(30/68)
64.4%(47/73)
3~4未満
32.7%(16/49)
63.0%(34/54)
4~5未満
18.6%(8/43)
62.5%(25/40)
5~6未満
22.0%(11/50)
57.5%(23/40)
6~7未満
18.9%(7/37)
53.3%(16/30)
7~8未満
23.8%(10/42)
60.0%(18/30)
8~9未満
21.4%(6/28)
63.0%(17/27)
9~10未満
15.0%(3/20)
60.9%(14/23)
10以上
16.4%(11/67)
77.2%(44/57)
本剤の平均血中トラフ濃度の確認できた全症例
-
63.6%(238/374)
本剤投与全症例
26.4%(111/420)
66.2%(278/420)
※本剤の平均血中トラフ濃度は、副作用発現例については投与開始から発現までの平均、副作用非発現例では投与開始からカットオフ日(最大450日)までの平均
※副作用は投与開始からカットオフ日(最大450日)まで、もしくは中止後7日以内に発現したもの -
7.9.2 移植後1年間の時期別副作用発現率
移植後経過期間
本剤1.5mg/日投与
本剤3mg/日投与
~5日
15.8%(33/209)
13.7%(29/211)
6日~14日(2週)
9.3%(19/204)
13.5%(28/207)
15日~30日(1ヵ月)
23.1%(46/199)
30.7%(62/202)
31日~90日(3ヵ月)
23.0%(44/191)
36.1%(69/191)
91日~365日(1年)
40.1%(73/182)
49.1%(84/171)
※副作用発現率(%)=(移植後経過期間中に1回以上副作用を発現した例数/移植後経過期間中に1日以上本剤を投与された例数)×100
-
7.9.3 本剤の血中トラフ濃度の経時推移
本剤の投与期間
本剤1.5mg/日投与
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL)
例数
血中トラフ濃度(ng/mL)
例数
2日目
1.8±2.7
148
4.2±3.6
157
1週目
5.4±3.7
159
10.2±6.8
159
2週目
5.4±4.0
159
10.0±7.2
173
3週目
5.2±4.4
155
10.2±6.6
150
1ヵ月目
5.4±3.9
147
8.9±6.0
135
2ヵ月目
5.1±3.5
152
8.7±5.1
141
3ヵ月目
5.1±3.8
143
9.1±6.3
133
6ヵ月目
4.8±3.3
108
8.5±5.6
109
(血中トラフ濃度は平均値±SD)
-
7.9.1 本剤(1.5mg/日及び3mg/日)の平均血中トラフ濃度別の有効性及び副作用発現率
-
7.9 心移植における本剤の用量設定の際には、下記を参照すること。(心移植患者を対象として、標準量のシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤及び副腎皮質ホルモン剤と併用した本剤1.5mg/日及び3mg/日の有効性及び安全性をアザチオプリン1~3mg/kg/日と比較した海外第Ⅲ相試験(B253試験)の結果)
8. 重要な基本的注意
- 8.1 シクロスポリン、タクロリムス及び副腎皮質ホルモン剤との併用に際しては、各薬剤の添付文書に記載されている「警告」、「禁忌」、「併用禁忌」、「重要な基本的注意」、「特定の背景を有する患者に関する注意」、「重大な副作用」等の使用上の注意を必ず確認すること。
- 8.2 シクロスポリンの併用により本剤のバイオアベイラビリティは有意に増加する。健康成人を対象とした単回投与試験において、本剤にシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤を併用投与したところ、単独投与時に比べて本剤のAUCは168%(範囲46%~365%)、Cmaxは82%(範囲25%~158%)増加した。従って、シクロスポリンの用量を変更する場合には、本剤の用量調節が必要であると考えられる。[7.4 参照][16.7.1 参照]なお、シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤を投与中の心移植患者において、シクロスポリンの薬物動態に対する本剤の臨床的影響はごく軽微であった。
- 8.3 ダイレクトクロスマッチ陽性等、抗ドナー抗体等の拒絶反応のリスク因子を有する患者を対象とした適切な臨床試験は実施されていない。
- 8.4 定期的に血清脂質の検査を行うこと。高脂血症がみられた場合には、適切な食事指導を実施し、必要により高脂血症用剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[9.1.3 参照]
- 8.5 腎障害があらわれることがあるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN、クレアチニンクリアランス等)及び尿検査(尿蛋白等)を行うこと。[7.6 参照][9.2 参照][11.1.1 参照]
- 8.6 汎血球減少、白血球減少、貧血、血小板減少、好中球減少があらわれることがあるので定期的に血液検査(血球数算定等)を実施すること。[11.1.7 参照]
- 8.7 特に心移植患者において、心嚢液貯留があらわれることがあるので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査等を行うこと。[11.1.13 参照]
- 8.8 高血糖の発現、糖尿病の発症又は増悪することがあるので、定期的に空腹時血糖値の測定等を行うこと。[11.1.14 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 感染症を合併している患者
免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。[11.1.2 参照]
-
9.1.2 肝炎ウイルスキャリアの患者
肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。[11.1.2 参照]
-
9.1.3 高脂血症を合併している患者
治療上の有益性が、危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。症状が悪化するおそれがある。[8.4 参照]
9.2 腎機能障害患者
シクロスポリンの腎毒性を増強するおそれがある。[7.6 参照][8.5 参照][11.1.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[7.5 参照][16.6.2 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)で胚・胎児毒性を含む生殖発生毒性が認められたとの報告がある。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等の心移植、腎移植及び肝移植患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。また、乳児、幼児及び小児の肝移植患者を対象とした海外臨床試験において、成人での臨床試験と比較して移植後リンパ増殖性障害や重篤な感染症、胃腸障害の発現頻度が高いことが報告されている4) 。
9.8 高齢者
- 9.8.1 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。
- 9.8.2 腎移植患者を対象とした臨床試験における母集団薬物動態解析の結果、本剤の薬物動態に65~70歳の患者(18例)と母集団(673例)との明らかな差は認められていない。[16.6.4 参照]
10. 相互作用
- 本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝され、腸管に存在するCYP3A4によっても代謝される。また、本剤はP糖蛋白(Pgp)の基質でもあるため、本剤経口投与後の吸収と消失は、CYP3A4又はPgpに影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられる。
CYP3A4を誘導する薬剤又は阻害する薬剤を併用したり中止する場合は、必ず本剤の血中トラフ濃度(C0)をモニタリングすること。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等) |
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。 |
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
リファンピシン |
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。 |
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。 |
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
|
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。 |
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
|
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。 |
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
|
オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル |
本剤のAUCが27倍、Cmaxが4.7倍に上昇したとの報告がある。やむを得ない場合を除き併用は避けること。やむを得ず併用する場合には、本剤の血中濃度をモニタリングするなど患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 |
リトナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
ワクチンの効果が得られないおそれがある。 |
免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。 |
|
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 |
セイヨウオトギリソウの代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
グレープフルーツジュース |
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。 |
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。 |
シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤との併用により、本剤のバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告がある。シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤との併用に際しては7.2、7.4、7.6-7.8及び8.1、8.2項を参照し投与すること。 |
代謝酵素(CYP3A4等)の競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
|
過度の免疫抑制が起こることがある。海外で実施された新規心移植患者を対象とした臨床試験において、本剤、シクロスポリン(腎移植よりも高い血中トラフ濃度)及び副腎皮質ホルモン剤を併用し、サイモグロブリン(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン)導入療法を受けた患者集団において、移植後の3ヵ月間に重大な感染症の増加がみられた。特に過剰な免疫抑制状態となりやすい移植前の入院及び心室補助循環装置を必要とする患者においてより高い死亡率との関連が認められた。 |
共に免疫抑制作用を有するため。 |
|
ミダゾラム(経口剤:国内未販売) |
ミダゾラムの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
本剤がCYP3A4の基質となる薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 腎障害(10.6%)
腎尿細管壊死等の腎障害があらわれることがある。[7.6 参照][8.5 参照][9.2 参照]
蛋白尿が認められることがあり、本剤の血中濃度の上昇がリスクとして考えられている。 -
11.1.2 感染症(23.1%)
細菌、真菌あるいはウイルスによる重篤な感染症(肺炎、敗血症、尿路感染症、単純疱疹、帯状疱疹、腎盂腎炎等)を併発することがある。また、免疫抑制剤を投与されたB型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。強力な免疫抑制下では急激に重症化することがある。[9.1.1 参照][9.1.2 参照]
-
11.1.3 移植腎血栓症(0.4%:腎移植患者での頻度)
腎移植患者において、腎の動脈及び静脈の血栓症のリスク増加により、多くは移植後30日以内に移植腎廃絶に至ったとの報告がある。本剤の投与に際しては、腎血流量の低下、尿量減少等異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
-
11.1.4 肝動脈血栓症(0.2%:肝移植患者での頻度)
本剤の類薬(シロリムス)の肝移植患者を対象とした海外臨床試験において、肝動脈血栓症の発現頻度がシロリムスを投与しなかった対照群に比べて高く、その多くは移植後30日以内に発現し、移植肝廃絶や死亡に至った例も報告されている。
-
11.1.5 悪性腫瘍(1.8%)
悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患、悪性腫瘍(特に皮膚)があらわれることがある。
-
11.1.6 創傷治癒不良
創傷治癒不良(1.3%)や創傷治癒不良による創傷感染(1.0%)、瘢痕ヘルニア(0.7%)、創離開(0.6%)等の合併症があらわれることがある。
-
11.1.7 汎血球減少(1.0%)、白血球減少(8.6%)、貧血(6.3%)、血小板減少(5.8%)、好中球減少(0.9%)
血小板減少が生じた結果、消化管出血等の出血に至った症例も報告されている。[8.6 参照]
-
11.1.8 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.1.9 BKウイルス腎症(0.1%未満)
-
11.1.10 血栓性微小血管障害(0.7%)
溶血性尿毒症症候群(HUS:血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)様症状(血小板減少、微小血管性溶血性貧血、腎機能障害、精神症状を主徴とする)等の血栓性微小血管障害があらわれることがある。
-
11.1.11 間質性肺疾患(間質性肺炎、肺臓炎)(0.6%)
死亡に至った例も報告されている。
- 11.1.12 肺胞蛋白症(0.1%未満)
-
11.1.13 心嚢液貯留(9.9%:心移植患者での頻度)
特に心移植患者において、心嚢液貯留があらわれることがある。[8.7 参照]
- 11.1.14 高血糖(1.0%)、糖尿病の発症(2.1%)又は増悪(頻度不明)
- 11.1.15 肺塞栓症(0.1%未満)、深部静脈血栓症(0.2%)
-
11.1.16 急性呼吸窮迫症候群(頻度不明)
急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
5%以上 |
1%~5%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
血液及びリンパ系障害 |
- |
- |
- |
凝血異常、溶血 |
内分泌障害 |
- |
- |
男性性腺機能低下(テストステロン減少、黄体形成ホルモン増加、卵胞刺激ホルモン増加) |
- |
代謝及び栄養障害 |
高脂血症(16.0%)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症 |
脂質異常症 |
低カリウム血症、高尿酸血症 |
- |
血管障害 |
- |
高血圧、リンパ嚢腫 |
- |
- |
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 |
- |
胸水 注1) 、咳嗽 |
咽頭炎 |
- |
胃腸障害 |
下痢 |
悪心、嘔吐、口内炎、口腔内潰瘍 |
腹痛、消化不良、膵炎 |
- |
肝胆道系障害 |
- |
肝機能検査値異常、肝障害 |
黄疸、肝炎 |
- |
皮膚及び皮下組織障害 |
- |
ざ瘡 |
血管神経性浮腫、発疹 |
白血球破砕性血管炎 |
筋骨格系及び結合組織障害 |
- |
関節痛 |
筋痛 |
- |
腎及び尿路障害 |
- |
血中クレアチニン増加 |
- |
- |
全身障害及び投与局所様態 |
浮腫 |
発熱 |
疼痛 |
- |
神経系障害 |
- |
振戦 |
- |
- |
*その他 |
- |
- |
- |
無精子症、卵巣嚢胞 |
7. 用法及び用量に関連する注意
-
〈効能共通〉
- 7.1 食事の影響があるため、食後又は空腹時のいずれかの一定の条件下で投与し、本剤の血中トラフ濃度を測定し、投与量を調節すること。[16.2.1 参照]
-
7.2 カルシニューリン阻害薬及び副腎皮質ホルモン剤と併用すること。カルシニューリン阻害薬を併用しない場合、十分な効果が得られないおそれがある。本剤の類薬(シロリムス)の試験において、移植3ヵ月後にシクロスポリンの投与を中止した腎移植患者において、急性拒絶反応の発現率がシクロスポリンの投与を継続した患者に比べて有意に増加したとの報告がある1)
。また、海外臨床試験において、移植5ヵ月目にタクロリムスの投与を中止した肝移植患者において、急性拒絶反応の発現率がタクロリムスの投与を継続した患者に比べて有意に増加した2)
。
- 7.2.1 心移植及び腎移植においては、併用するカルシニューリン阻害薬はシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤又はタクロリムスのいずれか1剤とすること3) 。[17.1.1 参照][17.1.2 参照][17.1.3 参照]
- 7.2.2 肝移植においては、通常、併用するカルシニューリン阻害薬はタクロリムスとすること。併用するカルシニューリン阻害薬としてシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤を用いる場合は、本剤は慎重に投与すること。シクロスポリンとの併用は使用経験が少ない。[17.1.4 参照][17.1.5 参照]
- 7.3 本剤の全血中濃度を定期的に測定すること。[16.1.1 参照][16.1.2 参照][16.1.3 参照][16.1.4 参照][16.8.1 参照]曝露量と有効性、及び曝露量と安全性の関連についての解析から、本剤の血中トラフ濃度(C0)が3.0ng/mL以上の患者では、3.0ng/mL未満の患者に比べて急性拒絶反応の発現率が低いことが認められている。推奨される本剤の治療濃度の上限は8ng/mLである。12ng/mLを超える濃度での有効性及び安全性の検討は実施されていない。
- 7.4 本剤の用量調節は、用量変更から4~5日以上経過してから測定した本剤の血中トラフ濃度(C0)に基づいて行うことが望ましい。シクロスポリンは本剤のバイオアベイラビリティを増加させるため、シクロスポリンの血中濃度が大幅に低下すると(血中トラフ濃度(C0)<50ng/mL)、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。[8.2 参照][16.7.1 参照]
-
7.5 肝機能障害を有する患者では、本剤の血中トラフ濃度(C0)を頻繁に測定すること。
軽度又は中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスA又はB)を有する患者が以下の3項目の内2項目以上に該当する場合には、用量を通常量の約半量に減量すること:ビリルビン>2mg/dL、アルブミン<3.5g/dL、プロトロンビン時間>1.3INR(4秒を超える延長)。
更に、本剤の血中濃度に基づいて用量調節を行うこと。[9.3 参照][16.6.2 参照] - 7.6 本剤は併用するシクロスポリンの腎毒性を増強するおそれがある。また、本剤とシクロスポリン又はタクロリムスの併用により腎障害が発現するおそれがあるため、腎移植患者、肝移植患者及び維持期の心移植患者ではシクロスポリン又はタクロリムスの用量を減量すること。なお、シクロスポリン又はタクロリムスの用量は、シクロスポリン又はタクロリムスの血中トラフ濃度(C0)に基づいて調節する。[[8.5 参照][9.2 参照][11.1.1 参照][17.1.1 参照][17.1.2 参照][17.1.3 参照][17.1.4 参照][17.1.5 参照] 表「シクロスポリンの血中トラフ濃度(C0)の記述統計量(B253試験、A1202試験、A2309試験)」、「タクロリムスの血中トラフ濃度(C0)の記述統計量(H2307試験、H2304試験)」参照]
- 7.7 シクロスポリンとの併用にあたってはシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤と同時投与が望ましい。
- 7.8 本剤と併用するシクロスポリン又はタクロリムスを減量する前に、本剤の定常状態の血中トラフ濃度(C0)が3ng/mL以上であることを確認すること。
-
〈心移植〉
-
7.9 心移植における本剤の用量設定の際には、下記を参照すること。(心移植患者を対象として、標準量のシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤及び副腎皮質ホルモン剤と併用した本剤1.5mg/日及び3mg/日の有効性及び安全性をアザチオプリン1~3mg/kg/日と比較した海外第Ⅲ相試験(B253試験)の結果)
-
7.9.1 本剤(1.5mg/日及び3mg/日)の平均血中トラフ濃度別の有効性及び副作用発現率
本剤の平均血中トラフ濃度
(ng/mL)グレード3A(ISHLT)以上の急性拒絶反応発現率
副作用発現率
3未満
44.1%(30/68)
64.4%(47/73)
3~4未満
32.7%(16/49)
63.0%(34/54)
4~5未満
18.6%(8/43)
62.5%(25/40)
5~6未満
22.0%(11/50)
57.5%(23/40)
6~7未満
18.9%(7/37)
53.3%(16/30)
7~8未満
23.8%(10/42)
60.0%(18/30)
8~9未満
21.4%(6/28)
63.0%(17/27)
9~10未満
15.0%(3/20)
60.9%(14/23)
10以上
16.4%(11/67)
77.2%(44/57)
本剤の平均血中トラフ濃度の確認できた全症例
-
63.6%(238/374)
本剤投与全症例
26.4%(111/420)
66.2%(278/420)
※本剤の平均血中トラフ濃度は、副作用発現例については投与開始から発現までの平均、副作用非発現例では投与開始からカットオフ日(最大450日)までの平均
※副作用は投与開始からカットオフ日(最大450日)まで、もしくは中止後7日以内に発現したもの -
7.9.2 移植後1年間の時期別副作用発現率
移植後経過期間
本剤1.5mg/日投与
本剤3mg/日投与
~5日
15.8%(33/209)
13.7%(29/211)
6日~14日(2週)
9.3%(19/204)
13.5%(28/207)
15日~30日(1ヵ月)
23.1%(46/199)
30.7%(62/202)
31日~90日(3ヵ月)
23.0%(44/191)
36.1%(69/191)
91日~365日(1年)
40.1%(73/182)
49.1%(84/171)
※副作用発現率(%)=(移植後経過期間中に1回以上副作用を発現した例数/移植後経過期間中に1日以上本剤を投与された例数)×100
-
7.9.3 本剤の血中トラフ濃度の経時推移
本剤の投与期間
本剤1.5mg/日投与
本剤3mg/日投与
血中トラフ濃度(ng/mL)
例数
血中トラフ濃度(ng/mL)
例数
2日目
1.8±2.7
148
4.2±3.6
157
1週目
5.4±3.7
159
10.2±6.8
159
2週目
5.4±4.0
159
10.0±7.2
173
3週目
5.2±4.4
155
10.2±6.6
150
1ヵ月目
5.4±3.9
147
8.9±6.0
135
2ヵ月目
5.1±3.5
152
8.7±5.1
141
3ヵ月目
5.1±3.8
143
9.1±6.3
133
6ヵ月目
4.8±3.3
108
8.5±5.6
109
(血中トラフ濃度は平均値±SD)
-
7.9.1 本剤(1.5mg/日及び3mg/日)の平均血中トラフ濃度別の有効性及び副作用発現率
-
7.9 心移植における本剤の用量設定の際には、下記を参照すること。(心移植患者を対象として、標準量のシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤及び副腎皮質ホルモン剤と併用した本剤1.5mg/日及び3mg/日の有効性及び安全性をアザチオプリン1~3mg/kg/日と比較した海外第Ⅲ相試験(B253試験)の結果)
8. 重要な基本的注意
- 8.1 シクロスポリン、タクロリムス及び副腎皮質ホルモン剤との併用に際しては、各薬剤の添付文書に記載されている「警告」、「禁忌」、「併用禁忌」、「重要な基本的注意」、「特定の背景を有する患者に関する注意」、「重大な副作用」等の使用上の注意を必ず確認すること。
- 8.2 シクロスポリンの併用により本剤のバイオアベイラビリティは有意に増加する。健康成人を対象とした単回投与試験において、本剤にシクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤を併用投与したところ、単独投与時に比べて本剤のAUCは168%(範囲46%~365%)、Cmaxは82%(範囲25%~158%)増加した。従って、シクロスポリンの用量を変更する場合には、本剤の用量調節が必要であると考えられる。[7.4 参照][16.7.1 参照]なお、シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤を投与中の心移植患者において、シクロスポリンの薬物動態に対する本剤の臨床的影響はごく軽微であった。
- 8.3 ダイレクトクロスマッチ陽性等、抗ドナー抗体等の拒絶反応のリスク因子を有する患者を対象とした適切な臨床試験は実施されていない。
- 8.4 定期的に血清脂質の検査を行うこと。高脂血症がみられた場合には、適切な食事指導を実施し、必要により高脂血症用剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[9.1.3 参照]
- 8.5 腎障害があらわれることがあるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN、クレアチニンクリアランス等)及び尿検査(尿蛋白等)を行うこと。[7.6 参照][9.2 参照][11.1.1 参照]
- 8.6 汎血球減少、白血球減少、貧血、血小板減少、好中球減少があらわれることがあるので定期的に血液検査(血球数算定等)を実施すること。[11.1.7 参照]
- 8.7 特に心移植患者において、心嚢液貯留があらわれることがあるので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査等を行うこと。[11.1.13 参照]
- 8.8 高血糖の発現、糖尿病の発症又は増悪することがあるので、定期的に空腹時血糖値の測定等を行うこと。[11.1.14 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 感染症を合併している患者
免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。[11.1.2 参照]
-
9.1.2 肝炎ウイルスキャリアの患者
肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。[11.1.2 参照]
-
9.1.3 高脂血症を合併している患者
治療上の有益性が、危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。症状が悪化するおそれがある。[8.4 参照]
9.2 腎機能障害患者
シクロスポリンの腎毒性を増強するおそれがある。[7.6 参照][8.5 参照][11.1.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[7.5 参照][16.6.2 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)で胚・胎児毒性を含む生殖発生毒性が認められたとの報告がある。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等の心移植、腎移植及び肝移植患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。また、乳児、幼児及び小児の肝移植患者を対象とした海外臨床試験において、成人での臨床試験と比較して移植後リンパ増殖性障害や重篤な感染症、胃腸障害の発現頻度が高いことが報告されている4) 。
9.8 高齢者
- 9.8.1 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。
- 9.8.2 腎移植患者を対象とした臨床試験における母集団薬物動態解析の結果、本剤の薬物動態に65~70歳の患者(18例)と母集団(673例)との明らかな差は認められていない。[16.6.4 参照]
10. 相互作用
- 本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝され、腸管に存在するCYP3A4によっても代謝される。また、本剤はP糖蛋白(Pgp)の基質でもあるため、本剤経口投与後の吸収と消失は、CYP3A4又はPgpに影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられる。
CYP3A4を誘導する薬剤又は阻害する薬剤を併用したり中止する場合は、必ず本剤の血中トラフ濃度(C0)をモニタリングすること。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等) |
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。 |
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
リファンピシン |
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。 |
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。 |
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
|
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。 |
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
|
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。 |
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
|
オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル |
本剤のAUCが27倍、Cmaxが4.7倍に上昇したとの報告がある。やむを得ない場合を除き併用は避けること。やむを得ず併用する場合には、本剤の血中濃度をモニタリングするなど患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 |
リトナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
ワクチンの効果が得られないおそれがある。 |
免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。 |
|
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 |
セイヨウオトギリソウの代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
グレープフルーツジュース |
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。 |
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。 |
シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤との併用により、本剤のバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告がある。シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤との併用に際しては7.2、7.4、7.6-7.8及び8.1、8.2項を参照し投与すること。 |
代謝酵素(CYP3A4等)の競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
|
過度の免疫抑制が起こることがある。海外で実施された新規心移植患者を対象とした臨床試験において、本剤、シクロスポリン(腎移植よりも高い血中トラフ濃度)及び副腎皮質ホルモン剤を併用し、サイモグロブリン(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン)導入療法を受けた患者集団において、移植後の3ヵ月間に重大な感染症の増加がみられた。特に過剰な免疫抑制状態となりやすい移植前の入院及び心室補助循環装置を必要とする患者においてより高い死亡率との関連が認められた。 |
共に免疫抑制作用を有するため。 |
|
ミダゾラム(経口剤:国内未販売) |
ミダゾラムの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
本剤がCYP3A4の基質となる薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 腎障害(10.6%)
腎尿細管壊死等の腎障害があらわれることがある。[7.6 参照][8.5 参照][9.2 参照]
蛋白尿が認められることがあり、本剤の血中濃度の上昇がリスクとして考えられている。 -
11.1.2 感染症(23.1%)
細菌、真菌あるいはウイルスによる重篤な感染症(肺炎、敗血症、尿路感染症、単純疱疹、帯状疱疹、腎盂腎炎等)を併発することがある。また、免疫抑制剤を投与されたB型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。強力な免疫抑制下では急激に重症化することがある。[9.1.1 参照][9.1.2 参照]
-
11.1.3 移植腎血栓症(0.4%:腎移植患者での頻度)
腎移植患者において、腎の動脈及び静脈の血栓症のリスク増加により、多くは移植後30日以内に移植腎廃絶に至ったとの報告がある。本剤の投与に際しては、腎血流量の低下、尿量減少等異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
-
11.1.4 肝動脈血栓症(0.2%:肝移植患者での頻度)
本剤の類薬(シロリムス)の肝移植患者を対象とした海外臨床試験において、肝動脈血栓症の発現頻度がシロリムスを投与しなかった対照群に比べて高く、その多くは移植後30日以内に発現し、移植肝廃絶や死亡に至った例も報告されている。
-
11.1.5 悪性腫瘍(1.8%)
悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患、悪性腫瘍(特に皮膚)があらわれることがある。
-
11.1.6 創傷治癒不良
創傷治癒不良(1.3%)や創傷治癒不良による創傷感染(1.0%)、瘢痕ヘルニア(0.7%)、創離開(0.6%)等の合併症があらわれることがある。
-
11.1.7 汎血球減少(1.0%)、白血球減少(8.6%)、貧血(6.3%)、血小板減少(5.8%)、好中球減少(0.9%)
血小板減少が生じた結果、消化管出血等の出血に至った症例も報告されている。[8.6 参照]
-
11.1.8 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.1.9 BKウイルス腎症(0.1%未満)
-
11.1.10 血栓性微小血管障害(0.7%)
溶血性尿毒症症候群(HUS:血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)様症状(血小板減少、微小血管性溶血性貧血、腎機能障害、精神症状を主徴とする)等の血栓性微小血管障害があらわれることがある。
-
11.1.11 間質性肺疾患(間質性肺炎、肺臓炎)(0.6%)
死亡に至った例も報告されている。
- 11.1.12 肺胞蛋白症(0.1%未満)
-
11.1.13 心嚢液貯留(9.9%:心移植患者での頻度)
特に心移植患者において、心嚢液貯留があらわれることがある。[8.7 参照]
- 11.1.14 高血糖(1.0%)、糖尿病の発症(2.1%)又は増悪(頻度不明)
- 11.1.15 肺塞栓症(0.1%未満)、深部静脈血栓症(0.2%)
-
11.1.16 急性呼吸窮迫症候群(頻度不明)
急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
5%以上 |
1%~5%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
血液及びリンパ系障害 |
- |
- |
- |
凝血異常、溶血 |
内分泌障害 |
- |
- |
男性性腺機能低下(テストステロン減少、黄体形成ホルモン増加、卵胞刺激ホルモン増加) |
- |
代謝及び栄養障害 |
高脂血症(16.0%)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症 |
脂質異常症 |
低カリウム血症、高尿酸血症 |
- |
血管障害 |
- |
高血圧、リンパ嚢腫 |
- |
- |
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 |
- |
胸水 注1) 、咳嗽 |
咽頭炎 |
- |
胃腸障害 |
下痢 |
悪心、嘔吐、口内炎、口腔内潰瘍 |
腹痛、消化不良、膵炎 |
- |
肝胆道系障害 |
- |
肝機能検査値異常、肝障害 |
黄疸、肝炎 |
- |
皮膚及び皮下組織障害 |
- |
ざ瘡 |
血管神経性浮腫、発疹 |
白血球破砕性血管炎 |
筋骨格系及び結合組織障害 |
- |
関節痛 |
筋痛 |
- |
腎及び尿路障害 |
- |
血中クレアチニン増加 |
- |
- |
全身障害及び投与局所様態 |
浮腫 |
発熱 |
疼痛 |
- |
神経系障害 |
- |
振戦 |
- |
- |
*その他 |
- |
- |
- |
無精子症、卵巣嚢胞 |