薬効分類名選択的DPP-4阻害薬/ビグアナイド系薬配合剤
[2型糖尿病治療薬]
一般的名称ビルダグリプチン
メホビル配合錠LD「日新」、メホビル配合錠HD「日新」
めほびるはいごうじょうLD「にっしん」、めほびるはいごうじょうHD「にっしん」
MefoVil Combination Tablets LD “NISSIN”, MefoVil Combination Tablets HD “NISSIN”
製造販売元/日新製薬株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
- ヨード造影剤
- [8.2.4 参照],[11.1.1 参照]
併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。
ヨード造影剤を用いて検査を行う場合には、本剤の投与を一時的に中止すること。
腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。
- 腎毒性の強い抗生物質
- [11.1.1 参照]
併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行うこと。
腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。
- 利尿作用を有する薬剤
- [8.2.2 参照],[11.1.1 参照]
脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがある。脱水症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。
- 血糖降下作用を増強する薬剤
- [11.1.4 参照]
低血糖症状が起こるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
血糖降下作用の増強による。
- たん白同化ホルモン剤
低血糖症状が起こるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
機序は不明である。
- 血糖降下作用を減弱する薬剤
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
血糖降下作用の減弱による。
- ピラジナミド
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
機序は不明である。
- イソニアジド
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
イソニアジドによる炭水化物代謝阻害が考えられている。
- OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを阻害する薬剤
メトホルミンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与すること。
OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを介したメトホルミンの腎排泄が阻害されると考えられている。
- アンジオテンシン変換酵素阻害剤
[11.1.3 参照]
ビルダグリプチンとアンジオテンシン変換酵素阻害剤を併用している患者では、併用していない患者に比べて血管性浮腫の発現頻度が高かったとの報告がある。
機序は不明である。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2 次に示す患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい。][1.1 参照],[8.2.1 参照],[8.2.2 参照],[8.2.3 参照],[11.1.1 参照]
- 乳酸アシドーシスの既往のある患者
- 重度の腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)[9.2.1 参照]
- 心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
- 脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
- 過度のアルコール摂取者[肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。][10.1 参照]
- 2.3 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である。]
- 2.4 重度の肝機能障害のある患者[肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスを起こしやすい。また、肝機能障害が悪化するおそれがある。][1.1 参照],[8.2.1 参照],[9.3.1 参照]
- 2.5 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。また、乳酸アシドーシスを起こしやすい。][1.1 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照]
- 2.6 栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こすおそれがある。]
- 2.7 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
4. 効能又は効果
2型糖尿病
ただし、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
- 5.2 本剤LD(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩として50mg/250mg)については、原則として、既にビルダグリプチン50mg 1日2回及びメトホルミン塩酸塩250mg 1日2回を併用し状態が安定している場合、あるいはビルダグリプチン50mg 1日2回又はメトホルミン塩酸塩250mg 1日2回の単剤の治療により効果不十分な場合に、使用を検討すること。
- 5.3 本剤HD(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩として50mg/500mg)については、原則として、既にビルダグリプチン50mg 1日2回及びメトホルミン塩酸塩500mg 1日2回を併用し状態が安定している場合、ビルダグリプチン50mg 1日2回及びメトホルミン塩酸塩250mg 1日2回の治療により効果不十分な場合、あるいはメトホルミン塩酸塩500mg 1日2回の単剤の治療により効果不十分な場合に、使用を検討すること。
- 5.4 本剤投与中において、本剤の投与がビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
- 5.5 中等度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を腎機能に応じて減量するなど慎重な投与が必要であるため、本剤を使用せず、各単剤の併用を検討すること。[8.2.1 参照],[9.2.2 参照],[11.1.1 参照]
- 5.6 本剤の適用においては、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行うこと。
6. 用法及び用量
通常、成人には1回1錠(ビルダグリプチン・メトホルミン塩酸塩として50mg/250mg又は50mg/500mg)を1日2回朝、夕に経口投与する。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の使用にあたっては、患者及び家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。[9.1.1 参照],[11.1.4 参照]
-
8.2 本剤の有効成分であるメトホルミンによりまれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある。リスク因子としては、腎機能障害、肝機能障害、低酸素血症を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている。特に、脱水、過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので、以下の点に注意すること。[1.1 参照],[1.2 参照],[2.5 参照],[9.1.3 参照],[11.1.1 参照]
- 8.2.1 本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に、腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに、患者の状態に十分注意して投与の適否及び投与量の調節を検討すること。なお、高齢者等、特に慎重な経過観察が必要な場合には、より頻回に確認すること。[2.2 参照],[2.4 参照],[5.5 参照],[9.2.3 参照],[9.3.2 参照],[9.8 参照]
- 8.2.2 脱水症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意すること。[2.2 参照],[10.2 参照]
-
8.2.3 本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に、以下の内容を患者及びその家族に十分指導すること。
- 過度のアルコール摂取を避けること。[2.2 参照],[10.1 参照]
- 発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は、脱水状態が懸念されるため、いったん服用を中止し、医師に相談すること。[2.2 参照],[9.1.3 参照]
- 乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、けん怠感、筋肉痛、過呼吸等)があらわれた場合には、直ちに受診すること。[11.1.1 参照]
- 8.2.4 ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、本剤の有効成分であるメトホルミンの併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、検査前は本剤の投与を一時的に中止すること(ただし、緊急に検査を行う必要がある場合を除く)。ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。なお、投与再開時には、患者の状態に注意すること。[10.2 参照]
- 8.3 肝機能障害(肝炎を含む)があらわれることがあるので、本剤投与開始前、投与開始後1年間は少なくとも3ヵ月毎に、その後も定期的に肝機能検査を行うこと。[11.1.2 参照]
- 8.4 本剤の有効成分であるビルダグリプチンにより急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。[11.1.6 参照]
- 8.5 本剤投与中は、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。
- 8.6 低血糖及び低血糖症状を起こすおそれがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。[11.1.4 参照]
- 8.7 本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は検討されていない。
- 8.8 本剤の有効成分であるビルダグリプチンとGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
- 8.9 本剤の有効成分であるメトホルミンとイメグリミンは作用機序の一部が共通している可能性があること、また、イメグリミンの国内臨床試験1) において、ビグアナイド系薬剤と併用した場合、他の糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたとの報告があることから、併用薬剤の選択の際には留意すること。[10.2 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 低血糖をおこすおそれのある以下の患者又は状態
-
9.1.2 *腹部手術の既往又はイレウスの既往のある患者
*腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。[11.1.7 参照]
-
9.1.3 感染症の患者
乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。[8.2 参照],[8.2.3 参照],[11.1.1 参照]
9.2 腎機能障害患者
腎臓における排泄が減少しメトホルミンの血中濃度が上昇するため、乳酸アシドーシス等の発現リスクが高くなる可能性がある。また、ビルダグリプチンの血中濃度が上昇する。[1.1 参照],[1.2 参照],[9.8 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性がある。[1.1 参照],[1.2 参照],[9.8 参照],[11.1.1 参照]
-
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。[2.4 参照]
- 9.3.2 軽度~中等度の肝機能障害のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)でビルダグリプチン及びメトホルミンの胎児への移行が認められている。また、動物実験(ラット)でメトホルミンの催奇形作用が報告されている2) 。また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。[2.7 参照],[11.1.1 参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、ビルダグリプチン及びメトホルミンが乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。[1.2 参照],[8.2.1 参照],[9.2 参照],[9.3 参照],[11.1.1 参照]
- 本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与すること。メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。また、肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する。
- 腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止や減量を検討すること。特に75歳以上の高齢者では、乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断すること。
- 血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察すること。
10. 相互作用
- ビルダグリプチンは主に代謝により消失し、未変化体の尿中排泄率は23%であった。また、メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。[16.5.1 参照],[16.5.2 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避けること。 |
肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。 |
腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。 |
|
併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行うこと。 |
腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。 |
|
脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがある。脱水症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。 |
|
低血糖症状が起こるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 |
血糖降下作用の増強による。 |
低血糖症状が起こるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 |
機序は不明である。 |
|
|
消化器症状の発現に注意すること。 |
特に併用初期に多く発現する傾向が認められている。 |
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 |
血糖降下作用の減弱による。 |
|
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 |
機序は不明である。 |
|
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 |
イソニアジドによる炭水化物代謝阻害が考えられている。 |
|
メトホルミンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与すること。 |
OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを介したメトホルミンの腎排泄が阻害されると考えられている。 |
|
|
*ビルダグリプチンとアンジオテンシン変換酵素阻害剤を併用している患者では、併用していない患者に比べて血管性浮腫の発現頻度が高かったとの報告がある。 |
機序は不明である。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 乳酸アシドーシス(頻度不明)
乳酸アシドーシス(血中乳酸値の上昇、乳酸/ピルビン酸比の上昇、血液pHの低下等を示す)は予後不良のことが多い。一般的に発現する臨床症状は様々であるが、胃腸症状、けん怠感、筋肉痛、過呼吸等の症状がみられることが多く、これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、必要な検査を行うこと。なお、乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には、乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行うこと。[1.1 参照],[1.2 参照],[2.2 参照],[2.5 参照],[5.5 参照],[8.2 参照],[8.2.3 参照],[9.1.3 参照],[9.2 参照],[9.3 参照],[9.5 参照],[9.8 参照],[10.1 参照],[10.2 参照],[13.1 参照]
-
11.1.2 肝炎、肝機能障害、黄疸(頻度不明)
ALT又はAST、ALP、γ-GTP、ビリルビンの上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。黄疸や肝機能障害を示唆するその他の症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止すること。ビルダグリプチンにおいて、投与中止後に肝酵素の上昇が回復したものの、再投与により再発した症例が報告されていることから、黄疸や肝機能障害を示唆するその他の症状が回復した場合でも本剤を含むビルダグリプチンを含有する製剤を再投与しないこと。[8.3 参照]
-
11.1.3 *血管性浮腫(頻度不明)
*ビルダグリプチンとアンジオテンシン変換酵素阻害剤を併用している患者では、併用していない患者に比べて血管性浮腫の発現頻度が高かったとの報告がある。[10.2 参照]
-
11.1.4 低血糖(頻度不明)
低血糖があらわれることがある。スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。[8.1 参照],[8.6 参照],[9.1.1 参照],[10.2 参照]
-
11.1.5 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
-
11.1.6 急性膵炎(頻度不明)
持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.4 参照]
-
11.1.7 *イレウス(頻度不明)
*腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.2 参照]
-
11.1.8 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
-
11.1.9 類天疱瘡(頻度不明)
水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
1~5%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
血液及びリンパ系障害 |
― |
白血球数増加、貧血 |
白血球数減少、血小板数減少、好酸球数増加 |
神経系障害 |
めまい・ふらつき |
振戦 |
味覚異常、頭重、頭痛、眠気 |
心臓障害 |
― |
― |
動悸 |
血管障害 |
― |
高血圧 |
― |
胃腸障害 注1) |
便秘、アミラーゼ増加、下痢、悪心 |
胃炎、腹部不快感、腹部膨満、鼓腸、放屁増加、胃食道逆流性疾患、リパーゼ増加 |
腹痛、食欲減退、消化不良、嘔吐、胃腸障害 |
肝胆道系障害 |
― |
ALT増加、AST増加、ALP増加 |
γ-GTP増加、胆嚢炎 |
腎及び尿路障害 |
― |
― |
クレアチニン増加、BUN増加 |
代謝及び栄養障害 |
― |
乳酸増加、尿酸増加 |
ケトーシス、カリウム増加、ビタミンB12減少 注2) |
筋骨格系障害 |
― |
関節痛 |
筋肉痛 注1) |
皮膚障害 |
― |
多汗症 |
湿疹、発疹、そう痒症、蕁麻疹、皮膚剥脱、水疱、皮膚血管炎 |
その他 |
空腹 |
無力症、CRP増加、CK-MB増加、CK増加、体重増加、悪寒 |
けん怠感 注1) 、浮腫 |
13. 過量投与
-
13.1 症状
乳酸アシドーシスが起こることがある。[11.1.1 参照]
-
13.2 処置
乳酸アシドーシスが認められた場合は、アシドーシスの補正(炭酸水素ナトリウム静注等)、輸液(強制利尿)、血液透析等の適切な処置を行う。なお、ビルダグリプチンは血液透析により除去されない。
15. その他の注意
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 マウスを用いたビルダグリプチンの104週間反復経口投与がん原性試験において、1,000mg/kg/日(50mg 1日2回用量でのヒト曝露量(AUC)の199倍)群の雌で乳腺腺癌の発生例数が増加し、1,000mg/kg/日群の雌及び250mg/kg/日以上群の雄で血管肉腫の発生例数が増加した。
-
15.2.2 カニクイザルを用いたビルダグリプチンの13週間経口投与毒性試験において、50mg 1日2回用量でのヒト曝露量(AUC)に相当する5mg/kg/日以上の用量で、四肢、耳及び尾部等の皮膚病変(5mg/kg/日で投与期間中に消失した一過性の水疱、20mg/kg/日以上で落屑、痂皮等、80mg/kg/日以上で壊死等)が報告されている。
また、カニクイザルを用いたビルダグリプチンの他の経口投与毒性試験において、20mg/kg/日以上の用量で、個体により初回投与後に急性毒性徴候として、骨格筋壊死、血液生化学的パラメータ(LDH、CK、ALT及びAST)の上昇、体温低下、血圧低下又は頻脈を伴う体の先端部分の浮腫が報告されている。40mg/kg/日以上の用量で、一部の個体で瀕死もしくは死亡が認められた一方で、生存例では症状は一過性で投与期間中に回復した。
なお、同様の毒性所見は他の動物種(マウス、ラット、イヌ及びウサギ)及びヒトでは報告されていない。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2 次に示す患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい。][1.1 参照],[8.2.1 参照],[8.2.2 参照],[8.2.3 参照],[11.1.1 参照]
- 乳酸アシドーシスの既往のある患者
- 重度の腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)[9.2.1 参照]
- 心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
- 脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
- 過度のアルコール摂取者[肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。][10.1 参照]
- 2.3 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である。]
- 2.4 重度の肝機能障害のある患者[肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスを起こしやすい。また、肝機能障害が悪化するおそれがある。][1.1 参照],[8.2.1 参照],[9.3.1 参照]
- 2.5 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。また、乳酸アシドーシスを起こしやすい。][1.1 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照]
- 2.6 栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こすおそれがある。]
- 2.7 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
4. 効能又は効果
2型糖尿病
ただし、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
- 5.2 本剤LD(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩として50mg/250mg)については、原則として、既にビルダグリプチン50mg 1日2回及びメトホルミン塩酸塩250mg 1日2回を併用し状態が安定している場合、あるいはビルダグリプチン50mg 1日2回又はメトホルミン塩酸塩250mg 1日2回の単剤の治療により効果不十分な場合に、使用を検討すること。
- 5.3 本剤HD(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩として50mg/500mg)については、原則として、既にビルダグリプチン50mg 1日2回及びメトホルミン塩酸塩500mg 1日2回を併用し状態が安定している場合、ビルダグリプチン50mg 1日2回及びメトホルミン塩酸塩250mg 1日2回の治療により効果不十分な場合、あるいはメトホルミン塩酸塩500mg 1日2回の単剤の治療により効果不十分な場合に、使用を検討すること。
- 5.4 本剤投与中において、本剤の投与がビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
- 5.5 中等度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を腎機能に応じて減量するなど慎重な投与が必要であるため、本剤を使用せず、各単剤の併用を検討すること。[8.2.1 参照],[9.2.2 参照],[11.1.1 参照]
- 5.6 本剤の適用においては、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行うこと。
6. 用法及び用量
通常、成人には1回1錠(ビルダグリプチン・メトホルミン塩酸塩として50mg/250mg又は50mg/500mg)を1日2回朝、夕に経口投与する。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の使用にあたっては、患者及び家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。[9.1.1 参照],[11.1.4 参照]
-
8.2 本剤の有効成分であるメトホルミンによりまれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある。リスク因子としては、腎機能障害、肝機能障害、低酸素血症を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている。特に、脱水、過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので、以下の点に注意すること。[1.1 参照],[1.2 参照],[2.5 参照],[9.1.3 参照],[11.1.1 参照]
- 8.2.1 本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に、腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに、患者の状態に十分注意して投与の適否及び投与量の調節を検討すること。なお、高齢者等、特に慎重な経過観察が必要な場合には、より頻回に確認すること。[2.2 参照],[2.4 参照],[5.5 参照],[9.2.3 参照],[9.3.2 参照],[9.8 参照]
- 8.2.2 脱水症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意すること。[2.2 参照],[10.2 参照]
-
8.2.3 本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に、以下の内容を患者及びその家族に十分指導すること。
- 過度のアルコール摂取を避けること。[2.2 参照],[10.1 参照]
- 発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は、脱水状態が懸念されるため、いったん服用を中止し、医師に相談すること。[2.2 参照],[9.1.3 参照]
- 乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、けん怠感、筋肉痛、過呼吸等)があらわれた場合には、直ちに受診すること。[11.1.1 参照]
- 8.2.4 ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、本剤の有効成分であるメトホルミンの併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、検査前は本剤の投与を一時的に中止すること(ただし、緊急に検査を行う必要がある場合を除く)。ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。なお、投与再開時には、患者の状態に注意すること。[10.2 参照]
- 8.3 肝機能障害(肝炎を含む)があらわれることがあるので、本剤投与開始前、投与開始後1年間は少なくとも3ヵ月毎に、その後も定期的に肝機能検査を行うこと。[11.1.2 参照]
- 8.4 本剤の有効成分であるビルダグリプチンにより急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。[11.1.6 参照]
- 8.5 本剤投与中は、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。
- 8.6 低血糖及び低血糖症状を起こすおそれがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。[11.1.4 参照]
- 8.7 本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は検討されていない。
- 8.8 本剤の有効成分であるビルダグリプチンとGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
- 8.9 本剤の有効成分であるメトホルミンとイメグリミンは作用機序の一部が共通している可能性があること、また、イメグリミンの国内臨床試験1) において、ビグアナイド系薬剤と併用した場合、他の糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたとの報告があることから、併用薬剤の選択の際には留意すること。[10.2 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 低血糖をおこすおそれのある以下の患者又は状態
-
9.1.2 *腹部手術の既往又はイレウスの既往のある患者
*腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。[11.1.7 参照]
-
9.1.3 感染症の患者
乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。[8.2 参照],[8.2.3 参照],[11.1.1 参照]
9.2 腎機能障害患者
腎臓における排泄が減少しメトホルミンの血中濃度が上昇するため、乳酸アシドーシス等の発現リスクが高くなる可能性がある。また、ビルダグリプチンの血中濃度が上昇する。[1.1 参照],[1.2 参照],[9.8 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性がある。[1.1 参照],[1.2 参照],[9.8 参照],[11.1.1 参照]
-
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。[2.4 参照]
- 9.3.2 軽度~中等度の肝機能障害のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)でビルダグリプチン及びメトホルミンの胎児への移行が認められている。また、動物実験(ラット)でメトホルミンの催奇形作用が報告されている2) 。また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。[2.7 参照],[11.1.1 参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、ビルダグリプチン及びメトホルミンが乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。[1.2 参照],[8.2.1 参照],[9.2 参照],[9.3 参照],[11.1.1 参照]
- 本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与すること。メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。また、肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する。
- 腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止や減量を検討すること。特に75歳以上の高齢者では、乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断すること。
- 血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察すること。
10. 相互作用
- ビルダグリプチンは主に代謝により消失し、未変化体の尿中排泄率は23%であった。また、メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。[16.5.1 参照],[16.5.2 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避けること。 |
肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。 |
腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。 |
|
併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行うこと。 |
腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。 |
|
脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがある。脱水症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。 |
|
低血糖症状が起こるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 |
血糖降下作用の増強による。 |
低血糖症状が起こるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 |
機序は不明である。 |
|
|
消化器症状の発現に注意すること。 |
特に併用初期に多く発現する傾向が認められている。 |
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 |
血糖降下作用の減弱による。 |
|
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 |
機序は不明である。 |
|
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 |
イソニアジドによる炭水化物代謝阻害が考えられている。 |
|
メトホルミンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与すること。 |
OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを介したメトホルミンの腎排泄が阻害されると考えられている。 |
|
|
*ビルダグリプチンとアンジオテンシン変換酵素阻害剤を併用している患者では、併用していない患者に比べて血管性浮腫の発現頻度が高かったとの報告がある。 |
機序は不明である。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 乳酸アシドーシス(頻度不明)
乳酸アシドーシス(血中乳酸値の上昇、乳酸/ピルビン酸比の上昇、血液pHの低下等を示す)は予後不良のことが多い。一般的に発現する臨床症状は様々であるが、胃腸症状、けん怠感、筋肉痛、過呼吸等の症状がみられることが多く、これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、必要な検査を行うこと。なお、乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には、乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行うこと。[1.1 参照],[1.2 参照],[2.2 参照],[2.5 参照],[5.5 参照],[8.2 参照],[8.2.3 参照],[9.1.3 参照],[9.2 参照],[9.3 参照],[9.5 参照],[9.8 参照],[10.1 参照],[10.2 参照],[13.1 参照]
-
11.1.2 肝炎、肝機能障害、黄疸(頻度不明)
ALT又はAST、ALP、γ-GTP、ビリルビンの上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。黄疸や肝機能障害を示唆するその他の症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止すること。ビルダグリプチンにおいて、投与中止後に肝酵素の上昇が回復したものの、再投与により再発した症例が報告されていることから、黄疸や肝機能障害を示唆するその他の症状が回復した場合でも本剤を含むビルダグリプチンを含有する製剤を再投与しないこと。[8.3 参照]
-
11.1.3 *血管性浮腫(頻度不明)
*ビルダグリプチンとアンジオテンシン変換酵素阻害剤を併用している患者では、併用していない患者に比べて血管性浮腫の発現頻度が高かったとの報告がある。[10.2 参照]
-
11.1.4 低血糖(頻度不明)
低血糖があらわれることがある。スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。[8.1 参照],[8.6 参照],[9.1.1 参照],[10.2 参照]
-
11.1.5 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
-
11.1.6 急性膵炎(頻度不明)
持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.4 参照]
-
11.1.7 *イレウス(頻度不明)
*腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.2 参照]
-
11.1.8 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
-
11.1.9 類天疱瘡(頻度不明)
水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
1~5%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
血液及びリンパ系障害 |
― |
白血球数増加、貧血 |
白血球数減少、血小板数減少、好酸球数増加 |
神経系障害 |
めまい・ふらつき |
振戦 |
味覚異常、頭重、頭痛、眠気 |
心臓障害 |
― |
― |
動悸 |
血管障害 |
― |
高血圧 |
― |
胃腸障害 注1) |
便秘、アミラーゼ増加、下痢、悪心 |
胃炎、腹部不快感、腹部膨満、鼓腸、放屁増加、胃食道逆流性疾患、リパーゼ増加 |
腹痛、食欲減退、消化不良、嘔吐、胃腸障害 |
肝胆道系障害 |
― |
ALT増加、AST増加、ALP増加 |
γ-GTP増加、胆嚢炎 |
腎及び尿路障害 |
― |
― |
クレアチニン増加、BUN増加 |
代謝及び栄養障害 |
― |
乳酸増加、尿酸増加 |
ケトーシス、カリウム増加、ビタミンB12減少 注2) |
筋骨格系障害 |
― |
関節痛 |
筋肉痛 注1) |
皮膚障害 |
― |
多汗症 |
湿疹、発疹、そう痒症、蕁麻疹、皮膚剥脱、水疱、皮膚血管炎 |
その他 |
空腹 |
無力症、CRP増加、CK-MB増加、CK増加、体重増加、悪寒 |
けん怠感 注1) 、浮腫 |
13. 過量投与
-
13.1 症状
乳酸アシドーシスが起こることがある。[11.1.1 参照]
-
13.2 処置
乳酸アシドーシスが認められた場合は、アシドーシスの補正(炭酸水素ナトリウム静注等)、輸液(強制利尿)、血液透析等の適切な処置を行う。なお、ビルダグリプチンは血液透析により除去されない。
15. その他の注意
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 マウスを用いたビルダグリプチンの104週間反復経口投与がん原性試験において、1,000mg/kg/日(50mg 1日2回用量でのヒト曝露量(AUC)の199倍)群の雌で乳腺腺癌の発生例数が増加し、1,000mg/kg/日群の雌及び250mg/kg/日以上群の雄で血管肉腫の発生例数が増加した。
-
15.2.2 カニクイザルを用いたビルダグリプチンの13週間経口投与毒性試験において、50mg 1日2回用量でのヒト曝露量(AUC)に相当する5mg/kg/日以上の用量で、四肢、耳及び尾部等の皮膚病変(5mg/kg/日で投与期間中に消失した一過性の水疱、20mg/kg/日以上で落屑、痂皮等、80mg/kg/日以上で壊死等)が報告されている。
また、カニクイザルを用いたビルダグリプチンの他の経口投与毒性試験において、20mg/kg/日以上の用量で、個体により初回投与後に急性毒性徴候として、骨格筋壊死、血液生化学的パラメータ(LDH、CK、ALT及びAST)の上昇、体温低下、血圧低下又は頻脈を伴う体の先端部分の浮腫が報告されている。40mg/kg/日以上の用量で、一部の個体で瀕死もしくは死亡が認められた一方で、生存例では症状は一過性で投与期間中に回復した。
なお、同様の毒性所見は他の動物種(マウス、ラット、イヌ及びウサギ)及びヒトでは報告されていない。