薬効分類名エンドセリン受容体拮抗薬/ホスホジエステラーゼ5阻害剤

一般的名称マシテンタン

ユバンシ配合錠

ゆばんしはいごうじょう

Yuvanci Combination Tablets

製造販売元(輸入)/ヤンセンファーマ株式会社、販売提携先/日本新薬株式会社

第3版
警告禁忌相互作用合併症・既往歴等のある患者腎機能障害患者肝機能障害患者生殖能を有する者妊婦授乳婦小児等高齢者

重大な副作用

頻度
副作用
6.5%
頻度不明

その他の副作用

部位
頻度
副作用
感染症・発熱
5%未満
感染症・発熱
頻度不明
血液系
頻度不明
免疫系
5%未満
免疫系
頻度不明
内分泌・代謝系
頻度不明
脳・神経
頻度不明
脳・神経
5%以上
5%未満
口腔・咽頭・耳・鼻
頻度不明
心臓・血管
5%未満
心臓・血管
5%未満
心臓・血管
頻度不明
肺・呼吸
5%未満
肺・呼吸
頻度不明
胃腸・消化器系
頻度不明
皮膚
頻度不明
運動器
5%未満
運動器
頻度不明
生殖系
頻度不明
全身・局所・適用部位
5%以上
全身・局所・適用部位
5%未満
全身・局所・適用部位
頻度不明
その他
頻度不明

併用注意

薬剤名等

中程度のCYP3A4阻害作用かつ中程度のCYP2C9阻害作用を有する薬剤

  • フルコナゾール

[16.7.1 参照]

臨床症状・措置方法

マシテンタンの血中濃度が上昇し、マシテンタンの副作用が発現しやすくなるおそれがある。

機序・危険因子

CYP3A4阻害作用及びCYP2C9阻害作用により、マシテンタンの曝露量を増加させる可能性がある。

薬剤名等

CYP3A4誘導剤

  • エファビレンツ
  • モダフィニル
  • ルフィナミド等
臨床症状・措置方法

マシテンタン及びタダラフィルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。

機序・危険因子

CYP3A4誘導作用により、マシテンタン及びタダラフィルの曝露量を減少させる。

薬剤名等

CYP3A4阻害剤

  • ホスアンプレナビル
  • ジルチアゼム
  • エリスロマイシン
  • ベラパミル
  • グレープフルーツジュース等
臨床症状・措置方法

タダラフィルの血中濃度が上昇し、タダラフィルの副作用が発現しやすくなるおそれがある。

機序・危険因子

CYP3A4阻害作用により、タダラフィルの曝露量を増加させる。

薬剤名等

ボセンタン

[16.7.2 参照]

臨床症状・措置方法

ボセンタン(125mg/1日2回投与)との10日間併用により、タダラフィル(40mg)の10日目におけるAUC及びCmaxが初日と比べてそれぞれ41.5%及び26.6%低下するとの報告がある。タダラフィルによるボセンタンのAUC及びCmaxに対する影響はみられなかった。

機序・危険因子

CYP3A4誘導によるクリアランスの増加によりタダラフィルの血漿中濃度が低下する。

薬剤名等

α遮断剤

  • ドキサゾシン
  • テラゾシン等

[16.7.2 参照]

臨床症状・措置方法

ドキサゾシン(8mg)とタダラフィル(20mg)の併用により、立位収縮期血圧及び拡張期血圧は最大それぞれ9.81mmHg及び5.33mmHg下降するとの報告がある。また、α遮断剤とタダラフィルの併用で失神等の症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。

機序・危険因子

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

薬剤名等

降圧剤

  • アムロジピン
  • メトプロロール
  • エナラプリル
  • カンデサルタン等
臨床症状・措置方法

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤(単剤又は多剤)とタダラフィル(20mg)の併用により、自由行動下収縮期血圧及び拡張期血圧は最大それぞれ8mmHg及び4mmHg下降するとの報告がある。

機序・危険因子

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

薬剤名等

カルペリチド

臨床症状・措置方法

タダラフィルとの併用により降圧作用が増強するおそれがある。

機序・危険因子

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

薬剤名等

ビタミンK拮抗薬

  • ワルファリン

[9.1.10 参照]

臨床症状・措置方法

タダラフィル(10及び20mg/日)との併用において、ワルファリン(25mg)の薬物動態及び抗凝固作用に対する影響は認められなかったが、併用により出血の危険性が高まるおそれがある。

機序・危険因子

ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法を施行している患者では出血の危険性が高まるおそれがある。

薬剤名等

ベルイシグアト

臨床症状・措置方法

症候性低血圧を起こすおそれがある。治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、治療上やむを得ないと判断された場合にのみ併用すること。

機序・危険因子

細胞内cGMP濃度が増加し、降圧作用を増強するおそれがある。

詳細情報

正確な情報は PMDA で必ず確認して下さい

注意以下の情報は参考資料としてご活用下さい

1. 警告

タダラフィルと硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されないよう十分注意すること。[2.3 参照],[10.1 参照]
ただし、肺動脈性肺高血圧症の治療において一酸化窒素吸入療法と本剤の併用が治療上必要と判断される場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで、慎重に投与すること。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.4 参照],[9.5 参照]
  2. 2.2 重度の低血圧(血圧<90/50mmHg)の患者[8.4 参照]
  3. 2.3 硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を投与中の患者[1 参照],[10.1 参照]
  4. 2.4 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者[10.1 参照]
  5. 2.5 **強いCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、リトナビル含有製剤、アタザナビル、ダルナビル含有製剤、クラリスロマイシン、コビシスタット含有製剤、エンシトレルビル、セリチニブ)を投与中の患者[10.1 参照],[16.7.2 参照]
  6. 2.6 強いCYP3A4誘導剤(リファンピシン、セイヨウオトギリソウ含有食品、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、リファブチン)を投与中の患者[10.1 参照],[16.7.1 参照]
  7. 2.7 重度の腎障害患者[9.2.1 参照]
  8. 2.8 重度の肝障害患者[9.3.1 参照]
  9. 2.9 本剤及び本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ユバンシ配合錠

有効成分 (1錠中)
マシテンタン10mg、タダラフィル40mg  
添加剤 乳糖水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリソルベート80、ポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、トリアセチン、タルク

3.2 製剤の性状

ユバンシ配合錠

性状・剤形 白色のフィルムコーティング錠
外形 表面                                        
裏面                                        
側面                                        
大きさ 長径(mm) 15
短径(mm) 7
厚さ(mm) 4.7
重量(g) 0.4233
識別コード MT 1040

4. 効能又は効果

肺動脈性肺高血圧症

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤を肺動脈性肺高血圧症の第一選択薬としないこと。
  2. 5.2 本剤の使用にあたっては、最新の治療ガイドラインを参考に投与の要否を検討すること。
  3. 5.3 原則として、マシテンタン10mg1日1回及びタダラフィル40mg1日1回による併用治療を受けている場合に、本剤の使用を検討すること。
  4. 5.4 WHO機能分類クラスⅠにおける有効性及び安全性は確立していない。

6. 用法及び用量

通常、成人には1日1回1錠(マシテンタンとして10mg及びタダラフィルとして40mg)を経口投与する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 他のエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)において肝酵素値上昇が認められているため、肝機能検査を必ず投与開始前に行い、投与中は、必要に応じて肝機能検査を定期的に実施すること。本剤投与中に臨床的に顕著にAST、ALT値が上昇した場合、これら肝酵素値上昇に伴いビリルビン値が基準値上限の2倍を超える場合、又はこれら肝酵素値上昇に伴い黄疸などの肝障害の徴候を伴う場合には、本剤の投与を中止すること。[9.3.2 参照]
  2. 8.2 ヘモグロビン減少が起こる可能性があるため、本剤の投与開始前及び投与中は必要に応じてヘモグロビン濃度を定期的に測定することが望ましい。[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
  3. 8.3 本剤の投与により肺水腫の徴候がみられた場合は肺静脈閉塞性疾患の可能性を考慮すること。肺静脈閉塞性疾患が疑われた場合には、本剤の投与を中止すること。[9.1.3 参照]
  4. 8.4 本剤は血管拡張作用を有するため、本剤の投与に際しては、血管拡張作用により患者が有害な影響を受ける可能性がある状態(降圧剤投与中、安静時低血圧、血液量減少、重度の左室流出路閉塞、自律神経機能障害等)にあるのかを十分検討すること。[2.2 参照]
  5. 8.5 4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国にてごくまれに報告されている。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに医師の診断を受けるよう指導すること。
  6. 8.6 タダラフィルの臨床試験において、めまいや視覚障害が認められているので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
  7. 8.7 本剤投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[15.1.2 参照]
  8. 8.8 本剤投与後に急激な聴力低下又は突発性難聴(耳鳴り、めまいを伴うことがある)があらわれた場合には、速やかに耳鼻科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[15.1.2 参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 重度の貧血のある患者

                  [8.2 参照],[11.1.1 参照]

  2. 9.1.2 コントロール不良の不整脈又はコントロール不良の高血圧(安静時血圧>160/100mmHg)のある患者

    これらの患者における安全性及び有効性は確立していない。

  3. 9.1.3 肺静脈閉塞性疾患患者

    本剤を投与しないことが望ましい。血管拡張薬を使用した場合に肺水腫の発現が報告されている。[8.3 参照]

  4. 9.1.4 脳梗塞・脳出血の既往歴が最近6カ月以内にある患者

    これらの患者における安全性及び有効性は確立していない。

  5. 9.1.5 網膜色素変性症患者

    ホスホジエステラーゼ(PDE)の遺伝的障害を持つ症例が少数認められる。

  6. 9.1.6 陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)のある患者

    タダラフィルの薬理作用により勃起が起こり、その結果陰茎に痛みを引き起こす可能性がある。

  7. 9.1.7 持続勃起症の素因となり得る疾患(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)のある患者
  8. 9.1.8 出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者

    タダラフィルのin vitro試験でニトロプルシドナトリウム(NO供与剤)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている。出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない。

  9. 9.1.9 重症の左室流出路閉塞、体液減少、自律神経障害に伴う低血圧や安静時低血圧等を有する患者

    本剤は血管拡張作用を有するため一過性の軽度の血圧低下があらわれる場合がある。

  10. 9.1.10 出血の危険因子(ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法、抗血小板療法、結合組織疾患に伴う血小板機能異常、経鼻酸素療法)を有する患者

    出血の危険性が高まるおそれがある。[10.2 参照]

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重度の腎障害患者

    投与しないこと。タダラフィルの血漿中濃度が上昇し、また透析によるクリアランスの促進は期待されない。また、これらの患者は臨床試験では除外されている。[2.7 参照],[16.6.2 参照]

  2. 9.2.2 軽度又は中等度の腎障害患者

    クレアチニンクリアランスが60mL/分未満又は慢性腎障害の徴候が見られる日本人患者は本剤の臨床試験では除外されている。[16.6.2 参照]

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重度の肝障害患者

    投与しないこと。他のERAにおいて重篤な肝障害の報告がある。これらの患者は臨床試験では除外されている。[2.8 参照],[16.6.1 参照]

  2. 9.3.2 軽度又は中等度の肝障害患者

    肝酵素(AST、ALT)値のいずれか又は両方が基準値上限の1.5倍を超える患者は本剤の臨床試験では除外されている。[8.1 参照],[16.6.1 参照]

9.4 生殖能を有する者

本剤の投与に際しては、以下について説明及び指導し、妊娠する可能性のある女性には本剤投与開始前及び投与中は1カ月に1回妊娠検査を実施すること。[2.1 参照],[9.5 参照]
(1)妊娠中に本剤を服用した場合の胎児に及ぼす危険性
(2)投与中及び投与中止後1カ月間は確実な避妊法を用いるとともに、妊娠した場合若しくはその疑いがある場合には、医師に直ちに連絡すること

9.5 妊婦

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[2.1 参照],[9.4 参照]
    1. 9.5.1 マシテンタン

      動物実験(ラット及びウサギ)で下顎弓癒合異常及び心血管系異常などが報告されており、最小毒性量に基づく安全域はラットで約3倍未満、ウサギで約30倍未満であった。また、胚吸収増加などが報告されている。

9.6 授乳婦

  • 本剤投与中は授乳しないことが望ましい。
    1. 9.6.1 マシテンタン

      動物実験(ラット)では、マシテンタンは乳汁中に移行することが確認されている。また、母動物(ラット)に妊娠17日から分娩後20日まで経口投与した結果、出生児の体重の低値及び死亡の増加が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下していることが多い。[16.6.3 参照]

10. 相互作用

  • マシテンタンは主にCYP3A4及びCYP2C9により代謝される。タダラフィルは主にCYP3A4により代謝される。[16.4.1 参照]

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

硝酸剤及びNO供与剤

  • ニトログリセリン
  • 亜硝酸アミル
  • 硝酸イソソルビド
  • ニコランジル等

                  [1 参照],[2.3 参照]

これらの薬剤とタダラフィルの併用により、降圧作用を増強するとの報告がある。1) ,2) ,3)

NOはcGMPの産生を刺激し、一方、タダラフィルはcGMPの分解を抑制することから、これらの薬剤との併用によりcGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強する。

sGC刺激剤

  • リオシグアト(アデムパス)

                  [2.4 参照]                 

併用により、血圧低下を起こすおそれがある。

リオシグアトとタダラフィルの併用により、細胞内cGMP濃度が増加し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある。

強いCYP3A4阻害剤

  • イトラコナゾール(イトリゾール)
  • リトナビル含有製剤(ノービア、カレトラ、パキロビッド)
  • アタザナビル(レイアタッツ)
  • ダルナビル含有製剤(プリジスタ、プレジコビックス、シムツーザ)
  • クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)
  • コビシスタット含有製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
  • エンシトレルビル(ゾコーバ)
  • **セリチニブ(ジカディア)

                  [2.5 参照],[16.7.2 参照]

マシテンタン及びタダラフィルの血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。

強いCYP3A4阻害作用により、マシテンタン及びタダラフィルの曝露量を増加させる。

強いCYP3A4誘導剤

  • リファンピシン(リファジン)
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
  • カルバマゼピン(テグレトール)
  • フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)
  • フェノバルビタール(フェノバール等)
  • リファブチン(ミコブティン)

                  [2.6 参照],[16.7.1 参照]

マシテンタン及びタダラフィルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。

リファンピシン(600mg/日)との併用により、タダラフィル(10mg)のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下するとの報告がある。

強いCYP3A4誘導作用により、マシテンタン及びタダラフィルの曝露量を減少させる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

中程度のCYP3A4阻害作用かつ中程度のCYP2C9阻害作用を有する薬剤

  • フルコナゾール

                  [16.7.1 参照]                 

マシテンタンの血中濃度が上昇し、マシテンタンの副作用が発現しやすくなるおそれがある。

CYP3A4阻害作用及びCYP2C9阻害作用により、マシテンタンの曝露量を増加させる可能性がある。

CYP3A4誘導剤

  • エファビレンツ
  • モダフィニル
  • ルフィナミド等

マシテンタン及びタダラフィルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。

CYP3A4誘導作用により、マシテンタン及びタダラフィルの曝露量を減少させる。

CYP3A4阻害剤

  • ホスアンプレナビル
  • ジルチアゼム
  • エリスロマイシン
  • ベラパミル
  • グレープフルーツジュース等

タダラフィルの血中濃度が上昇し、タダラフィルの副作用が発現しやすくなるおそれがある。

CYP3A4阻害作用により、タダラフィルの曝露量を増加させる。

ボセンタン

                  [16.7.2 参照]                 

ボセンタン(125mg/1日2回投与)との10日間併用により、タダラフィル(40mg)の10日目におけるAUC及びCmaxが初日と比べてそれぞれ41.5%及び26.6%低下するとの報告がある。タダラフィルによるボセンタンのAUC及びCmaxに対する影響はみられなかった。

CYP3A4誘導によるクリアランスの増加によりタダラフィルの血漿中濃度が低下する。

α遮断剤

  • ドキサゾシン
  • テラゾシン等

                  [16.7.2 参照]                 

ドキサゾシン(8mg)とタダラフィル(20mg)の併用により、立位収縮期血圧及び拡張期血圧は最大それぞれ9.81mmHg及び5.33mmHg下降するとの報告がある。4) また、α遮断剤とタダラフィルの併用で失神等の症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

降圧剤

  • アムロジピン
  • メトプロロール
  • エナラプリル
  • カンデサルタン等

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤(単剤又は多剤)とタダラフィル(20mg)の併用により、自由行動下収縮期血圧及び拡張期血圧は最大それぞれ8mmHg及び4mmHg下降するとの報告がある。5)

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

カルペリチド

タダラフィルとの併用により降圧作用が増強するおそれがある。

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

ビタミンK拮抗薬

  • ワルファリン

                  [9.1.10 参照]                 

タダラフィル(10及び20mg/日)との併用において、ワルファリン(25mg)の薬物動態及び抗凝固作用に対する影響は認められなかったが、併用により出血の危険性が高まるおそれがある。

ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法を施行している患者では出血の危険性が高まるおそれがある。

ベルイシグアト

症候性低血圧を起こすおそれがある。治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、治療上やむを得ないと判断された場合にのみ併用すること。

細胞内cGMP濃度が増加し、降圧作用を増強するおそれがある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 貧血(6.5%)

    貧血、ヘモグロビン減少が起こる可能性がある。[8.2 参照],[9.1.1 参照]

  2. 11.1.2 過敏症

    発疹(1.1%)、蕁麻疹(頻度不明)、顔面浮腫(0.5%)、剥脱性皮膚炎(頻度不明)、Stevens-Johnson症候群(頻度不明)等があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

5%以上

5%未満

頻度不明

感染症及び寄生虫症

上気道感染

上咽頭炎、インフルエンザ、尿路感染

血液及びリンパ系障害

血小板減少、INR増加

免疫系障害

血管浮腫

皮疹、蕁麻疹、貪食細胞性組織球症

代謝および栄養障害

食欲不振

精神障害

睡眠障害、うつ病

神経系障害

頭痛

片頭痛、失神、浮動性めまい、下肢静止不能症候群、感覚鈍麻、錯感覚、脳卒中注1)

眼障害

霧視、網膜静脈閉塞

眼充血、眼痛、結膜出血、視力低下、眼の異常感、眼乾燥、非動脈炎性前部虚血性視神経症注2)、視野欠損、視覚障害、中心性漿液性脈絡網膜症

耳および迷路障害

回転性めまい

心臓障害

動悸、心不全、頻脈

血管障害

低血圧、潮紅

ほてり、心筋梗塞注1)、心突然死注1)、高血圧、レイノー現象、血腫

呼吸器、胸郭及び縦隔障害

鼻閉、呼吸困難、鼻出血

副鼻腔うっ血

胃腸障害

悪心、下痢、嘔吐、消化不良、腹部不快感、腹部膨満、口内乾燥、胃食道逆流性疾患

上腹部痛、胃炎、鼓腸、腹痛、胃不快感

皮膚及び皮下組織障害

そう痒症、多汗症

筋骨格系及び結合組織障害

筋肉痛、四肢痛

背部痛、筋痙縮、関節痛、筋骨格硬直、関節炎、四肢不快感

*生殖系及び乳房障害

子宮出血増加(月経中間期出血、重度月経出血、不規則月経等)、月経過多、持続勃起症、勃起延長

一般・全身障害及び投与部位の状態

浮腫/体液貯留

疼痛、顔面腫脹、疲労

腫脹、胸痛

臨床検査

トランスアミナーゼ上昇、ALT増加、AST増加、体重増加

肝機能検査異常、ヘマトクリット減少、白血球数減少

傷害、中毒および処置合併症

挫傷

注1)これらのほとんどの症例がタダラフィル投与前から心血管系障害等の危険因子を有していたことが報告されており、これらの事象がタダラフィル、性行為又は患者が以前から有していた心血管系障害の危険因子に起因して発現したものなのか、又は、これらの要因の組合せにより発現したものなのかを特定することはできない。
注2)[15.1.2 参照]

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    外国において、健康男性にマシテンタン600mgを単回経口投与した時、主な有害事象は、頭痛、悪心、嘔吐であった。

  2. 13.2 処置

    個々の成分データに基づくと、透析による除去は期待できない。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

ブリスターシートから取り出して服用するよう指導すること。シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 マシテンタン
    1. (1) 海外臨床試験において、月経障害、卵巣嚢胞、白血球減少症及び白血球減少に関する有害事象がプラセボ群では1.1%(2/184例)、0.0%(0/184例)、1.6%(4/249例)及び0.0%(0/249例)であったのに対し、マシテンタン10mg投与では5.1%(10/194例)、1.5%(3/194例)、2.5%(6/242例)及び0.8%(2/242例)であり、プラセボに比べ、マシテンタンで多く報告された。
    2. (2) 関連性は明確ではないがマシテンタン投与後に精子数減少をみとめた症例が報告されており、マシテンタンはヒトの精子形成に影響を及ぼすおそれがある。なお、他のERAを服用した患者においても精子数減少が報告されている。
  2. 15.1.2 タダラフィル
    1. (1) 勃起不全治療剤として使用されたタダラフィルの市販後の自発報告において、心筋梗塞、心突然死、心室性不整脈、脳出血、一過性脳虚血発作等の重篤な心血管系障害がタダラフィル投与後に発現している。これらの多くが心血管系のリスクファクターを有している患者であった。多くの事象が、性行為中又は性行為後に認められ、少数例ではあるが、性行為なしにタダラフィル投与後に認められたものもあった。その他は、タダラフィルを投与し性行為後の数時間から数日後に報告されている。これらの症例について、タダラフィル、性行為、本来患者が有していた心血管系障害、これらの要因の組合せ又は他の要因に直接関連するかどうかを確定することはできない。
    2. (2) 薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において男性勃起不全治療剤として使用されたタダラフィルを含むPDE5阻害剤投与後に、まれに視力低下や視力喪失の原因となりうる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現が報告されている。6) これらの患者の多くは、NAIONの危険因子[年齢(50歳以上)、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙等]を有していた。7)
      外国において、NAIONを発現した45歳以上の男性(肺動脈性肺高血圧症に使用された症例は除く)を対象として実施された自己対照研究では、PDE5阻害剤の投与から消失半減期(T1/2)の5倍の期間内(タダラフィルの場合約4日以内に相当)は、NAION発現リスクが約2倍になることが報告されている。8) [8.7 参照],[11.2 参照]
    3. (3) 薬剤との因果関係は明らかではないが、外国においてタダラフィルを含むPDE5阻害剤投与後に、まれに、痙攣発作の発現が報告されている。9) ,10)
    4. (4) 薬剤との因果関係は明らかではないが、外国においてタダラフィルを含むPDE5阻害剤投与後に、まれに、急激な聴力低下又は突発性難聴が報告されている。これらの患者では、耳鳴りやめまいを伴うことがある。[8.8 参照]
    5. (5) アルコール飲用時にタダラフィルを投与した外国の臨床薬理試験(タダラフィル10mg、20mg)において、アルコール血中濃度、タダラフィルの血漿中濃度のいずれも相互に影響を受けなかったが、アルコールを高用量(0.7g/kg)飲用した被験者において、めまいや起立性低血圧が報告された。
  3. 15.1.3 マシテンタン・タダラフィル配合錠

    肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験において、肺動脈性肺高血圧症治療薬による治療歴のない65歳超の患者に本剤の投与開始から1カ月以内に心不全事象(4例)が発現した。4例のうち2例は本剤投与中に回復し、残りの2例は他の有害事象[肺静脈閉塞性疾患の新規診断(治験実施計画書の規定による投与中止)及び貧血]により本剤の投与を中止した。

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 マシテンタン

    ラット及びイヌの反復投与毒性試験において、精細管萎縮又は拡張が認められた。ラットの反復投与毒性試験において、可逆的な異常精子の割合の増加が認められた。イヌの反復投与毒性試験において、精子形成の低下が認められた。

  2. 15.2.2 タダラフィル

    25mg/kg/day以上の用量でタダラフィルをイヌに3~12カ月間連日経口投与した毒性試験において、精巣重量の低下、精細管上皮の変性、精巣上体の精子数の減少が認められた。ヒトにおける精子形成能に対する影響を検討した外国臨床試験の一部では平均精子濃度の減少が認められたが、精子運動率、精子形態及び生殖ホルモン値はいずれの試験においても変化が認められなかった。11)

1. 警告

タダラフィルと硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されないよう十分注意すること。[2.3 参照],[10.1 参照]
ただし、肺動脈性肺高血圧症の治療において一酸化窒素吸入療法と本剤の併用が治療上必要と判断される場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで、慎重に投与すること。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.4 参照],[9.5 参照]
  2. 2.2 重度の低血圧(血圧<90/50mmHg)の患者[8.4 参照]
  3. 2.3 硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を投与中の患者[1 参照],[10.1 参照]
  4. 2.4 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者[10.1 参照]
  5. 2.5 **強いCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、リトナビル含有製剤、アタザナビル、ダルナビル含有製剤、クラリスロマイシン、コビシスタット含有製剤、エンシトレルビル、セリチニブ)を投与中の患者[10.1 参照],[16.7.2 参照]
  6. 2.6 強いCYP3A4誘導剤(リファンピシン、セイヨウオトギリソウ含有食品、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、リファブチン)を投与中の患者[10.1 参照],[16.7.1 参照]
  7. 2.7 重度の腎障害患者[9.2.1 参照]
  8. 2.8 重度の肝障害患者[9.3.1 参照]
  9. 2.9 本剤及び本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ユバンシ配合錠

有効成分 (1錠中)
マシテンタン10mg、タダラフィル40mg  
添加剤 乳糖水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリソルベート80、ポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、トリアセチン、タルク

3.2 製剤の性状

ユバンシ配合錠

性状・剤形 白色のフィルムコーティング錠
外形 表面                                        
裏面                                        
側面                                        
大きさ 長径(mm) 15
短径(mm) 7
厚さ(mm) 4.7
重量(g) 0.4233
識別コード MT 1040

4. 効能又は効果

肺動脈性肺高血圧症

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤を肺動脈性肺高血圧症の第一選択薬としないこと。
  2. 5.2 本剤の使用にあたっては、最新の治療ガイドラインを参考に投与の要否を検討すること。
  3. 5.3 原則として、マシテンタン10mg1日1回及びタダラフィル40mg1日1回による併用治療を受けている場合に、本剤の使用を検討すること。
  4. 5.4 WHO機能分類クラスⅠにおける有効性及び安全性は確立していない。

6. 用法及び用量

通常、成人には1日1回1錠(マシテンタンとして10mg及びタダラフィルとして40mg)を経口投与する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 他のエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)において肝酵素値上昇が認められているため、肝機能検査を必ず投与開始前に行い、投与中は、必要に応じて肝機能検査を定期的に実施すること。本剤投与中に臨床的に顕著にAST、ALT値が上昇した場合、これら肝酵素値上昇に伴いビリルビン値が基準値上限の2倍を超える場合、又はこれら肝酵素値上昇に伴い黄疸などの肝障害の徴候を伴う場合には、本剤の投与を中止すること。[9.3.2 参照]
  2. 8.2 ヘモグロビン減少が起こる可能性があるため、本剤の投与開始前及び投与中は必要に応じてヘモグロビン濃度を定期的に測定することが望ましい。[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
  3. 8.3 本剤の投与により肺水腫の徴候がみられた場合は肺静脈閉塞性疾患の可能性を考慮すること。肺静脈閉塞性疾患が疑われた場合には、本剤の投与を中止すること。[9.1.3 参照]
  4. 8.4 本剤は血管拡張作用を有するため、本剤の投与に際しては、血管拡張作用により患者が有害な影響を受ける可能性がある状態(降圧剤投与中、安静時低血圧、血液量減少、重度の左室流出路閉塞、自律神経機能障害等)にあるのかを十分検討すること。[2.2 参照]
  5. 8.5 4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国にてごくまれに報告されている。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに医師の診断を受けるよう指導すること。
  6. 8.6 タダラフィルの臨床試験において、めまいや視覚障害が認められているので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
  7. 8.7 本剤投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[15.1.2 参照]
  8. 8.8 本剤投与後に急激な聴力低下又は突発性難聴(耳鳴り、めまいを伴うことがある)があらわれた場合には、速やかに耳鼻科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[15.1.2 参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 重度の貧血のある患者

                  [8.2 参照],[11.1.1 参照]

  2. 9.1.2 コントロール不良の不整脈又はコントロール不良の高血圧(安静時血圧>160/100mmHg)のある患者

    これらの患者における安全性及び有効性は確立していない。

  3. 9.1.3 肺静脈閉塞性疾患患者

    本剤を投与しないことが望ましい。血管拡張薬を使用した場合に肺水腫の発現が報告されている。[8.3 参照]

  4. 9.1.4 脳梗塞・脳出血の既往歴が最近6カ月以内にある患者

    これらの患者における安全性及び有効性は確立していない。

  5. 9.1.5 網膜色素変性症患者

    ホスホジエステラーゼ(PDE)の遺伝的障害を持つ症例が少数認められる。

  6. 9.1.6 陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)のある患者

    タダラフィルの薬理作用により勃起が起こり、その結果陰茎に痛みを引き起こす可能性がある。

  7. 9.1.7 持続勃起症の素因となり得る疾患(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)のある患者
  8. 9.1.8 出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者

    タダラフィルのin vitro試験でニトロプルシドナトリウム(NO供与剤)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている。出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない。

  9. 9.1.9 重症の左室流出路閉塞、体液減少、自律神経障害に伴う低血圧や安静時低血圧等を有する患者

    本剤は血管拡張作用を有するため一過性の軽度の血圧低下があらわれる場合がある。

  10. 9.1.10 出血の危険因子(ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法、抗血小板療法、結合組織疾患に伴う血小板機能異常、経鼻酸素療法)を有する患者

    出血の危険性が高まるおそれがある。[10.2 参照]

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重度の腎障害患者

    投与しないこと。タダラフィルの血漿中濃度が上昇し、また透析によるクリアランスの促進は期待されない。また、これらの患者は臨床試験では除外されている。[2.7 参照],[16.6.2 参照]

  2. 9.2.2 軽度又は中等度の腎障害患者

    クレアチニンクリアランスが60mL/分未満又は慢性腎障害の徴候が見られる日本人患者は本剤の臨床試験では除外されている。[16.6.2 参照]

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重度の肝障害患者

    投与しないこと。他のERAにおいて重篤な肝障害の報告がある。これらの患者は臨床試験では除外されている。[2.8 参照],[16.6.1 参照]

  2. 9.3.2 軽度又は中等度の肝障害患者

    肝酵素(AST、ALT)値のいずれか又は両方が基準値上限の1.5倍を超える患者は本剤の臨床試験では除外されている。[8.1 参照],[16.6.1 参照]

9.4 生殖能を有する者

本剤の投与に際しては、以下について説明及び指導し、妊娠する可能性のある女性には本剤投与開始前及び投与中は1カ月に1回妊娠検査を実施すること。[2.1 参照],[9.5 参照]
(1)妊娠中に本剤を服用した場合の胎児に及ぼす危険性
(2)投与中及び投与中止後1カ月間は確実な避妊法を用いるとともに、妊娠した場合若しくはその疑いがある場合には、医師に直ちに連絡すること

9.5 妊婦

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[2.1 参照],[9.4 参照]
    1. 9.5.1 マシテンタン

      動物実験(ラット及びウサギ)で下顎弓癒合異常及び心血管系異常などが報告されており、最小毒性量に基づく安全域はラットで約3倍未満、ウサギで約30倍未満であった。また、胚吸収増加などが報告されている。

9.6 授乳婦

  • 本剤投与中は授乳しないことが望ましい。
    1. 9.6.1 マシテンタン

      動物実験(ラット)では、マシテンタンは乳汁中に移行することが確認されている。また、母動物(ラット)に妊娠17日から分娩後20日まで経口投与した結果、出生児の体重の低値及び死亡の増加が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下していることが多い。[16.6.3 参照]

10. 相互作用

  • マシテンタンは主にCYP3A4及びCYP2C9により代謝される。タダラフィルは主にCYP3A4により代謝される。[16.4.1 参照]

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

硝酸剤及びNO供与剤

  • ニトログリセリン
  • 亜硝酸アミル
  • 硝酸イソソルビド
  • ニコランジル等

                  [1 参照],[2.3 参照]

これらの薬剤とタダラフィルの併用により、降圧作用を増強するとの報告がある。1) ,2) ,3)

NOはcGMPの産生を刺激し、一方、タダラフィルはcGMPの分解を抑制することから、これらの薬剤との併用によりcGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強する。

sGC刺激剤

  • リオシグアト(アデムパス)

                  [2.4 参照]                 

併用により、血圧低下を起こすおそれがある。

リオシグアトとタダラフィルの併用により、細胞内cGMP濃度が増加し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある。

強いCYP3A4阻害剤

  • イトラコナゾール(イトリゾール)
  • リトナビル含有製剤(ノービア、カレトラ、パキロビッド)
  • アタザナビル(レイアタッツ)
  • ダルナビル含有製剤(プリジスタ、プレジコビックス、シムツーザ)
  • クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)
  • コビシスタット含有製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
  • エンシトレルビル(ゾコーバ)
  • **セリチニブ(ジカディア)

                  [2.5 参照],[16.7.2 参照]

マシテンタン及びタダラフィルの血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。

強いCYP3A4阻害作用により、マシテンタン及びタダラフィルの曝露量を増加させる。

強いCYP3A4誘導剤

  • リファンピシン(リファジン)
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
  • カルバマゼピン(テグレトール)
  • フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)
  • フェノバルビタール(フェノバール等)
  • リファブチン(ミコブティン)

                  [2.6 参照],[16.7.1 参照]

マシテンタン及びタダラフィルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。

リファンピシン(600mg/日)との併用により、タダラフィル(10mg)のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下するとの報告がある。

強いCYP3A4誘導作用により、マシテンタン及びタダラフィルの曝露量を減少させる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

中程度のCYP3A4阻害作用かつ中程度のCYP2C9阻害作用を有する薬剤

  • フルコナゾール

                  [16.7.1 参照]                 

マシテンタンの血中濃度が上昇し、マシテンタンの副作用が発現しやすくなるおそれがある。

CYP3A4阻害作用及びCYP2C9阻害作用により、マシテンタンの曝露量を増加させる可能性がある。

CYP3A4誘導剤

  • エファビレンツ
  • モダフィニル
  • ルフィナミド等

マシテンタン及びタダラフィルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。

CYP3A4誘導作用により、マシテンタン及びタダラフィルの曝露量を減少させる。

CYP3A4阻害剤

  • ホスアンプレナビル
  • ジルチアゼム
  • エリスロマイシン
  • ベラパミル
  • グレープフルーツジュース等

タダラフィルの血中濃度が上昇し、タダラフィルの副作用が発現しやすくなるおそれがある。

CYP3A4阻害作用により、タダラフィルの曝露量を増加させる。

ボセンタン

                  [16.7.2 参照]                 

ボセンタン(125mg/1日2回投与)との10日間併用により、タダラフィル(40mg)の10日目におけるAUC及びCmaxが初日と比べてそれぞれ41.5%及び26.6%低下するとの報告がある。タダラフィルによるボセンタンのAUC及びCmaxに対する影響はみられなかった。

CYP3A4誘導によるクリアランスの増加によりタダラフィルの血漿中濃度が低下する。

α遮断剤

  • ドキサゾシン
  • テラゾシン等

                  [16.7.2 参照]                 

ドキサゾシン(8mg)とタダラフィル(20mg)の併用により、立位収縮期血圧及び拡張期血圧は最大それぞれ9.81mmHg及び5.33mmHg下降するとの報告がある。4) また、α遮断剤とタダラフィルの併用で失神等の症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

降圧剤

  • アムロジピン
  • メトプロロール
  • エナラプリル
  • カンデサルタン等

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤(単剤又は多剤)とタダラフィル(20mg)の併用により、自由行動下収縮期血圧及び拡張期血圧は最大それぞれ8mmHg及び4mmHg下降するとの報告がある。5)

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

カルペリチド

タダラフィルとの併用により降圧作用が増強するおそれがある。

タダラフィルは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

ビタミンK拮抗薬

  • ワルファリン

                  [9.1.10 参照]                 

タダラフィル(10及び20mg/日)との併用において、ワルファリン(25mg)の薬物動態及び抗凝固作用に対する影響は認められなかったが、併用により出血の危険性が高まるおそれがある。

ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法を施行している患者では出血の危険性が高まるおそれがある。

ベルイシグアト

症候性低血圧を起こすおそれがある。治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、治療上やむを得ないと判断された場合にのみ併用すること。

細胞内cGMP濃度が増加し、降圧作用を増強するおそれがある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 貧血(6.5%)

    貧血、ヘモグロビン減少が起こる可能性がある。[8.2 参照],[9.1.1 参照]

  2. 11.1.2 過敏症

    発疹(1.1%)、蕁麻疹(頻度不明)、顔面浮腫(0.5%)、剥脱性皮膚炎(頻度不明)、Stevens-Johnson症候群(頻度不明)等があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

5%以上

5%未満

頻度不明

感染症及び寄生虫症

上気道感染

上咽頭炎、インフルエンザ、尿路感染

血液及びリンパ系障害

血小板減少、INR増加

免疫系障害

血管浮腫

皮疹、蕁麻疹、貪食細胞性組織球症

代謝および栄養障害

食欲不振

精神障害

睡眠障害、うつ病

神経系障害

頭痛

片頭痛、失神、浮動性めまい、下肢静止不能症候群、感覚鈍麻、錯感覚、脳卒中注1)

眼障害

霧視、網膜静脈閉塞

眼充血、眼痛、結膜出血、視力低下、眼の異常感、眼乾燥、非動脈炎性前部虚血性視神経症注2)、視野欠損、視覚障害、中心性漿液性脈絡網膜症

耳および迷路障害

回転性めまい

心臓障害

動悸、心不全、頻脈

血管障害

低血圧、潮紅

ほてり、心筋梗塞注1)、心突然死注1)、高血圧、レイノー現象、血腫

呼吸器、胸郭及び縦隔障害

鼻閉、呼吸困難、鼻出血

副鼻腔うっ血

胃腸障害

悪心、下痢、嘔吐、消化不良、腹部不快感、腹部膨満、口内乾燥、胃食道逆流性疾患

上腹部痛、胃炎、鼓腸、腹痛、胃不快感

皮膚及び皮下組織障害

そう痒症、多汗症

筋骨格系及び結合組織障害

筋肉痛、四肢痛

背部痛、筋痙縮、関節痛、筋骨格硬直、関節炎、四肢不快感

*生殖系及び乳房障害

子宮出血増加(月経中間期出血、重度月経出血、不規則月経等)、月経過多、持続勃起症、勃起延長

一般・全身障害及び投与部位の状態

浮腫/体液貯留

疼痛、顔面腫脹、疲労

腫脹、胸痛

臨床検査

トランスアミナーゼ上昇、ALT増加、AST増加、体重増加

肝機能検査異常、ヘマトクリット減少、白血球数減少

傷害、中毒および処置合併症

挫傷

注1)これらのほとんどの症例がタダラフィル投与前から心血管系障害等の危険因子を有していたことが報告されており、これらの事象がタダラフィル、性行為又は患者が以前から有していた心血管系障害の危険因子に起因して発現したものなのか、又は、これらの要因の組合せにより発現したものなのかを特定することはできない。
注2)[15.1.2 参照]

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    外国において、健康男性にマシテンタン600mgを単回経口投与した時、主な有害事象は、頭痛、悪心、嘔吐であった。

  2. 13.2 処置

    個々の成分データに基づくと、透析による除去は期待できない。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

ブリスターシートから取り出して服用するよう指導すること。シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 マシテンタン
    1. (1) 海外臨床試験において、月経障害、卵巣嚢胞、白血球減少症及び白血球減少に関する有害事象がプラセボ群では1.1%(2/184例)、0.0%(0/184例)、1.6%(4/249例)及び0.0%(0/249例)であったのに対し、マシテンタン10mg投与では5.1%(10/194例)、1.5%(3/194例)、2.5%(6/242例)及び0.8%(2/242例)であり、プラセボに比べ、マシテンタンで多く報告された。
    2. (2) 関連性は明確ではないがマシテンタン投与後に精子数減少をみとめた症例が報告されており、マシテンタンはヒトの精子形成に影響を及ぼすおそれがある。なお、他のERAを服用した患者においても精子数減少が報告されている。
  2. 15.1.2 タダラフィル
    1. (1) 勃起不全治療剤として使用されたタダラフィルの市販後の自発報告において、心筋梗塞、心突然死、心室性不整脈、脳出血、一過性脳虚血発作等の重篤な心血管系障害がタダラフィル投与後に発現している。これらの多くが心血管系のリスクファクターを有している患者であった。多くの事象が、性行為中又は性行為後に認められ、少数例ではあるが、性行為なしにタダラフィル投与後に認められたものもあった。その他は、タダラフィルを投与し性行為後の数時間から数日後に報告されている。これらの症例について、タダラフィル、性行為、本来患者が有していた心血管系障害、これらの要因の組合せ又は他の要因に直接関連するかどうかを確定することはできない。
    2. (2) 薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において男性勃起不全治療剤として使用されたタダラフィルを含むPDE5阻害剤投与後に、まれに視力低下や視力喪失の原因となりうる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現が報告されている。6) これらの患者の多くは、NAIONの危険因子[年齢(50歳以上)、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙等]を有していた。7)
      外国において、NAIONを発現した45歳以上の男性(肺動脈性肺高血圧症に使用された症例は除く)を対象として実施された自己対照研究では、PDE5阻害剤の投与から消失半減期(T1/2)の5倍の期間内(タダラフィルの場合約4日以内に相当)は、NAION発現リスクが約2倍になることが報告されている。8) [8.7 参照],[11.2 参照]
    3. (3) 薬剤との因果関係は明らかではないが、外国においてタダラフィルを含むPDE5阻害剤投与後に、まれに、痙攣発作の発現が報告されている。9) ,10)
    4. (4) 薬剤との因果関係は明らかではないが、外国においてタダラフィルを含むPDE5阻害剤投与後に、まれに、急激な聴力低下又は突発性難聴が報告されている。これらの患者では、耳鳴りやめまいを伴うことがある。[8.8 参照]
    5. (5) アルコール飲用時にタダラフィルを投与した外国の臨床薬理試験(タダラフィル10mg、20mg)において、アルコール血中濃度、タダラフィルの血漿中濃度のいずれも相互に影響を受けなかったが、アルコールを高用量(0.7g/kg)飲用した被験者において、めまいや起立性低血圧が報告された。
  3. 15.1.3 マシテンタン・タダラフィル配合錠

    肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験において、肺動脈性肺高血圧症治療薬による治療歴のない65歳超の患者に本剤の投与開始から1カ月以内に心不全事象(4例)が発現した。4例のうち2例は本剤投与中に回復し、残りの2例は他の有害事象[肺静脈閉塞性疾患の新規診断(治験実施計画書の規定による投与中止)及び貧血]により本剤の投与を中止した。

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 マシテンタン

    ラット及びイヌの反復投与毒性試験において、精細管萎縮又は拡張が認められた。ラットの反復投与毒性試験において、可逆的な異常精子の割合の増加が認められた。イヌの反復投与毒性試験において、精子形成の低下が認められた。

  2. 15.2.2 タダラフィル

    25mg/kg/day以上の用量でタダラフィルをイヌに3~12カ月間連日経口投与した毒性試験において、精巣重量の低下、精細管上皮の変性、精巣上体の精子数の減少が認められた。ヒトにおける精子形成能に対する影響を検討した外国臨床試験の一部では平均精子濃度の減少が認められたが、精子運動率、精子形態及び生殖ホルモン値はいずれの試験においても変化が認められなかった。11)

その他詳細情報

日本標準商品分類番号
87219
ブランドコード
2190105F1029
承認番号
30600AMX00252000
販売開始年月
2024-11
貯法
室温保存
有効期間
36カ月
規制区分
2, 12

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