薬効分類名V₂-受容体拮抗剤
一般的名称トルバプタン口腔内崩壊錠
トルバプタンOD錠3.75mg「TE」、トルバプタンOD錠7.5mg「TE」、トルバプタンOD錠15mg「TE」
とるばぷたんODじょう3.75mg、とるばぷたんODじょう7.5mg、とるばぷたんODじょう15mg
Tolvaptan OD Tablets 3.75mg「TE」, Tolvaptan OD Tablets 7.5mg「TE」, Tolvaptan OD Tablets 15mg「TE」
製造販売元/トーアエイヨー株式会社
重大な副作用
その他の副作用
1. 警告
-
〈心不全及び肝硬変における体液貯留〉
- 1.1 本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至った症例が報告されており、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあることから、入院下で投与を開始又は再開すること。また、特に投与開始日又は再開日には血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること。[8.8 参照],[8.12 参照],[9.1.3 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
-
〈常染色体優性多発性のう胞腎〉
- 1.2 **本剤は、常染色体優性多発性のう胞腎について十分な知識をもつ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことや重篤な肝機能障害が発現するおそれがあること、適切な水分摂取及び定期的な血液検査等によるモニタリングの実施が必要であることを含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分に説明し、同意を得ること。
- 1.3 **特に投与開始時又は漸増期において、過剰な水利尿に伴う脱水症状、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、少なくとも本剤の投与開始は入院下で行い、適切な水分補給の必要性について指導すること。また、本剤投与中は少なくとも月1回は血清ナトリウム濃度を測定すること。[8.18 参照],[11.1.3 参照]
- 1.4 **本剤の投与により、重篤な肝機能障害が発現した症例が報告されていることから、血清トランスアミナーゼ値及び総ビリルビン値を含めた肝機能検査を必ず本剤投与開始前及び増量時に実施し、本剤投与中は少なくとも月1回は肝機能検査を実施すること。また、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[2.8 参照],[8.15 参照],[8.16 参照],[11.1.5 参照],[15.1.1 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
-
〈効能共通〉
- 2.1 本剤の成分又は類似化合物(トルバプタンリン酸エステルナトリウム等)に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者[循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。]
- 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
- 2.4 高ナトリウム血症の患者[本剤の水利尿作用により高ナトリウム血症が増悪するおそれがある。]
-
〈心不全及び肝硬変における体液貯留〉
- 2.5 無尿の患者[本剤の効果が期待できない。]
- 2.6 適切な水分補給が困難な肝性脳症の患者[9.3.1 参照]
-
〈常染色体優性多発性のう胞腎〉
- 2.7 **重篤な腎機能障害(eGFR 15mL/min/1.73m2未満)のある患者[9.2.2 参照]
- 2.8 **慢性肝炎、薬剤性肝機能障害等の肝機能障害(常染色体優性多発性のう胞腎に合併する肝のう胞を除く)又はその既往歴のある患者[1.4 参照],[9.3.3 参照]
5. 効能又は効果に関連する注意
-
5.1 **以下のいずれにも該当する場合に適用すること。
- 両側総腎容積が750mL以上であること。
- 腎容積増大速度が概ね5%/年以上であること。臨床試験には、両側腎容積750mL以上で、腎容積の増加が速いと推定される患者を組み入れた。[17.1.3 参照]
- 5.2 **投与開始時のクレアチニンクリアランスが60mL/min未満の患者における有効性及び安全性は確立していない。臨床試験には、投与開始時のクレアチニンクリアランスが60mL/min以上の患者を組み入れた。[17.1.3 参照]
6. 用法及び用量
-
〈心不全における体液貯留〉
通常、成人にはトルバプタンとして15mgを1日1回経口投与する。
-
〈肝硬変における体液貯留〉
通常、成人にはトルバプタンとして7.5mgを1日1回経口投与する。
-
〈常染色体優性多発性のう胞腎〉
**通常、成人にはトルバプタンとして1日60mgを2回(朝45mg、夕方15mg)に分けて経口投与を開始する。1日60mgの用量で1週間以上投与し、忍容性がある場合には、1日90mg(朝60mg、夕方30mg)、1日120mg(朝90mg、夕方30mg)と1週間以上の間隔を空けて段階的に増量する。なお、忍容性に応じて適宜増減するが、最高用量は1日120mgまでとする。
(参考) 投与
方法投与量
心不全における体液貯留
1日
1回15mg
肝硬変における体液貯留
1日
1回7.5mg
常染色体優性多発性のう胞腎
1日
2回開始用量1日60mg(朝45mg、夕方15mg)
↓ 1日90mg(朝60mg、夕方30mg)
(漸増)1日120mg(朝90mg、夕方30mg)
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、フルコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始などを考慮すること。[10.2 参照],[16.7.1 参照],[16.7.2 参照],[16.7.3 参照]
- 7.2 夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
- 7.3 本剤は水排泄を増加させるが、ナトリウム排泄を増加させないことから、他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)と併用して使用すること。なお、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドとの併用経験はない。
- 7.4 体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。症状消失後の維持に関する有効性は確認されていない。
- 7.5 血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者、高齢者、血清ナトリウム濃度が正常域内で高値の患者に投与する場合は、半量(7.5mg)から開始することが望ましい。[9.1.1 参照],[9.1.3 参照],[9.8.1 参照],[9.8.3 参照]
- 7.6 血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者に投与する場合は、半量(3.75mg)から開始することが望ましい。[9.1.1 参照],[9.1.3 参照],[9.8.1 参照]
- 7.7 **夜間頻尿を避けるため、夕方の投与は就寝前4時間以上空けることが望ましい。
-
7.8 **CYP3A4阻害剤との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、下表を参照し、本剤の用量調節を行うこと。[10.2 参照],[16.7.1 参照],[16.7.2 参照],[16.7.3 参照]
通常の用法
及び用量弱い又は中等度の
CYP3A4阻害剤との
併用時の用法及び用量
(通常用量の1/2量)強力なCYP3A4
阻害剤との併用時の
用法及び用量
(通常用量の1/4量)1日60mg
(朝45mg、夕方15mg)1日30mg
(朝22.5mg、夕方7.5mg)1日15mg
(朝11.25mg、夕方3.75mg)1日90mg
(朝60mg、夕方30mg)1日45mg
(朝30mg、夕方15mg)1日22.5mg
(朝15mg、夕方7.5mg)1日120mg
(朝90mg、夕方30mg)1日60mg
(朝45mg、夕方15mg)1日30mg
(朝22.5mg、夕方7.5mg)
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、血清カリウム濃度を上昇させ、心室細動、心室頻拍を誘発するおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム濃度を測定すること。[9.1.2 参照]
- 8.2 口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。
- 8.3 本剤の投与初期は、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、口渇感等の患者の状態を観察し、適切な水分補給を行い、体重、血圧、脈拍数、尿量等を頻回に測定すること。
- 8.4 本剤の利尿作用に伴い、口渇、脱水などの症状があらわれた場合には、水分補給を行うよう指導すること。[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
- 8.5 本剤の投与初期から重篤な肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、少なくとも投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行うこと。またやむを得ず、その後も投与を継続する場合には、適宜検査を行うこと。[11.1.5 参照],[15.1.1 参照]
- 8.6 めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意すること。また、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
- 8.7 体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.1 参照],[17.1.2 参照]
- 8.8 本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現するため、少なくとも投与開始4~6時間後並びに8~12時間後に血清ナトリウム濃度を測定すること。投与開始翌日から1週間程度は毎日測定し、その後も投与を継続する場合には、適宜測定すること。[1.1 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
- 8.9 目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされているときの体重)に戻った場合は、漫然と投与を継続しないこと。国内臨床試験において2週間を超える使用経験はない。
- 8.10 本剤の投与により重篤な肝機能障害があらわれることがある。肝硬変患者では、肝機能をより悪化させるおそれがあること、及び原疾患の悪化と本剤による肝機能障害の発現との区別が困難であることに留意して、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮し、本剤投与の適否について慎重に判断すること。
- 8.11 本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験において2週間を超える使用経験はないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者の状態を観察し、体液貯留が改善した場合は、漫然と投与を継続せず、必要最小限の期間の使用にとどめること。
- 8.12 本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現するため、少なくとも投与開始4~8時間後に血清ナトリウム濃度を測定すること。さらに投与開始2日後並びに3~5日後に1回測定し、その後も投与を継続する場合には、適宜測定すること。[1.1 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
- 8.13 肝硬変患者では、本剤の投与により消化管出血のリスクが高まるおそれがあるため、消化管出血の兆候があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 8.15 **本剤の増量により副作用の発現頻度が高くなる傾向が認められていること、1日120mg投与時に重篤な肝機能障害の発現が認められていることから、高用量投与時には、特に肝機能障害をはじめとする副作用の発現に十分注意すること。[1.4 参照]
- 8.16 **本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあるので、投与にあたっては患者に当該副作用について十分説明するとともに、症状がみられた場合には速やかに診察を受けるよう指導すること。[1.4 参照],[11.1.5 参照],[15.1.1 参照]
- 8.17 **投与開始前に脱水症状が認められた場合は、脱水症状が増悪するおそれがあるので、症状が改善してから投与を開始すること。
- 8.18 **高ナトリウム血症があらわれることがあるので、投与開始後の用量漸増期においては、来院毎に血清ナトリウム濃度を測定し、その後も本剤投与中は少なくとも月1回は測定すること。[1.3 参照],[11.1.3 参照]
- 8.19 **投与開始前に血清ナトリウム濃度を測定し、低ナトリウム血症が認められた場合は、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあるので、低ナトリウム血症の原因を明らかにするとともに、血清ナトリウム濃度を補正し、慎重に本剤投与の適否を判断した上で、投与が適切と判断された場合に限り投与を開始すること。[11.1.4 参照]
- 8.20 **本剤の投与により腎臓における尿酸クリアランスが減少するため、血中尿酸が上昇することがあるので、本剤投与中は血中尿酸値に注意すること。
- 8.21 **失神、意識消失、めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意すること。また、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 8.22 **本剤の投与により緑内障があらわれることがあるので、定期的に検査を行うことが望ましい。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 重篤な冠動脈疾患又は脳血管疾患のある患者
急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[7.5 参照],[7.6 参照],[11.1.2 参照]
-
9.1.2 高カリウム血症の患者
本剤の水利尿作用により高カリウム血症が増悪するおそれがある。[8.1 参照]
-
9.1.3 血清ナトリウム濃度125mEq/L未満の患者
24時間以内に12mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を中止すること。急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがある。[1.1 参照],[7.5 参照],[7.6 参照],[11.1.4 参照]
9.2 腎機能障害患者
-
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
利尿に伴う腎血流量の減少により腎機能が更に悪化するおそれがある。[11.1.1 参照]
-
9.2.2 **重篤な腎機能障害(eGFR 15mL/min/1.73m2未満)のある患者
投与しないこと。本剤の効果が期待できない。[2.7 参照]
-
9.2.3 **重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者
減量すること。本剤の血漿中濃度が上昇する。[16.6.1 参照]
-
9.2.4 **腎機能が低下している患者
利尿に伴う腎血流量の減少により腎機能が更に悪化するおそれがある。[11.1.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5 参照]
9.5 妊婦
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている2) 。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
- 9.8.1 急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[7.5 参照],[7.6 参照],[11.1.2 参照]
- 9.8.2 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、また、脱水症状を起こしやすいとされている。
- 9.8.3 高ナトリウム血症発現のおそれがある。[7.5 参照]
10. 相互作用
- 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝される。また、P糖蛋白の基質であるとともに、P糖蛋白への阻害作用を有する。[16.4 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
CYP3A4阻害作用を有する薬剤 |
代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。 |
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、本剤の血漿中濃度を上昇させる。 |
代謝酵素の誘導により、本剤の作用が減弱するおそれがあるので、本剤投与時はこれらの薬剤及び食品を摂取しないことが望ましい。 |
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を誘導し、本剤の血漿中濃度を低下させる。 |
|
ジゴキシン |
本剤によりジゴキシンの作用が増強されるおそれがある。 |
本剤はP糖蛋白を阻害し、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる。 |
本剤の作用が増強するおそれがある。 |
これらの薬剤がP糖蛋白を阻害することにより、本剤の排出が抑制されるため血漿中濃度が上昇するおそれがある。 |
|
これらの薬剤と併用する場合、血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。 |
本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、相対的に血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。 |
|
本剤によりバソプレシン誘導体の止血作用が減弱するおそれがある。 |
本剤のバソプレシンV2-受容体拮抗作用により、血管内皮細胞からのvon Willebrand因子の放出が抑制されるおそれがある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 腎不全(1%未満)
重度の腎障害があらわれることがある。[9.2.1 参照],[9.2.4 参照]
-
11.1.2 血栓塞栓症(1%未満)
急激な利尿により血液濃縮を来した場合、血栓症及び血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[9.1.1 参照],[9.8.1 参照]
-
11.1.3 高ナトリウム血症(1~5%未満)
本剤の水利尿作用により血液濃縮を来し、高ナトリウム血症があらわれることがあり、意識障害を伴うこともある。投与中は、飲水量、尿量、血清ナトリウム濃度及び口渇、脱水等の症状の観察を十分に行うこと。口渇感の持続、脱水等の症状がみられた場合には、本剤の投与を減量又は中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。また、正常域を超える血清ナトリウム濃度の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。[1.1 参照],[1.3 参照],[8.4 参照],[8.8 参照],[8.12 参照],[8.18 参照]
-
11.1.4 急激な血清ナトリウム濃度上昇(1%未満)
本剤の水利尿作用により、急激な血清ナトリウム濃度の上昇があらわれることがある。これにより麻痺、発作、昏睡等に至るような浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあるため、投与中は、血清ナトリウム濃度及び体液量の観察を十分に行うこと。本剤投与後24時間以内に12mEq/Lを超える等の血清ナトリウム濃度の急激な上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。[1.1 参照],[8.4 参照],[8.8 参照],[8.12 参照],[8.19 参照],[9.1.3 参照]
-
11.1.5 急性肝不全(頻度不明)、肝機能障害(5%以上)
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれ、急性肝不全に至ることがある。また、肝機能障害が回復するまでは頻回に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[1.4 参照],[8.5 参照],[8.16 参照]
-
11.1.6 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(全身発赤、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがある。
- 11.1.7 過度の血圧低下(頻度不明)、心室細動(頻度不明)、心室頻拍(1%未満)
-
11.1.8 肝性脳症(1%未満)
肝硬変患者の場合、意識障害を伴う肝性脳症があらわれるおそれがある。なお、肝性脳症は、主に肝性浮腫患者において報告されているので、これらの患者に投与する場合は、意識障害等の臨床症状を十分に観察すること。
- 11.1.9 汎血球減少、血小板減少(頻度不明)
11.2 その他の副作用
5%以上 |
1~5%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
精神神経系 |
頭痛、めまい |
不眠症 |
失神、意識消失、睡眠障害、嗜眠、傾眠、ナルコレプシー、注意力障害、感覚鈍麻、不随意性筋収縮、錯感覚、不安、うつ病、リビドー減退、神経過敏、パニック発作 |
|
消化器 |
口渇(56.9%)、便秘 |
食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、味覚異常、消化不良、腹痛、腹部膨満 |
胃食道逆流性疾患、食道炎、裂孔ヘルニア、腹部不快感、心窩部不快感、口唇乾燥、鼓腸、胃腸炎、胃炎、胃腸障害、憩室炎、結腸ポリープ、嚥下障害、消化管運動障害、舌痛、舌苔、舌変色、口唇炎、口内炎、口の感覚鈍麻、臍ヘルニア、食欲亢進、呼気臭、痔核 |
過敏性腸症候群 |
循環器 |
血圧上昇、血圧低下、動悸 |
頻脈、期外収縮、不整脈、起立性低血圧、不安定血圧 |
||
血液 |
貧血、ヘモグロビン低下、平均赤血球容積増加、血小板減少、白血球増多、好酸球増多 |
|||
代謝 |
血中尿酸上昇 |
脱水、高カリウム血症、糖尿病、高血糖、脂質異常症、痛風 |
血液浸透圧上昇、血液量減少症、低カリウム血症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、低血糖、低リン酸血症、CK上昇 |
血中抗利尿ホルモン増加 |
腎臓・泌尿器 |
頻尿(38.8%)、多尿(26.2%)、血中クレアチニン上昇 |
腎臓痛、BUN上昇、腎機能障害、血尿 |
尿浸透圧低下、尿失禁、尿意切迫、排尿困難、尿閉、乏尿、尿路感染、膀胱痛、腎結石、シスタチンC上昇 |
|
過敏症 |
発疹、そう痒 |
蕁麻疹 |
||
皮膚 |
皮膚乾燥 |
脱毛、ざ瘡、皮膚炎、色素沈着障害、爪の障害、多汗、乏汗、寝汗 |
||
呼吸器 |
咳嗽、呼吸困難 |
鼻咽頭炎、上気道感染、扁桃炎、副鼻腔炎、喘息、気管支炎、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、鼻乾燥、鼻出血、発声障害 |
||
眼 |
眼乾燥、緑内障、霧視、結膜出血 |
|||
その他 |
疲労、多飲症 |
体重変動(増加、減少)、無力症、倦怠感、浮腫、筋骨格痛、筋痙縮、胸痛 |
背部痛、関節痛、四肢痛、疼痛、側腹部痛、冷感、発熱、ほてり、熱感、粘膜乾燥、ウイルス感染、カンジダ症、真菌感染、筋硬直、関節腫脹、勃起不全、月経過多、不規則月経、乳房嚢胞、易刺激性、LDH上昇、耳鳴 |
不正子宮出血 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 **常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験(国際共同試験)3) において、本剤60~120mg/日又はプラセボを3年間投与した結果、基準値上限の2倍を超える総ビリルビン上昇、かつ基準値上限の3倍を超える血清ALT上昇又は血清AST上昇が、本剤投与群の2例に認められた。また、基準値上限の2.5倍を超えるALT上昇の発現頻度が、プラセボ群と比較して本剤投与群で高かった(本剤投与群960例中47例(4.9%)、プラセボ群483例中6例(1.2%))。なお、本剤投与群における基準値上限の3倍を超えるALT上昇の多くは、投与開始3~14ヵ月の間に認められた。[1.4 参照],[8.5 参照],[8.16 参照]
- 15.1.2 **常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験(国際共同試験)3) において、本剤投与群はプラセボ群と比較して皮膚の新生物の発現率が高かった(基底細胞癌(本剤投与群0.8%(8/961例)、プラセボ群0.2%(1/483例))、悪性黒色腫(本剤投与群0.2%(2/961例)、プラセボ群0%(0/483例))。本剤との関連性は全ての症例で否定され、日本人での発現はなかった。
1. 警告
-
〈心不全及び肝硬変における体液貯留〉
- 1.1 本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至った症例が報告されており、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあることから、入院下で投与を開始又は再開すること。また、特に投与開始日又は再開日には血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること。[8.8 参照],[8.12 参照],[9.1.3 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
-
〈常染色体優性多発性のう胞腎〉
- 1.2 **本剤は、常染色体優性多発性のう胞腎について十分な知識をもつ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことや重篤な肝機能障害が発現するおそれがあること、適切な水分摂取及び定期的な血液検査等によるモニタリングの実施が必要であることを含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分に説明し、同意を得ること。
- 1.3 **特に投与開始時又は漸増期において、過剰な水利尿に伴う脱水症状、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、少なくとも本剤の投与開始は入院下で行い、適切な水分補給の必要性について指導すること。また、本剤投与中は少なくとも月1回は血清ナトリウム濃度を測定すること。[8.18 参照],[11.1.3 参照]
- 1.4 **本剤の投与により、重篤な肝機能障害が発現した症例が報告されていることから、血清トランスアミナーゼ値及び総ビリルビン値を含めた肝機能検査を必ず本剤投与開始前及び増量時に実施し、本剤投与中は少なくとも月1回は肝機能検査を実施すること。また、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[2.8 参照],[8.15 参照],[8.16 参照],[11.1.5 参照],[15.1.1 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
-
〈効能共通〉
- 2.1 本剤の成分又は類似化合物(トルバプタンリン酸エステルナトリウム等)に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者[循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。]
- 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
- 2.4 高ナトリウム血症の患者[本剤の水利尿作用により高ナトリウム血症が増悪するおそれがある。]
-
〈心不全及び肝硬変における体液貯留〉
- 2.5 無尿の患者[本剤の効果が期待できない。]
- 2.6 適切な水分補給が困難な肝性脳症の患者[9.3.1 参照]
-
〈常染色体優性多発性のう胞腎〉
- 2.7 **重篤な腎機能障害(eGFR 15mL/min/1.73m2未満)のある患者[9.2.2 参照]
- 2.8 **慢性肝炎、薬剤性肝機能障害等の肝機能障害(常染色体優性多発性のう胞腎に合併する肝のう胞を除く)又はその既往歴のある患者[1.4 参照],[9.3.3 参照]
5. 効能又は効果に関連する注意
-
5.1 **以下のいずれにも該当する場合に適用すること。
- 両側総腎容積が750mL以上であること。
- 腎容積増大速度が概ね5%/年以上であること。臨床試験には、両側腎容積750mL以上で、腎容積の増加が速いと推定される患者を組み入れた。[17.1.3 参照]
- 5.2 **投与開始時のクレアチニンクリアランスが60mL/min未満の患者における有効性及び安全性は確立していない。臨床試験には、投与開始時のクレアチニンクリアランスが60mL/min以上の患者を組み入れた。[17.1.3 参照]
6. 用法及び用量
-
〈心不全における体液貯留〉
通常、成人にはトルバプタンとして15mgを1日1回経口投与する。
-
〈肝硬変における体液貯留〉
通常、成人にはトルバプタンとして7.5mgを1日1回経口投与する。
-
〈常染色体優性多発性のう胞腎〉
**通常、成人にはトルバプタンとして1日60mgを2回(朝45mg、夕方15mg)に分けて経口投与を開始する。1日60mgの用量で1週間以上投与し、忍容性がある場合には、1日90mg(朝60mg、夕方30mg)、1日120mg(朝90mg、夕方30mg)と1週間以上の間隔を空けて段階的に増量する。なお、忍容性に応じて適宜増減するが、最高用量は1日120mgまでとする。
(参考) 投与
方法投与量
心不全における体液貯留
1日
1回15mg
肝硬変における体液貯留
1日
1回7.5mg
常染色体優性多発性のう胞腎
1日
2回開始用量1日60mg(朝45mg、夕方15mg)
↓ 1日90mg(朝60mg、夕方30mg)
(漸増)1日120mg(朝90mg、夕方30mg)
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、フルコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始などを考慮すること。[10.2 参照],[16.7.1 参照],[16.7.2 参照],[16.7.3 参照]
- 7.2 夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
- 7.3 本剤は水排泄を増加させるが、ナトリウム排泄を増加させないことから、他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)と併用して使用すること。なお、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドとの併用経験はない。
- 7.4 体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。症状消失後の維持に関する有効性は確認されていない。
- 7.5 血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者、高齢者、血清ナトリウム濃度が正常域内で高値の患者に投与する場合は、半量(7.5mg)から開始することが望ましい。[9.1.1 参照],[9.1.3 参照],[9.8.1 参照],[9.8.3 参照]
- 7.6 血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者に投与する場合は、半量(3.75mg)から開始することが望ましい。[9.1.1 参照],[9.1.3 参照],[9.8.1 参照]
- 7.7 **夜間頻尿を避けるため、夕方の投与は就寝前4時間以上空けることが望ましい。
-
7.8 **CYP3A4阻害剤との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、下表を参照し、本剤の用量調節を行うこと。[10.2 参照],[16.7.1 参照],[16.7.2 参照],[16.7.3 参照]
通常の用法
及び用量弱い又は中等度の
CYP3A4阻害剤との
併用時の用法及び用量
(通常用量の1/2量)強力なCYP3A4
阻害剤との併用時の
用法及び用量
(通常用量の1/4量)1日60mg
(朝45mg、夕方15mg)1日30mg
(朝22.5mg、夕方7.5mg)1日15mg
(朝11.25mg、夕方3.75mg)1日90mg
(朝60mg、夕方30mg)1日45mg
(朝30mg、夕方15mg)1日22.5mg
(朝15mg、夕方7.5mg)1日120mg
(朝90mg、夕方30mg)1日60mg
(朝45mg、夕方15mg)1日30mg
(朝22.5mg、夕方7.5mg)
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、血清カリウム濃度を上昇させ、心室細動、心室頻拍を誘発するおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム濃度を測定すること。[9.1.2 参照]
- 8.2 口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。
- 8.3 本剤の投与初期は、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、口渇感等の患者の状態を観察し、適切な水分補給を行い、体重、血圧、脈拍数、尿量等を頻回に測定すること。
- 8.4 本剤の利尿作用に伴い、口渇、脱水などの症状があらわれた場合には、水分補給を行うよう指導すること。[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
- 8.5 本剤の投与初期から重篤な肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、少なくとも投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行うこと。またやむを得ず、その後も投与を継続する場合には、適宜検査を行うこと。[11.1.5 参照],[15.1.1 参照]
- 8.6 めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意すること。また、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
- 8.7 体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.1 参照],[17.1.2 参照]
- 8.8 本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現するため、少なくとも投与開始4~6時間後並びに8~12時間後に血清ナトリウム濃度を測定すること。投与開始翌日から1週間程度は毎日測定し、その後も投与を継続する場合には、適宜測定すること。[1.1 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
- 8.9 目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされているときの体重)に戻った場合は、漫然と投与を継続しないこと。国内臨床試験において2週間を超える使用経験はない。
- 8.10 本剤の投与により重篤な肝機能障害があらわれることがある。肝硬変患者では、肝機能をより悪化させるおそれがあること、及び原疾患の悪化と本剤による肝機能障害の発現との区別が困難であることに留意して、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮し、本剤投与の適否について慎重に判断すること。
- 8.11 本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験において2週間を超える使用経験はないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者の状態を観察し、体液貯留が改善した場合は、漫然と投与を継続せず、必要最小限の期間の使用にとどめること。
- 8.12 本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現するため、少なくとも投与開始4~8時間後に血清ナトリウム濃度を測定すること。さらに投与開始2日後並びに3~5日後に1回測定し、その後も投与を継続する場合には、適宜測定すること。[1.1 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
- 8.13 肝硬変患者では、本剤の投与により消化管出血のリスクが高まるおそれがあるため、消化管出血の兆候があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 8.15 **本剤の増量により副作用の発現頻度が高くなる傾向が認められていること、1日120mg投与時に重篤な肝機能障害の発現が認められていることから、高用量投与時には、特に肝機能障害をはじめとする副作用の発現に十分注意すること。[1.4 参照]
- 8.16 **本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあるので、投与にあたっては患者に当該副作用について十分説明するとともに、症状がみられた場合には速やかに診察を受けるよう指導すること。[1.4 参照],[11.1.5 参照],[15.1.1 参照]
- 8.17 **投与開始前に脱水症状が認められた場合は、脱水症状が増悪するおそれがあるので、症状が改善してから投与を開始すること。
- 8.18 **高ナトリウム血症があらわれることがあるので、投与開始後の用量漸増期においては、来院毎に血清ナトリウム濃度を測定し、その後も本剤投与中は少なくとも月1回は測定すること。[1.3 参照],[11.1.3 参照]
- 8.19 **投与開始前に血清ナトリウム濃度を測定し、低ナトリウム血症が認められた場合は、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあるので、低ナトリウム血症の原因を明らかにするとともに、血清ナトリウム濃度を補正し、慎重に本剤投与の適否を判断した上で、投与が適切と判断された場合に限り投与を開始すること。[11.1.4 参照]
- 8.20 **本剤の投与により腎臓における尿酸クリアランスが減少するため、血中尿酸が上昇することがあるので、本剤投与中は血中尿酸値に注意すること。
- 8.21 **失神、意識消失、めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意すること。また、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 8.22 **本剤の投与により緑内障があらわれることがあるので、定期的に検査を行うことが望ましい。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 重篤な冠動脈疾患又は脳血管疾患のある患者
急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[7.5 参照],[7.6 参照],[11.1.2 参照]
-
9.1.2 高カリウム血症の患者
本剤の水利尿作用により高カリウム血症が増悪するおそれがある。[8.1 参照]
-
9.1.3 血清ナトリウム濃度125mEq/L未満の患者
24時間以内に12mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を中止すること。急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがある。[1.1 参照],[7.5 参照],[7.6 参照],[11.1.4 参照]
9.2 腎機能障害患者
-
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
利尿に伴う腎血流量の減少により腎機能が更に悪化するおそれがある。[11.1.1 参照]
-
9.2.2 **重篤な腎機能障害(eGFR 15mL/min/1.73m2未満)のある患者
投与しないこと。本剤の効果が期待できない。[2.7 参照]
-
9.2.3 **重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者
減量すること。本剤の血漿中濃度が上昇する。[16.6.1 参照]
-
9.2.4 **腎機能が低下している患者
利尿に伴う腎血流量の減少により腎機能が更に悪化するおそれがある。[11.1.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5 参照]
9.5 妊婦
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている2) 。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
- 9.8.1 急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[7.5 参照],[7.6 参照],[11.1.2 参照]
- 9.8.2 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、また、脱水症状を起こしやすいとされている。
- 9.8.3 高ナトリウム血症発現のおそれがある。[7.5 参照]
10. 相互作用
- 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝される。また、P糖蛋白の基質であるとともに、P糖蛋白への阻害作用を有する。[16.4 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
CYP3A4阻害作用を有する薬剤 |
代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。 |
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、本剤の血漿中濃度を上昇させる。 |
代謝酵素の誘導により、本剤の作用が減弱するおそれがあるので、本剤投与時はこれらの薬剤及び食品を摂取しないことが望ましい。 |
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を誘導し、本剤の血漿中濃度を低下させる。 |
|
ジゴキシン |
本剤によりジゴキシンの作用が増強されるおそれがある。 |
本剤はP糖蛋白を阻害し、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる。 |
本剤の作用が増強するおそれがある。 |
これらの薬剤がP糖蛋白を阻害することにより、本剤の排出が抑制されるため血漿中濃度が上昇するおそれがある。 |
|
これらの薬剤と併用する場合、血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。 |
本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、相対的に血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。 |
|
本剤によりバソプレシン誘導体の止血作用が減弱するおそれがある。 |
本剤のバソプレシンV2-受容体拮抗作用により、血管内皮細胞からのvon Willebrand因子の放出が抑制されるおそれがある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 腎不全(1%未満)
重度の腎障害があらわれることがある。[9.2.1 参照],[9.2.4 参照]
-
11.1.2 血栓塞栓症(1%未満)
急激な利尿により血液濃縮を来した場合、血栓症及び血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[9.1.1 参照],[9.8.1 参照]
-
11.1.3 高ナトリウム血症(1~5%未満)
本剤の水利尿作用により血液濃縮を来し、高ナトリウム血症があらわれることがあり、意識障害を伴うこともある。投与中は、飲水量、尿量、血清ナトリウム濃度及び口渇、脱水等の症状の観察を十分に行うこと。口渇感の持続、脱水等の症状がみられた場合には、本剤の投与を減量又は中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。また、正常域を超える血清ナトリウム濃度の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。[1.1 参照],[1.3 参照],[8.4 参照],[8.8 参照],[8.12 参照],[8.18 参照]
-
11.1.4 急激な血清ナトリウム濃度上昇(1%未満)
本剤の水利尿作用により、急激な血清ナトリウム濃度の上昇があらわれることがある。これにより麻痺、発作、昏睡等に至るような浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあるため、投与中は、血清ナトリウム濃度及び体液量の観察を十分に行うこと。本剤投与後24時間以内に12mEq/Lを超える等の血清ナトリウム濃度の急激な上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。[1.1 参照],[8.4 参照],[8.8 参照],[8.12 参照],[8.19 参照],[9.1.3 参照]
-
11.1.5 急性肝不全(頻度不明)、肝機能障害(5%以上)
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれ、急性肝不全に至ることがある。また、肝機能障害が回復するまでは頻回に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[1.4 参照],[8.5 参照],[8.16 参照]
-
11.1.6 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(全身発赤、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがある。
- 11.1.7 過度の血圧低下(頻度不明)、心室細動(頻度不明)、心室頻拍(1%未満)
-
11.1.8 肝性脳症(1%未満)
肝硬変患者の場合、意識障害を伴う肝性脳症があらわれるおそれがある。なお、肝性脳症は、主に肝性浮腫患者において報告されているので、これらの患者に投与する場合は、意識障害等の臨床症状を十分に観察すること。
- 11.1.9 汎血球減少、血小板減少(頻度不明)
11.2 その他の副作用
5%以上 |
1~5%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
精神神経系 |
頭痛、めまい |
不眠症 |
失神、意識消失、睡眠障害、嗜眠、傾眠、ナルコレプシー、注意力障害、感覚鈍麻、不随意性筋収縮、錯感覚、不安、うつ病、リビドー減退、神経過敏、パニック発作 |
|
消化器 |
口渇(56.9%)、便秘 |
食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、味覚異常、消化不良、腹痛、腹部膨満 |
胃食道逆流性疾患、食道炎、裂孔ヘルニア、腹部不快感、心窩部不快感、口唇乾燥、鼓腸、胃腸炎、胃炎、胃腸障害、憩室炎、結腸ポリープ、嚥下障害、消化管運動障害、舌痛、舌苔、舌変色、口唇炎、口内炎、口の感覚鈍麻、臍ヘルニア、食欲亢進、呼気臭、痔核 |
過敏性腸症候群 |
循環器 |
血圧上昇、血圧低下、動悸 |
頻脈、期外収縮、不整脈、起立性低血圧、不安定血圧 |
||
血液 |
貧血、ヘモグロビン低下、平均赤血球容積増加、血小板減少、白血球増多、好酸球増多 |
|||
代謝 |
血中尿酸上昇 |
脱水、高カリウム血症、糖尿病、高血糖、脂質異常症、痛風 |
血液浸透圧上昇、血液量減少症、低カリウム血症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、低血糖、低リン酸血症、CK上昇 |
血中抗利尿ホルモン増加 |
腎臓・泌尿器 |
頻尿(38.8%)、多尿(26.2%)、血中クレアチニン上昇 |
腎臓痛、BUN上昇、腎機能障害、血尿 |
尿浸透圧低下、尿失禁、尿意切迫、排尿困難、尿閉、乏尿、尿路感染、膀胱痛、腎結石、シスタチンC上昇 |
|
過敏症 |
発疹、そう痒 |
蕁麻疹 |
||
皮膚 |
皮膚乾燥 |
脱毛、ざ瘡、皮膚炎、色素沈着障害、爪の障害、多汗、乏汗、寝汗 |
||
呼吸器 |
咳嗽、呼吸困難 |
鼻咽頭炎、上気道感染、扁桃炎、副鼻腔炎、喘息、気管支炎、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、鼻乾燥、鼻出血、発声障害 |
||
眼 |
眼乾燥、緑内障、霧視、結膜出血 |
|||
その他 |
疲労、多飲症 |
体重変動(増加、減少)、無力症、倦怠感、浮腫、筋骨格痛、筋痙縮、胸痛 |
背部痛、関節痛、四肢痛、疼痛、側腹部痛、冷感、発熱、ほてり、熱感、粘膜乾燥、ウイルス感染、カンジダ症、真菌感染、筋硬直、関節腫脹、勃起不全、月経過多、不規則月経、乳房嚢胞、易刺激性、LDH上昇、耳鳴 |
不正子宮出血 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 **常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験(国際共同試験)3) において、本剤60~120mg/日又はプラセボを3年間投与した結果、基準値上限の2倍を超える総ビリルビン上昇、かつ基準値上限の3倍を超える血清ALT上昇又は血清AST上昇が、本剤投与群の2例に認められた。また、基準値上限の2.5倍を超えるALT上昇の発現頻度が、プラセボ群と比較して本剤投与群で高かった(本剤投与群960例中47例(4.9%)、プラセボ群483例中6例(1.2%))。なお、本剤投与群における基準値上限の3倍を超えるALT上昇の多くは、投与開始3~14ヵ月の間に認められた。[1.4 参照],[8.5 参照],[8.16 参照]
- 15.1.2 **常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験(国際共同試験)3) において、本剤投与群はプラセボ群と比較して皮膚の新生物の発現率が高かった(基底細胞癌(本剤投与群0.8%(8/961例)、プラセボ群0.2%(1/483例))、悪性黒色腫(本剤投与群0.2%(2/961例)、プラセボ群0%(0/483例))。本剤との関連性は全ての症例で否定され、日本人での発現はなかった。








