薬効分類名抗てんかん剤、躁病・躁状態治療剤、片頭痛治療剤
一般的名称バルプロ酸ナトリウム徐放錠
デパケンR錠100mg、デパケンR錠200mg
でぱけんあーるじょう100mg、でぱけんあーるじょう200mg
Depakene R Tablets, Depakene R Tablets
製造販売元/日医工岐阜工場株式会社、販売元/日医工株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
バルビツール酸剤
- フェノバルビタール等
バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強することがある。
左記薬剤がバルプロ酸の代謝を誘導し、バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇させる。
フェニトイン
カルバマゼピン
バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強又は減弱することがある。
左記薬剤がバルプロ酸の代謝を誘導し、バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇又は低下させる。
バルプロ酸による高アンモニア血症の発現リスクが高まるおそれがある。
機序は不明である。
エトスクシミド
アミトリプチリン
ノルトリプチリン
左記薬剤の作用が増強することがある。
左記薬剤の血中濃度を上昇させる。
クロバザム
バルプロ酸の作用が増強されることがある。
機序は不明であるが、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。
ラモトリギン
左記薬剤の消失半減期が約2倍延長するとの報告がある。
肝におけるグルクロン酸抱合が競合する。
ロラゼパム
左記薬剤の消失半減期が延長することがある。
肝におけるグルクロン酸抱合が競合する。
グルクロン酸抱合を誘導する薬剤
- リトナビル
- ニルマトレルビル・リトナビル
- ロピナビル・リトナビル配合剤等
バルプロ酸の作用が減弱することがある。
肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される。
ベンゾジアゼピン系薬剤
ジアゼパム等
ワルファリン
左記薬剤の作用が増強することがある。
遊離型の左記薬剤の血中濃度を上昇させる。
クロザピン
左記薬剤の副作用(心筋炎および好中球減少症)が増強する可能性がある。
機序は不明である。
サリチル酸系薬剤
アスピリン等
バルプロ酸の作用が増強されることがある。
遊離型バルプロ酸濃度が上昇する。また、バルプロ酸の代謝が阻害される。
エリスロマイシン
シメチジン
バルプロ酸の作用が増強されることがある。
左記薬剤が肝チトクロームP-450による薬物代謝を抑制し、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。
クロナゼパム
アブサンス重積(欠神発作重積)があらわれたとの報告がある。
機序は不明である。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
-
〈効能共通〉
- 2.1 重篤な肝障害のある患者[9.3.1 参照]
- 2.2 カルバペネム系抗生物質を投与中の患者[10.1 参照]
- 2.3 尿素サイクル異常症の患者[重篤な高アンモニア血症があらわれることがある。]
-
〈片頭痛発作の発症抑制〉
- 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5.1 参照]
8. 重要な基本的注意
-
〈効能共通〉
- 8.1 重篤な肝障害(投与初期6ヵ月以内に多い)があらわれることがあるので、投与初期6ヵ月間は定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。その後も連用中は定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。[11.1.1 参照]
- 8.2 高アンモニア血症を伴う意識障害があらわれることがあるので、定期的にアンモニア値を測定するなど観察を十分に行うこと。[10.2 参照],[11.1.2 参照]
- 8.3 連用中は定期的に腎機能検査、血液検査を行うことが望ましい。[11.1.3 参照],[11.1.5 参照]
- 8.4 他のバルプロ酸ナトリウム製剤を使用中の患者において使用薬剤を本剤に切り替える場合、血中濃度が変動することがあるので、血中濃度を測定することが望ましい。
-
〈各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療〉
- 8.5 **眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがある。自動車の運転等危険を伴う機械操作の適否は、関連学会の留意事項3) を十分理解の上、医師が慎重に判断し、危険を伴う機械操作を行う場合には十分な注意が必要であることを適切に患者に指導すること。また、眠気等があらわれた場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、患者に指導すること。
- 8.6 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。[9.1.6 参照],[9.8.2 参照]
- 〈片頭痛発作の発症抑制〉
- 〈躁病および躁うつ病の躁状態の治療、片頭痛発作の発症抑制〉
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者
-
9.1.2 自殺企図の既往及び自殺念慮のある躁病及び躁うつ病の躁状態の患者
自殺企図や自殺念慮が悪化するおそれがある。[15.1.1 参照]
-
9.1.3 尿素サイクル異常症が疑われる患者
以下のような患者においては、本剤投与前にアミノ酸分析等の検査を考慮するとともに、本剤投与中は、アンモニア値の変動に注意し、十分な観察を行うこと。重篤な高アンモニア血症があらわれるおそれがある。[11.1.2 参照]
-
9.1.4 重篤な下痢のある患者
本剤は製剤学的にバルプロ酸ナトリウムの溶出を制御して徐放化させたものであり、服用後一定時間消化管内に滞留する必要があるので、血中濃度が十分に上昇しない可能性がある。
-
9.1.5 腸管狭窄のある患者又は便秘のある患者
錠剤の通過が妨げられ、腸閉塞や潰瘍形成をきたすことがある。
-
9.1.6 虚弱者
- 投与を中止する場合には、徐々に減量するなど特に注意すること。[8.6 参照]
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
-
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
投与しないこと。肝障害が強くあらわれ致死的になるおそれがある。[2.1 参照]
-
9.3.2 肝機能障害又はその既往歴のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)
肝機能障害が強くあらわれるおそれがある。[11.1.1 参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤による催奇形性について十分に説明し、本剤の使用が適切であるか慎重に判断すること。本剤で催奇形性が認められている。[9.5.4 参照],[9.5.8 参照]
9.5 妊婦
-
〈片頭痛発作の発症抑制〉
- 9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。[2.4 参照]
- 〈各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療〉
-
〈効能共通〉
- 9.5.4 二分脊椎児を出産した母親の中に、本剤の成分を妊娠初期に投与された例が対照群より多いとの疫学的調査報告があり、また、本剤の成分を投与された母親に、心室中隔欠損等の心奇形や多指症、口蓋裂、尿道下裂等の外表奇形、その他の奇形を有する児を出産したとの報告がある。また、特有の顔貌(前頭部突出、両眼離開、鼻根偏平、浅く長い人中溝、薄い口唇等)を有する児を出産したとの報告がある。[9.4 参照]
- 9.5.5 妊娠中の投与により、新生児に呼吸障害、肝障害、低フィブリノーゲン血症、低血糖、退薬症候(神経過敏、過緊張、痙攣、嘔吐)等があらわれるとの報告がある。
- 9.5.6 海外で実施された観察研究において、妊娠中に抗てんかん薬を投与されたてんかん患者からの出生児224例を対象に6歳時の知能指数(IQ)[平均値(95%信頼区間)]を比較した結果、本剤を投与されたてんかん患者からの出生児のIQ[98(95-102)]は、ラモトリギン[108(105-111)]、フェニトイン[109(105-113)]、カルバマゼピン[106(103-109)]を投与されたてんかん患者からの出生児のIQと比較して低かったとの報告がある。なお、本剤の投与量が1,000mg/日(本研究における中央値)未満の場合は[104(99-109)]、1,000mg/日を超える場合は[94(90-99)]であった4) 。
- 9.5.7 海外で実施された観察研究において、妊娠中に本剤を投与された母親からの出生児508例は、本剤を投与されていない母親からの出生児655,107例と比較して、自閉症発症リスクが高かったとの報告がある[調整ハザード比:2.9(95%信頼区間:1.7-4.9)]5) 。
- 9.5.8 動物実験(マウス)で、本剤が葉酸代謝を阻害し、新生児の先天性奇形に関与する可能性があるとの報告がある6) 。[9.4 参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することがある。
9.7 小児等
9.8 高齢者
- 〈効能共通〉
-
〈各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療〉
- 9.8.2 投与を中止する場合には、徐々に減量するなど特に注意すること。[8.6 参照]
- 〈片頭痛発作の発症抑制〉
10. 相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強することがある。 |
左記薬剤がバルプロ酸の代謝を誘導し、バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇させる7) 。 |
|
フェニトイン |
バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強又は減弱することがある。 |
左記薬剤がバルプロ酸の代謝を誘導し、バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇又は低下させる7) 。 |
バルプロ酸による高アンモニア血症の発現リスクが高まるおそれがある。 |
機序は不明である。 |
|
エトスクシミド |
左記薬剤の作用が増強することがある。 |
左記薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
クロバザム |
バルプロ酸の作用が増強されることがある。 |
機序は不明であるが、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。 |
ラモトリギン |
左記薬剤の消失半減期が約2倍延長するとの報告がある。 |
肝におけるグルクロン酸抱合が競合する。 |
ロラゼパム |
左記薬剤の消失半減期が延長することがある。 |
肝におけるグルクロン酸抱合が競合する。 |
バルプロ酸の作用が減弱することがある。 |
肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される。 |
|
ベンゾジアゼピン系薬剤 |
左記薬剤の作用が増強することがある。 |
遊離型の左記薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
*クロザピン |
*左記薬剤の副作用(心筋炎および好中球減少症)が増強する可能性がある。 |
*機序は不明である。 |
サリチル酸系薬剤 アスピリン等 |
バルプロ酸の作用が増強されることがある。 |
遊離型バルプロ酸濃度が上昇する。また、バルプロ酸の代謝が阻害される。 |
エリスロマイシン |
バルプロ酸の作用が増強されることがある。 |
左記薬剤が肝チトクロームP-450による薬物代謝を抑制し、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。 |
クロナゼパム |
アブサンス重積(欠神発作重積)があらわれたとの報告がある。 |
機序は不明である。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 劇症肝炎等の重篤な肝障害、黄疸、脂肪肝等(いずれも頻度不明)
肝障害とともに急激な意識障害があらわれることがある。[8.1 参照],[9.3.2 参照]
- 11.1.2 高アンモニア血症を伴う意識障害(頻度不明)
- 11.1.3 溶血性貧血、赤芽球癆、汎血球減少、重篤な血小板減少、顆粒球減少(いずれも頻度不明)
-
11.1.4 急性膵炎(頻度不明)
激しい腹痛、発熱、嘔気、嘔吐等の症状があらわれたり、膵酵素値の上昇が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.1.5 間質性腎炎、ファンコニー症候群(いずれも頻度不明)
- 11.1.6 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
-
11.1.7 過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
-
11.1.8 脳の萎縮、認知症様症状、パーキンソン様症状(いずれも頻度不明)
認知症様症状として健忘、見当識障害、言語障害、寡動、知能低下、感情鈍麻等があらわれることがある。パーキンソン様症状として静止時振戦、硬直、姿勢・歩行異常等があらわれることがある。なお、これらの症状が発現した例では中止により、ほとんどが1~2ヵ月で回復している。
-
11.1.9 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-
11.1.10 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム量の増加、高張尿等があらわれた場合には、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
-
11.1.11 間質性肺炎、好酸球性肺炎(いずれも頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
0.1~5%未満 注1) |
0.1%未満 注1) |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
血液 |
貧血、白血球減少、好酸球増多 |
低フィブリノーゲン血症 |
血小板凝集能低下 |
精神神経系 |
傾眠、失調、めまい、頭痛 |
不眠、不穏、感覚変化、振戦 |
視覚異常、抑うつ |
消化器 |
悪心・嘔吐、食欲不振 |
胃部不快感、腹痛、下痢、食欲亢進 |
口内炎、便秘 |
肝臓 |
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇 |
||
*呼吸器 |
*胸膜炎、胸水(好酸球性を含む) |
||
皮膚 |
脱毛 |
||
過敏症 |
発疹 |
||
泌尿器 |
血尿、夜尿・頻尿 |
尿失禁 |
|
生殖器 |
|||
その他 |
倦怠感、高アンモニア血症、体重増加 |
鼻血、口渇、浮腫 |
歯肉肥厚、発熱、カルニチン減少 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1,000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1,000人あたり2.4人多いと計算されている。[9.1.2 参照]
- 15.1.2 本剤との因果関係は明らかではないが、北欧で実施された観察研究において、受胎前の3ヵ月間に本剤に曝露した父親の児は、ラモトリギン又はレベチラセタムに曝露した父親の児と比較して、神経発達症リスクの増加を示唆する報告がある(調整ハザード比1.50 [95%信頼区間:1.09-2.07])8) 。一方で、てんかんを有する父親を対象とした海外で実施された観察研究において、受胎前の120日間に本剤に曝露した父親の児は、本剤に曝露していない父親の児と比較して、統計学的に有意な神経発達症リスクの増加は認められないとする報告もある9) 。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
-
〈効能共通〉
- 2.1 重篤な肝障害のある患者[9.3.1 参照]
- 2.2 カルバペネム系抗生物質を投与中の患者[10.1 参照]
- 2.3 尿素サイクル異常症の患者[重篤な高アンモニア血症があらわれることがある。]
-
〈片頭痛発作の発症抑制〉
- 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5.1 参照]
8. 重要な基本的注意
-
〈効能共通〉
- 8.1 重篤な肝障害(投与初期6ヵ月以内に多い)があらわれることがあるので、投与初期6ヵ月間は定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。その後も連用中は定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。[11.1.1 参照]
- 8.2 高アンモニア血症を伴う意識障害があらわれることがあるので、定期的にアンモニア値を測定するなど観察を十分に行うこと。[10.2 参照],[11.1.2 参照]
- 8.3 連用中は定期的に腎機能検査、血液検査を行うことが望ましい。[11.1.3 参照],[11.1.5 参照]
- 8.4 他のバルプロ酸ナトリウム製剤を使用中の患者において使用薬剤を本剤に切り替える場合、血中濃度が変動することがあるので、血中濃度を測定することが望ましい。
-
〈各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療〉
- 8.5 **眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがある。自動車の運転等危険を伴う機械操作の適否は、関連学会の留意事項3) を十分理解の上、医師が慎重に判断し、危険を伴う機械操作を行う場合には十分な注意が必要であることを適切に患者に指導すること。また、眠気等があらわれた場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、患者に指導すること。
- 8.6 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。[9.1.6 参照],[9.8.2 参照]
- 〈片頭痛発作の発症抑制〉
- 〈躁病および躁うつ病の躁状態の治療、片頭痛発作の発症抑制〉
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者
-
9.1.2 自殺企図の既往及び自殺念慮のある躁病及び躁うつ病の躁状態の患者
自殺企図や自殺念慮が悪化するおそれがある。[15.1.1 参照]
-
9.1.3 尿素サイクル異常症が疑われる患者
以下のような患者においては、本剤投与前にアミノ酸分析等の検査を考慮するとともに、本剤投与中は、アンモニア値の変動に注意し、十分な観察を行うこと。重篤な高アンモニア血症があらわれるおそれがある。[11.1.2 参照]
-
9.1.4 重篤な下痢のある患者
本剤は製剤学的にバルプロ酸ナトリウムの溶出を制御して徐放化させたものであり、服用後一定時間消化管内に滞留する必要があるので、血中濃度が十分に上昇しない可能性がある。
-
9.1.5 腸管狭窄のある患者又は便秘のある患者
錠剤の通過が妨げられ、腸閉塞や潰瘍形成をきたすことがある。
-
9.1.6 虚弱者
- 投与を中止する場合には、徐々に減量するなど特に注意すること。[8.6 参照]
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
-
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
投与しないこと。肝障害が強くあらわれ致死的になるおそれがある。[2.1 参照]
-
9.3.2 肝機能障害又はその既往歴のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)
肝機能障害が強くあらわれるおそれがある。[11.1.1 参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤による催奇形性について十分に説明し、本剤の使用が適切であるか慎重に判断すること。本剤で催奇形性が認められている。[9.5.4 参照],[9.5.8 参照]
9.5 妊婦
-
〈片頭痛発作の発症抑制〉
- 9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。[2.4 参照]
- 〈各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療〉
-
〈効能共通〉
- 9.5.4 二分脊椎児を出産した母親の中に、本剤の成分を妊娠初期に投与された例が対照群より多いとの疫学的調査報告があり、また、本剤の成分を投与された母親に、心室中隔欠損等の心奇形や多指症、口蓋裂、尿道下裂等の外表奇形、その他の奇形を有する児を出産したとの報告がある。また、特有の顔貌(前頭部突出、両眼離開、鼻根偏平、浅く長い人中溝、薄い口唇等)を有する児を出産したとの報告がある。[9.4 参照]
- 9.5.5 妊娠中の投与により、新生児に呼吸障害、肝障害、低フィブリノーゲン血症、低血糖、退薬症候(神経過敏、過緊張、痙攣、嘔吐)等があらわれるとの報告がある。
- 9.5.6 海外で実施された観察研究において、妊娠中に抗てんかん薬を投与されたてんかん患者からの出生児224例を対象に6歳時の知能指数(IQ)[平均値(95%信頼区間)]を比較した結果、本剤を投与されたてんかん患者からの出生児のIQ[98(95-102)]は、ラモトリギン[108(105-111)]、フェニトイン[109(105-113)]、カルバマゼピン[106(103-109)]を投与されたてんかん患者からの出生児のIQと比較して低かったとの報告がある。なお、本剤の投与量が1,000mg/日(本研究における中央値)未満の場合は[104(99-109)]、1,000mg/日を超える場合は[94(90-99)]であった4) 。
- 9.5.7 海外で実施された観察研究において、妊娠中に本剤を投与された母親からの出生児508例は、本剤を投与されていない母親からの出生児655,107例と比較して、自閉症発症リスクが高かったとの報告がある[調整ハザード比:2.9(95%信頼区間:1.7-4.9)]5) 。
- 9.5.8 動物実験(マウス)で、本剤が葉酸代謝を阻害し、新生児の先天性奇形に関与する可能性があるとの報告がある6) 。[9.4 参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することがある。
9.7 小児等
9.8 高齢者
- 〈効能共通〉
-
〈各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療〉
- 9.8.2 投与を中止する場合には、徐々に減量するなど特に注意すること。[8.6 参照]
- 〈片頭痛発作の発症抑制〉
10. 相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強することがある。 |
左記薬剤がバルプロ酸の代謝を誘導し、バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇させる7) 。 |
|
フェニトイン |
バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強又は減弱することがある。 |
左記薬剤がバルプロ酸の代謝を誘導し、バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇又は低下させる7) 。 |
バルプロ酸による高アンモニア血症の発現リスクが高まるおそれがある。 |
機序は不明である。 |
|
エトスクシミド |
左記薬剤の作用が増強することがある。 |
左記薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
クロバザム |
バルプロ酸の作用が増強されることがある。 |
機序は不明であるが、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。 |
ラモトリギン |
左記薬剤の消失半減期が約2倍延長するとの報告がある。 |
肝におけるグルクロン酸抱合が競合する。 |
ロラゼパム |
左記薬剤の消失半減期が延長することがある。 |
肝におけるグルクロン酸抱合が競合する。 |
バルプロ酸の作用が減弱することがある。 |
肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される。 |
|
ベンゾジアゼピン系薬剤 |
左記薬剤の作用が増強することがある。 |
遊離型の左記薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
*クロザピン |
*左記薬剤の副作用(心筋炎および好中球減少症)が増強する可能性がある。 |
*機序は不明である。 |
サリチル酸系薬剤 アスピリン等 |
バルプロ酸の作用が増強されることがある。 |
遊離型バルプロ酸濃度が上昇する。また、バルプロ酸の代謝が阻害される。 |
エリスロマイシン |
バルプロ酸の作用が増強されることがある。 |
左記薬剤が肝チトクロームP-450による薬物代謝を抑制し、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。 |
クロナゼパム |
アブサンス重積(欠神発作重積)があらわれたとの報告がある。 |
機序は不明である。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 劇症肝炎等の重篤な肝障害、黄疸、脂肪肝等(いずれも頻度不明)
肝障害とともに急激な意識障害があらわれることがある。[8.1 参照],[9.3.2 参照]
- 11.1.2 高アンモニア血症を伴う意識障害(頻度不明)
- 11.1.3 溶血性貧血、赤芽球癆、汎血球減少、重篤な血小板減少、顆粒球減少(いずれも頻度不明)
-
11.1.4 急性膵炎(頻度不明)
激しい腹痛、発熱、嘔気、嘔吐等の症状があらわれたり、膵酵素値の上昇が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.1.5 間質性腎炎、ファンコニー症候群(いずれも頻度不明)
- 11.1.6 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
-
11.1.7 過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
-
11.1.8 脳の萎縮、認知症様症状、パーキンソン様症状(いずれも頻度不明)
認知症様症状として健忘、見当識障害、言語障害、寡動、知能低下、感情鈍麻等があらわれることがある。パーキンソン様症状として静止時振戦、硬直、姿勢・歩行異常等があらわれることがある。なお、これらの症状が発現した例では中止により、ほとんどが1~2ヵ月で回復している。
-
11.1.9 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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11.1.10 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム量の増加、高張尿等があらわれた場合には、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
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11.1.11 間質性肺炎、好酸球性肺炎(いずれも頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
0.1~5%未満 注1) |
0.1%未満 注1) |
頻度不明 |
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|---|---|---|---|
血液 |
貧血、白血球減少、好酸球増多 |
低フィブリノーゲン血症 |
血小板凝集能低下 |
精神神経系 |
傾眠、失調、めまい、頭痛 |
不眠、不穏、感覚変化、振戦 |
視覚異常、抑うつ |
消化器 |
悪心・嘔吐、食欲不振 |
胃部不快感、腹痛、下痢、食欲亢進 |
口内炎、便秘 |
肝臓 |
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇 |
||
*呼吸器 |
*胸膜炎、胸水(好酸球性を含む) |
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皮膚 |
脱毛 |
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過敏症 |
発疹 |
||
泌尿器 |
血尿、夜尿・頻尿 |
尿失禁 |
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生殖器 |
|||
その他 |
倦怠感、高アンモニア血症、体重増加 |
鼻血、口渇、浮腫 |
歯肉肥厚、発熱、カルニチン減少 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1,000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1,000人あたり2.4人多いと計算されている。[9.1.2 参照]
- 15.1.2 本剤との因果関係は明らかではないが、北欧で実施された観察研究において、受胎前の3ヵ月間に本剤に曝露した父親の児は、ラモトリギン又はレベチラセタムに曝露した父親の児と比較して、神経発達症リスクの増加を示唆する報告がある(調整ハザード比1.50 [95%信頼区間:1.09-2.07])8) 。一方で、てんかんを有する父親を対象とした海外で実施された観察研究において、受胎前の120日間に本剤に曝露した父親の児は、本剤に曝露していない父親の児と比較して、統計学的に有意な神経発達症リスクの増加は認められないとする報告もある9) 。





