薬効分類名抗サイトメガロウイルス化学療法剤
一般的名称ガンシクロビル
ガンシクロビル点滴静注用500mg「VTRS」
がんしくろびるてんてきじょうちゅうよう500mg「VTRS」
GANCICLOVIR for I.V. Infusion
製造販売元/ヴィアトリス・ヘルスケア合同会社、販売元/ヴィアトリス製薬合同会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
ジドブジン
ジドブジンのAUCが17%増加したとの報告がある。また、併用により有意ではないがガンシクロビルの血漿中濃度の低下傾向がみられたとの報告がある。ガンシクロビル及びジドブジンはいずれも好中球減少、貧血の原因となる可能性があるので、併用する場合は本剤又はジドブジンを減量すること。
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させる。
ジダノシン
ジダノシンの血漿中濃度が上昇したとの報告がある(ガンシクロビル3g/日、6g/日の経口投与で、ジダノシンのAUCが84%、124%増加、5mg/kg/日、10mg/kg/日の静脈内投与でAUCが38%、67%増加)。併用により、ガンシクロビルの血漿中濃度が臨床的に有意に増加したとの報告はないが、併用する場合はジダノシンの毒性を注意深く観察すること。
生物学的利用率の増加もしくは代謝の遅延が考えられる。
イミペネム・シラスタチンナトリウム
痙攣が報告されている。
機序は不明である。
骨髄抑制作用のある薬剤及び腎機能障害作用のある薬剤
- ジアフェニルスルホン
- ビンクリスチン硫酸塩
- ビンブラスチン硫酸塩
- ドキソルビシン塩酸塩
- ヒドロキシカルバミド
- フルシトシン
- アムホテリシンB
- ペンタミジンイセチオン酸塩
- 核酸誘導体等
毒性が増強するおそれがある。
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
トリメトプリムの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが16%低下し、血漿中消失半減期が15%延長したとの報告がある。しかし、ガンシクロビルのAUC及びCmaxに影響はなく臨床的に有意な変化とは考えられなかった。また、トリメトプリムのCminが12%上昇したとの報告がある。
機序は不明である。
シクロスポリン
シクロスポリンの薬物動態に影響を与えたとの報告はないが、血清クレアチニン濃度が上昇するとの報告がある。
機序は不明である。
プロベネシド
ガンシクロビルの腎クリアランスが20%低下し、その結果、曝露量が40%上昇したとの報告がある。
腎尿細管での分泌が競合する。
ミコフェノール酸 モフェチル
ガンシクロビル及びミコフェノール酸 モフェチルの代謝物であるグルクロン酸抱合体の血漿中濃度が上昇するおそれがあるが、ミコフェノール酸 モフェチルの活性代謝物の薬物動態に実質的な変化はないと考えられる。腎機能障害患者に、ミコフェノール酸 モフェチルと本剤(腎機能障害患者への推奨量)を併用する場合は、患者の症状に注意し慎重に投与すること。
腎尿細管での分泌が競合する。
免疫抑制剤
- プレドニゾロン
- タクロリムス
本剤との併用により、重篤な血小板減少が報告されている。
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる。
1. 警告
- 1.1 本剤の投与により、重篤な白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、汎血球減少、再生不良性貧血及び骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。[7.3 参照],[8.2 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
- 1.2 動物実験において一時的又は不可逆的な精子形成機能障害を起こすこと及び妊孕性低下が報告されていること、また、ヒトにおいて精子形成機能障害を起こすおそれがあることを患者に説明し慎重に投与すること。[15.1 参照],[15.2.3 参照]
- 1.3 動物実験において、催奇形性、遺伝毒性及び発がん性のあることが報告されていることを患者に説明し慎重に投与すること。[9.4.1 参照],[9.4.2 参照],[9.5 参照],[9.6 参照],[9.7 参照],[15.2.1 参照],[15.2.2 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 好中球数500/mm3未満又は血小板数25,000/mm3未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者[本剤の投与により重篤な好中球減少及び血小板減少が認められている。][7.3 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
- 2.2 ガンシクロビル、バルガンシクロビル又は本剤の成分、ガンシクロビル、バルガンシクロビルと化学構造が類似する化合物(アシクロビル、バラシクロビル等)に対する過敏症の既往歴のある患者
- 2.3 **マリバビルを投与中の患者[10.1 参照]
- 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 本剤は先天性若しくは新生児サイトメガロウイルス感染症は効能又は効果とはしていない。[9.7 参照]
- 5.2 本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、サイトメガロウイルス感染症と確定診断された患者若しくは臨床的にサイトメガロウイルス感染症が強く疑われる患者において、治療上の効果が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
6. 用法及び用量
初期治療は、通常、ガンシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日2回、12時間毎に1時間以上かけて、点滴静注する。
維持治療は、後天性免疫不全症候群の患者又は免疫抑制剤投与中の患者で、再発の可能性が高い場合は必要に応じ維持治療に移行することとし、通常、体重1kg当たり1日6mgを週に5日又は1日5mgを週に7日、1時間以上かけて点滴静注する。
維持治療中又は投与終了後、サイトメガロウイルス感染症の再発が認められる患者においては必要に応じて再投与として初期治療の用法・用量にて投与することができる。
なお、腎機能障害のある患者に対しては、腎機能障害の程度に応じて適宜減量する。
<注射液の調製法>
1バイアル(ガンシクロビル500mgを含有)を注射用水10mLに溶解し、投与量に相当する量を1バイアル当たり通常100mLの補液で希釈する。なお、希釈後の補液のガンシクロビル濃度は10mg/mLを超えないこと。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 サイトメガロウイルス血症の陰性化を確認した場合には、初期治療を終了すること。
- 7.2 維持治療は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行い、不必要な長期投与は避けること。
- 7.3 本剤投与中、好中球減少(500/mm3未満)又は血小板減少(25,000/mm3未満)等、著しい骨髄抑制が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬すること。これより軽度の好中球減少(500~1,000/mm3)及び血小板減少(50,000/mm3以下)の場合は減量すること。[1.1 参照],[2.1 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照]
-
7.4 腎機能障害例については、参考までに米国での標準的な本剤の減量の目安を下表に示す。[9.2 参照],[9.8 参照],[16.6.1 参照]
クレアチニン
クリアランス値
(mL/min)初期治療
維持治療
用量
(mg/kg)投与間隔
(時間)用量
(mg/kg)投与間隔
(時間)≧70
5.0
12
5.0
24
50~69
2.5
12
2.5
24
25~49
2.5
24
1.25
24
10~24
1.25
24
0.625
24
<10
1.25
透析後
週3回0.625
透析後
週3回
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の投与による重篤な副作用が報告されていること及び本剤がサイトメガロウイルス感染症を完治させる薬剤でないことを念頭におき、重大な副作用が発現するおそれのあること並びにその内容を患者によく説明し同意を得た後、投与すること。
- 8.2 本剤の投与中は、血球数、血小板数等の血液学的検査を行うこと。[1.1 参照],[2.1 参照],[7.3 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
- 8.3 本剤の投与により腎不全を起こすことが報告されているので、血清クレアチニン若しくはクレアチニンクリアランスを慎重に観察すること。[11.1.3 参照]
- 8.4 本剤の投与により痙攣、鎮静、めまい、運動失調、錯乱が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事させないこと。
- 8.5 サイトメガロウイルス網膜炎の投与期間については、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。
- 8.6 本剤の結晶が尿細管に沈着するおそれがあるので、十分な水分の補給を行い、尿への排泄を促すよう考慮すること。[16.4 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 薬剤等による白血球減少の既往歴のある患者
本剤の投与により重篤な好中球減少が認められている。[1.1 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照]
-
9.1.2 血小板減少(25,000/mm3以上100,000/mm3未満)のある患者
本剤の投与により重篤な血小板減少が認められている。[1.1 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
-
9.1.3 精神病、思考異常の既往歴のある患者、薬剤による精神病反応又は神経毒性を呈したことのある患者
精神神経系障害を悪化させるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
ガンシクロビルの血中半減期の延長とクリアランスの低下の報告がある。[7.4 参照],[16.6.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害を悪化させるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
- 9.4.1 妊娠する可能性のある女性が使用する場合、投与期間中は有効な避妊を行うよう指導すること。[1.3 参照],[9.5 参照],[15.2.1 参照]
- 9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性が使用する場合、投与期間中及び投与後90日間は有効な避妊を行うよう指導すること。マウスを用いた小核試験等において遺伝毒性が認められている。 [1.3 参照],[15.2.1 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ、静脈内投与)で、妊孕性の低下、催奇形性(外形異常等)及び遺伝毒性があることが報告されている。[1.3 参照],[2.4 参照],[9.4.1 参照],[15.2.1 参照],[15.2.4 参照]
9.6 授乳婦
投与期間中は授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、乳汁への移行が認められている。また、本剤は動物実験(マウス)において発がん性が認められている。[1.3 参照],[15.2.2 参照]
9.7 小児等
長期投与による発がん性及び生殖毒性の可能性があることを慎重に考慮し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[1.3 参照],[5.1 参照],[15.2.1 参照],[15.2.2 参照]
9.8 高齢者
腎機能障害例への投与を参考にし、用量を調節するなど、慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。[7.4 参照]
10. 相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
**マリバビル(リブテンシティ) |
併用により、本剤の抗ウイルス作用が阻害されるおそれがある。 |
マリバビルは、本剤の活性化又はリン酸化に必要なウイルス由来のUL97を阻害する。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
ジドブジン |
ジドブジンのAUCが17%増加したとの報告がある。また、併用により有意ではないがガンシクロビルの血漿中濃度の低下傾向がみられたとの報告がある。ガンシクロビル及びジドブジンはいずれも好中球減少、貧血の原因となる可能性があるので、併用する場合は本剤又はジドブジンを減量すること。 |
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させる。 |
ジダノシン |
ジダノシンの血漿中濃度が上昇したとの報告がある(ガンシクロビル3g/日、6g/日の経口投与で、ジダノシンのAUCが84%、124%増加、5mg/kg/日、10mg/kg/日の静脈内投与でAUCが38%、67%増加)。併用により、ガンシクロビルの血漿中濃度が臨床的に有意に増加したとの報告はないが、併用する場合はジダノシンの毒性を注意深く観察すること。 |
生物学的利用率の増加もしくは代謝の遅延が考えられる。 |
イミペネム・シラスタチンナトリウム |
痙攣が報告されている。 |
機序は不明である。 |
毒性が増強するおそれがある。 |
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる。 |
|
スルファメトキサゾール・トリメトプリム |
トリメトプリムの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが16%低下し、血漿中消失半減期が15%延長したとの報告がある。しかし、ガンシクロビルのAUC及びCmaxに影響はなく臨床的に有意な変化とは考えられなかった。また、トリメトプリムのCminが12%上昇したとの報告がある。 |
機序は不明である。 |
シクロスポリン |
シクロスポリンの薬物動態に影響を与えたとの報告はないが、血清クレアチニン濃度が上昇するとの報告がある。 |
機序は不明である。 |
プロベネシド |
ガンシクロビルの腎クリアランスが20%低下し、その結果、曝露量が40%上昇したとの報告がある。 |
腎尿細管での分泌が競合する。 |
ミコフェノール酸 モフェチル |
ガンシクロビル及びミコフェノール酸 モフェチルの代謝物であるグルクロン酸抱合体の血漿中濃度が上昇するおそれがあるが、ミコフェノール酸 モフェチルの活性代謝物の薬物動態に実質的な変化はないと考えられる。腎機能障害患者に、ミコフェノール酸 モフェチルと本剤(腎機能障害患者への推奨量)を併用する場合は、患者の症状に注意し慎重に投与すること。 |
腎尿細管での分泌が競合する。 |
本剤との併用により、重篤な血小板減少が報告されている。 |
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 骨髄抑制、汎血球減少、再生不良性貧血、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)
投与中に重篤な白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少を伴う場合には、造血促進因子を投与するか又は本剤の投与を中止すること。[1.1 参照],[2.1 参照],[7.3 参照],[8.2 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照]
- 11.1.2 血小板減少に伴う重篤な出血(消化管出血を含む)(頻度不明)
- 11.1.3 腎不全(頻度不明)
- 11.1.4 膵炎(頻度不明)
- 11.1.5 深在性血栓性静脈炎(頻度不明)
- 11.1.6 痙攣、精神病性障害、幻覚、錯乱、激越、昏睡(いずれも頻度不明)
- 11.1.7 敗血症等の骨髄障害及び免疫系障害に関連する感染症(頻度不明)
11.2 その他の副作用
5%以上 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|
血液 |
好酸球増多 |
低色素性貧血、脾腫、貧血 |
全身症状 |
無力症、浮腫、疼痛、倦怠感、胸痛、腹部腫脹、悪寒、発熱 |
|
循環器 |
不整脈、低血圧、血管拡張、高血圧 |
|
呼吸器 |
呼吸困難、咳の増加 |
|
過敏症 |
そう痒、発疹 |
|
消化器 |
悪心 |
腹痛、食欲不振、鼓腸放屁、消化不良、口渇、おくび、便秘、アフタ性口内炎、便失禁、食道炎、胃炎、潰瘍性口内炎、嚥下障害、下痢、嘔吐、胃腸障害 |
精神神経系 |
頭痛(12.5%) |
不眠症、眩暈、神経障害、異夢、傾眠、鎮静、思考異常、健忘症、緊張亢進、歩行異常、異常感覚、不安、多幸症、偏頭痛、情緒不安、運動過多、振戦、せん妄、性欲減退、ミオクロヌス、運動失調、躁病反応、うつ病、神経質、精神病 |
皮膚 |
皮膚乾燥、斑状丘疹、ざ瘡、発汗、脱毛 |
|
腎臓 |
クレアチニンクリアランス低下、クレアチニン上昇、BUN上昇等の腎機能障害 |
頻尿、尿路感染、血尿 |
肝臓 |
AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇等の肝機能障害 |
黄疸、肝炎 |
筋・骨格系 |
両下肢痙直、筋肉痛、筋無力症、背痛、骨痛、CK上昇、関節痛 |
|
感覚器 |
味覚倒錯、視覚障害、硝子体混濁、眼痛、耳痛、耳鳴、失明、結膜炎、難聴、網膜剥離、網膜炎、霧視 |
|
投与部位 |
静脈投与による静脈炎、痛み |
|
その他 |
体重減少、感染、インポテンス、高血糖、低血糖、乳房痛、低カリウム血症、蜂巣炎、低ナトリウム血症 |
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
- 14.1.1 補液で希釈する際、補液によっては白濁あるいは結晶が析出する場合があるのでそのような場合には投与しないこと。本剤希釈用の補液としては、生理食塩液、5%ブドウ糖液、リンゲル液あるいは乳酸リンゲル液を使用することが望ましいが、その希釈溶液の濃度は10mg/mLを超えないこと。また、配合変化が起こりやすいので、他剤(希釈用の補液は除く)との混注はしないこと。希釈した溶液は細菌汚染等を防止するため、24時間以内に使用すること。また、冷凍しないこと。
-
14.1.2 保存時:バイアル内にて注射用水で溶解後室温で24時間の安定性が確認されている。
なお、結晶が析出するおそれがあるので、冷蔵庫保存は行わないこと。 - 14.1.3 本剤は注射用水で溶解後はpH約11と強アルカリ性を呈することから、取扱い時にはゴム手袋、防護メガネ等の着用が望ましい。皮膚に本溶液が付着した場合には、石鹼で洗い、水で完全に洗い落とすこと。眼に本溶液が入った場合には、15分間水で洗眼すること。また、本剤は発がん性を有する可能性があるため、繰り返し直接手で触れたり、吸入したり又は眼の中へ入れないように十分に注意すること。
14.2 薬剤投与時の注意
本剤は強アルカリ性(pH 約11)を呈することから、点滴静注部位の血管痛を訴えたり、静脈炎があらわれることがあるので、薬液が速やかに希釈分散するよう十分な血液のある静脈にのみ慎重に投与すること。
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
海外で実施された非無作為化非盲検の市販後臨床試験において、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制のため本剤のプロドラッグであるバルガンシクロビルを最長200日間投与された成人の腎移植患者(24例)では、非投与患者(14例)と比較して、精子濃度が低下したとの報告がある。ただし、バルガンシクロビル投与終了6ヵ月後には、バルガンシクロビル投与患者(20例)の精子濃度は非投与患者(10例)と同程度まで回復した。[1.2 参照],[15.2.3 参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 遺伝毒性:ヒト細胞を用いた姉妹染色分体交換試験、マウスを用いた小核試験、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験では、遺伝毒性が認められた。[1.3 参照],[9.4.1 参照],[9.4.2 参照],[9.5 参照],[9.7 参照]
- 15.2.2 がん原性:マウスに18ヵ月間経口投与したがん原性試験において、20mg/kg/日以上の投与量で雄の包皮腺及びハーダー腺、雌の生殖器及び肝臓、雌雄の前胃等に腫瘍の発生が増加したとの報告がある。[1.3 参照],[9.6 参照],[9.7 参照]
- 15.2.3 精子形成能:動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、ガンシクロビルは治療濃度域以下の曝露で精子形成機能障害を起こすことが認められている。[1.2 参照],[15.1 参照]
- 15.2.4 胎盤通過性:ex vivoヒト胎盤モデルにおいてガンシクロビルは胎盤を透過することが報告されている。ガンシクロビル濃度が1~10μg/mLにおいて、ガンシクロビルの透過に飽和が認められなかったことから、胎盤通過のメカニズムは主として単純拡散によるものと考えられる。[9.5 参照]
- 15.2.5 ヒト骨髄細胞の増殖に対する作用:ヒト骨髄細胞の増殖に対するガンシクロビルの作用をin vitroで検討した結果、ガンシクロビルの骨髄ヘの毒性は10μmol/L以上であらわれており、アシクロビル(ID50≧100μmol/L)より強く、ビダラビン、トリフロロチミジン(ID50=1~10μmol/L)より弱かった。
1. 警告
- 1.1 本剤の投与により、重篤な白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、汎血球減少、再生不良性貧血及び骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。[7.3 参照],[8.2 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
- 1.2 動物実験において一時的又は不可逆的な精子形成機能障害を起こすこと及び妊孕性低下が報告されていること、また、ヒトにおいて精子形成機能障害を起こすおそれがあることを患者に説明し慎重に投与すること。[15.1 参照],[15.2.3 参照]
- 1.3 動物実験において、催奇形性、遺伝毒性及び発がん性のあることが報告されていることを患者に説明し慎重に投与すること。[9.4.1 参照],[9.4.2 参照],[9.5 参照],[9.6 参照],[9.7 参照],[15.2.1 参照],[15.2.2 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 好中球数500/mm3未満又は血小板数25,000/mm3未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者[本剤の投与により重篤な好中球減少及び血小板減少が認められている。][7.3 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
- 2.2 ガンシクロビル、バルガンシクロビル又は本剤の成分、ガンシクロビル、バルガンシクロビルと化学構造が類似する化合物(アシクロビル、バラシクロビル等)に対する過敏症の既往歴のある患者
- 2.3 **マリバビルを投与中の患者[10.1 参照]
- 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 本剤は先天性若しくは新生児サイトメガロウイルス感染症は効能又は効果とはしていない。[9.7 参照]
- 5.2 本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、サイトメガロウイルス感染症と確定診断された患者若しくは臨床的にサイトメガロウイルス感染症が強く疑われる患者において、治療上の効果が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
6. 用法及び用量
初期治療は、通常、ガンシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日2回、12時間毎に1時間以上かけて、点滴静注する。
維持治療は、後天性免疫不全症候群の患者又は免疫抑制剤投与中の患者で、再発の可能性が高い場合は必要に応じ維持治療に移行することとし、通常、体重1kg当たり1日6mgを週に5日又は1日5mgを週に7日、1時間以上かけて点滴静注する。
維持治療中又は投与終了後、サイトメガロウイルス感染症の再発が認められる患者においては必要に応じて再投与として初期治療の用法・用量にて投与することができる。
なお、腎機能障害のある患者に対しては、腎機能障害の程度に応じて適宜減量する。
<注射液の調製法>
1バイアル(ガンシクロビル500mgを含有)を注射用水10mLに溶解し、投与量に相当する量を1バイアル当たり通常100mLの補液で希釈する。なお、希釈後の補液のガンシクロビル濃度は10mg/mLを超えないこと。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 サイトメガロウイルス血症の陰性化を確認した場合には、初期治療を終了すること。
- 7.2 維持治療は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行い、不必要な長期投与は避けること。
- 7.3 本剤投与中、好中球減少(500/mm3未満)又は血小板減少(25,000/mm3未満)等、著しい骨髄抑制が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬すること。これより軽度の好中球減少(500~1,000/mm3)及び血小板減少(50,000/mm3以下)の場合は減量すること。[1.1 参照],[2.1 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照]
-
7.4 腎機能障害例については、参考までに米国での標準的な本剤の減量の目安を下表に示す。[9.2 参照],[9.8 参照],[16.6.1 参照]
クレアチニン
クリアランス値
(mL/min)初期治療
維持治療
用量
(mg/kg)投与間隔
(時間)用量
(mg/kg)投与間隔
(時間)≧70
5.0
12
5.0
24
50~69
2.5
12
2.5
24
25~49
2.5
24
1.25
24
10~24
1.25
24
0.625
24
<10
1.25
透析後
週3回0.625
透析後
週3回
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の投与による重篤な副作用が報告されていること及び本剤がサイトメガロウイルス感染症を完治させる薬剤でないことを念頭におき、重大な副作用が発現するおそれのあること並びにその内容を患者によく説明し同意を得た後、投与すること。
- 8.2 本剤の投与中は、血球数、血小板数等の血液学的検査を行うこと。[1.1 参照],[2.1 参照],[7.3 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
- 8.3 本剤の投与により腎不全を起こすことが報告されているので、血清クレアチニン若しくはクレアチニンクリアランスを慎重に観察すること。[11.1.3 参照]
- 8.4 本剤の投与により痙攣、鎮静、めまい、運動失調、錯乱が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事させないこと。
- 8.5 サイトメガロウイルス網膜炎の投与期間については、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。
- 8.6 本剤の結晶が尿細管に沈着するおそれがあるので、十分な水分の補給を行い、尿への排泄を促すよう考慮すること。[16.4 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 薬剤等による白血球減少の既往歴のある患者
本剤の投与により重篤な好中球減少が認められている。[1.1 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照]
-
9.1.2 血小板減少(25,000/mm3以上100,000/mm3未満)のある患者
本剤の投与により重篤な血小板減少が認められている。[1.1 参照],[8.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
-
9.1.3 精神病、思考異常の既往歴のある患者、薬剤による精神病反応又は神経毒性を呈したことのある患者
精神神経系障害を悪化させるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
ガンシクロビルの血中半減期の延長とクリアランスの低下の報告がある。[7.4 参照],[16.6.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害を悪化させるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
- 9.4.1 妊娠する可能性のある女性が使用する場合、投与期間中は有効な避妊を行うよう指導すること。[1.3 参照],[9.5 参照],[15.2.1 参照]
- 9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性が使用する場合、投与期間中及び投与後90日間は有効な避妊を行うよう指導すること。マウスを用いた小核試験等において遺伝毒性が認められている。 [1.3 参照],[15.2.1 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ、静脈内投与)で、妊孕性の低下、催奇形性(外形異常等)及び遺伝毒性があることが報告されている。[1.3 参照],[2.4 参照],[9.4.1 参照],[15.2.1 参照],[15.2.4 参照]
9.6 授乳婦
投与期間中は授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、乳汁への移行が認められている。また、本剤は動物実験(マウス)において発がん性が認められている。[1.3 参照],[15.2.2 参照]
9.7 小児等
長期投与による発がん性及び生殖毒性の可能性があることを慎重に考慮し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[1.3 参照],[5.1 参照],[15.2.1 参照],[15.2.2 参照]
9.8 高齢者
腎機能障害例への投与を参考にし、用量を調節するなど、慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。[7.4 参照]
10. 相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
**マリバビル(リブテンシティ) |
併用により、本剤の抗ウイルス作用が阻害されるおそれがある。 |
マリバビルは、本剤の活性化又はリン酸化に必要なウイルス由来のUL97を阻害する。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
ジドブジン |
ジドブジンのAUCが17%増加したとの報告がある。また、併用により有意ではないがガンシクロビルの血漿中濃度の低下傾向がみられたとの報告がある。ガンシクロビル及びジドブジンはいずれも好中球減少、貧血の原因となる可能性があるので、併用する場合は本剤又はジドブジンを減量すること。 |
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させる。 |
ジダノシン |
ジダノシンの血漿中濃度が上昇したとの報告がある(ガンシクロビル3g/日、6g/日の経口投与で、ジダノシンのAUCが84%、124%増加、5mg/kg/日、10mg/kg/日の静脈内投与でAUCが38%、67%増加)。併用により、ガンシクロビルの血漿中濃度が臨床的に有意に増加したとの報告はないが、併用する場合はジダノシンの毒性を注意深く観察すること。 |
生物学的利用率の増加もしくは代謝の遅延が考えられる。 |
イミペネム・シラスタチンナトリウム |
痙攣が報告されている。 |
機序は不明である。 |
毒性が増強するおそれがある。 |
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる。 |
|
スルファメトキサゾール・トリメトプリム |
トリメトプリムの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが16%低下し、血漿中消失半減期が15%延長したとの報告がある。しかし、ガンシクロビルのAUC及びCmaxに影響はなく臨床的に有意な変化とは考えられなかった。また、トリメトプリムのCminが12%上昇したとの報告がある。 |
機序は不明である。 |
シクロスポリン |
シクロスポリンの薬物動態に影響を与えたとの報告はないが、血清クレアチニン濃度が上昇するとの報告がある。 |
機序は不明である。 |
プロベネシド |
ガンシクロビルの腎クリアランスが20%低下し、その結果、曝露量が40%上昇したとの報告がある。 |
腎尿細管での分泌が競合する。 |
ミコフェノール酸 モフェチル |
ガンシクロビル及びミコフェノール酸 モフェチルの代謝物であるグルクロン酸抱合体の血漿中濃度が上昇するおそれがあるが、ミコフェノール酸 モフェチルの活性代謝物の薬物動態に実質的な変化はないと考えられる。腎機能障害患者に、ミコフェノール酸 モフェチルと本剤(腎機能障害患者への推奨量)を併用する場合は、患者の症状に注意し慎重に投与すること。 |
腎尿細管での分泌が競合する。 |
本剤との併用により、重篤な血小板減少が報告されている。 |
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 骨髄抑制、汎血球減少、再生不良性貧血、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)
投与中に重篤な白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少を伴う場合には、造血促進因子を投与するか又は本剤の投与を中止すること。[1.1 参照],[2.1 参照],[7.3 参照],[8.2 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照]
- 11.1.2 血小板減少に伴う重篤な出血(消化管出血を含む)(頻度不明)
- 11.1.3 腎不全(頻度不明)
- 11.1.4 膵炎(頻度不明)
- 11.1.5 深在性血栓性静脈炎(頻度不明)
- 11.1.6 痙攣、精神病性障害、幻覚、錯乱、激越、昏睡(いずれも頻度不明)
- 11.1.7 敗血症等の骨髄障害及び免疫系障害に関連する感染症(頻度不明)
11.2 その他の副作用
5%以上 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|
血液 |
好酸球増多 |
低色素性貧血、脾腫、貧血 |
全身症状 |
無力症、浮腫、疼痛、倦怠感、胸痛、腹部腫脹、悪寒、発熱 |
|
循環器 |
不整脈、低血圧、血管拡張、高血圧 |
|
呼吸器 |
呼吸困難、咳の増加 |
|
過敏症 |
そう痒、発疹 |
|
消化器 |
悪心 |
腹痛、食欲不振、鼓腸放屁、消化不良、口渇、おくび、便秘、アフタ性口内炎、便失禁、食道炎、胃炎、潰瘍性口内炎、嚥下障害、下痢、嘔吐、胃腸障害 |
精神神経系 |
頭痛(12.5%) |
不眠症、眩暈、神経障害、異夢、傾眠、鎮静、思考異常、健忘症、緊張亢進、歩行異常、異常感覚、不安、多幸症、偏頭痛、情緒不安、運動過多、振戦、せん妄、性欲減退、ミオクロヌス、運動失調、躁病反応、うつ病、神経質、精神病 |
皮膚 |
皮膚乾燥、斑状丘疹、ざ瘡、発汗、脱毛 |
|
腎臓 |
クレアチニンクリアランス低下、クレアチニン上昇、BUN上昇等の腎機能障害 |
頻尿、尿路感染、血尿 |
肝臓 |
AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇等の肝機能障害 |
黄疸、肝炎 |
筋・骨格系 |
両下肢痙直、筋肉痛、筋無力症、背痛、骨痛、CK上昇、関節痛 |
|
感覚器 |
味覚倒錯、視覚障害、硝子体混濁、眼痛、耳痛、耳鳴、失明、結膜炎、難聴、網膜剥離、網膜炎、霧視 |
|
投与部位 |
静脈投与による静脈炎、痛み |
|
その他 |
体重減少、感染、インポテンス、高血糖、低血糖、乳房痛、低カリウム血症、蜂巣炎、低ナトリウム血症 |
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
- 14.1.1 補液で希釈する際、補液によっては白濁あるいは結晶が析出する場合があるのでそのような場合には投与しないこと。本剤希釈用の補液としては、生理食塩液、5%ブドウ糖液、リンゲル液あるいは乳酸リンゲル液を使用することが望ましいが、その希釈溶液の濃度は10mg/mLを超えないこと。また、配合変化が起こりやすいので、他剤(希釈用の補液は除く)との混注はしないこと。希釈した溶液は細菌汚染等を防止するため、24時間以内に使用すること。また、冷凍しないこと。
-
14.1.2 保存時:バイアル内にて注射用水で溶解後室温で24時間の安定性が確認されている。
なお、結晶が析出するおそれがあるので、冷蔵庫保存は行わないこと。 - 14.1.3 本剤は注射用水で溶解後はpH約11と強アルカリ性を呈することから、取扱い時にはゴム手袋、防護メガネ等の着用が望ましい。皮膚に本溶液が付着した場合には、石鹼で洗い、水で完全に洗い落とすこと。眼に本溶液が入った場合には、15分間水で洗眼すること。また、本剤は発がん性を有する可能性があるため、繰り返し直接手で触れたり、吸入したり又は眼の中へ入れないように十分に注意すること。
14.2 薬剤投与時の注意
本剤は強アルカリ性(pH 約11)を呈することから、点滴静注部位の血管痛を訴えたり、静脈炎があらわれることがあるので、薬液が速やかに希釈分散するよう十分な血液のある静脈にのみ慎重に投与すること。
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
海外で実施された非無作為化非盲検の市販後臨床試験において、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制のため本剤のプロドラッグであるバルガンシクロビルを最長200日間投与された成人の腎移植患者(24例)では、非投与患者(14例)と比較して、精子濃度が低下したとの報告がある。ただし、バルガンシクロビル投与終了6ヵ月後には、バルガンシクロビル投与患者(20例)の精子濃度は非投与患者(10例)と同程度まで回復した。[1.2 参照],[15.2.3 参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 遺伝毒性:ヒト細胞を用いた姉妹染色分体交換試験、マウスを用いた小核試験、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験では、遺伝毒性が認められた。[1.3 参照],[9.4.1 参照],[9.4.2 参照],[9.5 参照],[9.7 参照]
- 15.2.2 がん原性:マウスに18ヵ月間経口投与したがん原性試験において、20mg/kg/日以上の投与量で雄の包皮腺及びハーダー腺、雌の生殖器及び肝臓、雌雄の前胃等に腫瘍の発生が増加したとの報告がある。[1.3 参照],[9.6 参照],[9.7 参照]
- 15.2.3 精子形成能:動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、ガンシクロビルは治療濃度域以下の曝露で精子形成機能障害を起こすことが認められている。[1.2 参照],[15.1 参照]
- 15.2.4 胎盤通過性:ex vivoヒト胎盤モデルにおいてガンシクロビルは胎盤を透過することが報告されている。ガンシクロビル濃度が1~10μg/mLにおいて、ガンシクロビルの透過に飽和が認められなかったことから、胎盤通過のメカニズムは主として単純拡散によるものと考えられる。[9.5 参照]
- 15.2.5 ヒト骨髄細胞の増殖に対する作用:ヒト骨髄細胞の増殖に対するガンシクロビルの作用をin vitroで検討した結果、ガンシクロビルの骨髄ヘの毒性は10μmol/L以上であらわれており、アシクロビル(ID50≧100μmol/L)より強く、ビダラビン、トリフロロチミジン(ID50=1~10μmol/L)より弱かった。