薬効分類名抗ウイルス化学療法剤
一般的名称エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合錠
ツルバダ配合錠
Truvada Combination Tab.
製造販売元/ギリアド・サイエンシズ株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
ジダノシン
[16.7.2 参照]
ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので,ジダノシンの減量を考慮すること。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシン製剤の併用により,ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。
アタザナビル硫酸塩
[16.7.2 参照]
アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので,本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には,本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また,本剤による有害事象を増強するおそれがある。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とアタザナビル硫酸塩製剤の併用により,アタザナビルのAUCが25%,Cmaxが21%,Cminが40%低下し,テノホビルのAUCが24%,Cmaxが14%,Cminが22%上昇する。
ロピナビル・リトナビル
[16.7.2 参照]
本剤による有害事象を増強するおそれがある。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とロピナビル・リトナビル製剤の併用により,テノホビルのAUCが32%,Cminが51%上昇する。
アシクロビル,バラシクロビル,ガンシクロビル,バルガンシクロビル等
これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある。
尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により排泄が遅延し,これらの薬剤,エムトリシタビン又はテノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある。
腎毒性を有する薬剤
[7.3 参照],[8.1 参照],[9.2.1 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
併用は避けることが望ましい。
腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。
1. 警告
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。[9.1.1 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
5. 効能又は効果に関連する注意
-
**〈曝露前予防〉
- 5.1 本剤は,HIV-1感染症の曝露前予防に関する国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,HIV-1感染リスクの高い者における性的接触によるHIV-1感染の予防にのみ使用すること。
- 5.2 本剤はHIV-1感染症を完全に予防できるとは限らない。本剤を使用する場合は,他のHIV-1感染予防手段(コンドームの使用,パートナーのHIV-1感染状態の把握,性感染症の定期的な検査等)と併用して使用すること。
- 5.3 本剤単独ではHIV-1感染症に対する治療としては不十分であり,薬剤耐性変異を誘導する可能性があるため,本剤を使用する場合は,検査によりHIV-1陰性であることを確認すること。急性HIV-1感染症と一致する臨床症状がある場合は,本剤を投与しないこと。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 〈効能共通〉
-
〈治療〉
- 7.2 本剤の有効成分であるエムトリシタビンの薬剤耐性を含むウイルス学的特性はラミブジンと類似しているので,本剤とラミブジンを含む製剤を併用しないこと。また,ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られず,HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異が認められた場合,ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を本剤に変更することのみで効果の改善は期待できない。
-
7.3 **腎機能障害のある患者では,エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の薬物動態試験において,エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇したとの報告があるので,腎機能の低下に応じて,次の投与方法を目安とする(外国人における薬物動態試験成績による)。[8.1 参照],[9.2.1 参照],[10.2 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
クレアチニンクリアランス(CLcr)
投与方法
50mL/min以上
本剤1錠を1日1回投与
30~49mL/min
本剤1錠を2日間に1回投与
30mL/min未満又は血液透析患者
本剤は投与しない
- 7.4 核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)3成分のみを用いる一部の治療は,NRTI2成分に非核酸系逆転写酵素阻害薬又はHIV-1プロテアーゼ阻害薬を併用する併用療法と比べて,概して効果が低いことが報告されているので,本剤と他のNRTI1成分のみによる治療で効果が認められない場合には他の組み合わせを考慮すること。
8. 重要な基本的注意
-
〈効能共通〉
- 8.1 本剤投与前にクレアチニンクリアランス,尿糖及び尿蛋白の検査を実施すること。また,本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること。[7.3 参照],[9.2.1 参照],[10.2 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
- 8.2 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む多剤併用療法を長期間行った患者において,骨粗鬆症が現れ,大腿骨頚部等の骨折を起こした症例が報告されている。長期投与時には定期的に骨密度検査を行う等骨密度減少に注意し,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の試験において,144週間の投与により腰椎と大腿骨頚部の骨密度の減少が見られている。骨密度の減少した患者の大部分は,投与開始後24~48週目にかけて発現し,以降は144週目まで持続していた。
- 8.3 アジア系人種におけるエムトリシタビン製剤の薬物動態は十分検討されていないが,少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において,Cmaxの上昇を示唆する成績が得られているので,HBV感染症合併患者を含め,副作用の発現に注意すること。
- 8.4 エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し,その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。
-
〈治療〉
- 8.5 *本剤の使用に際しては,国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
- 8.6 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
- 〈曝露前予防〉
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 B型肝炎ウイルス感染を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合,重症化するおそれがある。[1 参照]
-
9.1.2 腎機能障害のリスクを有する患者
血清リンの検査を実施すること。
9.2 腎機能障害患者
-
9.2.1 **中等度及び重度の腎機能障害のある患者
-
〈効能共通〉
エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇する。[7.3 参照],[8.1 参照],[10.2 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
-
〈曝露前予防〉
クレアチニンクリアランスが60mL/min未満の者への投与は推奨されない。[8.1 参照],[10.2 参照],[11.1.1 参照]
-
〈効能共通〉
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている1) 。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。エムトリシタビン及びテノホビルのヒト乳汁への移行が報告されており2) ,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた動物実験(ラット)において,テノホビルの乳汁中への移行が報告されている。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。
10. 相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
ジダノシン |
ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので,ジダノシンの減量を考慮すること。 |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシン製剤の併用により,ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。 |
アタザナビル硫酸塩 |
アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので,本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には,本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また,本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とアタザナビル硫酸塩製剤の併用により,アタザナビルのAUCが25%,Cmaxが21%,Cminが40%低下し,テノホビルのAUCが24%,Cmaxが14%,Cminが22%上昇する。 |
ロピナビル・リトナビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とロピナビル・リトナビル製剤の併用により,テノホビルのAUCが32%,Cminが51%上昇する。 |
アシクロビル,バラシクロビル,ガンシクロビル,バルガンシクロビル等 |
これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により排泄が遅延し,これらの薬剤,エムトリシタビン又はテノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
ダルナビル+リトナビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
レジパスビル・ソホスブビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
腎毒性を有する薬剤 |
併用は避けることが望ましい。 |
腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 腎不全又は重度の腎機能障害(0.3%)
腎機能不全,腎不全,急性腎障害,近位腎尿細管機能障害,ファンコニー症候群,急性腎尿細管壊死,腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害が現れることがあるので,臨床検査値に異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。[7.3 参照],[8.1 参照],[9.2.1 参照],[10.2 参照],[16.6.1 参照]
-
11.1.2 膵炎(0.1%)
血中アミラーゼ,リパーゼ,血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
-
11.1.3 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)
乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が,女性に多く報告されている。
11.2 その他の副作用
2%以上 |
2%未満 |
頻度不明 注1) |
|
|---|---|---|---|
代謝及び栄養障害 |
食欲不振,食欲亢進,食欲減退 |
高脂血症,体脂肪の再分布/蓄積,体重減少,高コレステロール血症,高血糖,低リン酸血症,低カリウム血症,高尿酸血症,糖尿病 |
|
精神障害 |
うつ病,神経過敏,不安,リビドー減退,睡眠障害,感情不安定 |
||
神経系障害 |
頭痛(2.7%) |
浮動性めまい,不眠症,傾眠 |
錯感覚,異常な夢,ニューロパチー,末梢性ニューロパチー,前庭障害,思考異常,味覚異常,振戦 |
呼吸器,胸郭及び縦隔障害 |
気管支炎,鼻炎,呼吸困難,咽頭炎 |
||
胃腸障害 |
悪心(10.9%),下痢(7.0%) |
嘔吐,鼓腸,腹部膨満,口内乾燥,腹痛,上腹部痛 |
消化不良,便秘,胃炎,胃腸障害,口臭,アフタ性潰瘍,おくび |
肝胆道系障害 |
脂肪肝,肝炎,肝機能異常 |
||
皮膚及び皮下組織障害 |
皮膚色素過剰(2.3%) |
発疹 |
そう痒症,皮膚変色,多汗症,皮膚乾燥,脱毛症,湿疹,ざ瘡,脂漏,帯状疱疹,単純ヘルペス,皮膚良性新生物 |
筋骨格系及び結合組織障害 |
筋肉痛,関節痛,骨障害,背部痛,側腹部痛,筋痙攣,骨軟化症,ミオパチー,骨粗鬆症 |
||
一般・全身障害及び投与部位の状態 |
疲労(3.1%) |
発熱,ほてり |
無力症,疼痛,倦怠感,悪寒,胸痛,末梢性浮腫 |
臨床検査 注2) |
血中アミラーゼ増加(7.5%),CK増加(7.1%),血中トリグリセリド増加(4.3%),AST増加(2.8%),好中球数減少(2.8%),ALT増加(2.0%),血尿(2.0%) |
Al-P増加,血中ブドウ糖増加,尿糖 |
リパーゼ増加,血中ビリルビン増加,血中リン減少,血小板数減少,蛋白尿,血中クレアチニン増加,γ-GTP増加 |
その他 |
白血球減少症,血管拡張,感染,頻尿,インフルエンザ症候群,視覚異常,多尿,アレルギー反応,高血圧 |
13. 過量投与
-
13.1 処置
エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。[16.6.1 参照]
1. 警告
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。[9.1.1 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
5. 効能又は効果に関連する注意
-
**〈曝露前予防〉
- 5.1 本剤は,HIV-1感染症の曝露前予防に関する国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,HIV-1感染リスクの高い者における性的接触によるHIV-1感染の予防にのみ使用すること。
- 5.2 本剤はHIV-1感染症を完全に予防できるとは限らない。本剤を使用する場合は,他のHIV-1感染予防手段(コンドームの使用,パートナーのHIV-1感染状態の把握,性感染症の定期的な検査等)と併用して使用すること。
- 5.3 本剤単独ではHIV-1感染症に対する治療としては不十分であり,薬剤耐性変異を誘導する可能性があるため,本剤を使用する場合は,検査によりHIV-1陰性であることを確認すること。急性HIV-1感染症と一致する臨床症状がある場合は,本剤を投与しないこと。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 〈効能共通〉
-
〈治療〉
- 7.2 本剤の有効成分であるエムトリシタビンの薬剤耐性を含むウイルス学的特性はラミブジンと類似しているので,本剤とラミブジンを含む製剤を併用しないこと。また,ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られず,HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異が認められた場合,ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を本剤に変更することのみで効果の改善は期待できない。
-
7.3 **腎機能障害のある患者では,エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の薬物動態試験において,エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇したとの報告があるので,腎機能の低下に応じて,次の投与方法を目安とする(外国人における薬物動態試験成績による)。[8.1 参照],[9.2.1 参照],[10.2 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
クレアチニンクリアランス(CLcr)
投与方法
50mL/min以上
本剤1錠を1日1回投与
30~49mL/min
本剤1錠を2日間に1回投与
30mL/min未満又は血液透析患者
本剤は投与しない
- 7.4 核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)3成分のみを用いる一部の治療は,NRTI2成分に非核酸系逆転写酵素阻害薬又はHIV-1プロテアーゼ阻害薬を併用する併用療法と比べて,概して効果が低いことが報告されているので,本剤と他のNRTI1成分のみによる治療で効果が認められない場合には他の組み合わせを考慮すること。
8. 重要な基本的注意
-
〈効能共通〉
- 8.1 本剤投与前にクレアチニンクリアランス,尿糖及び尿蛋白の検査を実施すること。また,本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること。[7.3 参照],[9.2.1 参照],[10.2 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
- 8.2 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む多剤併用療法を長期間行った患者において,骨粗鬆症が現れ,大腿骨頚部等の骨折を起こした症例が報告されている。長期投与時には定期的に骨密度検査を行う等骨密度減少に注意し,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の試験において,144週間の投与により腰椎と大腿骨頚部の骨密度の減少が見られている。骨密度の減少した患者の大部分は,投与開始後24~48週目にかけて発現し,以降は144週目まで持続していた。
- 8.3 アジア系人種におけるエムトリシタビン製剤の薬物動態は十分検討されていないが,少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において,Cmaxの上昇を示唆する成績が得られているので,HBV感染症合併患者を含め,副作用の発現に注意すること。
- 8.4 エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し,その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。
-
〈治療〉
- 8.5 *本剤の使用に際しては,国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
- 8.6 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
- 〈曝露前予防〉
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 B型肝炎ウイルス感染を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合,重症化するおそれがある。[1 参照]
-
9.1.2 腎機能障害のリスクを有する患者
血清リンの検査を実施すること。
9.2 腎機能障害患者
-
9.2.1 **中等度及び重度の腎機能障害のある患者
-
〈効能共通〉
エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇する。[7.3 参照],[8.1 参照],[10.2 参照],[11.1.1 参照],[16.6.1 参照]
-
〈曝露前予防〉
クレアチニンクリアランスが60mL/min未満の者への投与は推奨されない。[8.1 参照],[10.2 参照],[11.1.1 参照]
-
〈効能共通〉
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている1) 。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。エムトリシタビン及びテノホビルのヒト乳汁への移行が報告されており2) ,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた動物実験(ラット)において,テノホビルの乳汁中への移行が報告されている。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。
10. 相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
ジダノシン |
ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので,ジダノシンの減量を考慮すること。 |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシン製剤の併用により,ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。 |
アタザナビル硫酸塩 |
アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので,本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には,本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また,本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とアタザナビル硫酸塩製剤の併用により,アタザナビルのAUCが25%,Cmaxが21%,Cminが40%低下し,テノホビルのAUCが24%,Cmaxが14%,Cminが22%上昇する。 |
ロピナビル・リトナビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とロピナビル・リトナビル製剤の併用により,テノホビルのAUCが32%,Cminが51%上昇する。 |
アシクロビル,バラシクロビル,ガンシクロビル,バルガンシクロビル等 |
これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により排泄が遅延し,これらの薬剤,エムトリシタビン又はテノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
ダルナビル+リトナビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
レジパスビル・ソホスブビル |
本剤による有害事象を増強するおそれがある。 |
テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
腎毒性を有する薬剤 |
併用は避けることが望ましい。 |
腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 腎不全又は重度の腎機能障害(0.3%)
腎機能不全,腎不全,急性腎障害,近位腎尿細管機能障害,ファンコニー症候群,急性腎尿細管壊死,腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害が現れることがあるので,臨床検査値に異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。[7.3 参照],[8.1 参照],[9.2.1 参照],[10.2 参照],[16.6.1 参照]
-
11.1.2 膵炎(0.1%)
血中アミラーゼ,リパーゼ,血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
-
11.1.3 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)
乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が,女性に多く報告されている。
11.2 その他の副作用
2%以上 |
2%未満 |
頻度不明 注1) |
|
|---|---|---|---|
代謝及び栄養障害 |
食欲不振,食欲亢進,食欲減退 |
高脂血症,体脂肪の再分布/蓄積,体重減少,高コレステロール血症,高血糖,低リン酸血症,低カリウム血症,高尿酸血症,糖尿病 |
|
精神障害 |
うつ病,神経過敏,不安,リビドー減退,睡眠障害,感情不安定 |
||
神経系障害 |
頭痛(2.7%) |
浮動性めまい,不眠症,傾眠 |
錯感覚,異常な夢,ニューロパチー,末梢性ニューロパチー,前庭障害,思考異常,味覚異常,振戦 |
呼吸器,胸郭及び縦隔障害 |
気管支炎,鼻炎,呼吸困難,咽頭炎 |
||
胃腸障害 |
悪心(10.9%),下痢(7.0%) |
嘔吐,鼓腸,腹部膨満,口内乾燥,腹痛,上腹部痛 |
消化不良,便秘,胃炎,胃腸障害,口臭,アフタ性潰瘍,おくび |
肝胆道系障害 |
脂肪肝,肝炎,肝機能異常 |
||
皮膚及び皮下組織障害 |
皮膚色素過剰(2.3%) |
発疹 |
そう痒症,皮膚変色,多汗症,皮膚乾燥,脱毛症,湿疹,ざ瘡,脂漏,帯状疱疹,単純ヘルペス,皮膚良性新生物 |
筋骨格系及び結合組織障害 |
筋肉痛,関節痛,骨障害,背部痛,側腹部痛,筋痙攣,骨軟化症,ミオパチー,骨粗鬆症 |
||
一般・全身障害及び投与部位の状態 |
疲労(3.1%) |
発熱,ほてり |
無力症,疼痛,倦怠感,悪寒,胸痛,末梢性浮腫 |
臨床検査 注2) |
血中アミラーゼ増加(7.5%),CK増加(7.1%),血中トリグリセリド増加(4.3%),AST増加(2.8%),好中球数減少(2.8%),ALT増加(2.0%),血尿(2.0%) |
Al-P増加,血中ブドウ糖増加,尿糖 |
リパーゼ増加,血中ビリルビン増加,血中リン減少,血小板数減少,蛋白尿,血中クレアチニン増加,γ-GTP増加 |
その他 |
白血球減少症,血管拡張,感染,頻尿,インフルエンザ症候群,視覚異常,多尿,アレルギー反応,高血圧 |
13. 過量投与
-
13.1 処置
エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。[16.6.1 参照]