薬効分類名抗悪性腫瘍剤/上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤
一般的名称ゲフィチニブ
ゲフィチニブ錠250mg「ヤクルト」
げふぃちにぶじょう250mg「やくると」
Gefitinib Tablets 250mg「Yakult」
製造販売元/高田製薬株式会社
第2版
警告禁忌相互作用合併症・既往歴等のある患者肝機能障害患者生殖能を有する者妊婦授乳婦小児等高齢者
重大な副作用
頻度
副作用
その他の副作用
部位
頻度
副作用
併用注意
薬剤名等
CYP3A4誘導剤
- フェニトイン、 カルバマゼピン、 リファンピシン、 バルビツール酸系薬物、 セイヨウオトギリソウ (St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記薬剤のようなCYP3A4誘導剤との併用で、本剤の代謝が亢進し血中濃度が低下する可能性がある。
薬剤名等
CYP3A4阻害剤
- アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)、 マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)、 リトナビル、ジルチアゼム塩酸塩、ベラパミル塩酸塩等
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され血中濃度が増加する可能性がある。
薬剤名等
臨床症状・措置方法
著しい低胃酸状態が持続することにより、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の溶解性がpHに依存することから、胃内pHが持続的に上昇した条件下において、本剤の吸収が低下し、作用が減弱するおそれがある。
薬剤名等
ワルファリン
臨床症状・措置方法
INR上昇や出血があらわれたとの報告がある。本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニターを行うこと。
機序・危険因子
機序は不明。
1. 警告
- 1.1 本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、同意を得た上で投与すること。[8.2 参照]
- 1.2 本剤の投与により急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多いため、少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。[8.1 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
- 1.3 特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中に発現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因子である。このため、本剤による治療を開始するにあたり、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併の有無を確認し、これらの合併症を有する患者に使用する場合には特に注意すること。[9.1.1 参照],[17.2 参照]
- 1.4 急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報告されているが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意すること。[9.1.2 参照],[17.2 参照]
- 1.5 本剤は、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際しては緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。
4. 効能又は効果
EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
6. 用法及び用量
通常、成人にはゲフィチニブとして250mgを1日1回、経口投与する。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 日本人高齢者において無酸症が多いことが報告されているので、食後投与が望ましい。[9.1.3 参照]
8. 重要な基本的注意
- 8.1 急性肺障害、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、致命的な経過をたどることがあるので、本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行うこと。[1.2 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
- 8.2 本剤を投与するにあたっては、本剤の副作用について患者に十分に説明するとともに、臨床症状(息切れ、呼吸困難、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、これらが発現した場合には、速やかに医療機関を受診するように患者を指導すること。[1.1 参照]
- 8.3 AST、ALT等の肝機能検査値の上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は1~2ヵ月に1回、あるいは患者の状態に応じて肝機能検査を実施することが望ましい。[9.3.1 参照],[11.1.5 参照]
- 8.4 皮膚の副作用があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは対症療法を施すなど適切な処置を行うこと。
- 8.5 臨床試験において無力症が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意するよう指導すること。
- 8.6 非臨床試験において本剤によるQT延長の可能性が示唆されていることから、必要に応じて心電図検査を実施すること。[15.2.1 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 肝機能障害のある患者本剤投与中に肝機能検査値の上昇がみられている。また、本剤の血中濃度の上昇がみられるとの報告がある。[8.3 参照],[11.1.5 参照]
9.4 生殖能を有する者
本剤投与中の女性には妊娠を避けるよう指導すること。[9.5 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与によるリスクについて患者に十分説明すること。
動物実験で胎児重量の減少(ウサギ)、生存出生児数の減少(ラット)及び出生児の早期死亡(ラット)が認められている。[9.4 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。
なお、本剤の臨床試験成績から、65歳以上と65歳未満で血漿中濃度及び副作用発現率並びにその程度に差はみられていない。
10. 相互作用
- in vitro試験において、本薬は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されることが示唆されているので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して投与すること。CYP3A4活性を阻害する薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP3A4誘導剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。[10.2 参照],[16.4 参照],[16.7.1 参照],[16.7.2 参照] 一方、本薬はin vitro試験においてCYP2D6を阻害することが示唆されているので、CYP2D6により代謝される他の薬剤の血中濃度を増加させる可能性がある(本剤とメトプロロールの併用では、メトプロロールのAUCは平均で35%増加した)。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
CYP3A4誘導剤
|
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
|
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記薬剤のようなCYP3A4誘導剤との併用で、本剤の代謝が亢進し血中濃度が低下する可能性がある。
|
|
CYP3A4阻害剤
|
本剤の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがある。
|
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され血中濃度が増加する可能性がある。
|
|
著しい低胃酸状態が持続することにより、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
|
本剤の溶解性がpHに依存することから、胃内pHが持続的に上昇した条件下において、本剤の吸収が低下し、作用が減弱するおそれがある。
|
|
|
ワルファリン
|
INR上昇や出血があらわれたとの報告がある。本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニターを行うこと。
|
機序は不明。
|
11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
発現頻度は特別調査「イレッサ錠250プロスペクティブ調査」1)
から算出した。なお、本調査で認められなかった副作用については頻度不明に記載した。
11.1 重大な副作用
- 11.1.1 急性肺障害、間質性肺炎(1~10%未満)急性肺障害、間質性肺炎等が疑われた場合には、直ちに本剤による治療を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。[1.2 参照],[8.1 参照],[9.1.1 参照]
- 11.1.2 重度の下痢(1%未満)下痢があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは対症療法を施すなど、速やかに適切な処置を行うこと。
- 11.1.3 脱水(1%未満)下痢、嘔気、嘔吐又は食欲不振に伴う脱水があらわれることがある。なお、脱水により腎不全に至った症例も報告されていることから、必要に応じて電解質や腎機能検査を行うこと。
- 11.1.4 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(1%未満)
- 11.1.5 肝炎(頻度不明)、肝機能障害(10%以上)、黄疸(頻度不明)、肝不全(頻度不明)肝炎、AST、ALT、LDH、γ-GTP、Al-P、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、肝不全に至った症例も報告されている。重度の肝機能検査値変動が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.3 参照],[9.3.1 参照]
- 11.1.6 血尿(1%未満)、出血性膀胱炎(1%未満)
- 11.1.7 急性膵炎(頻度不明)腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.1.8 消化管穿孔(頻度不明)、消化管潰瘍(1%未満)、消化管出血(1%未満)異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行い、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 海外で実施された化学療法歴のない進行非小細胞肺癌患者を対象とした2つの臨床試験において、本剤とビノレルビンとの併用により、重症の好中球減少や発熱性好中球減少がみられ、臨床試験が中止された。また、日本においても、本剤とビノレルビンとの併用で重篤な好中球減少、白血球減少、血小板減少が報告されている。
- 15.1.2 国内で実施した「非小細胞肺癌患者におけるゲフィチニブ投与及び非投与での急性肺障害・間質性肺炎の相対リスク及び危険因子を検討するためのコホート内ケースコントロールスタディ」(V-15-33)2) において、本剤の急性肺障害・間質性肺炎発症の化学療法に対する相対リスクは、治療法間の患者背景の偏りを調整したオッズ比(調整オッズ比)で3.23(95%信頼区間:1.94-5.40)であった。
- 15.1.3 国内で実施した1又は2レジメンの化学療法治療歴を有する、進行/転移性(IIIB期/IV期)又は術後再発の非小細胞肺癌患者490例を対象に本剤(250mg/日投与)とドセタキセル(60mg/m2投与)の生存期間を比較する第III相製造販売後臨床試験(V-15-32)3) において、全生存期間の中央値は、イレッサ群で11.5ヵ月、ドセタキセル群で14.0ヵ月であり(ハザード比:1.12、95.24%信頼区間:0.89-1.40)、全生存期間における本剤のドセタキセルに対する非劣性は示されなかった。 本剤投与群で安全性評価対象症例244例中233例(95.5%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹158例(64.8%)、下痢113例(46.3%)、皮膚乾燥84例(34.4%)等であった。なお、急性肺障害・間質性肺炎は13例(5.3%)で、そのうち死亡例は3例であった。
- 15.1.4 海外で実施された1~2レジメンの化学療法歴のある再発又は進行非小細胞肺癌患者を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第III相比較臨床試験(ISEL)4) において、腫瘍縮小効果では統計学的に有意差が認められたが、対象患者全体(HR=0.89,p=0.09,中央値5.6ヵ月vs 5.1ヵ月)、腺癌患者群(HR=0.84,p=0.09,中央値6.3ヵ月 vs 5.4ヵ月)で生存期間の延長に統計学的な有意差は認められなかった。
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 非臨床の一般薬理試験において、本薬が心電図検査でQT間隔の延長を示す可能性のあることが以下のように示唆されている。イヌプルキンエ線維を用いた刺激伝達試験(in vitro系)において、本薬は濃度依存的に再分極時間を延長させた。またhERG(ヒト電位依存性カリウムチャンネルのαサブユニットをコードする遺伝子)を発現させたヒト胚腎細胞を用いたin vitro試験において、本薬は遅延整流性カリウム電流を濃度依存的に阻害し、心筋の再分極阻害を示唆する結果が得られた。さらにイヌのテレメトリー試験では心電図には統計学的に有意な変化は認められなかったが、個体別にQTc間隔の投与前値と投与後2時間の値を検討した結果、5mg/kg投与群の6例中1例、50mg/kg投与群の6例中2例に10%を超えるQTc間隔の延長が認められた。[8.6 参照]
- 15.2.2 イヌを用いた反復投与毒性試験の心電図検査では、回復性のあるPR間隔の延長及びII度の房室ブロックが単発的かつ少数例に認められた。
- 15.2.3 ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験では、投与量及び投与期間に依存すると考えられる角膜における異常(半透明化、混濁及び角膜上皮の萎縮等)がみられた。これらのうち、角膜混濁はイヌにおいてのみ認められたものの、回復試験終了時においても正常には回復しなかった。また、ラット角膜創傷モデルにおいて、創傷治癒を遅延させるものの、創傷治癒を完全には妨げないという以下の報告もある5) 。(溶媒対照群では創傷誘発後84時間までに完全治癒したのに対し、本薬投与群(40及び80mg/kg/日)では、創傷誘発後108または136時間後に治癒したが、創傷誘発後84時間以降は、溶媒対照群及び本薬投与群において、角膜上皮の損傷面積に統計学的な有意差は認められなかった。)
- 15.2.4 ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験では、皮膚(痂皮形成等)、腎臓(腎乳頭壊死等)及び卵巣(黄体数減少等)における所見が認められた。これらの所見は、本薬のEGFRチロシンキナーゼ阻害作用に起因した所見と考えられる。
- 15.2.5 2年間がん原性試験において、ラットの高用量(10mg/kg/日)投与群で有意な肝細胞腺腫(雌雄)と腸間膜リンパ節血管肉腫(雌)の発生増加が認められた。また、マウスの高用量(90mg/kg/日、125mg/kg/日を22週目から減量)投与群(雌)で有意な肝細胞腺腫の発生増加が認められた。
1. 警告
- 1.1 本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、同意を得た上で投与すること。[8.2 参照]
- 1.2 本剤の投与により急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多いため、少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。[8.1 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
- 1.3 特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中に発現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因子である。このため、本剤による治療を開始するにあたり、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併の有無を確認し、これらの合併症を有する患者に使用する場合には特に注意すること。[9.1.1 参照],[17.2 参照]
- 1.4 急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報告されているが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意すること。[9.1.2 参照],[17.2 参照]
- 1.5 本剤は、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際しては緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。
4. 効能又は効果
EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
6. 用法及び用量
通常、成人にはゲフィチニブとして250mgを1日1回、経口投与する。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 日本人高齢者において無酸症が多いことが報告されているので、食後投与が望ましい。[9.1.3 参照]
8. 重要な基本的注意
- 8.1 急性肺障害、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、致命的な経過をたどることがあるので、本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行うこと。[1.2 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
- 8.2 本剤を投与するにあたっては、本剤の副作用について患者に十分に説明するとともに、臨床症状(息切れ、呼吸困難、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、これらが発現した場合には、速やかに医療機関を受診するように患者を指導すること。[1.1 参照]
- 8.3 AST、ALT等の肝機能検査値の上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は1~2ヵ月に1回、あるいは患者の状態に応じて肝機能検査を実施することが望ましい。[9.3.1 参照],[11.1.5 参照]
- 8.4 皮膚の副作用があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは対症療法を施すなど適切な処置を行うこと。
- 8.5 臨床試験において無力症が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意するよう指導すること。
- 8.6 非臨床試験において本剤によるQT延長の可能性が示唆されていることから、必要に応じて心電図検査を実施すること。[15.2.1 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 肝機能障害のある患者本剤投与中に肝機能検査値の上昇がみられている。また、本剤の血中濃度の上昇がみられるとの報告がある。[8.3 参照],[11.1.5 参照]
9.4 生殖能を有する者
本剤投与中の女性には妊娠を避けるよう指導すること。[9.5 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与によるリスクについて患者に十分説明すること。
動物実験で胎児重量の減少(ウサギ)、生存出生児数の減少(ラット)及び出生児の早期死亡(ラット)が認められている。[9.4 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。
なお、本剤の臨床試験成績から、65歳以上と65歳未満で血漿中濃度及び副作用発現率並びにその程度に差はみられていない。
10. 相互作用
- in vitro試験において、本薬は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されることが示唆されているので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して投与すること。CYP3A4活性を阻害する薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP3A4誘導剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。[10.2 参照],[16.4 参照],[16.7.1 参照],[16.7.2 参照] 一方、本薬はin vitro試験においてCYP2D6を阻害することが示唆されているので、CYP2D6により代謝される他の薬剤の血中濃度を増加させる可能性がある(本剤とメトプロロールの併用では、メトプロロールのAUCは平均で35%増加した)。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
CYP3A4誘導剤
|
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
|
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記薬剤のようなCYP3A4誘導剤との併用で、本剤の代謝が亢進し血中濃度が低下する可能性がある。
|
|
CYP3A4阻害剤
|
本剤の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがある。
|
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され血中濃度が増加する可能性がある。
|
|
著しい低胃酸状態が持続することにより、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
|
本剤の溶解性がpHに依存することから、胃内pHが持続的に上昇した条件下において、本剤の吸収が低下し、作用が減弱するおそれがある。
|
|
|
ワルファリン
|
INR上昇や出血があらわれたとの報告がある。本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニターを行うこと。
|
機序は不明。
|
11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
発現頻度は特別調査「イレッサ錠250プロスペクティブ調査」1)
から算出した。なお、本調査で認められなかった副作用については頻度不明に記載した。
11.1 重大な副作用
- 11.1.1 急性肺障害、間質性肺炎(1~10%未満)急性肺障害、間質性肺炎等が疑われた場合には、直ちに本剤による治療を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。[1.2 参照],[8.1 参照],[9.1.1 参照]
- 11.1.2 重度の下痢(1%未満)下痢があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは対症療法を施すなど、速やかに適切な処置を行うこと。
- 11.1.3 脱水(1%未満)下痢、嘔気、嘔吐又は食欲不振に伴う脱水があらわれることがある。なお、脱水により腎不全に至った症例も報告されていることから、必要に応じて電解質や腎機能検査を行うこと。
- 11.1.4 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(1%未満)
- 11.1.5 肝炎(頻度不明)、肝機能障害(10%以上)、黄疸(頻度不明)、肝不全(頻度不明)肝炎、AST、ALT、LDH、γ-GTP、Al-P、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、肝不全に至った症例も報告されている。重度の肝機能検査値変動が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.3 参照],[9.3.1 参照]
- 11.1.6 血尿(1%未満)、出血性膀胱炎(1%未満)
- 11.1.7 急性膵炎(頻度不明)腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.1.8 消化管穿孔(頻度不明)、消化管潰瘍(1%未満)、消化管出血(1%未満)異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行い、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 海外で実施された化学療法歴のない進行非小細胞肺癌患者を対象とした2つの臨床試験において、本剤とビノレルビンとの併用により、重症の好中球減少や発熱性好中球減少がみられ、臨床試験が中止された。また、日本においても、本剤とビノレルビンとの併用で重篤な好中球減少、白血球減少、血小板減少が報告されている。
- 15.1.2 国内で実施した「非小細胞肺癌患者におけるゲフィチニブ投与及び非投与での急性肺障害・間質性肺炎の相対リスク及び危険因子を検討するためのコホート内ケースコントロールスタディ」(V-15-33)2) において、本剤の急性肺障害・間質性肺炎発症の化学療法に対する相対リスクは、治療法間の患者背景の偏りを調整したオッズ比(調整オッズ比)で3.23(95%信頼区間:1.94-5.40)であった。
- 15.1.3 国内で実施した1又は2レジメンの化学療法治療歴を有する、進行/転移性(IIIB期/IV期)又は術後再発の非小細胞肺癌患者490例を対象に本剤(250mg/日投与)とドセタキセル(60mg/m2投与)の生存期間を比較する第III相製造販売後臨床試験(V-15-32)3) において、全生存期間の中央値は、イレッサ群で11.5ヵ月、ドセタキセル群で14.0ヵ月であり(ハザード比:1.12、95.24%信頼区間:0.89-1.40)、全生存期間における本剤のドセタキセルに対する非劣性は示されなかった。 本剤投与群で安全性評価対象症例244例中233例(95.5%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹158例(64.8%)、下痢113例(46.3%)、皮膚乾燥84例(34.4%)等であった。なお、急性肺障害・間質性肺炎は13例(5.3%)で、そのうち死亡例は3例であった。
- 15.1.4 海外で実施された1~2レジメンの化学療法歴のある再発又は進行非小細胞肺癌患者を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第III相比較臨床試験(ISEL)4) において、腫瘍縮小効果では統計学的に有意差が認められたが、対象患者全体(HR=0.89,p=0.09,中央値5.6ヵ月vs 5.1ヵ月)、腺癌患者群(HR=0.84,p=0.09,中央値6.3ヵ月 vs 5.4ヵ月)で生存期間の延長に統計学的な有意差は認められなかった。
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 非臨床の一般薬理試験において、本薬が心電図検査でQT間隔の延長を示す可能性のあることが以下のように示唆されている。イヌプルキンエ線維を用いた刺激伝達試験(in vitro系)において、本薬は濃度依存的に再分極時間を延長させた。またhERG(ヒト電位依存性カリウムチャンネルのαサブユニットをコードする遺伝子)を発現させたヒト胚腎細胞を用いたin vitro試験において、本薬は遅延整流性カリウム電流を濃度依存的に阻害し、心筋の再分極阻害を示唆する結果が得られた。さらにイヌのテレメトリー試験では心電図には統計学的に有意な変化は認められなかったが、個体別にQTc間隔の投与前値と投与後2時間の値を検討した結果、5mg/kg投与群の6例中1例、50mg/kg投与群の6例中2例に10%を超えるQTc間隔の延長が認められた。[8.6 参照]
- 15.2.2 イヌを用いた反復投与毒性試験の心電図検査では、回復性のあるPR間隔の延長及びII度の房室ブロックが単発的かつ少数例に認められた。
- 15.2.3 ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験では、投与量及び投与期間に依存すると考えられる角膜における異常(半透明化、混濁及び角膜上皮の萎縮等)がみられた。これらのうち、角膜混濁はイヌにおいてのみ認められたものの、回復試験終了時においても正常には回復しなかった。また、ラット角膜創傷モデルにおいて、創傷治癒を遅延させるものの、創傷治癒を完全には妨げないという以下の報告もある5) 。(溶媒対照群では創傷誘発後84時間までに完全治癒したのに対し、本薬投与群(40及び80mg/kg/日)では、創傷誘発後108または136時間後に治癒したが、創傷誘発後84時間以降は、溶媒対照群及び本薬投与群において、角膜上皮の損傷面積に統計学的な有意差は認められなかった。)
- 15.2.4 ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験では、皮膚(痂皮形成等)、腎臓(腎乳頭壊死等)及び卵巣(黄体数減少等)における所見が認められた。これらの所見は、本薬のEGFRチロシンキナーゼ阻害作用に起因した所見と考えられる。
- 15.2.5 2年間がん原性試験において、ラットの高用量(10mg/kg/日)投与群で有意な肝細胞腺腫(雌雄)と腸間膜リンパ節血管肉腫(雌)の発生増加が認められた。また、マウスの高用量(90mg/kg/日、125mg/kg/日を22週目から減量)投与群(雌)で有意な肝細胞腺腫の発生増加が認められた。
その他詳細情報
日本標準商品分類番号
874291
ブランドコード
4291013F1094
承認番号
23100AMX00181
販売開始年月
2019-06
貯法
室温保存
有効期間
3年
規制区分
2, 12