薬効分類名抗悪性腫瘍剤

一般的名称イリノテカン塩酸塩水和物

イリノテカン塩酸塩点滴静注液40mg「NK」、イリノテカン塩酸塩点滴静注液100mg「NK」

いりのてかんえんさんえんてんてきじょうちゅうえき40mg「NK」、いりのてかんえんさんえんてんてきじょうちゅうえき100mg「NK」

Irinotecan for I.V. Infusion 40mg「NK」, Irinotecan for I.V. Infusion 100mg「NK」

製造販売元/ヴィアトリス・ヘルスケア合同会社、発売元/日本化薬株式会社

第3版
警告禁忌相互作用合併症・既往歴等のある患者腎機能障害患者肝機能障害患者生殖能を有する者妊婦授乳婦小児等高齢者

重大な副作用

頻度
副作用
頻度不明
高度な下痢
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明

その他の副作用

部位
頻度
副作用
胃腸・消化器系
50%以上
食欲不振(80.9%)悪心嘔吐(77.2%)
胃腸・消化器系
5~50%未満
胃腸・消化器系
5%未満
胃腸・消化器系
頻度不明
肝臓まわり
5~50%未満
肝臓まわり
5%未満
腎・尿路
5~50%未満
肺・呼吸
頻度不明
免疫系
5%未満
免疫系
頻度不明
皮膚
50%以上
皮膚
頻度不明
帯状疱疹粘膜炎発赤
脳・神経
頻度不明
心臓・血管
5%未満
心臓・血管
頻度不明

併用注意

薬剤名等

他の抗悪性腫瘍剤

放射線照射

臨床症状・措置方法

骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

機序・危険因子

併用により殺細胞作用が増強される。

薬剤名等

末梢性筋弛緩剤

  • スキサメトニウム塩化物水和物
  • ベクロニウム臭化物
  • ロクロニウム臭化物等
臨床症状・措置方法

末梢性筋弛緩剤の作用が減弱するおそれがある。

機序・危険因子

本剤は、動物実験で筋収縮増強作用が認められている。

薬剤名等

CYP3A4阻害剤

  • アゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール等)
  • マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
  • リトナビル
  • ジルチアゼム塩酸塩
  • ニフェジピン等

グレープフルーツジュース

臨床症状・措置方法

骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

機序・危険因子

本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を阻害する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が阻害されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分増加し、SN-38の全身曝露量が増加することが考えられる。

薬剤名等

CYP3A4誘導剤

  • フェニトイン
  • カルバマゼピン
  • リファンピシン
  • フェノバルビタール等

セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

臨床症状・措置方法

本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
本剤投与期間中は左記薬剤・食品との併用を避けることが望ましい。

機序・危険因子

本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を誘導する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が促進されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分減少し、SN-38の全身曝露量が減少することが考えられる。

薬剤名等

ソラフェニブトシル酸塩

臨床症状・措置方法

骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

機序・危険因子

本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
UGT1A1阻害作用のあるソラフェニブトシル酸塩との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が上昇する可能性がある。

薬剤名等

ラパチニブトシル酸塩水和物

臨床症状・措置方法

骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

機序・危険因子

機序は不明だが、ラパチニブトシル酸塩水和物との併用により、本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCが約40%増加したとの報告がある。

薬剤名等

レゴラフェニブ水和物

臨床症状・措置方法

骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

機序・危険因子

本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
UGT1A1阻害作用のあるレゴラフェニブ水和物との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCがそれぞれ28%及び44%増加し、Cmaxがそれぞれ22%増加及び9%減少したとの報告がある。

詳細情報

正確な情報は PMDA で必ず確認して下さい

注意以下の情報は参考資料としてご活用下さい

1. 警告

  1. 1.1 本剤使用にあたっては、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。
  2. 1.2 本剤の臨床試験において、骨髄機能抑制あるいは下痢に起因したと考えられる死亡例が認められている。本剤の投与は、緊急時に十分に措置できる医療施設及びがん化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与し、下記の患者には投与しないなど適応患者の選択を慎重に行うこと。[2.1 参照],[2.2 参照],[2.3 参照],[2.4 参照],[2.5 参照],[2.6 参照],[2.7 参照],[2.8 参照],[2.9 参照],[10.1 参照]
    • 骨髄機能抑制のある患者
    • 感染症を合併している患者
    • 下痢(水様便)のある患者
    • 腸管麻痺、腸閉塞のある患者
    • 間質性肺炎又は肺線維症の患者
    • 多量の腹水、胸水のある患者
    • 黄疸のある患者
    • アタザナビル硫酸塩を投与中の患者
    • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  3. 1.3 本剤を含む小児悪性固形腫瘍に対するがん化学療法は、小児のがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。
  4. 1.4 投与に際しては、骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.3 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
  5. 1.5 骨髄機能抑制による致命的な副作用の発現を回避するために、特に以下の事項に十分注意すること。
    1. 1.5.1 投与予定日(投与前24時間以内)に末梢血液検査を必ず実施し、結果を確認してから、本剤投与の適否を慎重に判断すること。
    2. 1.5.2 投与予定日の白血球数が3,000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満(膵癌FOLFIRINOX法においては、2クール目以降7.5万/mm3未満)の場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。[7.1 参照],[7.3 参照]
    3. 1.5.3 投与予定日の白血球数が3,000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上(膵癌FOLFIRINOX法においては、2クール目以降7.5万/mm3以上)であっても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。[7.2 参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 骨髄機能抑制のある患者[骨髄機能抑制が増悪して重症感染症等を併発し、致命的となることがある。][1.2 参照]
  2. 2.2 感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。][1.2 参照]
  3. 2.3 下痢(水様便)のある患者[下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし、致命的となることがある。][1.2 参照]
  4. 2.4 腸管麻痺、腸閉塞のある患者[腸管からの排泄が遅れ、重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2 参照]
  5. 2.5 間質性肺炎又は肺線維症の患者[症状が増悪し、致命的となることがある。][1.2 参照]
  6. 2.6 多量の腹水、胸水のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2 参照]
  7. 2.7 黄疸のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2 参照]
  8. 2.8 アタザナビル硫酸塩を投与中の患者[1.2 参照],[10.1 参照]
  9. 2.9 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[1.2 参照]

3. 組成・性状

3.1 組成

イリノテカン塩酸塩点滴静注液40mg「NK」

容量   2mL
有効成分 1バイアル中 イリノテカン塩酸塩水和物  40.0mg
添加剤 D-ソルビトール  90.0mg
乳酸  1.8mg
pH調節剤  適量
イリノテカン塩酸塩点滴静注液100mg「NK」

容量   5mL
有効成分 1バイアル中 イリノテカン塩酸塩水和物  100.0mg
添加剤 D-ソルビトール  225.0mg
乳酸  4.5mg
pH調節剤  適量

3.2 製剤の性状

イリノテカン塩酸塩点滴静注液40mg「NK」

pH 3.0~4.0
浸透圧比 1.0~1.3(生理食塩液に対する比)
性状 微黄色澄明の液
イリノテカン塩酸塩点滴静注液100mg「NK」

pH 3.0~4.0
浸透圧比 1.0~1.3(生理食塩液に対する比)
性状 微黄色澄明の液

4. 効能又は効果

小細胞肺癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発)、結腸・直腸癌(手術不能又は再発)、乳癌(手術不能又は再発)、有棘細胞癌、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、小児悪性固形腫瘍、治癒切除不能な膵癌

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 5.1 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
  • 〈治癒切除不能な膵癌〉
    1. 5.2 患者の病期、全身状態、UGT1A11) 遺伝子多型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.8 参照],[17.1.9 参照]

                      

      1) 本剤の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素の一分子種である。
                    

6. 用法及び用量

(1)小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌(手術不能又は再発)及び有棘細胞癌はA法を、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・直腸癌(手術不能又は再発)はA法又はB法を使用する。また、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)はC法を、小児悪性固形腫瘍はD法を、治癒切除不能な膵癌はE法を使用する。
A法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、100mg/m2を1週間間隔で3~4回点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
B法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、150mg/m2を2週間間隔で2~3回点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
C法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、40mg/m2を3日間連日点滴静注する。これを1週毎に2~3回繰り返し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
なお、A~C法の投与量は、年齢、症状により適宜増減する。
D法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、1日1回、20mg/m2を5日間連日点滴静注する。これを1週毎に2回繰り返し、少なくとも1週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
E法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、180mg/m2を点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
なお、D法及びE法の投与量は、患者の状態により適宜減量する。
(2)A法、B法及びE法では、本剤投与時、投与量に応じて500mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、90分以上かけて点滴静注する。C法では、本剤投与時、投与量に応じて250mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、60分以上かけて点滴静注する。D法では、本剤投与時、投与量に応じて100mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、60分以上かけて点滴静注する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 投与予定日の白血球数又は血小板数が次の投与可能条件に満たない場合は、本剤の投与を中止又は延期すること。[1.5.2 参照],[7.2 参照]
      投与可能条件

      種類

      程度

      白血球数

      3,000/mm3以上

      血小板数

      100,000/mm3以上

    2. 7.2 投与可能条件を満たしていても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。また、白血球数が異常な高値を示す患者及びCRPが異常値を示すなど感染症が疑われる患者では、投与後に白血球の急激な減少が起こることがある。このような場合には、投与可能条件を満たしていても、骨髄機能の回復を十分に確認してから投与を行うこと。[1.5.3 参照],[7.1 参照],[7.3 参照]
  • 〈治癒切除不能な膵癌〉
    1. 7.3 オキサリプラチン、レボホリナート、フルオロウラシルとの併用療法(FOLFIRINOX法)を行う場合には、2クール目以降、次の投与可能条件、減量基準及び減量時の投与量を参考にすること。[1.5.2 参照],[7.2 参照]
    2クール目以降の投与可能条件(投与予定日に確認し、当該条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期するとともに、「減量基準」及び「減量時の投与量」を参考に、投与再開時に減量すること。)

    種類

    程度

    好中球数

    1,500/mm3以上

    血小板数

    75,000/mm3以上

    減量基準
    前回の投与後にいずれかの程度に該当する副作用が発現した場合は、該当する毎に、以下の減量方法に従って、投与レベルを1レベル減量する(「減量時の投与量」を参考にすること)。また、いずれかの程度に該当する好中球減少又は血小板減少が発現した場合は、以降のフルオロウラシル急速静脈内投与を中止する。

    副作用2)

    程度

    減量方法

    好中球減少

    以下のいずれかの条件を満たす場合:
    1)2クール目以降の投与可能条件を満たさず投与を延期
    2)500/mm3未満が7日以上持続
    3)感染症又は下痢を併発し、かつ1,000/mm3未満
    4)発熱性好中球減少症

    本剤を優先的に減量する。
    ただし、本剤の投与レベルがオキサリプラチンより低い場合は、本剤と同じレベルになるまでオキサリプラチンを減量する。

    下痢

    発熱(38℃以上)を伴う

    グレード33) 以上

    フルオロウラシル持続静注を減量する。

    血小板減少

    以下のいずれかの条件を満たす場合:
    1)2クール目以降の投与可能条件を満たさず投与を延期
    2)50,000/mm3未満

    オキサリプラチンを優先的に減量する。
    ただし、オキサリプラチンの投与レベルが本剤より低い場合は、オキサリプラチンと同じレベルになるまで本剤を減量する。

    総ビリルビン上昇

    2.0mg/dL超3.0mg/dL以下

    本剤を120mg/m2に減量する。

    3.0mg/dL超

    本剤を90mg/m2に減量する。

    粘膜炎

    グレード33) 以上

    フルオロウラシル持続静注を減量する。

    手足症候群

                    

    2) 複数の副作用が発現した場合は、薬剤毎に減量が最大となる基準を適用すること。
                  

                    

    3) CTCAE version 4.0。
                  

    減量時の投与量(オキサリプラチン85mg/m2、本剤180mg/m2、フルオロウラシル持続静注2,400mg/m2で投与を開始した場合)

    投与レベル

    オキサリプラチン

    本剤

    フルオロウラシル持続静注

    -1

    65mg/m2

    150mg/m2

    1,800mg/m2

    -2

    50mg/m2

    120mg/m2

    1,200mg/m2

    -3

    中止

    中止

    中止

8. 重要な基本的注意

  • 〈効能共通〉
    1. 8.1 本剤はイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤とは有効性、安全性、薬物動態が異なる。本剤をイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤の代替として使用しないこと。また、本剤をイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤と同様の用法及び用量で投与しないこと。
    2. 8.2 重篤な過敏反応があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。[11.1.5 参照]
    3. 8.3 骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。投与後2週間は特に頻回に末梢血液検査を行うなど、極めて注意深く観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延することがあるので、投与は慎重に行うこと。[1.4 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.6 参照],[11.1.7 参照]
    4. 8.4 本剤の投与により排便回数の増加、水様便又は腹痛を伴うような場合は、継続投与により下痢が強く発現することがある。また、腹痛を有する患者に本剤を投与した場合、高度な下痢があらわれることがある。したがって、このような場合には症状の回復を待って投与を行うこと。[11.1.2 参照]
    5. 8.5 重症感染症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、出血傾向、腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞、腸炎及び間質性肺炎の発現又は増悪に十分注意すること。[8.7 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
    6. 8.6 悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状が高頻度にあらわれるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
    7. 8.7 間質性肺炎があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。[8.5 参照],[11.1.4 参照]
    8. 8.8 投与初期又は比較的低用量の投与でも副作用があらわれることがある。
  • 〈小児悪性固形腫瘍〉
    1. 8.9 本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:イリノテカン塩酸塩水和物(小児悪性固形腫瘍)」等)を熟読すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 糖尿病の患者

    十分な管理を行いながら投与すること。高度な下痢の持続により脱水、電解質異常を起こして糖尿病が増悪し、致命的となるおそれがある。

  2. 9.1.2 全身衰弱が著しい患者

    副作用が強く発現するおそれがある。

  3. 9.1.3 遺伝性果糖不耐症の患者

    本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。

  4. 9.1.4 グルクロン酸抱合異常の患者

    Gilbert症候群のようなグルクロン酸抱合異常の患者においては、本剤の代謝が遅延することにより骨髄機能抑制等の重篤な副作用が発現する可能性が高い。

  5. 9.1.5 UGT1A1遺伝子多型(UGT1A16UGT1A128)について、いずれかをホモ接合体又はいずれもヘテロ接合体としてもつ患者

    本剤の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UDP-glucuronosyltransferase、UGT)の2つの遺伝子多型(UGT1A16UGT1A128)について、いずれかをホモ接合体(UGT1A16/6UGT1A128/28)又はいずれもヘテロ接合体(UGT1A16/28)としてもつ患者では、UGT1A1のグルクロン酸抱合能が低下し、SN-38の代謝が遅延することにより、重篤な副作用(特に好中球減少)発現の可能性が高くなることが報告されているため、十分注意すること1) ,2) ,3) [16.4.1 参照],[17.3.1 参照]

9.2 腎機能障害患者

腎障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

肝障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1 **妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5 参照][15.2 参照]
  2. 9.4.2 **男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[15.2 参照]
  3. 9.4.3 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット・ウサギ)で催奇形性作用、胚・胎児死亡が報告されている。[9.4.1 参照]

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

  • 〈小児悪性固形腫瘍〉
    1. 9.7.1 幼児又は小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈小児悪性固形腫瘍以外〉
    1. 9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

骨髄機能抑制、下痢等の副作用に注意し、異常が認められた場合には、回復を十分に確認してから投与を行うなど、投与間隔に留意すること。一般に高齢者では生理機能が低下しており、排泄が遅れる。

10. 相互作用

    10.1 併用禁忌(併用しないこと)

    薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

    アタザナビル硫酸塩

    (レイアタッツ)

                      [1.2 参照],[2.8 参照]

    骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。

    本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。UGT阻害作用のあるアタザナビル硫酸塩との併用により、本剤の代謝が遅延することが考えられる。

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

    他の抗悪性腫瘍剤

    放射線照射

    骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
    患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

    併用により殺細胞作用が増強される。

    末梢性筋弛緩剤

    • スキサメトニウム塩化物水和物
    • ベクロニウム臭化物
    • ロクロニウム臭化物等

    末梢性筋弛緩剤の作用が減弱するおそれがある。

    本剤は、動物実験で筋収縮増強作用が認められている。

    **CYP3A4阻害剤

    • アゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール等)
    • マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
    • リトナビル
    • ジルチアゼム塩酸塩
    • ニフェジピン等

    グレープフルーツジュース

    骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
    患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

    本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を阻害する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が阻害されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分増加し、SN-38の全身曝露量が増加することが考えられる。

    CYP3A4誘導剤

    • フェニトイン
    • カルバマゼピン
    • リファンピシン
    • フェノバルビタール等

    セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

    本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
    本剤投与期間中は左記薬剤・食品との併用を避けることが望ましい。

    本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を誘導する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が促進されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分減少し、SN-38の全身曝露量が減少することが考えられる。

    ソラフェニブトシル酸塩

    骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
    患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

    本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
    UGT1A1阻害作用のあるソラフェニブトシル酸塩との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が上昇する可能性がある。

    ラパチニブトシル酸塩水和物

    骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
    患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

    機序は不明だが、ラパチニブトシル酸塩水和物との併用により、本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCが約40%増加したとの報告がある。

    レゴラフェニブ水和物

    骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
    患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

    本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
    UGT1A1阻害作用のあるレゴラフェニブ水和物との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCがそれぞれ28%及び44%増加し、Cmaxがそれぞれ22%増加及び9%減少したとの報告がある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 骨髄機能抑制

      汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(84.2%)、好中球減少(80.8%)、血小板減少(20.4%)、貧血(61.4%)、発熱性好中球減少症(1.3%)等があらわれることがある。白血球減少(好中球減少)を認めた場合には、減少の程度に応じてG-CSF等の白血球増多剤の投与、発熱を伴う場合には適切な抗生剤の投与、その他必要に応じて適切な感染症対策を行うこと。また、高度な骨髄機能抑制の持続により、次のような疾患を併発し、死亡した例も報告されている。

      • 重症感染症(敗血症、肺炎等)
        重篤な白血球・好中球減少に伴い、敗血症(頻度不明)、肺炎(頻度不明)等の重症感染症があらわれることがある。
      • 播種性血管内凝固症候群(DIC)
        重篤な感染症、血小板減少に伴い、播種性血管内凝固症候群(頻度不明)があらわれることがある。[1.4 参照],[8.3 参照],[8.5 参照]
    2. 11.1.2 高度な下痢、腸炎

      下痢(65.5%)、大腸炎(頻度不明)、小腸炎(頻度不明)、腸炎(部位不明:頻度不明)があらわれることがある。高度な下痢の持続により、脱水、電解質異常、ショック(循環不全:頻度不明)を併発し、死亡した例も報告されている。
      高度な下痢の持続により、脱水及び電解質異常等をきたし、特に重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には、致命的な経過をたどることがあるので、次のような処置を行うこと。

      • ロペラミド塩酸塩等の止瀉剤の投与を行うこと(ただし、腸管麻痺を引き起こすことがあるので、ロペラミド塩酸塩等の予防的投与や、漫然とした投与は行わないこと)。
      • 脱水を認めた場合には、輸液、電解質補充を行うこと。
      • 重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には、適切な抗生剤の投与を考慮すること。

      高度な下痢や嘔吐に伴いショック(循環不全)があらわれることがあるので、呼吸困難、血圧低下等が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
      なお、本剤による下痢に関しては、以下の2つの機序が考えられている。
      早発型:本剤投与中あるいは投与直後に発現する。コリン作動性と考えられ、高度である場合もあるが多くは一過性であり、副交感神経遮断剤の投与により緩和することがある。
      遅発型:本剤投与後24時間以降に発現する。主に本剤の活性代謝物(SN-38)による腸管粘膜傷害に基づくものと考えられ、持続することがある。[1.4 参照],[8.3 参照],[8.4 参照],[8.5 参照]

    3. 11.1.3 腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞

      腸管穿孔(頻度不明)、消化管出血(下血、血便を含む:頻度不明)、腸管麻痺(2.5%)、腸閉塞(0.5%)があらわれることがある。なお、腸管麻痺・腸閉塞に引き続き腸管穿孔を併発し、死亡した例が報告されている。これらの症例の中には、腸管蠕動を抑制する薬剤(ロペラミド塩酸塩、モルヒネ硫酸塩水和物等)の併用例があるので、腸管蠕動を抑制する薬剤を併用する場合には、特に注意すること。[8.5 参照]

    4. 11.1.4 間質性肺炎(2.4%)

                      [8.5 参照],[8.7 参照]

    5. 11.1.5 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)

      過敏症状(呼吸困難、血圧低下等)が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。[8.2 参照]

    6. 11.1.6 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)

                      [8.3 参照]               

    7. 11.1.7 急性腎障害(頻度不明)

                      [8.3 参照]               

    8. 11.1.8 血栓塞栓症

      肺塞栓症(頻度不明)、静脈血栓症(頻度不明)があらわれることがある。

    9. 11.1.9 脳梗塞(頻度不明)
    10. 11.1.10 心筋梗塞(頻度不明)、狭心症発作(頻度不明)
    11. 11.1.11 心室性期外収縮(0.8%)

    11.2 その他の副作用

    50%以上

    5~50%未満

    5%未満

    頻度不明

    消化器

    食欲不振(80.9%)、悪心・嘔吐(77.2%)

    腹痛

    しゃっくり、腹部膨満感、口内炎、口唇炎、痔核、胃腸音異常

    胃潰瘍、胃・腹部不快感、胃炎、消化不良、便秘、食道炎、吐血、腸管運動亢進

    肝臓

    AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇

    ビリルビン上昇、γ-GTP上昇

    腎臓

    電解質異常

    腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)、蛋白尿、血尿、尿沈渣異常

    乏尿、クレアチニンクリアランス低下

    呼吸器

    気管支炎、咽頭炎、鼻炎、発声障害、咽頭知覚不全、口腔咽頭不快感

    咽頭痛、咳嗽、呼吸困難、PaO2低下、上気道炎

    過敏症

    発疹、そう痒感

    蕁麻疹

    皮膚

    脱毛

    色素沈着、浮腫、紅斑、手足症候群、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥

    帯状疱疹、粘膜炎、発赤

    精神神経系

    しびれ等の末梢神経障害、頭痛、めまい、精神症状、意識障害、傾眠、興奮・不安感、不穏

    痙攣、耳鳴、味覚異常、うつ病、目のかすみ、不眠、振戦、構語障害

    循環器

    頻脈、血圧低下、動悸

    不整脈、徐脈、心房細動、高血圧、心電図異常

    その他

    倦怠感、発熱、好酸球増加、総蛋白減少、アルブミン減少

    発汗、顔面潮紅、疼痛、腰痛、カルシウム異常、尿酸異常、尿ウロビリノーゲン異常、糖尿

    脱水、コリン作動性症候群、悪寒、胸部不快感、胸痛、関節痛、筋痛、鼻出血、脱力感、無力症、疲労、体重増加、体重減少、LDH低下、白血球増加、血小板増加、白血球分画の変動、CRP上昇、注射部位反応(発赤、疼痛等)、血管炎、流涙、熱感、腹水、鼻汁

    発現頻度の算出にあたってはホジキン病の患者を含む。本剤の効能又は効果は、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)である。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
    2. 14.1.2 本剤は、輸液に混和後、できるだけ速やかに投与すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死を起こすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与すること。
    2. 14.2.2 本剤は光に不安定なので直射日光を避けること。また、点滴時間が長時間におよぶ場合には遮光して投与すること。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    欧州における進行性小細胞肺癌を対象とした無作為化第Ⅲ相臨床試験において、本剤とシスプラチン併用投与群(本剤80mg/m2を第1、8日目、シスプラチン80mg/m2を第1日目に投与し3週毎に繰り返す)での治療関連死が39例中4例に認められ、臨床試験が中断された。その後、本剤の投与量を65mg/m2に減量し、臨床試験は再開され、試験は終了となった。なお、本剤減量後の治療関連死は202例中7例であった4)

    15.2 非臨床試験に基づく情報

    **ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及びマウス骨髄細胞を用いた小核試験において、遺伝毒性が報告されている。[9.4.1 参照][9.4.2 参照]

    1. 警告

    1. 1.1 本剤使用にあたっては、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。
    2. 1.2 本剤の臨床試験において、骨髄機能抑制あるいは下痢に起因したと考えられる死亡例が認められている。本剤の投与は、緊急時に十分に措置できる医療施設及びがん化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与し、下記の患者には投与しないなど適応患者の選択を慎重に行うこと。[2.1 参照],[2.2 参照],[2.3 参照],[2.4 参照],[2.5 参照],[2.6 参照],[2.7 参照],[2.8 参照],[2.9 参照],[10.1 参照]
      • 骨髄機能抑制のある患者
      • 感染症を合併している患者
      • 下痢(水様便)のある患者
      • 腸管麻痺、腸閉塞のある患者
      • 間質性肺炎又は肺線維症の患者
      • 多量の腹水、胸水のある患者
      • 黄疸のある患者
      • アタザナビル硫酸塩を投与中の患者
      • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
    3. 1.3 本剤を含む小児悪性固形腫瘍に対するがん化学療法は、小児のがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。
    4. 1.4 投与に際しては、骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.3 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
    5. 1.5 骨髄機能抑制による致命的な副作用の発現を回避するために、特に以下の事項に十分注意すること。
      1. 1.5.1 投与予定日(投与前24時間以内)に末梢血液検査を必ず実施し、結果を確認してから、本剤投与の適否を慎重に判断すること。
      2. 1.5.2 投与予定日の白血球数が3,000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満(膵癌FOLFIRINOX法においては、2クール目以降7.5万/mm3未満)の場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。[7.1 参照],[7.3 参照]
      3. 1.5.3 投与予定日の白血球数が3,000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上(膵癌FOLFIRINOX法においては、2クール目以降7.5万/mm3以上)であっても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。[7.2 参照]

    2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

    1. 2.1 骨髄機能抑制のある患者[骨髄機能抑制が増悪して重症感染症等を併発し、致命的となることがある。][1.2 参照]
    2. 2.2 感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。][1.2 参照]
    3. 2.3 下痢(水様便)のある患者[下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし、致命的となることがある。][1.2 参照]
    4. 2.4 腸管麻痺、腸閉塞のある患者[腸管からの排泄が遅れ、重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2 参照]
    5. 2.5 間質性肺炎又は肺線維症の患者[症状が増悪し、致命的となることがある。][1.2 参照]
    6. 2.6 多量の腹水、胸水のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2 参照]
    7. 2.7 黄疸のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。][1.2 参照]
    8. 2.8 アタザナビル硫酸塩を投与中の患者[1.2 参照],[10.1 参照]
    9. 2.9 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[1.2 参照]

    3. 組成・性状

    3.1 組成

    イリノテカン塩酸塩点滴静注液40mg「NK」

    容量   2mL
    有効成分 1バイアル中 イリノテカン塩酸塩水和物  40.0mg
    添加剤 D-ソルビトール  90.0mg
    乳酸  1.8mg
    pH調節剤  適量
    イリノテカン塩酸塩点滴静注液100mg「NK」

    容量   5mL
    有効成分 1バイアル中 イリノテカン塩酸塩水和物  100.0mg
    添加剤 D-ソルビトール  225.0mg
    乳酸  4.5mg
    pH調節剤  適量

    3.2 製剤の性状

    イリノテカン塩酸塩点滴静注液40mg「NK」

    pH 3.0~4.0
    浸透圧比 1.0~1.3(生理食塩液に対する比)
    性状 微黄色澄明の液
    イリノテカン塩酸塩点滴静注液100mg「NK」

    pH 3.0~4.0
    浸透圧比 1.0~1.3(生理食塩液に対する比)
    性状 微黄色澄明の液

    4. 効能又は効果

    小細胞肺癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発)、結腸・直腸癌(手術不能又は再発)、乳癌(手術不能又は再発)、有棘細胞癌、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、小児悪性固形腫瘍、治癒切除不能な膵癌

    5. 効能又は効果に関連する注意

    • 〈効能共通〉
      1. 5.1 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
    • 〈治癒切除不能な膵癌〉
      1. 5.2 患者の病期、全身状態、UGT1A11) 遺伝子多型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.8 参照],[17.1.9 参照]

                        

        1) 本剤の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素の一分子種である。
                      

    6. 用法及び用量

    (1)小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌(手術不能又は再発)及び有棘細胞癌はA法を、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・直腸癌(手術不能又は再発)はA法又はB法を使用する。また、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)はC法を、小児悪性固形腫瘍はD法を、治癒切除不能な膵癌はE法を使用する。
    A法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、100mg/m2を1週間間隔で3~4回点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    B法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、150mg/m2を2週間間隔で2~3回点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    C法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、40mg/m2を3日間連日点滴静注する。これを1週毎に2~3回繰り返し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    なお、A~C法の投与量は、年齢、症状により適宜増減する。
    D法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、1日1回、20mg/m2を5日間連日点滴静注する。これを1週毎に2回繰り返し、少なくとも1週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    E法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、180mg/m2を点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
    なお、D法及びE法の投与量は、患者の状態により適宜減量する。
    (2)A法、B法及びE法では、本剤投与時、投与量に応じて500mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、90分以上かけて点滴静注する。C法では、本剤投与時、投与量に応じて250mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、60分以上かけて点滴静注する。D法では、本剤投与時、投与量に応じて100mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、60分以上かけて点滴静注する。

    7. 用法及び用量に関連する注意

    • 〈効能共通〉
      1. 7.1 投与予定日の白血球数又は血小板数が次の投与可能条件に満たない場合は、本剤の投与を中止又は延期すること。[1.5.2 参照],[7.2 参照]
        投与可能条件

        種類

        程度

        白血球数

        3,000/mm3以上

        血小板数

        100,000/mm3以上

      2. 7.2 投与可能条件を満たしていても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。また、白血球数が異常な高値を示す患者及びCRPが異常値を示すなど感染症が疑われる患者では、投与後に白血球の急激な減少が起こることがある。このような場合には、投与可能条件を満たしていても、骨髄機能の回復を十分に確認してから投与を行うこと。[1.5.3 参照],[7.1 参照],[7.3 参照]
    • 〈治癒切除不能な膵癌〉
      1. 7.3 オキサリプラチン、レボホリナート、フルオロウラシルとの併用療法(FOLFIRINOX法)を行う場合には、2クール目以降、次の投与可能条件、減量基準及び減量時の投与量を参考にすること。[1.5.2 参照],[7.2 参照]
      2クール目以降の投与可能条件(投与予定日に確認し、当該条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期するとともに、「減量基準」及び「減量時の投与量」を参考に、投与再開時に減量すること。)

      種類

      程度

      好中球数

      1,500/mm3以上

      血小板数

      75,000/mm3以上

      減量基準
      前回の投与後にいずれかの程度に該当する副作用が発現した場合は、該当する毎に、以下の減量方法に従って、投与レベルを1レベル減量する(「減量時の投与量」を参考にすること)。また、いずれかの程度に該当する好中球減少又は血小板減少が発現した場合は、以降のフルオロウラシル急速静脈内投与を中止する。

      副作用2)

      程度

      減量方法

      好中球減少

      以下のいずれかの条件を満たす場合:
      1)2クール目以降の投与可能条件を満たさず投与を延期
      2)500/mm3未満が7日以上持続
      3)感染症又は下痢を併発し、かつ1,000/mm3未満
      4)発熱性好中球減少症

      本剤を優先的に減量する。
      ただし、本剤の投与レベルがオキサリプラチンより低い場合は、本剤と同じレベルになるまでオキサリプラチンを減量する。

      下痢

      発熱(38℃以上)を伴う

      グレード33) 以上

      フルオロウラシル持続静注を減量する。

      血小板減少

      以下のいずれかの条件を満たす場合:
      1)2クール目以降の投与可能条件を満たさず投与を延期
      2)50,000/mm3未満

      オキサリプラチンを優先的に減量する。
      ただし、オキサリプラチンの投与レベルが本剤より低い場合は、オキサリプラチンと同じレベルになるまで本剤を減量する。

      総ビリルビン上昇

      2.0mg/dL超3.0mg/dL以下

      本剤を120mg/m2に減量する。

      3.0mg/dL超

      本剤を90mg/m2に減量する。

      粘膜炎

      グレード33) 以上

      フルオロウラシル持続静注を減量する。

      手足症候群

                      

      2) 複数の副作用が発現した場合は、薬剤毎に減量が最大となる基準を適用すること。
                    

                      

      3) CTCAE version 4.0。
                    

      減量時の投与量(オキサリプラチン85mg/m2、本剤180mg/m2、フルオロウラシル持続静注2,400mg/m2で投与を開始した場合)

      投与レベル

      オキサリプラチン

      本剤

      フルオロウラシル持続静注

      -1

      65mg/m2

      150mg/m2

      1,800mg/m2

      -2

      50mg/m2

      120mg/m2

      1,200mg/m2

      -3

      中止

      中止

      中止

    8. 重要な基本的注意

    • 〈効能共通〉
      1. 8.1 本剤はイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤とは有効性、安全性、薬物動態が異なる。本剤をイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤の代替として使用しないこと。また、本剤をイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤と同様の用法及び用量で投与しないこと。
      2. 8.2 重篤な過敏反応があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。[11.1.5 参照]
      3. 8.3 骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。投与後2週間は特に頻回に末梢血液検査を行うなど、極めて注意深く観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延することがあるので、投与は慎重に行うこと。[1.4 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.6 参照],[11.1.7 参照]
      4. 8.4 本剤の投与により排便回数の増加、水様便又は腹痛を伴うような場合は、継続投与により下痢が強く発現することがある。また、腹痛を有する患者に本剤を投与した場合、高度な下痢があらわれることがある。したがって、このような場合には症状の回復を待って投与を行うこと。[11.1.2 参照]
      5. 8.5 重症感染症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、出血傾向、腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞、腸炎及び間質性肺炎の発現又は増悪に十分注意すること。[8.7 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照],[11.1.3 参照],[11.1.4 参照]
      6. 8.6 悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状が高頻度にあらわれるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
      7. 8.7 間質性肺炎があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。[8.5 参照],[11.1.4 参照]
      8. 8.8 投与初期又は比較的低用量の投与でも副作用があらわれることがある。
    • 〈小児悪性固形腫瘍〉
      1. 8.9 本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:イリノテカン塩酸塩水和物(小児悪性固形腫瘍)」等)を熟読すること。

    9. 特定の背景を有する患者に関する注意

    9.1 合併症・既往歴等のある患者

    1. 9.1.1 糖尿病の患者

      十分な管理を行いながら投与すること。高度な下痢の持続により脱水、電解質異常を起こして糖尿病が増悪し、致命的となるおそれがある。

    2. 9.1.2 全身衰弱が著しい患者

      副作用が強く発現するおそれがある。

    3. 9.1.3 遺伝性果糖不耐症の患者

      本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。

    4. 9.1.4 グルクロン酸抱合異常の患者

      Gilbert症候群のようなグルクロン酸抱合異常の患者においては、本剤の代謝が遅延することにより骨髄機能抑制等の重篤な副作用が発現する可能性が高い。

    5. 9.1.5 UGT1A1遺伝子多型(UGT1A16UGT1A128)について、いずれかをホモ接合体又はいずれもヘテロ接合体としてもつ患者

      本剤の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UDP-glucuronosyltransferase、UGT)の2つの遺伝子多型(UGT1A16UGT1A128)について、いずれかをホモ接合体(UGT1A16/6UGT1A128/28)又はいずれもヘテロ接合体(UGT1A16/28)としてもつ患者では、UGT1A1のグルクロン酸抱合能が低下し、SN-38の代謝が遅延することにより、重篤な副作用(特に好中球減少)発現の可能性が高くなることが報告されているため、十分注意すること1) ,2) ,3) [16.4.1 参照],[17.3.1 参照]

    9.2 腎機能障害患者

    腎障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。

    9.3 肝機能障害患者

    肝障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。

    9.4 生殖能を有する者

    1. 9.4.1 **妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5 参照][15.2 参照]
    2. 9.4.2 **男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[15.2 参照]
    3. 9.4.3 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。

    9.5 妊婦

    妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット・ウサギ)で催奇形性作用、胚・胎児死亡が報告されている。[9.4.1 参照]

    9.6 授乳婦

    授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

    9.7 小児等

    • 〈小児悪性固形腫瘍〉
      1. 9.7.1 幼児又は小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
    • 〈小児悪性固形腫瘍以外〉
      1. 9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

    9.8 高齢者

    骨髄機能抑制、下痢等の副作用に注意し、異常が認められた場合には、回復を十分に確認してから投与を行うなど、投与間隔に留意すること。一般に高齢者では生理機能が低下しており、排泄が遅れる。

    10. 相互作用

      10.1 併用禁忌(併用しないこと)

      薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

      アタザナビル硫酸塩

      (レイアタッツ)

                        [1.2 参照],[2.8 参照]

      骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。

      本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。UGT阻害作用のあるアタザナビル硫酸塩との併用により、本剤の代謝が遅延することが考えられる。

      10.2 併用注意(併用に注意すること)

      薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

      他の抗悪性腫瘍剤

      放射線照射

      骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
      患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

      併用により殺細胞作用が増強される。

      末梢性筋弛緩剤

      • スキサメトニウム塩化物水和物
      • ベクロニウム臭化物
      • ロクロニウム臭化物等

      末梢性筋弛緩剤の作用が減弱するおそれがある。

      本剤は、動物実験で筋収縮増強作用が認められている。

      **CYP3A4阻害剤

      • アゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール等)
      • マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
      • リトナビル
      • ジルチアゼム塩酸塩
      • ニフェジピン等

      グレープフルーツジュース

      骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
      患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

      本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を阻害する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が阻害されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分増加し、SN-38の全身曝露量が増加することが考えられる。

      CYP3A4誘導剤

      • フェニトイン
      • カルバマゼピン
      • リファンピシン
      • フェノバルビタール等

      セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

      本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
      本剤投与期間中は左記薬剤・食品との併用を避けることが望ましい。

      本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を誘導する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が促進されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分減少し、SN-38の全身曝露量が減少することが考えられる。

      ソラフェニブトシル酸塩

      骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
      患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

      本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
      UGT1A1阻害作用のあるソラフェニブトシル酸塩との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が上昇する可能性がある。

      ラパチニブトシル酸塩水和物

      骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
      患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

      機序は不明だが、ラパチニブトシル酸塩水和物との併用により、本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCが約40%増加したとの報告がある。

      レゴラフェニブ水和物

      骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
      患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。

      本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
      UGT1A1阻害作用のあるレゴラフェニブ水和物との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCがそれぞれ28%及び44%増加し、Cmaxがそれぞれ22%増加及び9%減少したとの報告がある。

      11. 副作用

      次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

      11.1 重大な副作用

      1. 11.1.1 骨髄機能抑制

        汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(84.2%)、好中球減少(80.8%)、血小板減少(20.4%)、貧血(61.4%)、発熱性好中球減少症(1.3%)等があらわれることがある。白血球減少(好中球減少)を認めた場合には、減少の程度に応じてG-CSF等の白血球増多剤の投与、発熱を伴う場合には適切な抗生剤の投与、その他必要に応じて適切な感染症対策を行うこと。また、高度な骨髄機能抑制の持続により、次のような疾患を併発し、死亡した例も報告されている。

        • 重症感染症(敗血症、肺炎等)
          重篤な白血球・好中球減少に伴い、敗血症(頻度不明)、肺炎(頻度不明)等の重症感染症があらわれることがある。
        • 播種性血管内凝固症候群(DIC)
          重篤な感染症、血小板減少に伴い、播種性血管内凝固症候群(頻度不明)があらわれることがある。[1.4 参照],[8.3 参照],[8.5 参照]
      2. 11.1.2 高度な下痢、腸炎

        下痢(65.5%)、大腸炎(頻度不明)、小腸炎(頻度不明)、腸炎(部位不明:頻度不明)があらわれることがある。高度な下痢の持続により、脱水、電解質異常、ショック(循環不全:頻度不明)を併発し、死亡した例も報告されている。
        高度な下痢の持続により、脱水及び電解質異常等をきたし、特に重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には、致命的な経過をたどることがあるので、次のような処置を行うこと。

        • ロペラミド塩酸塩等の止瀉剤の投与を行うこと(ただし、腸管麻痺を引き起こすことがあるので、ロペラミド塩酸塩等の予防的投与や、漫然とした投与は行わないこと)。
        • 脱水を認めた場合には、輸液、電解質補充を行うこと。
        • 重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には、適切な抗生剤の投与を考慮すること。

        高度な下痢や嘔吐に伴いショック(循環不全)があらわれることがあるので、呼吸困難、血圧低下等が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
        なお、本剤による下痢に関しては、以下の2つの機序が考えられている。
        早発型:本剤投与中あるいは投与直後に発現する。コリン作動性と考えられ、高度である場合もあるが多くは一過性であり、副交感神経遮断剤の投与により緩和することがある。
        遅発型:本剤投与後24時間以降に発現する。主に本剤の活性代謝物(SN-38)による腸管粘膜傷害に基づくものと考えられ、持続することがある。[1.4 参照],[8.3 参照],[8.4 参照],[8.5 参照]

      3. 11.1.3 腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞

        腸管穿孔(頻度不明)、消化管出血(下血、血便を含む:頻度不明)、腸管麻痺(2.5%)、腸閉塞(0.5%)があらわれることがある。なお、腸管麻痺・腸閉塞に引き続き腸管穿孔を併発し、死亡した例が報告されている。これらの症例の中には、腸管蠕動を抑制する薬剤(ロペラミド塩酸塩、モルヒネ硫酸塩水和物等)の併用例があるので、腸管蠕動を抑制する薬剤を併用する場合には、特に注意すること。[8.5 参照]

      4. 11.1.4 間質性肺炎(2.4%)

                        [8.5 参照],[8.7 参照]

      5. 11.1.5 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)

        過敏症状(呼吸困難、血圧低下等)が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。[8.2 参照]

      6. 11.1.6 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)

                        [8.3 参照]               

      7. 11.1.7 急性腎障害(頻度不明)

                        [8.3 参照]               

      8. 11.1.8 血栓塞栓症

        肺塞栓症(頻度不明)、静脈血栓症(頻度不明)があらわれることがある。

      9. 11.1.9 脳梗塞(頻度不明)
      10. 11.1.10 心筋梗塞(頻度不明)、狭心症発作(頻度不明)
      11. 11.1.11 心室性期外収縮(0.8%)

      11.2 その他の副作用

      50%以上

      5~50%未満

      5%未満

      頻度不明

      消化器

      食欲不振(80.9%)、悪心・嘔吐(77.2%)

      腹痛

      しゃっくり、腹部膨満感、口内炎、口唇炎、痔核、胃腸音異常

      胃潰瘍、胃・腹部不快感、胃炎、消化不良、便秘、食道炎、吐血、腸管運動亢進

      肝臓

      AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇

      ビリルビン上昇、γ-GTP上昇

      腎臓

      電解質異常

      腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)、蛋白尿、血尿、尿沈渣異常

      乏尿、クレアチニンクリアランス低下

      呼吸器

      気管支炎、咽頭炎、鼻炎、発声障害、咽頭知覚不全、口腔咽頭不快感

      咽頭痛、咳嗽、呼吸困難、PaO2低下、上気道炎

      過敏症

      発疹、そう痒感

      蕁麻疹

      皮膚

      脱毛

      色素沈着、浮腫、紅斑、手足症候群、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥

      帯状疱疹、粘膜炎、発赤

      精神神経系

      しびれ等の末梢神経障害、頭痛、めまい、精神症状、意識障害、傾眠、興奮・不安感、不穏

      痙攣、耳鳴、味覚異常、うつ病、目のかすみ、不眠、振戦、構語障害

      循環器

      頻脈、血圧低下、動悸

      不整脈、徐脈、心房細動、高血圧、心電図異常

      その他

      倦怠感、発熱、好酸球増加、総蛋白減少、アルブミン減少

      発汗、顔面潮紅、疼痛、腰痛、カルシウム異常、尿酸異常、尿ウロビリノーゲン異常、糖尿

      脱水、コリン作動性症候群、悪寒、胸部不快感、胸痛、関節痛、筋痛、鼻出血、脱力感、無力症、疲労、体重増加、体重減少、LDH低下、白血球増加、血小板増加、白血球分画の変動、CRP上昇、注射部位反応(発赤、疼痛等)、血管炎、流涙、熱感、腹水、鼻汁

      発現頻度の算出にあたってはホジキン病の患者を含む。本剤の効能又は効果は、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)である。

      14. 適用上の注意

      14.1 薬剤調製時の注意

      1. 14.1.1 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
      2. 14.1.2 本剤は、輸液に混和後、できるだけ速やかに投与すること。

      14.2 薬剤投与時の注意

      1. 14.2.1 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死を起こすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与すること。
      2. 14.2.2 本剤は光に不安定なので直射日光を避けること。また、点滴時間が長時間におよぶ場合には遮光して投与すること。

      15. その他の注意

      15.1 臨床使用に基づく情報

      欧州における進行性小細胞肺癌を対象とした無作為化第Ⅲ相臨床試験において、本剤とシスプラチン併用投与群(本剤80mg/m2を第1、8日目、シスプラチン80mg/m2を第1日目に投与し3週毎に繰り返す)での治療関連死が39例中4例に認められ、臨床試験が中断された。その後、本剤の投与量を65mg/m2に減量し、臨床試験は再開され、試験は終了となった。なお、本剤減量後の治療関連死は202例中7例であった4)

      15.2 非臨床試験に基づく情報

      **ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及びマウス骨髄細胞を用いた小核試験において、遺伝毒性が報告されている。[9.4.1 参照][9.4.2 参照]

      その他詳細情報

      日本標準商品分類番号
      87424
      ブランドコード
      4240404A1059, 4240404A2055
      承認番号
      22100AMX00328, 22100AMX00327
      販売開始年月
      2009-05, 2009-05
      貯法
      室温保存、室温保存
      有効期間
      3年、3年
      規制区分
      2, 12, 2, 12

      重要な注意事項

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      • 副作用の発生頻度や重篤度は個人差があります。ここで提供される情報は一般的なものであり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
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