薬効分類名造血幹細胞移植前処置剤
一般的名称メルファラン
アルケラン静注用50mg
あるけらんじょうちゅうよう50mg
Alkeran for injection
製造販売/サンドファーマ株式会社、販売/サンド株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
シクロスポリン、タクロリムス
本剤投与後に移植片対宿主病(GVHD)予防のためシクロスポリン又はタクロリムスを投与した骨髄移植患者において腎不全等の腎障害が発現したとの報告がある。
機序は不明である。
ナリジクス酸
ナリジクス酸服用中の小児患者に本剤(140mg/m2)の投与を開始したところ、その1~2日後に下痢(血便)を発現し死亡(剖検で出血性腸炎を認めた)したとの報告がある。
本剤との関連性は言及されていないが、ナリジクス酸による出血性腸炎を増強するおそれがある。
1. 警告
- 1.1 本剤の投与は、緊急時に十分措置できる医療施設及び造血幹細胞移植に十分な知識と経験をもつ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。
- 1.2 本剤の使用にあたっては、患者又はそれに代わる適切な者に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
-
1.3 本剤は強い骨髄抑制作用を有する薬剤であり、本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植の施行後、骨髄抑制作用の結果、感染症を発現し死亡した例が認められている。
本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となり、その結果致命的な感染症及び出血等を引き起こすことがあるので、下記につき十分注意すること。- 1.3.1 重症感染症を合併している患者には投与しないこと。[2.1 参照]
- 1.3.2 本剤の投与後は患者の状態を十分に観察し、致命的な感染症の発現を抑制するため、感染症予防のための処置(抗感染症薬の投与等)を行い、必要に応じ無菌管理を行うこと。[11.1.1 参照]
- 1.3.3 本剤の投与後は輸血及び血液造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。[11.1.1 参照]
- 1.3.4 本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植の施行にあたっては、「2.禁忌」、「8.重要な基本的注意」、「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の項を参照し、慎重に患者を選択すること。[2.1 参照],[2.2 参照],[8.1 参照],[8.2 参照],[8.3 参照],[8.4 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[9.2 参照],[9.3 参照],[9.4.1 参照],[9.4.2 参照],[9.5 参照],[9.6 参照],[9.7 参照],[9.8 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 重症感染症を合併している患者[感染症が増悪し致命的となることがある。][1.3.1 参照],[1.3.4 参照]
- 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[1.3.4 参照]
6. 用法及び用量
造血幹細胞移植時の前処置として下記のとおり静脈内投与する。
ただし、移植は本剤の投与終了から24時間以上あけて行うこととする。
成人(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫):
メルファランとして1日1回60mg/m2を3日間投与(メルファラン3日間総量180mg/m2)する。
多発性骨髄腫に対してはメルファランとして1日1回100mg/m2を2日間投与(メルファラン2日間総量200mg/m2)も可とする。
小児(白血病、小児固形腫瘍):
メルファランとして1日1回70mg/m2を3日間投与(メルファラン3日間総量210mg/m2)する。
なお、メルファラン総量及び1日投与量は、患者の状態、併用する薬剤、全身放射線照射併用により適宜減量する。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 肥満患者では投与量が過多にならないように、標準体重に基づいた体表面積から換算した投与量を考慮すること。
- 7.2 本剤の投与前日から投与終了後24時間は、水分補給及び利尿剤の投与を行い十分な尿量を確保すること。なお、補液量は2,000mL/日以上、確保すべき尿量は100mL/h以上を目安とし、患者の年齢及び状態を勘案し調整すること。
- 7.3 本剤の用法及び用量は、患者の成熟リンパ球や骨髄細胞を除去し移植する造血幹細胞を生着させること、及び腫瘍性疾患において体内に残存する腫瘍細胞の除去を目指している。したがって、本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となることから、致命的な感染症及び出血等を引き起こすことがあるので、用法及び用量に定められている投与量を超えて投与しないこと。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植は、各医療施設において定められている造血幹細胞移植の手法に従って実施すること。[1.3.4 参照]
-
8.2 本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植にあたっては、患者の状態及び臓器機能(心、肺、肝、腎等)を十分検討し、造血幹細胞移植を実施可能と判断される患者にのみ投与し、以下の事項について特に注意すること。[1.3.4 参照]
- 8.2.1 本剤の投与中は心電図、血圧及び尿量等のモニターを行うこと。また、投与後は定期的に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)及び尿量のモニター等を行うこと。
- 8.2.2 本剤の投与後は患者の状態を十分に観察し、致命的な感染症の発現を抑制するため、感染症予防のための処置(抗感染症薬の投与等)を行い、必要に応じ無菌管理を行うこと。[11.1.1 参照]
- 8.2.3 本剤の投与後は輸血及び血液造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。[11.1.1 参照]
- 8.3 本剤の用量規制因子は下痢及び口内炎等の粘膜障害である。本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植の施行に先立ち、口腔内病巣の治療、口腔内及び腸内の殺菌等の適切な処置を行うこと。[1.3.4 参照]
- 8.4 本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植は、下記のことを踏まえ、患者に対する有益性及び危険性を考慮し十分説明した上で行うこと。[1.3.4 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 心機能障害のある患者(特にアントラサイクリン系薬剤等、心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者)
致命的な心機能障害を発現するおそれがある。[1.3.4 参照],[11.1.5 参照]
-
9.1.2 感染症を合併している患者(重症感染症を合併している患者を除く)
感染症が増悪し致命的となることがある。[1.3.4 参照],[11.1.1 参照]
9.2 腎機能障害患者
投与量が過多にならないよう考慮すること。腎障害のある患者では本剤のクリアランスが低下するおそれがあり、本剤による副作用が増強するおそれがある。なお、減量の目安は確立されていない。[1.3.4 参照],[16.6.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害が増悪するおそれがある。[1.3.4 参照],[11.1.4 参照]
9.4 生殖能を有する者
- 9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、適切な避妊をするよう指導すること。本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植を行う場合は、患者に対する有益性及び危険性を考慮し十分説明した上で行うこと。[1.3.4 参照],[9.5 参照]
- 9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性には、適切な避妊をするよう指導すること。5mg/kg以上を雄マウスに投与した実験で生殖細胞に対する遺伝毒性が報告されている1) ,2) 。[1.3.4 参照]
9.5 妊婦
妊婦(特に妊娠3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。妊娠中に本剤を使用する場合、又は本剤を使用中に妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に説明すること。
動物試験で大量(1.0mg/kg以上)を雌ラットに投与した場合、胚・胎児の死亡及び催奇形性が報告されており、また他のアルキル化剤(シクロホスファミド)で催奇形性を疑う症例報告がある。[1.3.4 参照],[9.4.1 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。[1.3.4 参照]
9.7 小児等
本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植を小児に施行するにあたっては、成長障害等の可能性を十分に考慮し十分説明した上で行うこと。小児15例(1~14歳)を対象とした国内臨床試験において、小児に特徴的な副作用と考えられる症状等は認められなかった。なお、低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。[1.3.4 参照],[8.4.3 参照],[17.1.2 参照]
9.8 高齢者
本剤投与前に患者の状態及び臓器機能を十分検討し確認すること。投与開始後は、患者の状態を慎重に観察すること。なお、高齢者に本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植を施行するにあたっては、患者の全身状態を考慮し、慎重に患者を選択すること。一般に生理機能が低下していることが多い。成人26例を対象とした国内臨床試験において、65歳以上の高齢者は1例であり、報告された副作用は悪心・嘔吐、下痢、口内炎・粘膜炎であった。[1.3.4 参照]
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 感染症(7.3%)及び出血(頻度不明)等
本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となり、その結果感染症及び出血等を引き起こし、致命的となることがある。[1.3.2 参照],[1.3.3 参照],[8.2.2 参照],[8.2.3 参照],[9.1.2 参照]
-
11.1.2 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
症状に伴ってまれに心停止(頻度不明)が起こることがある。
-
11.1.3 胃腸障害
悪心・嘔吐(63.4%)及び下痢(92.7%)、口内炎・粘膜炎(80.5%)等の粘膜障害が高頻度にあらわれ、直腸潰瘍(2.4%)等の症状が起こることがある。
-
11.1.4 重篤な肝機能障害、黄疸
AST・ALTの上昇(51.2%)、ビリルビン値上昇(7.3%)、Al-P上昇(4.9%)、LDHの上昇(4.9%)等を伴う肝機能障害や黄疸(頻度不明)、また、黄疸、急激な体重増加、有痛性の肝腫大等を伴う肝中心静脈閉塞(症)(頻度不明)があらわれることがある。[9.3 参照]
- 11.1.5 心筋症(2.4%)、不整脈(2.4%)
- 11.1.6 間質性肺炎(2.4%)、肺線維症(頻度不明)
- 11.1.7 溶血性貧血(頻度不明)
11.2 その他の副作用
5%以上 |
5%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
腎臓 |
腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等) |
乏尿 |
|
消化器 |
食欲不振 |
||
過敏症 |
皮疹(斑状丘疹性皮疹、蕁麻疹) |
瘙痒、浮腫 |
|
皮膚 |
脱毛 |
||
全身症状 |
温熱感、刺痛感 |
||
その他 |
卵巣機能不全、月経異常、痙攣 |
13. 過量投与
-
13.1 症状
海外において、卵巣癌注)に対する本剤290mg/m2の単回静脈内投与後、嘔吐、下痢、振戦、呼吸困難、QT延長、低ナトリウム血症、高アミラーゼ血症、尿路感染症、重度の骨髄抑制等を発現し、投与6日後に突然死亡(死因:不整脈と推察された)した症例が報告されている3) 。
-
13.2 処置
本剤は血液透析により除去されないとの報告がある4) 。本剤の過量投与が疑われた場合は、輸血、血液造血因子、抗感染症薬の投与等の支持療法を行うこと。また、必要に応じ無菌管理を考慮し、血液学的検査を頻回に行い、患者の状態を十分観察すること。
注)本剤の承認された効能又は効果は、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、小児固形腫瘍における造血幹細胞移植時の前処置である。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
- 14.1.1 本剤の調製は、本剤の性状及び取扱いについて十分な知識のある医師及び薬剤師が直接又は医師の監督下のもと行うこと。
- 14.1.2 本剤の溶液に触れると皮膚反応が起こることがあるので、取扱い時には手袋、マスク、防護メガネ等を着用し、十分に注意すること。皮膚に本溶液が付着した場合には、直ちに石鹸で洗い、水で完全に洗い落とすこと。
- 14.1.3 本剤は室温(約25℃)で用時調製すること。
- 14.1.4 メルファラン50mg(1バイアル)に専用溶解液10mLを加え激しく振盪して完全に溶解し、希釈する場合には100mL以上の日局生理食塩液を用いること。糖類を含む輸液と配合すると分解しやすいので使用しないこと。
- 14.1.5 溶解後又は希釈後に混濁又は結晶が認められる場合は使用しないこと。
- 14.1.6 調製後の溶液は、沈殿することがあるので冷蔵しないこと。また、使用後の残液は廃棄すること。
- 14.1.7 溶解後、室温では経時的に安定性が低下するので速やかに投与を開始し、投与量と投与速度を勘案し遅くとも調製から1.5時間以内に投与を終了すること。
1. 警告
- 1.1 本剤の投与は、緊急時に十分措置できる医療施設及び造血幹細胞移植に十分な知識と経験をもつ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。
- 1.2 本剤の使用にあたっては、患者又はそれに代わる適切な者に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
-
1.3 本剤は強い骨髄抑制作用を有する薬剤であり、本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植の施行後、骨髄抑制作用の結果、感染症を発現し死亡した例が認められている。
本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となり、その結果致命的な感染症及び出血等を引き起こすことがあるので、下記につき十分注意すること。- 1.3.1 重症感染症を合併している患者には投与しないこと。[2.1 参照]
- 1.3.2 本剤の投与後は患者の状態を十分に観察し、致命的な感染症の発現を抑制するため、感染症予防のための処置(抗感染症薬の投与等)を行い、必要に応じ無菌管理を行うこと。[11.1.1 参照]
- 1.3.3 本剤の投与後は輸血及び血液造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。[11.1.1 参照]
- 1.3.4 本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植の施行にあたっては、「2.禁忌」、「8.重要な基本的注意」、「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の項を参照し、慎重に患者を選択すること。[2.1 参照],[2.2 参照],[8.1 参照],[8.2 参照],[8.3 参照],[8.4 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[9.2 参照],[9.3 参照],[9.4.1 参照],[9.4.2 参照],[9.5 参照],[9.6 参照],[9.7 参照],[9.8 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 重症感染症を合併している患者[感染症が増悪し致命的となることがある。][1.3.1 参照],[1.3.4 参照]
- 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[1.3.4 参照]
6. 用法及び用量
造血幹細胞移植時の前処置として下記のとおり静脈内投与する。
ただし、移植は本剤の投与終了から24時間以上あけて行うこととする。
成人(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫):
メルファランとして1日1回60mg/m2を3日間投与(メルファラン3日間総量180mg/m2)する。
多発性骨髄腫に対してはメルファランとして1日1回100mg/m2を2日間投与(メルファラン2日間総量200mg/m2)も可とする。
小児(白血病、小児固形腫瘍):
メルファランとして1日1回70mg/m2を3日間投与(メルファラン3日間総量210mg/m2)する。
なお、メルファラン総量及び1日投与量は、患者の状態、併用する薬剤、全身放射線照射併用により適宜減量する。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 肥満患者では投与量が過多にならないように、標準体重に基づいた体表面積から換算した投与量を考慮すること。
- 7.2 本剤の投与前日から投与終了後24時間は、水分補給及び利尿剤の投与を行い十分な尿量を確保すること。なお、補液量は2,000mL/日以上、確保すべき尿量は100mL/h以上を目安とし、患者の年齢及び状態を勘案し調整すること。
- 7.3 本剤の用法及び用量は、患者の成熟リンパ球や骨髄細胞を除去し移植する造血幹細胞を生着させること、及び腫瘍性疾患において体内に残存する腫瘍細胞の除去を目指している。したがって、本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となることから、致命的な感染症及び出血等を引き起こすことがあるので、用法及び用量に定められている投与量を超えて投与しないこと。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植は、各医療施設において定められている造血幹細胞移植の手法に従って実施すること。[1.3.4 参照]
-
8.2 本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植にあたっては、患者の状態及び臓器機能(心、肺、肝、腎等)を十分検討し、造血幹細胞移植を実施可能と判断される患者にのみ投与し、以下の事項について特に注意すること。[1.3.4 参照]
- 8.2.1 本剤の投与中は心電図、血圧及び尿量等のモニターを行うこと。また、投与後は定期的に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)及び尿量のモニター等を行うこと。
- 8.2.2 本剤の投与後は患者の状態を十分に観察し、致命的な感染症の発現を抑制するため、感染症予防のための処置(抗感染症薬の投与等)を行い、必要に応じ無菌管理を行うこと。[11.1.1 参照]
- 8.2.3 本剤の投与後は輸血及び血液造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。[11.1.1 参照]
- 8.3 本剤の用量規制因子は下痢及び口内炎等の粘膜障害である。本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植の施行に先立ち、口腔内病巣の治療、口腔内及び腸内の殺菌等の適切な処置を行うこと。[1.3.4 参照]
- 8.4 本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植は、下記のことを踏まえ、患者に対する有益性及び危険性を考慮し十分説明した上で行うこと。[1.3.4 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 心機能障害のある患者(特にアントラサイクリン系薬剤等、心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者)
致命的な心機能障害を発現するおそれがある。[1.3.4 参照],[11.1.5 参照]
-
9.1.2 感染症を合併している患者(重症感染症を合併している患者を除く)
感染症が増悪し致命的となることがある。[1.3.4 参照],[11.1.1 参照]
9.2 腎機能障害患者
投与量が過多にならないよう考慮すること。腎障害のある患者では本剤のクリアランスが低下するおそれがあり、本剤による副作用が増強するおそれがある。なお、減量の目安は確立されていない。[1.3.4 参照],[16.6.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害が増悪するおそれがある。[1.3.4 参照],[11.1.4 参照]
9.4 生殖能を有する者
- 9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、適切な避妊をするよう指導すること。本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植を行う場合は、患者に対する有益性及び危険性を考慮し十分説明した上で行うこと。[1.3.4 参照],[9.5 参照]
- 9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性には、適切な避妊をするよう指導すること。5mg/kg以上を雄マウスに投与した実験で生殖細胞に対する遺伝毒性が報告されている1) ,2) 。[1.3.4 参照]
9.5 妊婦
妊婦(特に妊娠3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。妊娠中に本剤を使用する場合、又は本剤を使用中に妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に説明すること。
動物試験で大量(1.0mg/kg以上)を雌ラットに投与した場合、胚・胎児の死亡及び催奇形性が報告されており、また他のアルキル化剤(シクロホスファミド)で催奇形性を疑う症例報告がある。[1.3.4 参照],[9.4.1 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。[1.3.4 参照]
9.7 小児等
本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植を小児に施行するにあたっては、成長障害等の可能性を十分に考慮し十分説明した上で行うこと。小児15例(1~14歳)を対象とした国内臨床試験において、小児に特徴的な副作用と考えられる症状等は認められなかった。なお、低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。[1.3.4 参照],[8.4.3 参照],[17.1.2 参照]
9.8 高齢者
本剤投与前に患者の状態及び臓器機能を十分検討し確認すること。投与開始後は、患者の状態を慎重に観察すること。なお、高齢者に本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植を施行するにあたっては、患者の全身状態を考慮し、慎重に患者を選択すること。一般に生理機能が低下していることが多い。成人26例を対象とした国内臨床試験において、65歳以上の高齢者は1例であり、報告された副作用は悪心・嘔吐、下痢、口内炎・粘膜炎であった。[1.3.4 参照]
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 感染症(7.3%)及び出血(頻度不明)等
本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となり、その結果感染症及び出血等を引き起こし、致命的となることがある。[1.3.2 参照],[1.3.3 参照],[8.2.2 参照],[8.2.3 参照],[9.1.2 参照]
-
11.1.2 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
症状に伴ってまれに心停止(頻度不明)が起こることがある。
-
11.1.3 胃腸障害
悪心・嘔吐(63.4%)及び下痢(92.7%)、口内炎・粘膜炎(80.5%)等の粘膜障害が高頻度にあらわれ、直腸潰瘍(2.4%)等の症状が起こることがある。
-
11.1.4 重篤な肝機能障害、黄疸
AST・ALTの上昇(51.2%)、ビリルビン値上昇(7.3%)、Al-P上昇(4.9%)、LDHの上昇(4.9%)等を伴う肝機能障害や黄疸(頻度不明)、また、黄疸、急激な体重増加、有痛性の肝腫大等を伴う肝中心静脈閉塞(症)(頻度不明)があらわれることがある。[9.3 参照]
- 11.1.5 心筋症(2.4%)、不整脈(2.4%)
- 11.1.6 間質性肺炎(2.4%)、肺線維症(頻度不明)
- 11.1.7 溶血性貧血(頻度不明)
11.2 その他の副作用
5%以上 |
5%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
腎臓 |
腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等) |
乏尿 |
|
消化器 |
食欲不振 |
||
過敏症 |
皮疹(斑状丘疹性皮疹、蕁麻疹) |
瘙痒、浮腫 |
|
皮膚 |
脱毛 |
||
全身症状 |
温熱感、刺痛感 |
||
その他 |
卵巣機能不全、月経異常、痙攣 |
13. 過量投与
-
13.1 症状
海外において、卵巣癌注)に対する本剤290mg/m2の単回静脈内投与後、嘔吐、下痢、振戦、呼吸困難、QT延長、低ナトリウム血症、高アミラーゼ血症、尿路感染症、重度の骨髄抑制等を発現し、投与6日後に突然死亡(死因:不整脈と推察された)した症例が報告されている3) 。
-
13.2 処置
本剤は血液透析により除去されないとの報告がある4) 。本剤の過量投与が疑われた場合は、輸血、血液造血因子、抗感染症薬の投与等の支持療法を行うこと。また、必要に応じ無菌管理を考慮し、血液学的検査を頻回に行い、患者の状態を十分観察すること。
注)本剤の承認された効能又は効果は、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、小児固形腫瘍における造血幹細胞移植時の前処置である。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
- 14.1.1 本剤の調製は、本剤の性状及び取扱いについて十分な知識のある医師及び薬剤師が直接又は医師の監督下のもと行うこと。
- 14.1.2 本剤の溶液に触れると皮膚反応が起こることがあるので、取扱い時には手袋、マスク、防護メガネ等を着用し、十分に注意すること。皮膚に本溶液が付着した場合には、直ちに石鹸で洗い、水で完全に洗い落とすこと。
- 14.1.3 本剤は室温(約25℃)で用時調製すること。
- 14.1.4 メルファラン50mg(1バイアル)に専用溶解液10mLを加え激しく振盪して完全に溶解し、希釈する場合には100mL以上の日局生理食塩液を用いること。糖類を含む輸液と配合すると分解しやすいので使用しないこと。
- 14.1.5 溶解後又は希釈後に混濁又は結晶が認められる場合は使用しないこと。
- 14.1.6 調製後の溶液は、沈殿することがあるので冷蔵しないこと。また、使用後の残液は廃棄すること。
- 14.1.7 溶解後、室温では経時的に安定性が低下するので速やかに投与を開始し、投与量と投与速度を勘案し遅くとも調製から1.5時間以内に投与を終了すること。