薬効分類名遺伝子組換えヒト成長ホルモン製剤
一般的名称注射用ソマトロピン(遺伝子組換え)
ヒューマトロープ注射用6mg、ヒューマトロープ注射用12mg
Humatrope, Humatrope
製造販売元/日本イーライリリー株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
- 糖質コルチコイド
成長ホルモンの成長促進作用が抑制されることがある。
糖質コルチコイドが成長抑制効果を有するため。
- 糖質コルチコイド
血清コルチゾール濃度が低下することがあるので、糖質コルチコイドの用量に注意すること。
成長ホルモンが11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD-1)を抑制することにより、コルチゾンからコルチゾールへの変換を減少させるため。
- 糖尿病用薬
- [9.1.1 参照]
本剤投与により、血糖値が上昇することがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、これらの薬剤の投与量の調整を行うこと。
成長ホルモンがインスリン感受性を低下させるため。
- 主にCYP3Aで代謝される薬剤
これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがある。
本剤がCYP3Aを誘導するため。
- 経口エストロゲン
- [8.4 参照]
成長ホルモンの作用が抑制されることがある。成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の患者では本剤の増量を検討すること。
エストロゲンがIGF-I産生を抑制するため。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 悪性腫瘍のある患者[成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため。][9.1.2 参照],[9.1.3 参照]
- 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
3. 組成・性状
3.1 組成
ヒューマトロープ注射用6mg
| 有効成分 | 1筒中 ソマトロピン(遺伝子組換え) 注1) 6.56mg 専用注入器装着時、6mgまで使用できる。 |
|---|---|
| 添加剤 | グリシン 6.56mg |
| D-マンニトール 19.67mg | |
| リン酸水素二ナトリウム七水和物 1.49mg | |
| pH調節剤 適量 | |
| 添付溶解液 (注射筒入り) |
日局注射用水をもって全量3.1mLとする。 |
| 添加剤 (添付溶解液) |
m-クレゾール 9.9mg |
| 濃グリセリン 53.2mg [15.1.5 参照] | |
| pH調節剤 適量 |
ヒューマトロープ注射用12mg
| 有効成分 | 1筒中 ソマトロピン(遺伝子組換え) 注2) 13.13mg 専用注入器装着時、12mgまで使用できる。 |
|---|---|
| 添加剤 | グリシン 13.1mg |
| D-マンニトール 39.4mg | |
| リン酸水素二ナトリウム七水和物 3.0mg | |
| pH調節剤 適量 | |
| 添付溶解液 (注射筒入り) |
日局注射用水をもって全量3.1mLとする。 |
| 添加剤 (添付溶解液) |
m-クレゾール 9.8mg |
| 濃グリセリン 9.0mg [15.1.5 参照] | |
| pH調節剤 適量 |
5. 効能又は効果に関連する注意
- 〈骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症〉
- 〈骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長〉
- 〈骨端線閉鎖を伴わない軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)における低身長〉
-
〈成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)〉
- 5.6 本剤の適用は、成人成長ホルモン分泌不全症と診断された患者のうち、以下のいずれかの患者に限定すること。なお、重症の基準は、最新の「厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班 成人成長ホルモン分泌不全症の診断と治療の手引き」の病型分類を参照すること。
6. 用法及び用量
-
〈骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症〉
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.175mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
-
〈骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長〉
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.35mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
-
〈骨端線閉鎖を伴わない軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)における低身長〉
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.35mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
-
〈成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)〉
通常開始用量として、1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.021mgを6~7回に分けて皮下に注射する。患者の臨床症状に応じて1週間に体重kg当たり0.084mgを上限として漸増し、1週間に6~7回に分けて皮下に注射する。なお、投与量は臨床症状及び血清インスリン様成長因子-I(IGF-I)濃度等の検査所見に応じて適宜増減する。ただし、1日量として1mgを超えないこと。
8. 重要な基本的注意
-
〈効能共通〉
- 8.1 *甲状腺機能低下症があらわれあるいは悪化し、本剤による治療効果が低下することがあるので、甲状腺機能を定期的に検査し、このような場合には適切な治療を行うことが望ましい。[11.2 参照]
- 8.2 *成長ホルモンは、インスリン感受性を低下させるため、本剤の投与により血糖値、HbA1cの上昇があらわれることがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、異常が認められた場合は、投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。特にターナー症候群においては、耐糖能の低下を合併することがあり、経過を注意深く観察すること。[9.1.1 参照],[11.1.5 参照]
-
〈成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)〉
- 8.4 本剤と本剤以外のホルモン剤を併用する場合には、併用するホルモン剤が血清IGF-I濃度に影響を及ぼすことがあるため、慎重に血清IGF-I濃度をモニタリングすること。[10.2 参照]
- 8.5 本剤の投与により浮腫、関節痛等があらわれることがあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与量の減量あるいは投与中止を考慮すること。[17.1.6 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 *糖尿病患者、耐糖能異常のある患者又は糖尿病の危険因子を持つ患者
糖尿病患者では、投与開始前に血糖(血糖値、HbA1c等)及び糖尿病合併症(糖尿病網膜症等)の病勢をコントロールしておくこと。投与開始後は定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、また、糖尿病合併症(糖尿病網膜症等)を含め、患者の状態を注意深く観察すること。必要に応じて、糖尿病用薬の投与量の調整を行うこと。投与開始後に糖尿病の症状の顕在化又は悪化が認められた場合は、本剤の投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。
耐糖能異常のある患者又は糖尿病の危険因子を持つ患者(肥満、家族歴に糖尿病を持つ患者等)では、慎重に観察すること。糖尿病が顕在化することがある。[8.2 参照],[10.2 参照],[11.1.5 参照]
-
9.1.2 脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、松果体腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症又は成人成長ホルモン分泌不全症の患者
脳腫瘍の進行や再発の観察を十分に行い慎重に投与すること。成長ホルモンは細胞増殖作用を有する。[2.1 参照]
-
9.1.3 脳腫瘍の既往のある患者
定期的に画像診断を実施し、脳腫瘍の発現及び進行や再発の観察を十分に行うこと。成人成長ホルモン分泌不全症患者では脳腫瘍の既往のある患者が多く含まれており、国内臨床試験において脳腫瘍の再発が報告されている。[2.1 参照]
-
9.1.4 心疾患のある患者
ときに一過性の浮腫があらわれることがある。
-
9.1.5 脊柱管狭窄・大孔狭窄のある軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)の患者
低身長改善の有益性が脊柱管狭窄・大孔狭窄悪化の危険性を上回ると判断される場合のみ投与を考慮すること。MRI等による定期的観察を十分行い、脊柱管狭窄・大孔狭窄の悪化がみられた場合には投与を中止すること。症状の悪化を助長する可能性がある。
9.2 腎機能障害患者
ときに一過性の浮腫があらわれることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[2.2 参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中への移行については不明である。
9.8 高齢者
投与量の減量あるいは投与中止も考慮に入れて、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。また、外国において、成人成長ホルモン分泌不全症患者における成長ホルモン維持用量は加齢に伴い減少することが報告されている。
10. 相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
成長ホルモンの成長促進作用が抑制されることがある。 |
糖質コルチコイドが成長抑制効果を有するため。 |
|
血清コルチゾール濃度が低下することがあるので、糖質コルチコイドの用量に注意すること。 |
成長ホルモンが11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD-1)を抑制することにより、コルチゾンからコルチゾールへの変換を減少させるため。 |
|
|
本剤投与により、血糖値が上昇することがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、これらの薬剤の投与量の調整を行うこと。 |
成長ホルモンがインスリン感受性を低下させるため。 |
これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがある。 |
本剤がCYP3Aを誘導するため。 |
|
|
成長ホルモンの作用が抑制されることがある。成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の患者では本剤の増量を検討すること。 |
エストロゲンがIGF-I産生を抑制するため。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 O脚の悪化(頻度不明)
O脚を合併した軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)患者に本剤を投与したところ、O脚が悪化し、手術を受けた症例が報告されている。
- 11.1.2 けいれん(頻度不明)
- 11.1.3 甲状腺機能亢進症(頻度不明)
-
11.1.4 ネフローゼ症候群(頻度不明)
ネフローゼ症候群(浮腫、尿蛋白、低蛋白血症)があらわれることがある。
-
11.1.5 *糖尿病(頻度不明)
耐糖能低下があらわれ、糖尿病を発症することがある。[8.2 参照],[9.1.1 参照]
11.2 その他の副作用
0.1%以上 |
0.1%未満 |
|
|---|---|---|
過敏症 |
発疹(蕁麻疹、紅斑等)、注射部位の発赤等の過敏症状 |
全身そう痒 |
*内分泌 |
甲状腺機能低下症 注4) 、耐糖能低下 |
|
肝臓 |
AST上昇、ALT上昇 |
|
消化器 |
嘔気、腹痛 |
|
筋・骨格系 |
関節痛、下肢痛、成長痛、大腿骨骨頭辷り症、筋痛 |
有痛性外脛骨、外骨腫、大腿骨骨頭壊死、側弯症等の脊柱変形の進行、周期性四肢麻痺 |
投与部位 |
注射部位の熱感、疼痛、硬結 |
皮下脂肪の消失 |
神経系 |
手根管症候群、錯感覚 |
|
循環器 |
高血圧 |
|
呼吸器系 |
呼吸困難 |
|
その他 |
浮腫、頭痛、尿潜血・顕微鏡的血尿、LDH上昇、CK上昇 |
白血球数上昇、遊離脂肪酸上昇、ミオグロビン上昇、血清P上昇、蛋白尿、頭蓋内圧亢進に伴う乳頭浮腫・視覚異常・頭痛・悪心・嘔吐 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 ヒト成長ホルモンと白血病の因果関係は明らかではないが、ヒト成長ホルモンの投与を受けた患者に白血病があらわれたとの報告があるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。白血病、悪性腫瘍を発生しやすい先天異常、免疫不全症候群等の基礎疾患のある患者、脳腫瘍等による放射線治療歴のある患者、抗がん剤や免疫抑制薬の投与歴のある患者、治療開始時の血液像に異常がある患者に投与する場合には、特に患者の状態を観察すること。
- 15.1.2 ヒト成長ホルモンの投与を受けた患者に脳腫瘍が再発したとの報告がある。
- 15.1.3 小児がんの既往を有する患者にヒト成長ホルモンを投与した場合、二次性腫瘍の発現リスクが上昇するとの報告がある。
- 15.1.4 連続投与した場合、ヒト成長ホルモンに対する抗体が生じることがある。抗体の産生により効果の減弱がみられる場合には、投与を中止し、適宜他の治療法を考慮すること。
- 15.1.5 外国で添付の溶解液(m-クレゾール/濃グリセリン含有)に対する過敏症があらわれたとの報告がある。[3.1 参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
類薬で、動物実験で妊娠前、妊娠初期投与試験において、高投与量群で交尾率及び妊娠率の低下が報告されている。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 悪性腫瘍のある患者[成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため。][9.1.2 参照],[9.1.3 参照]
- 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
3. 組成・性状
3.1 組成
ヒューマトロープ注射用6mg
| 有効成分 | 1筒中 ソマトロピン(遺伝子組換え) 注1) 6.56mg 専用注入器装着時、6mgまで使用できる。 |
|---|---|
| 添加剤 | グリシン 6.56mg |
| D-マンニトール 19.67mg | |
| リン酸水素二ナトリウム七水和物 1.49mg | |
| pH調節剤 適量 | |
| 添付溶解液 (注射筒入り) |
日局注射用水をもって全量3.1mLとする。 |
| 添加剤 (添付溶解液) |
m-クレゾール 9.9mg |
| 濃グリセリン 53.2mg [15.1.5 参照] | |
| pH調節剤 適量 |
ヒューマトロープ注射用12mg
| 有効成分 | 1筒中 ソマトロピン(遺伝子組換え) 注2) 13.13mg 専用注入器装着時、12mgまで使用できる。 |
|---|---|
| 添加剤 | グリシン 13.1mg |
| D-マンニトール 39.4mg | |
| リン酸水素二ナトリウム七水和物 3.0mg | |
| pH調節剤 適量 | |
| 添付溶解液 (注射筒入り) |
日局注射用水をもって全量3.1mLとする。 |
| 添加剤 (添付溶解液) |
m-クレゾール 9.8mg |
| 濃グリセリン 9.0mg [15.1.5 参照] | |
| pH調節剤 適量 |
5. 効能又は効果に関連する注意
- 〈骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症〉
- 〈骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長〉
- 〈骨端線閉鎖を伴わない軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)における低身長〉
-
〈成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)〉
- 5.6 本剤の適用は、成人成長ホルモン分泌不全症と診断された患者のうち、以下のいずれかの患者に限定すること。なお、重症の基準は、最新の「厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班 成人成長ホルモン分泌不全症の診断と治療の手引き」の病型分類を参照すること。
6. 用法及び用量
-
〈骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症〉
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.175mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
-
〈骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長〉
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.35mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
-
〈骨端線閉鎖を伴わない軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)における低身長〉
通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.35mgを6~7回に分けて皮下に注射する。
-
〈成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)〉
通常開始用量として、1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.021mgを6~7回に分けて皮下に注射する。患者の臨床症状に応じて1週間に体重kg当たり0.084mgを上限として漸増し、1週間に6~7回に分けて皮下に注射する。なお、投与量は臨床症状及び血清インスリン様成長因子-I(IGF-I)濃度等の検査所見に応じて適宜増減する。ただし、1日量として1mgを超えないこと。
8. 重要な基本的注意
-
〈効能共通〉
- 8.1 *甲状腺機能低下症があらわれあるいは悪化し、本剤による治療効果が低下することがあるので、甲状腺機能を定期的に検査し、このような場合には適切な治療を行うことが望ましい。[11.2 参照]
- 8.2 *成長ホルモンは、インスリン感受性を低下させるため、本剤の投与により血糖値、HbA1cの上昇があらわれることがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、異常が認められた場合は、投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。特にターナー症候群においては、耐糖能の低下を合併することがあり、経過を注意深く観察すること。[9.1.1 参照],[11.1.5 参照]
-
〈成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)〉
- 8.4 本剤と本剤以外のホルモン剤を併用する場合には、併用するホルモン剤が血清IGF-I濃度に影響を及ぼすことがあるため、慎重に血清IGF-I濃度をモニタリングすること。[10.2 参照]
- 8.5 本剤の投与により浮腫、関節痛等があらわれることがあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与量の減量あるいは投与中止を考慮すること。[17.1.6 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 *糖尿病患者、耐糖能異常のある患者又は糖尿病の危険因子を持つ患者
糖尿病患者では、投与開始前に血糖(血糖値、HbA1c等)及び糖尿病合併症(糖尿病網膜症等)の病勢をコントロールしておくこと。投与開始後は定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、また、糖尿病合併症(糖尿病網膜症等)を含め、患者の状態を注意深く観察すること。必要に応じて、糖尿病用薬の投与量の調整を行うこと。投与開始後に糖尿病の症状の顕在化又は悪化が認められた場合は、本剤の投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。
耐糖能異常のある患者又は糖尿病の危険因子を持つ患者(肥満、家族歴に糖尿病を持つ患者等)では、慎重に観察すること。糖尿病が顕在化することがある。[8.2 参照],[10.2 参照],[11.1.5 参照]
-
9.1.2 脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、松果体腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症又は成人成長ホルモン分泌不全症の患者
脳腫瘍の進行や再発の観察を十分に行い慎重に投与すること。成長ホルモンは細胞増殖作用を有する。[2.1 参照]
-
9.1.3 脳腫瘍の既往のある患者
定期的に画像診断を実施し、脳腫瘍の発現及び進行や再発の観察を十分に行うこと。成人成長ホルモン分泌不全症患者では脳腫瘍の既往のある患者が多く含まれており、国内臨床試験において脳腫瘍の再発が報告されている。[2.1 参照]
-
9.1.4 心疾患のある患者
ときに一過性の浮腫があらわれることがある。
-
9.1.5 脊柱管狭窄・大孔狭窄のある軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)の患者
低身長改善の有益性が脊柱管狭窄・大孔狭窄悪化の危険性を上回ると判断される場合のみ投与を考慮すること。MRI等による定期的観察を十分行い、脊柱管狭窄・大孔狭窄の悪化がみられた場合には投与を中止すること。症状の悪化を助長する可能性がある。
9.2 腎機能障害患者
ときに一過性の浮腫があらわれることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[2.2 参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中への移行については不明である。
9.8 高齢者
投与量の減量あるいは投与中止も考慮に入れて、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。また、外国において、成人成長ホルモン分泌不全症患者における成長ホルモン維持用量は加齢に伴い減少することが報告されている。
10. 相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
成長ホルモンの成長促進作用が抑制されることがある。 |
糖質コルチコイドが成長抑制効果を有するため。 |
|
血清コルチゾール濃度が低下することがあるので、糖質コルチコイドの用量に注意すること。 |
成長ホルモンが11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD-1)を抑制することにより、コルチゾンからコルチゾールへの変換を減少させるため。 |
|
|
本剤投与により、血糖値が上昇することがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、これらの薬剤の投与量の調整を行うこと。 |
成長ホルモンがインスリン感受性を低下させるため。 |
これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがある。 |
本剤がCYP3Aを誘導するため。 |
|
|
成長ホルモンの作用が抑制されることがある。成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の患者では本剤の増量を検討すること。 |
エストロゲンがIGF-I産生を抑制するため。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 O脚の悪化(頻度不明)
O脚を合併した軟骨異栄養症(軟骨無形成症・軟骨低形成症)患者に本剤を投与したところ、O脚が悪化し、手術を受けた症例が報告されている。
- 11.1.2 けいれん(頻度不明)
- 11.1.3 甲状腺機能亢進症(頻度不明)
-
11.1.4 ネフローゼ症候群(頻度不明)
ネフローゼ症候群(浮腫、尿蛋白、低蛋白血症)があらわれることがある。
-
11.1.5 *糖尿病(頻度不明)
耐糖能低下があらわれ、糖尿病を発症することがある。[8.2 参照],[9.1.1 参照]
11.2 その他の副作用
0.1%以上 |
0.1%未満 |
|
|---|---|---|
過敏症 |
発疹(蕁麻疹、紅斑等)、注射部位の発赤等の過敏症状 |
全身そう痒 |
*内分泌 |
甲状腺機能低下症 注4) 、耐糖能低下 |
|
肝臓 |
AST上昇、ALT上昇 |
|
消化器 |
嘔気、腹痛 |
|
筋・骨格系 |
関節痛、下肢痛、成長痛、大腿骨骨頭辷り症、筋痛 |
有痛性外脛骨、外骨腫、大腿骨骨頭壊死、側弯症等の脊柱変形の進行、周期性四肢麻痺 |
投与部位 |
注射部位の熱感、疼痛、硬結 |
皮下脂肪の消失 |
神経系 |
手根管症候群、錯感覚 |
|
循環器 |
高血圧 |
|
呼吸器系 |
呼吸困難 |
|
その他 |
浮腫、頭痛、尿潜血・顕微鏡的血尿、LDH上昇、CK上昇 |
白血球数上昇、遊離脂肪酸上昇、ミオグロビン上昇、血清P上昇、蛋白尿、頭蓋内圧亢進に伴う乳頭浮腫・視覚異常・頭痛・悪心・嘔吐 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 ヒト成長ホルモンと白血病の因果関係は明らかではないが、ヒト成長ホルモンの投与を受けた患者に白血病があらわれたとの報告があるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。白血病、悪性腫瘍を発生しやすい先天異常、免疫不全症候群等の基礎疾患のある患者、脳腫瘍等による放射線治療歴のある患者、抗がん剤や免疫抑制薬の投与歴のある患者、治療開始時の血液像に異常がある患者に投与する場合には、特に患者の状態を観察すること。
- 15.1.2 ヒト成長ホルモンの投与を受けた患者に脳腫瘍が再発したとの報告がある。
- 15.1.3 小児がんの既往を有する患者にヒト成長ホルモンを投与した場合、二次性腫瘍の発現リスクが上昇するとの報告がある。
- 15.1.4 連続投与した場合、ヒト成長ホルモンに対する抗体が生じることがある。抗体の産生により効果の減弱がみられる場合には、投与を中止し、適宜他の治療法を考慮すること。
- 15.1.5 外国で添付の溶解液(m-クレゾール/濃グリセリン含有)に対する過敏症があらわれたとの報告がある。[3.1 参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
類薬で、動物実験で妊娠前、妊娠初期投与試験において、高投与量群で交尾率及び妊娠率の低下が報告されている。