薬効分類名プロスタグランジンI₂誘導体製剤
一般的名称トレプロスチニル
トレプロスト注射液20mg、トレプロスト注射液50mg、トレプロスト注射液100mg、トレプロスト注射液200mg
とれぷろすとちゅうしゃえき20mg、とれぷろすとちゅうしゃえき50mg、とれぷろすとちゅうしゃえき100mg、とれぷろすとちゅうしゃえき200mg
TREPROST Injection 20mg, TREPROST Injection 50mg, TREPROST Injection 100mg, TREPROST Injection 200mg
製造販売元/持田製薬株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
- 降圧作用を有する薬剤
過度の血圧低下が起こることがある。併用薬もしくは本剤を増量する場合は血圧を十分観察すること。
相互に降圧作用を増強することが考えられる。
- 抗凝固剤
- 血栓溶解剤
- 血小板凝集抑制作用を有する薬剤
- [16.7.1 参照]
出血の危険性を増大させるおそれがある。定期的にプロトロンビン時間等の血液検査を行い、必要に応じてこれらの併用薬を減量又は投与を中止すること。
相互に抗凝固作用を増強することが考えられる。
- CYP2C8誘導剤
- [16.7.2 参照]
本剤のAUC及びCmaxが低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。肺高血圧症状の観察を十分に行うこと。
本剤の代謝酵素であるCYP2C8を誘導することにより、本剤の代謝が促進されると考えられる。
- CYP2C8阻害剤
- [16.7.2 参照]
本剤のAUC及びCmaxが上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。
本剤の代謝酵素であるCYP2C8を阻害することにより、本剤の代謝が抑制されると考えられる。
1. 警告
外国で本剤の急激な中止により死亡に至った症例が報告されているので、本剤を休薬又は投与中止する場合は、徐々に減量すること。[7.2 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 右心不全の急性増悪時の患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがあるので、カテコールアミンの投与等の処置を行い、状態が安定するまでは投与しないこと。]
- 2.3 重篤な左心機能障害を有する患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがある。]
- 2.4 重篤な低血圧患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがある。][9.1.4 参照]
6. 用法及び用量
通常、成人にはトレプロスチニルとして1.25ng/kg/分の投与速度で持続静脈内投与又は持続皮下投与を開始する。この初期投与速度が本剤の全身性の副作用により耐えられない場合は、投与速度を0.625ng/kg/分に減量する。
患者の状態を十分に観察しながら、原則、最初の4週間は、1週間あたり最大1.25ng/kg/分で増量し、その後は臨床症状に応じて1週間あたり最大2.5ng/kg/分で増量し、最適投与速度を決定する。1週間あたり1.25又は2.5ng/kg/分を超えて増量する場合、患者の忍容性を十分確認しながら慎重に投与する。最適投与速度の決定にあたっては、本剤の副作用と肺高血圧症状の改善を指標とする。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 投与開始時及び投与速度調節の際は患者の症状をよく観察し、心拍数、血圧等血行動態の変化による副作用の発現に留意し、異常が認められた場合には本剤の減量など適切な処置を行うこと。
- 7.2 肺高血圧症状が急激に増悪するおそれがあるので、突然の投与中止又は急激な減量を避けること。[1 参照]
- 7.3 本剤の減量中又は投与中止後に症状の悪化又は再発が認められることがあるので、患者の状態に注意し、このような場合には、適宜増量又は再投与する等の適切な処置を行うこと。
- 7.4 本剤の消失半減期は0.8~4.6時間であるため、長時間投与を中止した後再開する場合には投与速度を再設定すること。
- 7.5 本剤の投与経路を変更する場合は、原則、同一用量で変更し、変更後は患者の症状をよく観察すること。
- 7.6 肝障害のある患者において、0.625ng/kg/分から投与を開始し、慎重に増量すること。[9.3 参照],[16.6.2 参照]
- 7.7 国内外において290ng/kg/分を超えた投与速度の経験は少ないため、290ng/kg/分を超えて投与する場合は患者の状態に十分注意すること。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の投与は、病状の変化への適切な対応が重要であるため、緊急時に十分な対応が可能な医療施設において肺高血圧症及び心不全の治療に十分な知識と経験をもつ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例にのみ行うこと。
- 8.2 自己投与に移行する前に、自己投与方法(薬液調製方法、無菌的操作方法、精密持続点滴装置の操作方法等)について予め患者に十分教育を行い、患者自らが適切に使用可能と医師が判断した患者に対してのみ投与を開始すること。
- 8.3 持続皮下投与にあたっては、以下の点に注意すること。[11.1.6 参照]
- 8.4 持続静脈内投与にあたっては、敗血症などの重篤な感染症があらわれることがあるので、以下の点に注意すること。[11.1.5 参照]
- 8.5 本剤は血管拡張作用を有するため、本剤の投与に際しては、血管拡張作用により患者が有害な影響を受ける状態(降圧剤投与中、安静時低血圧、血液量減少、重度の左室流出路閉塞、自律神経機能障害等)にあるのかを十分検討すること。
- 8.6 血小板減少、好中球減少があらわれることがあるので、定期的に臨床検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.3 参照]
- 8.7 甲状腺機能亢進症があらわれることがあるので、必要に応じて甲状腺機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[11.1.4 参照]
- 8.8 臨床試験において、めまい等が認められているので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 肺静脈閉塞性疾患を有する患者
投与しないことが望ましい。本剤の血管拡張作用により、心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。
-
9.1.2 高度に肺血管抵抗が上昇している患者
肺血管抵抗が高度に上昇した病態を示す肺高血圧症の末期と考えられる患者では、心機能も著しく低下している。
-
9.1.3 出血傾向のある患者
本剤の血小板凝集抑制作用により、出血を助長するおそれがある。
-
9.1.4 低血圧の患者
本剤の血管拡張作用により、血圧をさらに低下させるおそれがある。[2.4 参照]
9.3 肝機能障害患者
本剤の血中濃度が上昇する。また、重度の肝障害(Child-Pugh分類C)のある患者を対象として有効性及び安全性を評価した臨床試験は実施していない。[7.6 参照],[16.6.2 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ)において骨格変異(腰肋骨)を有する胎児の出現率の増加がヒトでの推定最高全身曝露量(推定最高臨床用量525ng/kg/分投与時)の0.1倍で認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。類薬の動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下していることが多い。
10. 相互作用
- 本剤は主にCYP2C8により代謝される。[16.4 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
過度の血圧低下が起こることがある。併用薬もしくは本剤を増量する場合は血圧を十分観察すること。 |
相互に降圧作用を増強することが考えられる。 |
|
|
出血の危険性を増大させるおそれがある。定期的にプロトロンビン時間等の血液検査を行い、必要に応じてこれらの併用薬を減量又は投与を中止すること。 |
相互に抗凝固作用を増強することが考えられる。 |
|
本剤のAUC及びCmaxが低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。肺高血圧症状の観察を十分に行うこと。 |
本剤の代謝酵素であるCYP2C8を誘導することにより、本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
|
本剤のAUC及びCmaxが上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。 |
本剤の代謝酵素であるCYP2C8を阻害することにより、本剤の代謝が抑制されると考えられる。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 血圧低下(頻度不明)、失神(頻度不明)
過度の血圧低下、失神があらわれることがある。
-
11.1.2 出血(頻度不明)
消化管出血、鼻出血、皮下注射部位又はカテーテル留置部位の出血等があらわれることがある。
- 11.1.3 血小板減少(10.5%)、好中球減少(2.6%)
- 11.1.4 甲状腺機能亢進症(頻度不明)
-
11.1.5 血流感染(21.7%)
持続静脈内投与時に中心静脈カテーテル留置に伴う合併症として重篤な血流感染があらわれることがある。[8.4 参照]
-
11.1.6 注射部位の局所反応(100%
注5)
)
持続皮下投与時に注射部位の局所反応(疼痛、紅斑、腫脹、熱感等)が高頻度にあらわれることがある。特に持続皮下投与の継続が困難な疼痛があらわれることがあるため、これらの症状があらわれた場合には、適切な処置(NSAIDs内服、クーリング/ヒーティング等)を行うこと。持続皮下投与の継続が困難な場合、本剤の投与中止又は持続静脈内投与への変更を検討すること。[8.3 参照]
11.2 その他の副作用
10%以上 |
10%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
出血傾向 |
不正子宮出血、結膜出血、鼻出血、紫斑 |
喀血、肺出血 |
|
循環器 |
潮紅、ほてり |
動悸、低血圧 |
|
消化器 |
下痢、悪心 |
嘔吐、上腹部痛 |
軟便、腹痛 |
筋骨格 |
四肢痛、顎痛 |
*筋骨格痛、筋肉痛 |
|
精神神経系 |
頭痛、不眠症 |
浮動性めまい、異常感 |
頭部不快感 |
皮膚 |
発疹、そう痒症 |
||
投与部位 |
注射部位疼痛、注射部位紅斑、注射部位腫脹、注射部位熱感、注射部位硬結、注射部位そう痒感 |
注射部位出血、注射部位変色、注射部位血管炎 |
蜂巣炎 注6) |
その他 |
浮腫、倦怠感 |
血管障害(血管痛)、発熱 |
13. 過量投与
-
13.1 症状
本剤の過量投与後には過度の薬理学的作用により、潮紅、頭痛、低血圧、悪心、嘔吐、下痢等が発現する。過量投与は、精密持続点滴装置の誤操作あるいは投与流量を変更せずに本剤注射液の濃度を変更した場合等に偶発的に生じる可能性がある。
海外において小児患者1例で、中心静脈カテーテルから偶発的に本剤7.5mgが投与された。症状として潮紅、頭痛、悪心、嘔吐、低血圧、並びに数分間持続した意識消失を伴う発作のような行動があった。患者は本剤の休薬及び酸素吸入により回復した。 -
13.2 処置
症状が消失するまで、直ちに本剤を減量又は投与を中止すること。減量又は投与中止の際は、肺高血圧症状の悪化又は再発を避けるため可能な限り徐々に投与速度を落とすこと。投与再開にあたっては、医師の監視の下で慎重に行い、症状の再発に注意すること。なお、トレプロスチニルは透析では除去されない。[16.6.1 参照]
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
14.2 薬剤投与時の注意
- 14.2.1 本剤は持続静脈内投与又は持続皮下投与にのみ使用すること。
- 14.2.2 精密持続点滴装置は以下の条件を満たすものを使用すること。
- 14.2.3 精密持続点滴装置の誤操作により、本剤の投与量が過多もしくは不足となる可能性があるので、本剤の投与前に精密持続点滴装置の操作を十分習得し、流量の設定には十分注意すること。また、精密持続点滴装置の故障や誤作動等により、本剤の投与量が過多もしくは不足となる可能性があるので、精密持続点滴装置は常に予備を用意しておくこと。(投与量の過多又は不足により、本剤の血管拡張作用に関連する副作用が発現したり、肺高血圧症状の悪化又は再発を来すおそれがある。)
-
14.2.4 持続静脈内投与方法
本剤は日局注射用水又は日局生理食塩液で希釈し、外科的に留置された中心静脈カテーテルを介し、フィルターを接続した精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)を用いて持続静脈内投与する。まず投与流量を決定し、決定した投与流量(mL/hr)、投与速度(ng/kg/分)及び患者の体重(kg)から、本剤の希釈濃度(mg/mL)を算出する。投与流量の決定にあたっては、精密持続点滴装置の薬液容器の交換まで最大48時間であるため、投与期間が48時間以内になるよう選択する。本剤の希釈濃度は0.004mg/mL以上とすること。以下に計算方法及び参考計算例を示す。
- 持続静脈内投与の計算方法
ステップ1:本剤希釈濃度の計算
ステップ2:本剤注射液量の計算
算出された本剤の希釈濃度の薬液を、使用する薬液容器サイズに合わせて調製するために必要な本剤注射液の量は、以下の式より算出する。
算出された量の本剤注射液を、希釈液(日局注射用水又は日局生理食塩液)とともに薬液容器に加え、必要量に調製する。
- 参考計算例1
ステップ1
体重60kgの患者に対し、投与速度5ng/kg/分、投与流量1mL/hrで、薬液容器50mLを使用して投与する場合、本剤の希釈濃度は以下のように計算される。
ステップ2
本剤の希釈濃度0.018mg/mLで、薬液を50mLに調製するために必要な本剤の注射液量は、20mgバイアル(本剤注射液濃度1mg/mL)を使用した場合、以下のように計算される。
- 参考計算例2
ステップ1
体重75kgの患者に対し、投与速度30ng/kg/分、投与流量2mL/hrで、薬液容器100mLを使用して投与する場合、本剤の希釈濃度は以下のように計算される。
ステップ2
本剤の希釈濃度0.0675mg/mLで、薬液を100mLに調製するために必要な本剤の注射液量は、50mgバイアル(本剤注射液濃度2.5mg/mL)を使用した場合、以下のように計算される。
- 持続静脈内投与の計算方法
-
14.2.5 持続皮下投与方法
本剤は、精密持続点滴装置(注射筒輸液ポンプ)を使用し、自己挿入型皮下カテーテルを経由して持続皮下投与する。本剤は希釈せずに、投与速度(ng/kg/分)、体重(kg)、本剤注射液の濃度(mg/mL)に基づき計算された投与流量(µL/hr)で投与する。以下に計算方法及び参考計算例を示す。
- 14.2.6 カテーテルの閉塞により、本剤の投与量が不足し、肺高血圧症状の悪化又は再発を来すおそれがあるので、カテーテルの閉塞が疑われた場合(精密持続点滴装置のアラームが作動、薬液容器内の残量が通常より多い等)には、至急適切な処置を行うこと。
1. 警告
外国で本剤の急激な中止により死亡に至った症例が報告されているので、本剤を休薬又は投与中止する場合は、徐々に減量すること。[7.2 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 右心不全の急性増悪時の患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがあるので、カテコールアミンの投与等の処置を行い、状態が安定するまでは投与しないこと。]
- 2.3 重篤な左心機能障害を有する患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがある。]
- 2.4 重篤な低血圧患者[本剤の血管拡張作用により症状を悪化させるおそれがある。][9.1.4 参照]
6. 用法及び用量
通常、成人にはトレプロスチニルとして1.25ng/kg/分の投与速度で持続静脈内投与又は持続皮下投与を開始する。この初期投与速度が本剤の全身性の副作用により耐えられない場合は、投与速度を0.625ng/kg/分に減量する。
患者の状態を十分に観察しながら、原則、最初の4週間は、1週間あたり最大1.25ng/kg/分で増量し、その後は臨床症状に応じて1週間あたり最大2.5ng/kg/分で増量し、最適投与速度を決定する。1週間あたり1.25又は2.5ng/kg/分を超えて増量する場合、患者の忍容性を十分確認しながら慎重に投与する。最適投与速度の決定にあたっては、本剤の副作用と肺高血圧症状の改善を指標とする。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 投与開始時及び投与速度調節の際は患者の症状をよく観察し、心拍数、血圧等血行動態の変化による副作用の発現に留意し、異常が認められた場合には本剤の減量など適切な処置を行うこと。
- 7.2 肺高血圧症状が急激に増悪するおそれがあるので、突然の投与中止又は急激な減量を避けること。[1 参照]
- 7.3 本剤の減量中又は投与中止後に症状の悪化又は再発が認められることがあるので、患者の状態に注意し、このような場合には、適宜増量又は再投与する等の適切な処置を行うこと。
- 7.4 本剤の消失半減期は0.8~4.6時間であるため、長時間投与を中止した後再開する場合には投与速度を再設定すること。
- 7.5 本剤の投与経路を変更する場合は、原則、同一用量で変更し、変更後は患者の症状をよく観察すること。
- 7.6 肝障害のある患者において、0.625ng/kg/分から投与を開始し、慎重に増量すること。[9.3 参照],[16.6.2 参照]
- 7.7 国内外において290ng/kg/分を超えた投与速度の経験は少ないため、290ng/kg/分を超えて投与する場合は患者の状態に十分注意すること。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤の投与は、病状の変化への適切な対応が重要であるため、緊急時に十分な対応が可能な医療施設において肺高血圧症及び心不全の治療に十分な知識と経験をもつ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例にのみ行うこと。
- 8.2 自己投与に移行する前に、自己投与方法(薬液調製方法、無菌的操作方法、精密持続点滴装置の操作方法等)について予め患者に十分教育を行い、患者自らが適切に使用可能と医師が判断した患者に対してのみ投与を開始すること。
- 8.3 持続皮下投与にあたっては、以下の点に注意すること。[11.1.6 参照]
- 8.4 持続静脈内投与にあたっては、敗血症などの重篤な感染症があらわれることがあるので、以下の点に注意すること。[11.1.5 参照]
- 8.5 本剤は血管拡張作用を有するため、本剤の投与に際しては、血管拡張作用により患者が有害な影響を受ける状態(降圧剤投与中、安静時低血圧、血液量減少、重度の左室流出路閉塞、自律神経機能障害等)にあるのかを十分検討すること。
- 8.6 血小板減少、好中球減少があらわれることがあるので、定期的に臨床検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.3 参照]
- 8.7 甲状腺機能亢進症があらわれることがあるので、必要に応じて甲状腺機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[11.1.4 参照]
- 8.8 臨床試験において、めまい等が認められているので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 肺静脈閉塞性疾患を有する患者
投与しないことが望ましい。本剤の血管拡張作用により、心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。
-
9.1.2 高度に肺血管抵抗が上昇している患者
肺血管抵抗が高度に上昇した病態を示す肺高血圧症の末期と考えられる患者では、心機能も著しく低下している。
-
9.1.3 出血傾向のある患者
本剤の血小板凝集抑制作用により、出血を助長するおそれがある。
-
9.1.4 低血圧の患者
本剤の血管拡張作用により、血圧をさらに低下させるおそれがある。[2.4 参照]
9.3 肝機能障害患者
本剤の血中濃度が上昇する。また、重度の肝障害(Child-Pugh分類C)のある患者を対象として有効性及び安全性を評価した臨床試験は実施していない。[7.6 参照],[16.6.2 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ)において骨格変異(腰肋骨)を有する胎児の出現率の増加がヒトでの推定最高全身曝露量(推定最高臨床用量525ng/kg/分投与時)の0.1倍で認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。類薬の動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下していることが多い。
10. 相互作用
- 本剤は主にCYP2C8により代謝される。[16.4 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
過度の血圧低下が起こることがある。併用薬もしくは本剤を増量する場合は血圧を十分観察すること。 |
相互に降圧作用を増強することが考えられる。 |
|
|
出血の危険性を増大させるおそれがある。定期的にプロトロンビン時間等の血液検査を行い、必要に応じてこれらの併用薬を減量又は投与を中止すること。 |
相互に抗凝固作用を増強することが考えられる。 |
|
本剤のAUC及びCmaxが低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。肺高血圧症状の観察を十分に行うこと。 |
本剤の代謝酵素であるCYP2C8を誘導することにより、本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
|
本剤のAUC及びCmaxが上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。 |
本剤の代謝酵素であるCYP2C8を阻害することにより、本剤の代謝が抑制されると考えられる。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 血圧低下(頻度不明)、失神(頻度不明)
過度の血圧低下、失神があらわれることがある。
-
11.1.2 出血(頻度不明)
消化管出血、鼻出血、皮下注射部位又はカテーテル留置部位の出血等があらわれることがある。
- 11.1.3 血小板減少(10.5%)、好中球減少(2.6%)
- 11.1.4 甲状腺機能亢進症(頻度不明)
-
11.1.5 血流感染(21.7%)
持続静脈内投与時に中心静脈カテーテル留置に伴う合併症として重篤な血流感染があらわれることがある。[8.4 参照]
-
11.1.6 注射部位の局所反応(100%
注5)
)
持続皮下投与時に注射部位の局所反応(疼痛、紅斑、腫脹、熱感等)が高頻度にあらわれることがある。特に持続皮下投与の継続が困難な疼痛があらわれることがあるため、これらの症状があらわれた場合には、適切な処置(NSAIDs内服、クーリング/ヒーティング等)を行うこと。持続皮下投与の継続が困難な場合、本剤の投与中止又は持続静脈内投与への変更を検討すること。[8.3 参照]
11.2 その他の副作用
10%以上 |
10%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|
出血傾向 |
不正子宮出血、結膜出血、鼻出血、紫斑 |
喀血、肺出血 |
|
循環器 |
潮紅、ほてり |
動悸、低血圧 |
|
消化器 |
下痢、悪心 |
嘔吐、上腹部痛 |
軟便、腹痛 |
筋骨格 |
四肢痛、顎痛 |
*筋骨格痛、筋肉痛 |
|
精神神経系 |
頭痛、不眠症 |
浮動性めまい、異常感 |
頭部不快感 |
皮膚 |
発疹、そう痒症 |
||
投与部位 |
注射部位疼痛、注射部位紅斑、注射部位腫脹、注射部位熱感、注射部位硬結、注射部位そう痒感 |
注射部位出血、注射部位変色、注射部位血管炎 |
蜂巣炎 注6) |
その他 |
浮腫、倦怠感 |
血管障害(血管痛)、発熱 |
13. 過量投与
-
13.1 症状
本剤の過量投与後には過度の薬理学的作用により、潮紅、頭痛、低血圧、悪心、嘔吐、下痢等が発現する。過量投与は、精密持続点滴装置の誤操作あるいは投与流量を変更せずに本剤注射液の濃度を変更した場合等に偶発的に生じる可能性がある。
海外において小児患者1例で、中心静脈カテーテルから偶発的に本剤7.5mgが投与された。症状として潮紅、頭痛、悪心、嘔吐、低血圧、並びに数分間持続した意識消失を伴う発作のような行動があった。患者は本剤の休薬及び酸素吸入により回復した。 -
13.2 処置
症状が消失するまで、直ちに本剤を減量又は投与を中止すること。減量又は投与中止の際は、肺高血圧症状の悪化又は再発を避けるため可能な限り徐々に投与速度を落とすこと。投与再開にあたっては、医師の監視の下で慎重に行い、症状の再発に注意すること。なお、トレプロスチニルは透析では除去されない。[16.6.1 参照]
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
14.2 薬剤投与時の注意
- 14.2.1 本剤は持続静脈内投与又は持続皮下投与にのみ使用すること。
- 14.2.2 精密持続点滴装置は以下の条件を満たすものを使用すること。
- 14.2.3 精密持続点滴装置の誤操作により、本剤の投与量が過多もしくは不足となる可能性があるので、本剤の投与前に精密持続点滴装置の操作を十分習得し、流量の設定には十分注意すること。また、精密持続点滴装置の故障や誤作動等により、本剤の投与量が過多もしくは不足となる可能性があるので、精密持続点滴装置は常に予備を用意しておくこと。(投与量の過多又は不足により、本剤の血管拡張作用に関連する副作用が発現したり、肺高血圧症状の悪化又は再発を来すおそれがある。)
-
14.2.4 持続静脈内投与方法
本剤は日局注射用水又は日局生理食塩液で希釈し、外科的に留置された中心静脈カテーテルを介し、フィルターを接続した精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)を用いて持続静脈内投与する。まず投与流量を決定し、決定した投与流量(mL/hr)、投与速度(ng/kg/分)及び患者の体重(kg)から、本剤の希釈濃度(mg/mL)を算出する。投与流量の決定にあたっては、精密持続点滴装置の薬液容器の交換まで最大48時間であるため、投与期間が48時間以内になるよう選択する。本剤の希釈濃度は0.004mg/mL以上とすること。以下に計算方法及び参考計算例を示す。
- 持続静脈内投与の計算方法
ステップ1:本剤希釈濃度の計算
ステップ2:本剤注射液量の計算
算出された本剤の希釈濃度の薬液を、使用する薬液容器サイズに合わせて調製するために必要な本剤注射液の量は、以下の式より算出する。
算出された量の本剤注射液を、希釈液(日局注射用水又は日局生理食塩液)とともに薬液容器に加え、必要量に調製する。
- 参考計算例1
ステップ1
体重60kgの患者に対し、投与速度5ng/kg/分、投与流量1mL/hrで、薬液容器50mLを使用して投与する場合、本剤の希釈濃度は以下のように計算される。
ステップ2
本剤の希釈濃度0.018mg/mLで、薬液を50mLに調製するために必要な本剤の注射液量は、20mgバイアル(本剤注射液濃度1mg/mL)を使用した場合、以下のように計算される。
- 参考計算例2
ステップ1
体重75kgの患者に対し、投与速度30ng/kg/分、投与流量2mL/hrで、薬液容器100mLを使用して投与する場合、本剤の希釈濃度は以下のように計算される。
ステップ2
本剤の希釈濃度0.0675mg/mLで、薬液を100mLに調製するために必要な本剤の注射液量は、50mgバイアル(本剤注射液濃度2.5mg/mL)を使用した場合、以下のように計算される。
- 持続静脈内投与の計算方法
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14.2.5 持続皮下投与方法
本剤は、精密持続点滴装置(注射筒輸液ポンプ)を使用し、自己挿入型皮下カテーテルを経由して持続皮下投与する。本剤は希釈せずに、投与速度(ng/kg/分)、体重(kg)、本剤注射液の濃度(mg/mL)に基づき計算された投与流量(µL/hr)で投与する。以下に計算方法及び参考計算例を示す。
- 14.2.6 カテーテルの閉塞により、本剤の投与量が不足し、肺高血圧症状の悪化又は再発を来すおそれがあるので、カテーテルの閉塞が疑われた場合(精密持続点滴装置のアラームが作動、薬液容器内の残量が通常より多い等)には、至急適切な処置を行うこと。


