薬効分類名持効性抗精神病剤
一般的名称ハロペリドールデカン酸エステル
ハロマンス注50mg、ハロマンス注100mg
はろまんすちゅう50mg、はろまんすちゅう100mg
HALOMONTH, HALOMONTH
製造販売元/クリニジェン株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
中枢神経抑制剤
- バルビツール酸誘導体等
中枢神経抑制作用が増強することがあるので、減量するなど注意すること。
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
アルコール
相互に作用を増強することがある。
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
リチウム
類似化合物(ハロペリドール)で、リチウムとの併用により、心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性の悪性症候群、非可逆性の脳障害を起こすことが報告されているので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。
抗コリン作用を有する薬剤
- 抗コリン作動性抗パーキンソン剤
フェノチアジン系化合物
三環系抗うつ剤等
腸管麻痺等の抗コリン系の副作用が強くあらわれることがある。また、類似化合物(ハロペリドール)で精神症状が悪化したとの報告がある。
併用により抗コリン作用が強くあらわれる。
抗ドパミン作用を有する薬剤
- ベンザミド系薬剤
- ドンペリドン等
内分泌機能異常、錐体外路症状が発現することがある。
併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。
タンドスピロンクエン酸塩
錐体外路症状を増強するおそれがある。
タンドスピロンクエン酸塩は弱い抗ドパミン(D2)作用を有する。
ドパミン作動薬
- レボドパ製剤
ブロモクリプチンメシル酸塩等
これらの薬剤のドパミン作動薬としての作用が減弱することがある。
ドパミン作動性神経において、 作用が拮抗することによる。
MAO阻害剤
- セレギリン塩酸塩
サフィナミドメシル酸塩等
MAO阻害剤の作用が減弱するおそれがある。
本剤はドパミン作動系に対する抑制作用をもつ。
薬物代謝酵素(主にCYP3A4)を誘導する薬剤
- カルバマゼピン
リファンピシン等
本剤の作用が減弱することがある。
薬物代謝酵素誘導作用により、ハロペリドールの血中濃度が低下する。
CYP3A4を阻害する薬剤
- イトラコナゾール等
本剤の作用が増強し、副作用が発現するおそれがある。
薬物代謝酵素阻害作用により、ハロペリドールの血中濃度が上昇する。
CYP2D6を阻害する薬剤
- キニジン
プロメタジン
クロルプロマジン等
本剤の作用が増強し、副作用が発現するおそれがある。
薬物代謝酵素阻害作用により、ハロペリドールの血中濃度が上昇する。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
[9.1.2 参照],[11.1.2 参照]
QT延長があらわれるおそれがある。
QT延長作用が増強するおそれがある。
アドレナリン含有歯科麻酔剤
- リドカイン・アドレナリン
重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 昏睡状態の患者[昏睡状態が悪化するおそれがある。]
- 2.2 バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
- 2.3 重症の心不全患者[心筋に対する障害作用や血圧降下が報告されている。]
- 2.4 パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある。]
- 2.5 本剤の成分又はブチロフェノン系化合物に対し過敏症の患者
- 2.6 アドレナリン(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)、クロザピンを投与中の患者[10.1 参照]
- 2.7 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
4. 効能又は効果
統合失調症
6. 用法及び用量
ハロペリドールとして、通常1回量50〜150mgを4週間隔で筋肉内投与する。
投薬量、注射間隔は症状に応じて適宜増減ならびに間隔を調節する。なお、初回用量は、経口ハロペリドールの1日用量の10〜15倍を目安とし、可能な限り少量より始め、100mgを超えないものとする。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤は、抗精神病薬の長期投与が必要な慢性精神病患者に使用するものである。本剤を用いる場合は、過去の治療で抗精神病薬の投与により症状が安定した患者に投与することが望ましい。現在ハロペリドール以外の抗精神病薬を使用している場合は、ハロペリドールに対する予期しない副作用が起こる可能性を防ぐために、まず、経口ハロペリドールを投与した後、本剤に切り替える。
- 8.2 本剤の投与にあたっては、本剤が持効性製剤であることを考慮して、初回用量は患者の既往歴、病状、過去の抗精神病薬への反応に基づいて決める。できるだけ低用量より始め、必要に応じ漸増することが望ましい。投与初期に用量の不足による精神症状の再発の可能性も考えられるが、その場合には原則として、本剤以外のハロペリドール製剤の追加が望ましい。また、次回投与時にはその間の十分な臨床観察を参考に用量調節を行う必要がある。
- 8.3 本剤による副作用の種類はハロペリドール製剤のそれと同様のものであるが、本剤が持効性製剤であり、直ちに薬物を体外に排除する方法がないため、副作用の予防、副作用発現時の処置、過量投与等について十分留意する必要がある。[11 参照],[13 参照]
- 8.4 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 8.5 本剤は制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので、注意すること。[11.1.3 参照]
- 8.6 本剤を増量する場合は慎重に行うこと。本剤の急激な増量により悪性症候群が起こることがある。[9.1.5 参照],[11.1.1 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 心・血管疾患、低血圧、又はこれらの疑いのある患者
一過性の血圧降下があらわれることがある。
-
9.1.2 QT延長を起こしやすい患者
低カリウム血症のある患者等では、QT延長が発現するおそれがある。[10.2 参照],[11.1.2 参照]
-
9.1.3 てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させることがある。
-
9.1.4 甲状腺機能亢進状態にある患者
錐体外路症状が起こりやすい。
-
9.1.5 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者、脳に器質的障害のある患者
悪性症候群が起こりやすい。[8.6 参照],[11.1.1 参照]
-
9.1.6 高温環境下にある患者
高熱反応が起こるおそれがある。体温調節中枢を抑制するため。
-
9.1.7 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.8 参照]
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。本剤は動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性作用は認められていないが、胎児死亡率、新生児死亡率の増加が認められている。類似化合物(ハロペリドール)で催奇形性を疑う症例及び動物実験で口蓋裂(マウス)、脳奇形(ハムスター)等の催奇形性及び着床数の減少、胎児吸収の増加(マウス)、流産率の上昇(ラット)等の胎児毒性が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。[2.7 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行がみられており、また、類似化合物(ハロペリドール)でヒト母乳中へ移行し、哺乳中の児の血中に検出されたと報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。錐体外路症状等の副作用があらわれやすい。
10. 相互作用
- ハロペリドールは主としてCYP2D6及びCYP3A4で代謝される。[16.4 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。 |
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。 |
|
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与しないこと。 |
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
中枢神経抑制作用が増強することがあるので、減量するなど注意すること。 |
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。 |
|
アルコール |
相互に作用を増強することがある。 |
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。 |
リチウム |
類似化合物(ハロペリドール)で、リチウムとの併用により、心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性の悪性症候群、非可逆性の脳障害を起こすことが報告されているので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。 |
機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。 |
腸管麻痺等の抗コリン系の副作用が強くあらわれることがある。また、類似化合物(ハロペリドール)で精神症状が悪化したとの報告がある。 |
併用により抗コリン作用が強くあらわれる。 |
|
内分泌機能異常、錐体外路症状が発現することがある。 |
併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。 |
|
タンドスピロンクエン酸塩 |
錐体外路症状を増強するおそれがある。 |
タンドスピロンクエン酸塩は弱い抗ドパミン(D2)作用を有する。 |
これらの薬剤のドパミン作動薬としての作用が減弱することがある。 |
ドパミン作動性神経において、 作用が拮抗することによる。 |
|
MAO阻害剤の作用が減弱するおそれがある。 |
本剤はドパミン作動系に対する抑制作用をもつ。 |
|
本剤の作用が減弱することがある。 |
薬物代謝酵素誘導作用により、ハロペリドールの血中濃度が低下する。 |
|
本剤の作用が増強し、副作用が発現するおそれがある。 |
薬物代謝酵素阻害作用により、ハロペリドールの血中濃度が上昇する。 |
|
本剤の作用が増強し、副作用が発現するおそれがある。 |
薬物代謝酵素阻害作用により、ハロペリドールの血中濃度が上昇する。 |
|
QT延長を起こすことが知られている薬剤 |
QT延長があらわれるおそれがある。 |
QT延長作用が増強するおそれがある。 |
重篤な血圧降下を起こすことがある。 |
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 悪性症候群(0.1%未満)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下や、筋強剛を伴う嚥下困難から嚥下性肺炎が発現することがある。
なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。[8.6 参照],[9.1.5 参照] -
11.1.2 心室細動、心室頻拍(頻度不明)
心室細動、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長があらわれることがある。[9.1.2 参照],[10.2 参照]
-
11.1.3 麻痺性イレウス(0.1%未満)
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。[8.5 参照]
-
11.1.4 遅発性ジスキネジア(0.1%未満)
長期投与により、遅発性ジスキネジア(口周部の不随意運動、四肢の不随意運動等を伴うことがある。)が発症することがある。抗パーキンソン剤を投与しても、症状が軽減しない場合があるので、このような症状があらわれた場合には、本剤の投与継続の必要性を、他の抗精神病薬への変更も考慮して慎重に判断すること。
-
11.1.5 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等、適切な処置を行うこと。
- 11.1.6 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.1%未満)、血小板減少(頻度不明)
-
11.1.7 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
-
11.1.8 肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明)
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.7 参照]
-
11.1.9 肝機能障害(0.1~5%未満)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
5%以上 |
0.1〜5%未満 |
0.1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
循環器 |
心電図異常(心室性期外収縮、心房性期外収縮等)、動悸、頻脈、徐脈、血圧降下、血圧上昇、胸内苦悶感 |
|||
肝臓 |
肝機能異常(AST、ALT、γ-GTP、ALP、LDH、ビリルビン等の上昇) |
|||
錐体外路症状注) |
パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎、寡動、歩行障害、仮面様顔貌、嚥下障害、構音障害等)、アカシジア(静坐不能) |
ジスキネジア(口周部、四肢等の不随意運動等)、ジストニア(痙攣性斜頸、顔面・喉頭・頸部の攣縮、後弓反張、眼球上転発作等) |
||
眼 |
眼の調節障害 |
霧視、視覚異常(目のチカチカ等) |
||
過敏症 |
発疹 |
光線過敏症、そう痒感 |
蕁麻疹、血管性浮腫(喉頭浮腫、舌浮腫) |
|
血液 |
白血球・顆粒球増加 |
白血球減少、貧血、血沈の亢進 |
||
消化器 |
食欲不振、口渇、悪心・嘔吐、胃不快感、便秘、下痢 |
腹痛、食欲亢進、腹部膨満感 |
||
内分泌 |
体重増加、体重減少、月経異常 |
乳汁分泌、インポテンス |
持続勃起、女性化乳房、高プロラクチン血症 |
|
呼吸器 |
呼吸困難 |
喉頭攣縮 |
||
精神神経系 |
不安・焦燥感、興奮・易刺激性、頭痛・頭重、睡眠障害、眠気、抑うつ、脳波異常、傾眠 |
緊張、離人感、意識障害、過鎮静、痙攣 |
||
注射部位 |
注射局所の反応(発赤、腫脹、疼痛、硬結等) |
|||
その他 |
脱力感・倦怠感、めまい・ふらつき・立ちくらみ |
発汗、発熱、鼻閉、排尿障害、のぼせ、浮腫、CK上昇、高脂血症 |
BUN上昇、尿糖の陽性化、無動 |
尿閉、低体温 |
発現頻度は使用成績調査を含む。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 昏睡状態の患者[昏睡状態が悪化するおそれがある。]
- 2.2 バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
- 2.3 重症の心不全患者[心筋に対する障害作用や血圧降下が報告されている。]
- 2.4 パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある。]
- 2.5 本剤の成分又はブチロフェノン系化合物に対し過敏症の患者
- 2.6 アドレナリン(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)、クロザピンを投与中の患者[10.1 参照]
- 2.7 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
4. 効能又は効果
統合失調症
6. 用法及び用量
ハロペリドールとして、通常1回量50〜150mgを4週間隔で筋肉内投与する。
投薬量、注射間隔は症状に応じて適宜増減ならびに間隔を調節する。なお、初回用量は、経口ハロペリドールの1日用量の10〜15倍を目安とし、可能な限り少量より始め、100mgを超えないものとする。
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤は、抗精神病薬の長期投与が必要な慢性精神病患者に使用するものである。本剤を用いる場合は、過去の治療で抗精神病薬の投与により症状が安定した患者に投与することが望ましい。現在ハロペリドール以外の抗精神病薬を使用している場合は、ハロペリドールに対する予期しない副作用が起こる可能性を防ぐために、まず、経口ハロペリドールを投与した後、本剤に切り替える。
- 8.2 本剤の投与にあたっては、本剤が持効性製剤であることを考慮して、初回用量は患者の既往歴、病状、過去の抗精神病薬への反応に基づいて決める。できるだけ低用量より始め、必要に応じ漸増することが望ましい。投与初期に用量の不足による精神症状の再発の可能性も考えられるが、その場合には原則として、本剤以外のハロペリドール製剤の追加が望ましい。また、次回投与時にはその間の十分な臨床観察を参考に用量調節を行う必要がある。
- 8.3 本剤による副作用の種類はハロペリドール製剤のそれと同様のものであるが、本剤が持効性製剤であり、直ちに薬物を体外に排除する方法がないため、副作用の予防、副作用発現時の処置、過量投与等について十分留意する必要がある。[11 参照],[13 参照]
- 8.4 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 8.5 本剤は制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので、注意すること。[11.1.3 参照]
- 8.6 本剤を増量する場合は慎重に行うこと。本剤の急激な増量により悪性症候群が起こることがある。[9.1.5 参照],[11.1.1 参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 心・血管疾患、低血圧、又はこれらの疑いのある患者
一過性の血圧降下があらわれることがある。
-
9.1.2 QT延長を起こしやすい患者
低カリウム血症のある患者等では、QT延長が発現するおそれがある。[10.2 参照],[11.1.2 参照]
-
9.1.3 てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させることがある。
-
9.1.4 甲状腺機能亢進状態にある患者
錐体外路症状が起こりやすい。
-
9.1.5 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者、脳に器質的障害のある患者
悪性症候群が起こりやすい。[8.6 参照],[11.1.1 参照]
-
9.1.6 高温環境下にある患者
高熱反応が起こるおそれがある。体温調節中枢を抑制するため。
-
9.1.7 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.8 参照]
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。本剤は動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性作用は認められていないが、胎児死亡率、新生児死亡率の増加が認められている。類似化合物(ハロペリドール)で催奇形性を疑う症例及び動物実験で口蓋裂(マウス)、脳奇形(ハムスター)等の催奇形性及び着床数の減少、胎児吸収の増加(マウス)、流産率の上昇(ラット)等の胎児毒性が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。[2.7 参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行がみられており、また、類似化合物(ハロペリドール)でヒト母乳中へ移行し、哺乳中の児の血中に検出されたと報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。錐体外路症状等の副作用があらわれやすい。
10. 相互作用
- ハロペリドールは主としてCYP2D6及びCYP3A4で代謝される。[16.4 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。 |
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。 |
|
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与しないこと。 |
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
中枢神経抑制作用が増強することがあるので、減量するなど注意すること。 |
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。 |
|
アルコール |
相互に作用を増強することがある。 |
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。 |
リチウム |
類似化合物(ハロペリドール)で、リチウムとの併用により、心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性の悪性症候群、非可逆性の脳障害を起こすことが報告されているので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。 |
機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。 |
腸管麻痺等の抗コリン系の副作用が強くあらわれることがある。また、類似化合物(ハロペリドール)で精神症状が悪化したとの報告がある。 |
併用により抗コリン作用が強くあらわれる。 |
|
内分泌機能異常、錐体外路症状が発現することがある。 |
併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。 |
|
タンドスピロンクエン酸塩 |
錐体外路症状を増強するおそれがある。 |
タンドスピロンクエン酸塩は弱い抗ドパミン(D2)作用を有する。 |
これらの薬剤のドパミン作動薬としての作用が減弱することがある。 |
ドパミン作動性神経において、 作用が拮抗することによる。 |
|
MAO阻害剤の作用が減弱するおそれがある。 |
本剤はドパミン作動系に対する抑制作用をもつ。 |
|
本剤の作用が減弱することがある。 |
薬物代謝酵素誘導作用により、ハロペリドールの血中濃度が低下する。 |
|
本剤の作用が増強し、副作用が発現するおそれがある。 |
薬物代謝酵素阻害作用により、ハロペリドールの血中濃度が上昇する。 |
|
本剤の作用が増強し、副作用が発現するおそれがある。 |
薬物代謝酵素阻害作用により、ハロペリドールの血中濃度が上昇する。 |
|
QT延長を起こすことが知られている薬剤 |
QT延長があらわれるおそれがある。 |
QT延長作用が増強するおそれがある。 |
重篤な血圧降下を起こすことがある。 |
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
-
11.1.1 悪性症候群(0.1%未満)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下や、筋強剛を伴う嚥下困難から嚥下性肺炎が発現することがある。
なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。[8.6 参照],[9.1.5 参照] -
11.1.2 心室細動、心室頻拍(頻度不明)
心室細動、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長があらわれることがある。[9.1.2 参照],[10.2 参照]
-
11.1.3 麻痺性イレウス(0.1%未満)
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。[8.5 参照]
-
11.1.4 遅発性ジスキネジア(0.1%未満)
長期投与により、遅発性ジスキネジア(口周部の不随意運動、四肢の不随意運動等を伴うことがある。)が発症することがある。抗パーキンソン剤を投与しても、症状が軽減しない場合があるので、このような症状があらわれた場合には、本剤の投与継続の必要性を、他の抗精神病薬への変更も考慮して慎重に判断すること。
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11.1.5 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等、適切な処置を行うこと。
- 11.1.6 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.1%未満)、血小板減少(頻度不明)
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11.1.7 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
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11.1.8 肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明)
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.7 参照]
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11.1.9 肝機能障害(0.1~5%未満)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
5%以上 |
0.1〜5%未満 |
0.1%未満 |
頻度不明 |
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|---|---|---|---|---|
循環器 |
心電図異常(心室性期外収縮、心房性期外収縮等)、動悸、頻脈、徐脈、血圧降下、血圧上昇、胸内苦悶感 |
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肝臓 |
肝機能異常(AST、ALT、γ-GTP、ALP、LDH、ビリルビン等の上昇) |
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錐体外路症状注) |
パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎、寡動、歩行障害、仮面様顔貌、嚥下障害、構音障害等)、アカシジア(静坐不能) |
ジスキネジア(口周部、四肢等の不随意運動等)、ジストニア(痙攣性斜頸、顔面・喉頭・頸部の攣縮、後弓反張、眼球上転発作等) |
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眼 |
眼の調節障害 |
霧視、視覚異常(目のチカチカ等) |
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過敏症 |
発疹 |
光線過敏症、そう痒感 |
蕁麻疹、血管性浮腫(喉頭浮腫、舌浮腫) |
|
血液 |
白血球・顆粒球増加 |
白血球減少、貧血、血沈の亢進 |
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消化器 |
食欲不振、口渇、悪心・嘔吐、胃不快感、便秘、下痢 |
腹痛、食欲亢進、腹部膨満感 |
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内分泌 |
体重増加、体重減少、月経異常 |
乳汁分泌、インポテンス |
持続勃起、女性化乳房、高プロラクチン血症 |
|
呼吸器 |
呼吸困難 |
喉頭攣縮 |
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精神神経系 |
不安・焦燥感、興奮・易刺激性、頭痛・頭重、睡眠障害、眠気、抑うつ、脳波異常、傾眠 |
緊張、離人感、意識障害、過鎮静、痙攣 |
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注射部位 |
注射局所の反応(発赤、腫脹、疼痛、硬結等) |
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その他 |
脱力感・倦怠感、めまい・ふらつき・立ちくらみ |
発汗、発熱、鼻閉、排尿障害、のぼせ、浮腫、CK上昇、高脂血症 |
BUN上昇、尿糖の陽性化、無動 |
尿閉、低体温 |
発現頻度は使用成績調査を含む。