薬効分類名注意欠陥/多動性障害治療剤(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
一般的名称アトモキセチン塩酸塩内用液
アトモキセチン内用液0.4%「JG」
あともきせちんないようえき0.4%「JG」
Atomoxetine Oral Solution
製造販売元/日本ジェネリック株式会社
重大な副作用
その他の副作用
併用注意
- サルブタモール硫酸塩(静脈内投与等の全身性投与。吸入投与を除く)
- [16.7.3 参照],[16.7.4 参照]
心拍数、血圧が上昇したとの報告があるので、注意して投与すること。
心血管系への作用を増強する可能性がある。
- β-受容体刺激剤(サルブタモール硫酸塩を除く)
これらの薬剤の心拍数、血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。
これらの薬剤の心血管系への作用を増強する可能性がある。
- CYP2D6阻害剤
- [7.1 参照],[16.7.5 参照]
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、経過を観察しながら時間をかけて本剤を増量すること。
これらの薬剤のCYP2D6阻害作用により本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
- 昇圧作用を有する薬剤
これらの薬剤の血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。
これらの薬剤の血圧への作用に影響する可能性がある。
- ノルアドレナリンに影響する薬剤
これらの薬剤の作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。
これらの薬剤のノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者[10.1 参照]
- 2.3 重篤な心血管障害のある患者[血圧又は心拍数を上昇させ、症状を悪化させるおそれがある。][8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
- 2.4 褐色細胞腫又はパラガングリオーマ若しくはその既往歴のある患者[急激な血圧上昇及び心拍数増加の報告がある。]
- 2.5 閉塞隅角緑内障の患者[散瞳があらわれることがある。]
4. 効能又は効果
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 6歳未満の患者における有効性及び安全性は確立していない。[9.7 参照],[17.1.1 参照],[17.1.2 参照],[17.1.3 参照]
-
5.2 AD/HDの診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM
注1)
)等の標準的で確立した診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。注1) Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders
6. 用法及び用量
-
〈18歳未満の患者〉
通常、18歳未満の患者には、アトモキセチンとして1日0.5mg/kg(0.125mL/kg)より開始し、その後1日0.8mg/kg(0.2mL/kg)とし、さらに1日1.2mg/kg(0.3mL/kg)まで増量した後、1日1.2~1.8mg/kg(0.3~0.45mL/kg)で維持する。
ただし、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は1.8mg/kg(0.45mL/kg)又は120mg(30mL)のいずれか少ない量を超えないこと。 -
〈18歳以上の患者〉
通常、18歳以上の患者には、アトモキセチンとして1日40mg(10mL)より開始し、その後1日80mg(20mL)まで増量した後、1日80~120mg(20~30mL)で維持する。
ただし、1日80mg(20mL)までの増量は1週間以上、その後の増量は2週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日1回又は1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は120mg(30mL)を超えないこと。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 CYP2D6阻害作用を有する薬剤を投与中の患者又は遺伝的にCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)では、本剤の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすいおそれがあるため、投与に際しては忍容性に問題がない場合にのみ増量するなど、患者の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。[9.1.9 参照],[10.2 参照],[16.4.1 参照],[16.4.2 参照],[16.7.5 参照]
- 7.2 中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害を有する患者においては、開始用量及び維持用量を通常の50%に減量すること。また、重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害を有する患者においては、開始用量及び維持用量を通常の25%に減量すること。[9.3 参照],[16.6.2 参照]
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者(小児の場合には患者及び保護者又はそれに代わる適切な者)に対して、本剤の治療上の位置づけ及び本剤投与による副作用発現等のリスクについて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用方法について指導すること。
- 8.2 本剤を長期間投与する場合には、必要に応じて休薬期間を設定するなどして、定期的に有用性の再評価を実施すること。
- 8.3 臨床試験で本剤投与中の小児患者において、自殺念慮や関連行動が認められているため、本剤投与中の患者ではこれらの症状の発現について注意深く観察すること。[15.1.1 参照]
- 8.4 攻撃性、敵意はAD/HDにおいてしばしば観察されるが、本剤の投与中にも攻撃性、敵意の発現や悪化が報告されている。投与中は、攻撃的行動、敵意の発現又は悪化について観察すること。[15.1.2 参照]
- 8.5 通常量の本剤を服用していた精神病性障害や躁病の既往歴がない患者において、幻覚等の精神病性又は躁病の症状が報告されている。このような症状の発現を認めたら、本剤との関連の可能性を考慮すること。投与中止が適切な場合もある。
- 8.6 眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 8.7 心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に、血圧及び心拍数(脈拍数)を測定すること。[2.3 参照],[9.1.2 参照],[9.1.3 参照],[9.1.4 参照],[9.1.5 参照],[15.1.3 参照]
- 8.8 本剤は血圧又は心拍数に影響を与えることがあるので、本剤を心血管障害のある患者に投与する際は、循環器を専門とする医師に相談するなど、慎重に投与の可否を検討すること。また、患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤ではないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者に対して本剤の投与を検討する場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。[2.3 参照],[9.1.2 参照],[9.1.3 参照],[9.1.4 参照],[9.1.5 参照],[15.1.3 参照]
- 8.9 小児において本剤の投与初期に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。本剤の投与中は小児患者の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくないときは減量又は投与の中断等を考慮すること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 痙攣発作又はその既往歴のある患者
痙攣を起こすことがある。
-
9.1.2 心疾患(QT延長を含む)又はその既往歴のある患者
症状を悪化又は再発させるおそれがある。[8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
-
9.1.3 先天性QT延長症候群の患者又はQT延長の家族歴のある患者
QT延長を起こすおそれがある。[8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
-
9.1.4 高血圧又はその既往歴のある患者
症状を悪化又は再発させるおそれがある。[8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
-
9.1.5 脳血管障害又はその既往歴のある患者
症状を悪化又は再発させるおそれがある。[8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
-
9.1.6 起立性低血圧の既往歴のある患者
本剤の投与による起立性低血圧の報告がある。
-
9.1.7 精神系疾患(精神病性障害、双極性障害)のある患者
行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。
-
9.1.8 排尿困難のある患者
症状を悪化させるおそれがある。
- 9.1.9 遺伝的にCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)
9.2 腎機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[7.2 参照],[16.6.2 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において胎盤通過性が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。[5.1 参照],[17.1.1 参照],[17.1.2 参照],[17.1.3 参照]
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下している。
10. 相互作用
- 本剤は、主に肝薬物代謝酵素CYP2D6で代謝される。[16.4.1 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
両薬剤の作用が増強されることがある。MAO阻害剤の投与中止後に本剤を投与する場合には、2週間以上の間隔をあけること。また、本剤の投与中止後にMAO阻害剤を投与する場合は、2週間以上の間隔をあけること。 |
脳内モノアミン濃度が高まる可能性がある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
心拍数、血圧が上昇したとの報告があるので、注意して投与すること。 |
心血管系への作用を増強する可能性がある。 |
これらの薬剤の心拍数、血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。 |
これらの薬剤の心血管系への作用を増強する可能性がある。 |
|
|
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、経過を観察しながら時間をかけて本剤を増量すること。 |
これらの薬剤のCYP2D6阻害作用により本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
これらの薬剤の血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。 |
これらの薬剤の血圧への作用に影響する可能性がある。 |
|
これらの薬剤の作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。 |
これらの薬剤のノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
11.2 その他の副作用
5%以上 |
1~5%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
消化器 |
悪心(31.5%)、食欲減退(19.9%)、腹痛、嘔吐、便秘、口渇 |
下痢、消化不良、口内乾燥 |
鼓腸 |
|
精神神経系 |
頭痛(15.4%)、傾眠(15.8%)、浮動性めまい、不眠症 |
体位性めまい、睡眠障害、易刺激性、不快気分 |
早朝覚醒型不眠症、気分変化、振戦、抑うつ気分、錯感覚、不安、感覚鈍麻、幻覚を含む感覚障害、うつ病、攻撃性、リビドー減退、チック、激越、落ち着きのなさ |
びくびく感 |
過敏症 |
そう痒症 |
発疹、蕁麻疹 |
||
循環器 |
動悸 |
頻脈、血圧上昇、心拍数増加 |
心電図QT延長、失神 |
レイノー現象、潮紅 |
皮膚 |
多汗症 |
皮膚炎 |
||
泌尿・生殖器 |
排尿困難、勃起不全、不規則月経 |
生殖器痛、尿閉、月経困難症、射精障害、前立腺炎、頻尿 |
持続勃起、勃起時疼痛、射精不能、精巣痛、オルガズム異常、尿意切迫 |
|
その他 |
体重減少 |
胸痛、無力症、疲労、ほてり、悪寒、味覚異常 |
結膜炎、胸部不快感、末梢冷感、冷感、筋痙縮 |
散瞳 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 外国の小児及び青少年を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における11試験及び遺尿症患者における1試験の計12試験)の併合解析において、プラセボ投与群に対してアトモキセチン投与群では投与初期の自殺念慮のリスクが大きかったとの報告がある(アトモキセチン投与群5/1357(0.37%)、プラセボ投与群0/851(0%))。なお、これらの試験において既遂例は認められなかった。また、AD/HDに併存する精神系疾患は自殺念慮、自殺行動のリスクの増加に関連しているとの外国の報告がある。[8.3 参照]
- 15.1.2 外国の小児及び青少年を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における11試験)の併合解析において、攻撃的行動、敵意の発現率はアトモキセチン投与群21/1308(1.6%)、プラセボ投与群9/806(1.1%)であった。日本及び外国の成人を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における9試験)の併合解析において、攻撃的行動、敵意の発現率はアトモキセチン投与群6/1697(0.35%)、プラセボ投与群4/1560(0.26%)であった。[8.4 参照]
- 15.1.3 国内外の臨床試験データの併合解析において、小児及び成人の5.9~11.6%に血圧上昇(収縮期20mmHg以上、拡張期15mmHg以上)又は心拍数増加(20bpm以上)が認められたとの報告がある。[2.3 参照],[8.7 参照],[8.8 参照],[9.1.2 参照],[9.1.3 参照],[9.1.4 参照],[9.1.5 参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 幼若ラットにアトモキセチン1、10及び50mg/kgを約75日間反復投与したところ、1mg/kg以上で性成熟のわずかな遅延、10mg/kg以上で精巣上体尾部重量の低下及び精巣上体中の精子数減少が見られたが、性成熟後の生殖能や受胎能に影響はなかった。ラットで生じたこれらの変化は軽度であったが、そのときの血漿中濃度(AUC)を臨床最大用量投与時(1.8mg/kg)のAUCと比較すると1mg/kgでは最大で0.2倍(CYP2D6通常活性、EM)又は0.02倍(CYP2D6活性欠損、PM)、10mg/kgでは最大で1.9倍(EM)又は0.2倍(PM)であり、臨床用量での安全域は確保されていない。なお、外国の小児及び青少年患者において、第二次性徴に対する影響を調べた臨床試験ではアトモキセチン投与の性成熟に対する影響は示唆されなかった。
- 15.2.2 妊娠ウサギに器官形成期を通じてアトモキセチンを経口投与した3試験のうち1試験において、最高用量の100mg/kgで生存胎児数の減少、早期吸収胚の増加、総頚動脈起始異常と鎖骨下動脈欠損の発現率の微増が認められたが、これらの変化は背景データの範囲内であった。この用量では軽度の体重増加の抑制及び摂餌量の低下等の母体毒性も認められており、このときのAUCは臨床最大用量投与時(1.8mg/kg)のAUCと比較すると2.6倍(EM)又は0.3倍(PM)であった。なお、これらの所見が認められたのは3試験のうち1試験であり、アトモキセチン投与との関連性及びヒトへの外挿性は不明である。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.2 MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者[10.1 参照]
- 2.3 重篤な心血管障害のある患者[血圧又は心拍数を上昇させ、症状を悪化させるおそれがある。][8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
- 2.4 褐色細胞腫又はパラガングリオーマ若しくはその既往歴のある患者[急激な血圧上昇及び心拍数増加の報告がある。]
- 2.5 閉塞隅角緑内障の患者[散瞳があらわれることがある。]
4. 効能又は効果
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
5. 効能又は効果に関連する注意
- 5.1 6歳未満の患者における有効性及び安全性は確立していない。[9.7 参照],[17.1.1 参照],[17.1.2 参照],[17.1.3 参照]
-
5.2 AD/HDの診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM
注1)
)等の標準的で確立した診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。注1) Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders
6. 用法及び用量
-
〈18歳未満の患者〉
通常、18歳未満の患者には、アトモキセチンとして1日0.5mg/kg(0.125mL/kg)より開始し、その後1日0.8mg/kg(0.2mL/kg)とし、さらに1日1.2mg/kg(0.3mL/kg)まで増量した後、1日1.2~1.8mg/kg(0.3~0.45mL/kg)で維持する。
ただし、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は1.8mg/kg(0.45mL/kg)又は120mg(30mL)のいずれか少ない量を超えないこと。 -
〈18歳以上の患者〉
通常、18歳以上の患者には、アトモキセチンとして1日40mg(10mL)より開始し、その後1日80mg(20mL)まで増量した後、1日80~120mg(20~30mL)で維持する。
ただし、1日80mg(20mL)までの増量は1週間以上、その後の増量は2週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日1回又は1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は120mg(30mL)を超えないこと。
7. 用法及び用量に関連する注意
- 7.1 CYP2D6阻害作用を有する薬剤を投与中の患者又は遺伝的にCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)では、本剤の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすいおそれがあるため、投与に際しては忍容性に問題がない場合にのみ増量するなど、患者の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。[9.1.9 参照],[10.2 参照],[16.4.1 参照],[16.4.2 参照],[16.7.5 参照]
- 7.2 中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害を有する患者においては、開始用量及び維持用量を通常の50%に減量すること。また、重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害を有する患者においては、開始用量及び維持用量を通常の25%に減量すること。[9.3 参照],[16.6.2 参照]
8. 重要な基本的注意
- 8.1 本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者(小児の場合には患者及び保護者又はそれに代わる適切な者)に対して、本剤の治療上の位置づけ及び本剤投与による副作用発現等のリスクについて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用方法について指導すること。
- 8.2 本剤を長期間投与する場合には、必要に応じて休薬期間を設定するなどして、定期的に有用性の再評価を実施すること。
- 8.3 臨床試験で本剤投与中の小児患者において、自殺念慮や関連行動が認められているため、本剤投与中の患者ではこれらの症状の発現について注意深く観察すること。[15.1.1 参照]
- 8.4 攻撃性、敵意はAD/HDにおいてしばしば観察されるが、本剤の投与中にも攻撃性、敵意の発現や悪化が報告されている。投与中は、攻撃的行動、敵意の発現又は悪化について観察すること。[15.1.2 参照]
- 8.5 通常量の本剤を服用していた精神病性障害や躁病の既往歴がない患者において、幻覚等の精神病性又は躁病の症状が報告されている。このような症状の発現を認めたら、本剤との関連の可能性を考慮すること。投与中止が適切な場合もある。
- 8.6 眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 8.7 心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に、血圧及び心拍数(脈拍数)を測定すること。[2.3 参照],[9.1.2 参照],[9.1.3 参照],[9.1.4 参照],[9.1.5 参照],[15.1.3 参照]
- 8.8 本剤は血圧又は心拍数に影響を与えることがあるので、本剤を心血管障害のある患者に投与する際は、循環器を専門とする医師に相談するなど、慎重に投与の可否を検討すること。また、患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤ではないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者に対して本剤の投与を検討する場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。[2.3 参照],[9.1.2 参照],[9.1.3 参照],[9.1.4 参照],[9.1.5 参照],[15.1.3 参照]
- 8.9 小児において本剤の投与初期に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。本剤の投与中は小児患者の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくないときは減量又は投与の中断等を考慮すること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1 痙攣発作又はその既往歴のある患者
痙攣を起こすことがある。
-
9.1.2 心疾患(QT延長を含む)又はその既往歴のある患者
症状を悪化又は再発させるおそれがある。[8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
-
9.1.3 先天性QT延長症候群の患者又はQT延長の家族歴のある患者
QT延長を起こすおそれがある。[8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
-
9.1.4 高血圧又はその既往歴のある患者
症状を悪化又は再発させるおそれがある。[8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
-
9.1.5 脳血管障害又はその既往歴のある患者
症状を悪化又は再発させるおそれがある。[8.7 参照],[8.8 参照],[15.1.3 参照]
-
9.1.6 起立性低血圧の既往歴のある患者
本剤の投与による起立性低血圧の報告がある。
-
9.1.7 精神系疾患(精神病性障害、双極性障害)のある患者
行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。
-
9.1.8 排尿困難のある患者
症状を悪化させるおそれがある。
- 9.1.9 遺伝的にCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)
9.2 腎機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.1 参照]
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[7.2 参照],[16.6.2 参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において胎盤通過性が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。[5.1 参照],[17.1.1 参照],[17.1.2 参照],[17.1.3 参照]
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下している。
10. 相互作用
- 本剤は、主に肝薬物代謝酵素CYP2D6で代謝される。[16.4.1 参照]
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
両薬剤の作用が増強されることがある。MAO阻害剤の投与中止後に本剤を投与する場合には、2週間以上の間隔をあけること。また、本剤の投与中止後にMAO阻害剤を投与する場合は、2週間以上の間隔をあけること。 |
脳内モノアミン濃度が高まる可能性がある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
|
心拍数、血圧が上昇したとの報告があるので、注意して投与すること。 |
心血管系への作用を増強する可能性がある。 |
これらの薬剤の心拍数、血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。 |
これらの薬剤の心血管系への作用を増強する可能性がある。 |
|
|
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、経過を観察しながら時間をかけて本剤を増量すること。 |
これらの薬剤のCYP2D6阻害作用により本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
これらの薬剤の血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。 |
これらの薬剤の血圧への作用に影響する可能性がある。 |
|
これらの薬剤の作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。 |
これらの薬剤のノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
11.2 その他の副作用
5%以上 |
1~5%未満 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
|---|---|---|---|---|
消化器 |
悪心(31.5%)、食欲減退(19.9%)、腹痛、嘔吐、便秘、口渇 |
下痢、消化不良、口内乾燥 |
鼓腸 |
|
精神神経系 |
頭痛(15.4%)、傾眠(15.8%)、浮動性めまい、不眠症 |
体位性めまい、睡眠障害、易刺激性、不快気分 |
早朝覚醒型不眠症、気分変化、振戦、抑うつ気分、錯感覚、不安、感覚鈍麻、幻覚を含む感覚障害、うつ病、攻撃性、リビドー減退、チック、激越、落ち着きのなさ |
びくびく感 |
過敏症 |
そう痒症 |
発疹、蕁麻疹 |
||
循環器 |
動悸 |
頻脈、血圧上昇、心拍数増加 |
心電図QT延長、失神 |
レイノー現象、潮紅 |
皮膚 |
多汗症 |
皮膚炎 |
||
泌尿・生殖器 |
排尿困難、勃起不全、不規則月経 |
生殖器痛、尿閉、月経困難症、射精障害、前立腺炎、頻尿 |
持続勃起、勃起時疼痛、射精不能、精巣痛、オルガズム異常、尿意切迫 |
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その他 |
体重減少 |
胸痛、無力症、疲労、ほてり、悪寒、味覚異常 |
結膜炎、胸部不快感、末梢冷感、冷感、筋痙縮 |
散瞳 |
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
- 15.1.1 外国の小児及び青少年を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における11試験及び遺尿症患者における1試験の計12試験)の併合解析において、プラセボ投与群に対してアトモキセチン投与群では投与初期の自殺念慮のリスクが大きかったとの報告がある(アトモキセチン投与群5/1357(0.37%)、プラセボ投与群0/851(0%))。なお、これらの試験において既遂例は認められなかった。また、AD/HDに併存する精神系疾患は自殺念慮、自殺行動のリスクの増加に関連しているとの外国の報告がある。[8.3 参照]
- 15.1.2 外国の小児及び青少年を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における11試験)の併合解析において、攻撃的行動、敵意の発現率はアトモキセチン投与群21/1308(1.6%)、プラセボ投与群9/806(1.1%)であった。日本及び外国の成人を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における9試験)の併合解析において、攻撃的行動、敵意の発現率はアトモキセチン投与群6/1697(0.35%)、プラセボ投与群4/1560(0.26%)であった。[8.4 参照]
- 15.1.3 国内外の臨床試験データの併合解析において、小児及び成人の5.9~11.6%に血圧上昇(収縮期20mmHg以上、拡張期15mmHg以上)又は心拍数増加(20bpm以上)が認められたとの報告がある。[2.3 参照],[8.7 参照],[8.8 参照],[9.1.2 参照],[9.1.3 参照],[9.1.4 参照],[9.1.5 参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
- 15.2.1 幼若ラットにアトモキセチン1、10及び50mg/kgを約75日間反復投与したところ、1mg/kg以上で性成熟のわずかな遅延、10mg/kg以上で精巣上体尾部重量の低下及び精巣上体中の精子数減少が見られたが、性成熟後の生殖能や受胎能に影響はなかった。ラットで生じたこれらの変化は軽度であったが、そのときの血漿中濃度(AUC)を臨床最大用量投与時(1.8mg/kg)のAUCと比較すると1mg/kgでは最大で0.2倍(CYP2D6通常活性、EM)又は0.02倍(CYP2D6活性欠損、PM)、10mg/kgでは最大で1.9倍(EM)又は0.2倍(PM)であり、臨床用量での安全域は確保されていない。なお、外国の小児及び青少年患者において、第二次性徴に対する影響を調べた臨床試験ではアトモキセチン投与の性成熟に対する影響は示唆されなかった。
- 15.2.2 妊娠ウサギに器官形成期を通じてアトモキセチンを経口投与した3試験のうち1試験において、最高用量の100mg/kgで生存胎児数の減少、早期吸収胚の増加、総頚動脈起始異常と鎖骨下動脈欠損の発現率の微増が認められたが、これらの変化は背景データの範囲内であった。この用量では軽度の体重増加の抑制及び摂餌量の低下等の母体毒性も認められており、このときのAUCは臨床最大用量投与時(1.8mg/kg)のAUCと比較すると2.6倍(EM)又は0.3倍(PM)であった。なお、これらの所見が認められたのは3試験のうち1試験であり、アトモキセチン投与との関連性及びヒトへの外挿性は不明である。